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[3208] 職業:杖
Name: すいか◆3aeb085d ID:aea6d682
Date: 2008/06/09 19:00
石で造られた神殿が膨大な魔力で軋みをあげる。

「集え、集え、集いて満ちよ」

祈りの祝詞を読み上げながら、心なし私は、手に持つ杖を強く握りしめている事に
気付いた。

「我が声が届くのならば、我が声に答えよ」

本来、巫女として杖を握ったことがなかった私なんかよりも、
水の国きっての天才と呼ばれた誉れ高い先代がやってくれた方がはるかに成功率はあがると思う。だけど、
先代は言ってくれたのだ。

『確かに、水の宝玉と共に会った時間は私の方が長いわ、でも―』
『でも――なんですか』
『まだ祭典の途中だったとはいえ、今の水の巫女は貴方よ。だから――』

「だから、私がやらないと――!」
「セリー!気を抜くな!此処が正念場だぞ!」
「はい!」

神官様からの叱咤が飛んできた。いつもよりも声に張りがない。まあお互い様な訳だけど。

――この水の神殿に集まった、歴代の『水の杖』の巫女と、神官達の魔力が私の中へと
注ぎ込まれる。魔力を注ぎ込む皆も大変だろうけど、それを制御する私の意識も既にぐらぐらだ。
例えるなら、川の水の流れを全部ホースに詰め込んで出そうとするぐらいの無茶っぷり。
意識が断線してしまう前に、お願いだから、動いて、私の口――

「来たれ、水の神、我が国の創り手よ――!!!」

私の身体に満ちていた全ての魔力が、口から放たれた言霊にのって神殿を震わせた。
そして、目の前に閃光が走る。正直、意識はもう朦朧としすぎていて、今すぐに倒れ込みたい。
だけど、これだけは確認しないと。

私たちの神様は、帰ってきたの――?


「・・・ちょ、何だよこれ」


朦朧とした視界に映るあの澄んだ青色。よかった、成功したみたい・・・


「こ、ここ何処だよ!一体全体さっきから何が起きて――!?」


何か聞こえた気がしたけど、きっと気のせいだろうと私は思い。
私の意識は断線した。




職業:杖 ~第一話:水の石~




どんよりと曇った空が、大きめの雨粒を無数にはき出している空を
恨めしそうに見上げる青年が一人いた。ていうか、俺だ。

「ついてねぇ・・・・」

毎日見ている天気予報をたまたま見なかった日に限ってのこの大雨。
学校に行ったときから、折りたたみを持ってきている級友の様子をみて、
これはやっちまったかなと思っていたが、どうやら俺の運の悪さは予想以上の特大ホームランだったらしい。

温泉スパの打たせ湯並の威力があるんじゃないかと思うぐらいの雨粒を体中で受け止めながら全力疾走。
俺が通う高校から家までは徒歩20分。走れば10分は固い、と思う。天気が晴れならね。

そんな事をつらつらと考えながら走っていたせいか、俺はものの見事に地面にすっころんでしまった。
ドバシャーン!と漫画の様な音が耳に届く。てか、身体で音を感じた。

本気でついてない。思わず半泣きしそうになるが、そこは男の子。我慢我慢。泣いても涙は雨で見えないだろうが、
そこは意地というものだ。
というか、転んでしまったのは何かを思いっきり踏んづけてしまったからで。
あき缶だかビニール袋だか知らないが、ぶん投げるか蹴り飛ばすか、それとも引き裂いてやろうかと
俺はずぶぬれのまま立ち上がり、後方を睨み付け、

「・・・・え?」

そのまま、思わず目を疑った。

「これは・・・」

そこに、青く輝く『何か』があった。
自ら光り輝いている訳でもないというのに、目に痛い程染みてくる澄んだ青さが、俺の目を奪っていた。
青い、宝石。何の石かなんて一回の高校生である俺が分かるはずもないが、その青さはサファイアとか
そんなレベルの石じゃないことは理解できた。

世界中の水の輝きを集めても、この色は出せないだろう。宝石だのなんだのに興味の無い俺が見てもこうなんだ。
専門家とかが見ればきっと腰を抜かすに違いない。

俺はその青く輝く石をポケットに突っ込み、下校を再開した。

何故だろうか。雨はもう、冷たくなかった。







帰宅した俺はまず服を洗濯機に突っ込みシャワーを浴びて、タオルで頭を拭きながら自分の部屋へ
戻った。机の上に置いてあるのは、先程拾った青い石。

勢いで持って帰ってきてしまったが、こんな立派な宝石だ。落とし主はさぞかし探しているだろうし、
このままパクる訳には・・・・いかないだろう。うん。
というかこんな立派な宝石だ。もしかしたら美術品とかで、TVで捜索のニュースとかやってるかも。

そこまで考えて、とりあえず居間に降りてニュースをつけようと腰を浮かした。
この宝石を手放すのは勿体ないが、個人の物だとしても謝礼とか貰えるかもしれないし、それになにより俺は
この若さで前科なんて持ちたくない。この石を持ってたおかげで泥棒扱いなんてされたら目もあてられない。
来年は受験なのだ。あの石は確かに魅力的だが、俺の残りの人生全てを代償にしてまで持ち続けなきゃいけないものでもあるまい。

まあ、この手で触れて、この目で実物を見れただけでも眼福としよう。
この石は持ち主の所へ返さなきゃな。
TVを見て何もやってなかったら交番だなー、でも雨の中は面倒だな等と思いつつ椅子から立ち上がろうとして、

俺は本日2度目の大転倒を披露することになった。

「うあ、いってぇ・・・」

先程は草の道にうつぶせに転んだが、こんどはフローリングの床に後頭部から仰向けに転んだのだ。
痛さは先程と比べるまでも無かった。まあ水で濡れないだけマシなのかもしれないが。

そして、涙目になりながらも開いた視界が移したのは、自分の顔へ降ってくる、青い塊だった。


ゴクリ


「・・・っ・・・ぁ・・!!」
青い石だ。あの青い石が机から落ちてきたんだろう。そしてそれを俺は――


――飲み込んで、しまった。

「っ!・・・ぁ!ぁ!」
喉に石が詰まって呼吸が出来ない。ごりごりとした感触が喉を焼く。
このままじゃ、死ぬ、指、を、喉に、入れて、も、奥深く、へ、入ったのか、ひっかかったのか、でてこない。
息が、苦しい。

「・・・ぁ!・・ぁ」

意識が途絶えそうになった時、不意に、喉が熱くなった。
血でも吹き出したのだろうか。酸素が足りなくて頭が回らない。
おそらくひどい顔を自分はしているのだろうが、ぐらぐらとした脳味噌は、目に映っていた天井も、
耳に入ってきていた雨の音も、自分の部屋の匂いも、床の感触も、己の血の味も遮断して、感覚は内へと引きこもった。









声が聞こえる。
それは、俺に何かを頼む声のようだ。
『――って――き――』
それが一体何を頼んでいるのか分からないまま
『―お――い――帰っ――――!』

「ぅあああ!!」

いつのまにか俺は、眠っていたらしい。眼球がせわしなく動き回る。此処は俺の部屋。時計が目に入る。
電気もつけてないのに、それがはっきりと瞳に映った。午前2時。

「はー・・・はー・・・」

椅子はひっくり返っていて、俺が寝ていた床は汗でビショビショである。そもそも、俺はどうしてこんな所で
寝てしまっていたのか。
ともかくこの汗を拭き取ろう。とてもべたべたと張り付いてきて、気持ちが悪い。
とにもかくにも床の汗を拭こうと俺は立ち上がり、電気をつけた。


そこに広がっていたのは、一面の赤色。


俺が汗だと思っていたのは、真っ赤な血だった。
「ぅ・・・っ!」
瞬間的に吐き気を堪える。鉄の匂いが鼻孔に染みる。何だ、何があった!?


そして思い出した、つい先程の出来事。


「そうだ、俺、石、飲み込んじゃって――」
じゃあこれは、俺の吐いた血なのだろうか。そして、血と一緒に宝石が押し戻されたのだろうか。
分からない。分からない。そもそもこんなに血を吐いたって事は、喉なり肺なりが危ないんじゃないだろうか。
死ぬのは嫌だ。泣きそうになる。混乱した頭で俺は居間に降りる。

「病院、とにかく病院いかないと、この時間空いてる病院ってどこだ――!?」

冷静に考えれば急患なら余程の事が無い限り受け入れてくれる事も思いつかず、俺は必死に電話帳をめくる。
だが、電話をいざかけようとしたところで、俺はようやく自分の喉の痛みに気付いた。
口を拭うと固まった血が手に黒くこびりついてきた。意識すると途端に気持ちが悪くなる物で、俺はとにかく
顔を洗って喉をゆすごうと洗面所へ駆け込み、

「――なんだよ、これ――」

そこで、見知らぬ人物と出会った。
そいつはまず、髪の毛が青かった。どこかの石のような色だった。
そしてそいつは、瞳も同じぐらい青かった。まるでどこかの石のような色だった。
そして極めつけにそいつは、俺の、俺と同じ、顔をしていた。

全く持って訳が分からない。そして俺が驚くとそいつも驚いた顔をするのだ。
俺の身振り手振りまで真似てくる。

「誰だよ――お前」

同じ口の動き方。でも洗面所に響く声は一つだけ。

「誰なんだよ!お前は!!」
思いっきりそいつをぶん殴ると、がしゃりという音と共にそいつは砕け散り、無数の破片となった。
そして――その無数に映る『鏡』の破片には、『青い髪と青い目をした俺』がたくさん映っていた。

そして鏡を叩きわった右拳を見る。そこには血なんて一滴も流れていなく、更に傷さえもついていなかった。
いや、よくみると皮膚が薄皮一枚めくれている。そして、その奥には

青い石のような物が見えた、もう、充分だった。

壁に体重を預け、ずるずると背中から崩れて落ちてしまった。
部屋に戻って吐いたはずの青い石を探す気にもならない。だって俺は吐いてなかったんだ。
相変わらずこの石がなにかとかなんてよく分からないが、あの石を飲んだおかげで俺は、こんな事になっているって事は
よくわかった。

「明日から、学校どうしよ」

ご丁寧に眉毛や鼻毛まで青色だ。それなりの進学高である我が高校にこんな髪と目で行ったものなら、即刻退学だろう。
訳を話せば大丈夫だろうか?きっとわかってくれるだろう。


違う。


とりあえずドラッグストアで黒の髪染めでも買ってきて、


違う違う。


明日一日休んで、黒のカラコンでも探せば――




違う!!

「ぅ・・・ぅう・・・」
ボロボロと手に生暖かい感触が落ちてきた。気が付けば俺は泣いていた。
一体俺が何をしたって言うのだろうか。こんな風な青色に染まった髪と瞳に、鏡をこわしても
傷一つつかないような人外の強度。赤い血が流れているのかどうかだって怪しいような身体に、どんな理不尽で自分がならなくては
いけないのか。


そんな事を考えながら泣き続け、どれだけ時間が経ったのか。
又、声が聞こえた。

『お願い――ってき――』

耳鳴りの様に響く声。

「なんなんだよ、一体」

質問しても、どこから響いているのか分からない声は更に大きくなってくる。

『か――ま、かえっ――き―』

段々とその声は大きくなり

「誰なんだよ、お前は」



『帰ってきて、神様!!!』



俺がようやく、自分の中から響く声だと気付いた瞬間、俺の身体は石造りの広場の様な所へ飛ばされていた。


「・・・ちょ、何だよこれ」

そして俺は、俺を取り囲むようにこちらを見据えている人々に気が付いた。あからさまに俺を見て何かを話しているが、
よく聞き取れない。

「こ、ここ何処だよ!一体全体さっきから何が起きて――!?」

たまらず叫んだ俺の言葉は、紛れもない本心だ。
本当にさっきから何が起きているのかさっぱり分からない、だけど。


「――よかった、帰ってきてくれて――」


こちらをみて、息も切れ切れに微笑みながら倒れ込む少女を見て、俺は自分が何をしたのかも分からないまま、


「ありがとう――」


俺はまだ、生きていてもよさそうだと、思い知った。







そして、彼がいなくなった世界での雨は、止んでいた。



[3208] 職業:杖
Name: すいか◆3aeb085d ID:aea6d682
Date: 2008/07/01 17:54

「間抜けねぇ」
「返す言葉もございません」

私の目の前に座る青年――名を、ユージ・オリカワと名乗った――が頭を下げる。
なんでも私達が『神石』を呼び戻したあの日から、三日が経ったらしい。
らしい、というのも私がその間ずっと眠っていたからなのだが。

「ところで、ユージ」
「なんだ?」

その間に起きたことや、儀式の結果などは神官の長から聞いている。
彼は『神石』が飛ばされた世界の住人で、誤って『神石』を取り込んでしまったとのことだ。
今はその経緯を改めて彼の口から聞いていた所である。空腹だからとわざわざ酒場にまで連れてきてやったのだ。
こちらの意志を出来る限り伝えておかなくては損だろう。

「あんた、覚悟はきまったの?」
「そのことか・・・正直、現実味がなくてな」
まだ夢でも見てるんじゃないかって思うよ、とユージは苦笑を浮かべた。

――彼の身体に取り込まれた『神石』は、此処ウォターリアの巫女や神官があらゆる手を
尽くしたが、分離させることは不可能だったらしい――

「現実味がある、ないは問題じゃないわよ。貴方がいなかったらこの国は滅びちゃうの。
貴方、このウォターリア全国民を他の国の奴隷にさせる気?」
「いや・・・それは、ない。それに戻れる可能性を探すには俺一人じゃ無理だしな」

奴隷にされると言った瞬間、私たちがいる酒場にいた人達の視線がこちらを――具体的には、ユージを向いた。
無論仮にこの国が滅んだとしても国民全て奴隷になるなどあり得ないことだが、確実に何割かの平民層は
“そう”なるだろう。彼には覚悟を決めて貰わなければ、困るのだ。
私達の国を護るため。

生ある限り、その身を杖とする覚悟を。



職業:杖 ~第二話:水の王国ウォターリア~



この世界にきてから何度喋ったか分からない、この世界に来た経緯を晩飯ついでに目の前の女の子に説明し、
酒場を出た。夜の空に浮かぶ、もう見慣れ始めている土星の様なわっかを持った月が夜空の黒を薄めているのが目に入る。

俺こと檻川雄二がこの世界にきて、この世界の時間で、三日が過ぎた。
人間の慣れとは怖ろしいもので、俺はこの青い髪や青い瞳、そして文字通り一皮むけば青い宝石が
きらりと光るこの身体とのつきあい方も覚え始めてきていた。

「おうユージ、遅かったな。セリー様はどうなされた?」
「あの子ならまだ食べたり無いそうで、もう少し食べてから帰ってくるそうだよ」
「はははっ、そうか、なにせ三日ぶりの食事だものなぁ」

門番に簡単な報告をすませて、城で俺用にあてがわれた部屋へと入り、ベッドに転がる。
天上の染みはどこにでもあるもんだと、染みを数えながらふと思う。
あの門番ともずいぶんと気さくに話せるようになったもんだ。
なにせ最初の出逢いは剣を喉に突きつけられた物だったのだから、この進歩は偉大だろう。
あれは俺がこの世界へ飛ばされた最初の日――







「貴様、一体何者だ。答えろ」
目の前で倒れ込む少女に手を伸ばそうとした瞬間、俺の周りには氷やら水がうようよ浮いていた。
どれもこれもが神経質なまでに尖っていて、おそらく触れた物はバターよりも滑らかにスライスされるだろうことが容易に想像できた。
これは、逆らわない方が得策だろう。命の損得勘定は大事だ。先程までパニックにあっていた頭がいやでも冷静になる。

「え、えっと俺の名前は、雄二。檻川、雄二です」
「ユー・・・ジ?オリカワが名前か?だがこの国にユージなどという姓の者はおらん」
「い、いえ。オリカワが姓で、ユージは、名前です」
「ふん、オリカワという姓もおらんわ・・・しっぽをだしおったな。貴様、青い髪と青い目・・・我ら水の国の一族になりすました
つもりだろうが、そうはいかんわい。ふん、大方火の国からの密偵だろう。あの火の国の先兵が我らの水の『神石』を異世界へ飛ばした
のだからな。その髪と目も『神石』の色を真似たのだろうが残念だったな。我らの髪も瞳も、あの唯一無二の輝きには及ばんのだよ!」

目の前の爺さんは顔を真っ赤にしながら一息に自分が言いたいことを言い切ったのだろう、一人で納得して、
俺の首の回りに突きつけられていた氷やら水の刃――どうやらこの爺さんが出していたらしい――を、斬りつけた。
哀れ主人公。第二話目中盤で死亡。


とはならず。


その水と氷の刃は、まるで俺の首に吸い込まれるように、消えて無くなってしまった。
「なにっ!?」
爺さんが大声で叫んだかと思うと、急に周りの連中がざわざわと騒ぎ出した。

『・・・あれは・・水の元素を吸収して・・・』
『・・・杖持ちの巫女でもあんな芸当は・・・』
『・・・あの色・・・あれはもしや本当に・・』
『・・・・元素として・・・水が・・・・・・』

「あ、あのお・・・」
雰囲気に耐えきれず、討論だか議論だか知らないが、話し合いをしている連中に声をかける。
いくらなんでも事の当人をほっぽりださないでほしい。何がなんだか本当にわからないじゃないか。

『・・・・』
『・・・・』
『・・・・』

そして、そんな俺を彼らは見つめたかと思うと、突然討論をしていた若い女性の一人が突然駆けだした。
一体なんだろうと思ってしばらくその女性が駆けだしていった方を見ていた。しばらくするとその女性は帰ってきた。

後ろに槍やら剣やらを持った鎧の方々をたくさん引き連れるというおまけつきで。

「・・・・・え?」
「確保ぉおおおおおおおお!!!!」
「嘘ぉおおおおおおおおおお!!?」

その女性の裂帛の声と共に押し寄せる鎧軍団に、あっという間に俺は押し切られ、話が落ち着くまでと
石で出来た部屋というのもおこがましい洞窟もどきに押し込められたのだった。

そしてその時に剣を俺の首に押し当てていたのが彼、門番レイドルフ・ティルストーンであったのだ。

その後、結局まずは俺の話を聞いてみてからだと結論付けた彼らは俺を議会とやらに呼び出したのだが、
当人の話を最初に聞くなんて常識、討論して決めることなのかと俺の怒髪は天をついていた。

時計は無かったが体感8時間も石の上にほっぽり出される気持ちが貴様らに分かるのかと。分からないなら
無理矢理にでもやらせるぞ、と喉のてっぺんまで出かかったが、ここで彼らの気分を損ねると俺は俺が必要な情報を手に入れられないかもしれない。
それは困る。いきなり青くなった身体の事とか、魔法見たいのを平然と使ってたこの世界の事とか、


俺は、帰れるのかどうか、とか。


ともかく下手にでて聞きまくった、そして回りくどく話すのが趣味なのかと思う彼らの口調を読み解いて分かったことは、
俺を元の世界へ帰す手段など彼らは知らず、また帰す訳にもいかないと言うことだった。







グローディア。それがこの世界の名前であり、大陸の名前らしい。
なんでもこの国には5つだか6つの国があり、それぞれの国を創った神様がいたそうだ。
ちなみに大陸はその5人だか6人だかの神様が共同で創ったとか。つくづく俺の世界とは考え方が違うが、魔法という物が存在している以上、
その神様とやらも一笑には伏せない。
だが今はその神様とやらはいない。厳密に言えば、分けられたそうだが、その辺りはあまりよく聞いていなかった。

まあ要するに、神様は神様同士、力を石に変えられ、その身を只の人間に堕としあってしまったそうだ。その辺りもいろいろないざこざがあったらしいが
俺には関係ないので省略。

そして、その人間になってしまった神様の子孫が今各国を治める王様であり、俺が飲み込んでしまった石こそ、まさにそれ。この水の国の神様の力が込められた石だったらしい。
なんでそんな大事な物が俺のいた世界に転がっていたのかといえば、やはりというかなんというか、俺からすれば夢や希望溢れるファンタジー。魔法があるような世界にも、
戦争やら権力争いはあるらしく、対立していた国の密偵が、年に一度の祭典の為薄くなっていた警備をすり抜け、この国の石を命と引き替えに異世界に捨てたそうで。

神様の力が込められた石が無くては、その国土は文字通り崩壊する。他の国の石の力に浸食され、己の国の特性を維持できなくなるからだそうだ。
そうなってはこの国の国民はどうなるのか、考えるまでも無いことだ。

だからこそ各国は力の象徴であり、文字通り国の最後の砦となる石を厳重に扱っている。だが石を壊せば無論速いが、それは一種の正攻法だ。なにも石を壊さなくても戦争はできる。

各国の国境で常に続いているという小競り合い。それを率いるのが神の石を担う各国の神官や、巫女、騎士である。呼び名は違うが要するに、それぞれの国で
最もその石に込められた神様の力を引き出せる人間が担い手となるのだそうだ。

それの選考基準も聞いたが、忘れた。まあ俺には関係の無いことだからだ。

神の力が込められた石を加工する事はできなくても、埋めることや飾ることはできる。この水の国では杖に石を埋め、巫女と呼ばれる者がそれを扱い、前線に
立っているそうだ。最もここ最近は祭典と、新たな巫女への引き継ぎの為に前線に巫女は立っていなかったそうだが。

まあそんなこんなで前述の通り国家の生命線である大事な大事な石を異界へ捨てられた水の国はさあ大変。国にいる神官と巫女全ての力を集約し、
石をこの世界へ引き戻したのである。

・・・俺が飲み込んでしまった石を、だ。水の国に存在するありとあらゆる文献や資料、魔法を試し尽くされた三日間の結果は、俺の身体から石を剥がすことは不可能という事だった。
そして、石を引き戻す魔法や、異界への扉を開く魔法はあれど、その開く異界を選べるような魔法も存在しなかったいという訳だ。

これらの説明を受けた俺と議会の討論の結果、議会と俺の契約は結ばれた。
俺からの大まかな条件は、俺が元の世界へ帰れる方法を探すこと。そして、俺の身体から石を剥がす方法を探すこと。
そして、議会から俺へ出された条件は



俺に、石を剥がす方法が見つかるまで、魔法の杖として生きてもらうということだった。



[3208] 職業:杖
Name: すいか◆3aeb085d ID:aea6d682
Date: 2008/07/01 17:53

汗は、出ない。
俺の身体はそういう物になった。

「っはぁ・・・セリー・・・」
「んっ・・・なに・・・っよ」

口からでる白い吐息が空気を裂く。
まだ疲労というモノを感じられる、というこの状況が嬉しいのやら辛いのやら。

「これ・・・すごく・・」
「・・・っ、すごく?」

眼下には頬を赤くした水色の少女。
そして――



「遠くね?」
「だから言ったでしょうがぁあああああああああ!!」
――米粒よりも小さくなった人の群れ。
俺とセリーの修行は始まったばかりだというのに、速くも俺は挫折しそうだった。
足が・・・痛い。



職業:杖~第三話:宝石の身体~


ここで少し時間を遡り、俺がこんな山登りをするはめになった粗筋を語ろう。
杖となることを承諾した俺だったが、その翌日から俺に課せられたのは、修行という名の拷問だった。
なんでも俺の身体は段々とだが、水の石と同化し始めているらしい・・・とはいえ、いきなり魔法を使えだの水を操れだの言われたって困る。
と、いうか。出来るわけがない。基本は、大気中に満ちる魔力とやらを、身体に生まれながら含まれている精霊・・・俺や、この国の住人の場合は水だそうだが。
それと同調させ、魔力を水の精霊の力へと染めるのだそうだ。イメージとしては濾過器に近い。水の精霊のロゴがついた自分という名のフィルターを通すことで、魔力という水を自分に都合がいいように精製――、作り替えるのだ。
これを聞いた時は『はっはっは!そんな簡単なの楽勝だろ!』と思い、更にファンタジーに多少憧れがあった俺は、魔法を使えると聞いて意気揚々としたものだが――
――これは拷問である。あの時の俺に言ってやりたい。この阿呆と。

まず、魔力は見えない。神官長で俺を殺しかけた爺コレッツア様曰く、「見るのではない、感じるのだ」だそうだ。
具体的には――

「馬鹿もん!それでも貴様は伝説の杖か!?神の力か!?魔力を掴め流れを見極めろ己の身体を通して意志を現せ!!」
「そんなこと言ったって見えないものは見えな・・・ギャアアアアア!?」
「だから感じろと言っておろうが!!」
「無理なもんは無理だって・・・ギャアアアアアア!?」
「見えるまで今日は終わらせないからな!!」
「も、もう真夜中なのに・・・」
「つべこべ言う暇があったら魔力を感じろぉおおおお!!!!」
「アギャアアアアアアアアアアアアアア!?」

こんな感じ。途中に混じってた雑音?ああ、それは善良な杖が糞爺に氷の塊をぶつけられてる音だ。
特に気にしないで欲しい。

その他この国に伝わる伝説やら魔法の使い方、ルール、ありとあらゆる知識を『文字通り』詰め込まれた。学校の勉強よりは面白い等と油断して、魔法を使う修行よりは楽なのかと思ったあの時の俺。言うぞ?・・・・この阿呆。
結果など言うまでもなく、俺は燃え尽きた。ただ一つ言えるとすれば、俺はもう魔法使いには憧れなくなったというだけだ。

俺はなんだかんだ言って水の神様の力に浸食されてるような身だ。だが、そんな身体を持ってしても。
今の俺には水鉄砲並の水流と、つらら並の硬度の氷ぐらいしか作れない。これが他の、巫女や神官と呼ばれる人々のような身体だったとして――
一体、どれほどの努力を重ね、時間を消費し、それこそ毎日が毎日、生活の全てを魔法へとつぎ込んで――この水鉄砲を、為しえたのだろう。

俺は、魔法使いに憧れなくなった。
俺みたいな半端物には、やはり杖ぐらいが丁度良い器なようだ。







「ここ、いい?」
王宮前の酒場。
未だに名前は覚えていないが、味はとても気に入っている其処で午後に待ち受ける魔法訓練に心持ちブルーになっていた俺は、昼食のパンのような物をかじりつつも後ろを振り向いた。
「あれ、お前・・・こんな所にいて大丈夫なのかよ?」
以外や以外。自分に話しかけてくる人物などこの世界ではまだまだ少ないので候補は限られていたが、まさか彼女がここに来ているとは思わなかった。
「あのねぇ・・・誰が此処をあんたに教えたと思ってるのよ?」
それに、祭典の準備の方なら一段落ついたのよ、と俺に返事を聞いておきながらその返事を聞くことなく、どさりと彼女は席についた。
腰まで届きそうな淡い水色の髪のツインテール。見た目12歳程度で実年齢15歳の女の子。そして・・・俺の担い手予定の御巫女サマ、セリー・タリレインが其処にいた。

「いやーほんと疲れるわ・・・大体なんで授杖式のリハーサルなんて何度もやらなくちゃいけないのか、もうね。さっぱりだわ」
「本番でミスしたら格好悪い。じゃ、済まないような重要な式なんだろ?仕方ないって」
「そんなの分かってるわよ。でもね、頭で分かっていても不満は出てくるのよ」
「その不満を俺にぶつけられても困るんだがな・・・」
「あら、貴方の主人は私なんだけどね?ユージ」
「まだ俺はフリーの杖だ。セリー」

目の前でばくばくとサンドウィッチの様な物・・・この世界でこれはなんて言うのだっけか。まあそれを食べているセリーは、相当不満が貯まっているようで、ぶつぶつと文句を言いながら食事をとるという器用な状態を実に15分以上も継続させている。
ある意味これは才能だろう。魔法といい、才能に満ちあふれたちびっこだ。

今日から三日後に行われる祭典でオーナーとなるセリーは、多分今この国で最も忙しいのだろう。
俺がこの世界にくる原因ともなった、火の国の密偵の起こした事件により延期されていた祭典が、杖も一応戻ってきたことだし。と、準備再開になったのだ。
祭典で行われる主なイベントは、先程セリーが言った、授杖式という物だ。

――この国では、15歳以上で最も身体に水の精霊を含む人物を水の杖のオーナーとし、杖のオーナーが入れ替わる時だけに『新たに水の神に祝福された者が現れた』と、祭典を開き、その誕生を祝い、杖のオーナーを交代するのだそうだ。最も、一応は最も水の精霊を含む人などと言われているが、この水の杖のオーナーは歴代で巫女――女性しか、なったことは無い。無論水の精霊の数が巫女よりも多い男性――神官や騎士がいたのならその神官やら騎士はオーナーになれるだろうが、水の国に限ってはそれはあり得ない。水の精霊が持つ属性の一つ、『母性』による影響が高いのでは、と考えられているが実際の所は未だ分からない。まあ詰まるところ、要するに水の杖のオーナーは歴代巫女に固定されているのだ。こんな風にこの国の知識を引き出せるのはひとえにあの地獄の授業の成果だ。最も、あまり嬉しくないが――

「ちょっとユージ、聞いてるの?」
「・・・ん、ああ悪い、ちょっとボーッとしてた」
「全くしっかりしてよね・・・いい?もう一度しか言わないわよ?」
「? ああ」

てっきり愚痴を聞いてなかった事を責められると思ったのだが、どうやらなにか用事か伝言でもあったのだろう、悪いことをしたな。
セリーがこれみよがしについてくる溜息も今なら我慢できる。・・・多分。あ、鼻で笑いやがった。

「だから、あんたの午後の魔法修行はちゅーし。神官長様からの伝言ね、西の端にルクセンドルプ様っていう方が住んでおられるんだけど、そこにあんたを」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

酒場に雄叫びが上がる。公共の場で雄叫びをあげる不審人物が現れた。なんと俺だった。

「なにいきなり立ち上がって叫んでんのよこの馬鹿杖!」
「的確な状況説明をありがとぅっ!?」
思いっきり頭を木の皿で叩かれた俺だが、叫び声をあげても仕方ないと思う。だって・・・だって!あの訓練が中止なのだ!あの無限に降り続ける雹で凍らされたり凍らされたり凍らせたりする罰ゲームなんてレベルじゃない罰ゲームが付属してくる訓練が!休みになったのだ!今叫ばなくて俺はいつ叫ぶのかというぐらいのハイテンションだ。割れた木の皿を持って店主に謝っているセリーが視界にいようが俺のテンションはとどまることを知らず、もう一度勝利の雄叫びを――


店中から飛んできた木の皿で頭が割れるかと思った。







「なんだよ・・・自由にしてていいって訳じゃないのかよ・・・」
「当たり前でしょうが」
溜息をつくセリーが隣でぎゃーぎゃーと煩い。さっきは救いの女神に見えた気がしたが、やっぱりコイツはコイツだった。
初めて会った日からいきなりタメ口。曰く、私はあんたのご主人様だそうだ。こっちの修行や休憩の合間をわざわざ縫って会いに来ては、毎回の様にその事を確認して、何故かいきなり怒り出して帰って行く俺の担い手予定の女の子。
この世界での変人ランキングベスト5に入る猛者として俺の中にランクインしているのは、言わずもがな、だ。

「・・・見てくれは可愛いんだけどなぁ」
「なんか言った?」
「いーえ別に」

途端に不機嫌になったセリーがあからさまに頬を膨らませてくる。本当にこの子の思考回路は俺にはあまり理解ができない。まあ杖が天才を理解できる訳もないのだろうが。

「・・・いつまでほっぺた膨らませてるんだよ」
「べ・つ・に?」

セリーは青筋を思いっきり浮かべると、自分の靴に水を纏わせた・・・えーっとこの魔法は確か・・・

「・・・ラディカルグッドスピー「スライダー、よ」

この魔法を初めて見たときからあんたそんなこと言ってるけど、水の国の先祖が考えて名をつけた魔法の名前を勝手に変えないで頂戴。と、青筋3割増しで怒られた。声と同時に飛んできた氷が痛い。
まあ、真面目に説明すればセリーが展開した魔法は自分の靴に水を纏わせ、地面との抵抗を減らし、地面をスケートの様に滑り抜ける魔法だ。唯一スケートと違う点は、流動する水を纏う靴に与えられるスピードは、文字通り「目にも止まらないスピードである」というという点だろう。
ん?ちょっと待てよ?

「なあ、セリー」
「なによ」
「俺たちは今、わざわざ街のすみっこに住んでいやがられる神官様の所に向かってるんだよな?」
「そうよ」
「じゃあ何でお前・・・」

個人専用な移動手段を確保していやがりますか?
あんたを置き去りにして、アイツは遅刻ですって言う為よ♪

「ちょっおまえ――!?」
俺の声が大気に響き渡るその前に、俺の身体は巨大な破裂音と共に水に包まれた。
「うぇ・・・口に水が・・・てか服・・・」
そして、地面から舞い上がった大量の水が落ちる頃にはもう既にセリーの姿はなく、遙か彼方水飛沫の向こうへと消え去っていたりする。
「不味いな・・・これから会う人・・・絶対遅刻とか厳しいよな・・・」
神官なんてやってるぐらいだし。まあ、中には優しい方もいるんだろうが俺の中での神官のイメージはコレッツアで固定されている。
それになにより、さっきからセリーに聞いた名前が頭の中で嫌にひっかかる。なんだっけか・・・うげ。
「・・・・うあー・・・思い出した」
そうだ、あれは確かレイドルフと酒場で飲むことになって、あいつが潰れて吐くその少し前だ――

『・・・あー。そういやユージ、お前ってばルクセンドルプ様に会ったことあったっけか?』
『やー、ないけど。てか、なに。今はあんたの奥様の自慢話だったじゃん、いきなりなんでそんな聞いたことも無いような人の話に飛ぶんだよ』
『そんなもんは酔ってるからに決まってるだろう。いいから聞け、ルクセンドルプには気をつけろよー』
『ん、コレッツァの爺より嫌な奴なのか?』
『コレッツアの師匠だ』
『うげ・・・』
『あれは忘れもしないぜ、俺の人生はアイツに会わなかったら門番どころか騎士にすらなれたかも――』

――などと、愚痴に紛れて言っていたコレッツアの師匠と同姓かどうかは知らないが同名だ。
セリーからその名を告げられた時からなにかもやもやとした言いようの無い嫌な予感はしていたが、このタイミングでこの話を思い出したのは幸か不幸か。
できれば幸で会って欲しい。

「絶対に不幸なんだろうけどなぁ・・・」

とりあえず俺は、セリーの吹き散らした水飛沫の跡を辿りながら、全力疾走を開始した。
人間離れしたスピードはでないし、息切れもする。ていうか疲れることが、まだ俺が杖になってない証拠みたいに思えて。
俺は嬉しいのか悲しいのか分からないまま、遅れそうになっている時間に間に合うように走り続けた。





「遅い」
「遅いわね」
「遅すぎるな」

「「お前の事(だ)よ!!」」
「へばらっ!?」

右から水流。左から氷塊。どうやらどさくさに紛れて遅い奴を責める側にまわってしまおうという発想は失敗してしまったようだ。
まあ遅れてきた俺が責める側にまわったら、責められる立場の奴が誰もいないのだから当たり前か。でもそれもいいじゃないか。ラブ&ピースって大事だって、絶対。

「と・・・とりあえず、俺はユージ。ユージ・オリカワだ。よろしくたのむ・・・ええっと」

俺が挨拶をし、手を差し出したのはこの家に入った瞬間にセリーと共に俺に氷塊をぶつけてきた女性だ。見た目20代って所だから、ルクセンドルプに仕える方か、娘さんとかその辺りだろう。
いきなり氷をぶつけてくる辺り、ルクセンドルプがかなりファンキーな教育をしているんだろう。そんな感じに考えながら差し出した手を冷ややかな視線で見られた・・・見透かされた?

「随分となれなれしいが、まあいいだろう。私はルクセンドルプ。ルクセンドルプ・アル・クラインだ。ユージ君」
「・・・・っへ?」

差し出したまま固まっていた手を強く握り返されて、ようやく思考が会話に追い付いた、けど。え?

「あんたが・・・いや、貴方が、ルクセンドルプ・・・・?」
「? だからそうだと言っているだろう。聞き逃したのならもう一度だけ言ってやる。私の名前はルクセンドルプ。ルクセンドルプ・アル・クラインだ。今度こそ覚えたか?」
「い・・・いや、そうじゃなくて」
「なんだ、言ってみろ」
「ルクセンドルプって人は俺、コレッツアの爺の師匠で、神官だって聞いてたんだが・・・」
「ああ、確かにコレッツアの魔法の指導をしたのはこの私だ」

頭の中にハテナマーク。あれ?俺の知識では神官=男だし、コレッツアの爺の師匠ってことは爺より年上だよな?
そんな風に脳味噌をぐるぐる回していた俺の顔をみて、君は考えている事が顔にでやすいようだが、それは美点でもあるが・・・後は言わなくても分かるな?と、ルクセンドルプさんは軽く笑みを浮かべた。
ルクセンドルプさんはそのまま握っていた手を離すと、大袈裟に口に手を添えて、こう続けた。

「そうだな、君の疑問の全てを一言で晴らそう・・・私はね、」






「不老不死、なんだよ」






微笑んだ彼女の笑みはとても美しかったが、美しすぎることが、逆に怖ろしかった。


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