文章練習の為の習作です。
矛盾点もあるかと思いますがご勘弁を。その点も勉強していきます。
下地は作ったものの後が続くかはわかりません。
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遠い未来、高度に遺伝子工学が発達した結果。人間は高い能力を手に入れることなった。
瞬時に、そして、非常に安価に遺伝子を分析する事が可能となり、政府主導の元、全ての国民に対して、遺伝子の解析が義務付けられるようになった。
それは国民としても都合の悪いものでは無かった。
解析した情報から個々の人間に合わせた適切な治療・トレーニングが誰にでも行えるようになり、病気は減り、体の性能を存分に発揮出るようになるからだ。
更に、国民全ての遺伝子情報を保存するにより、犯罪者は逃亡する事が非常に困難になり、治安は上がっていた。
人間が活動する以上、頭髪等の痕跡は必ず残る。
各国の警察機関は金属探知機ならぬ、「遺伝子探知機」を用いて確実に犯罪者の逃走ルートを暴く事が可能になっていた。
一種の検閲社会では在ったものの、国民は喜んでそれを受け入れている。
だが、そんな社会であっても。 裏社会は無くなるものではない。あらゆる抜け道を探しだし暗躍するのが彼らだ。この物語は、そんな裏社会の話である。
公認風俗街の端の端、安価な大衆店の一室に、バッグを持った男が入ってきた。
「あら、何年振りかしら?」
「大体2年ぶりだな。体は健康かい?」
端から聞く限りは、久々の客との会話である。なんの不審点も無い。
だが、風俗嬢はそうは受け取らなかった。
姿勢を正し真面目な表情で問いかけた。
「体のことを聞くってことは・・仕事かしら?」
その言葉に男はニヤリと笑い。
「ああ、また”産んで”欲しいんだ。」
そう言った。
そう、これがあらゆる抜け道の中の一つである。
比較的監視の目が緩い所で秘密裏に出産する事により、政府による遺伝子分析を逃れる。
仕事が行えるまで時間こそかかるが、足の付かない人間の作り方だ。
だが、遺伝子工学の技術の深い所は、政府によって重要な機密とされている。
その為、最適なトレーニングを受けることが出来ない為、身体能力は一般人にも劣ってしまう。
しかし、その欠点を補う手段があった。
「双子」である。 裏社会の人間にでも使える技術に受精卵のクローニングというものがある。
国に登録されている人間の受精卵クローンを用い出産させるのだ。
クローニング元の人間は国に登録されているため、適切なトレーニング等のデータが存在している。
それは、容易に取得する事が可能なため、知ってさえいればトレーニングができる。
そして、「双子」の存在は本人でさえも知らないため、遺伝子による痕跡を探してもそれはクローニング元にたどり着くことになる。しかし、当人には国が保障しているアリバイがある為疑いをかける事もできない。追跡の目はそこで止まってしまうのだ。
「報酬はそうだね・・・以前より体の負担は掛かるだろうから割増はするよ」
「受けたわ」
男は「双子」の出産を依頼しに来たのであった。
交渉も終わったことにより気が緩んだのか男は世間話を始めた。
「そういえば、知っているかい?「表」に登録されている男が裏社会入りしてきたそうだ」
「へえ、そうなの・・・。 足、つかないのかい?」
「それがね、ある事故で遺伝子が変異した。って噂だ」
「事故?」
「そうさ。詳しくは聞いたことがないがね」
「ふーん」
「興味無さそうだね。この話は失敗だったかな?」
「無いわけじゃないけど、驚く以上に反応しようが無いわ」
「それもそうだ。」
風俗嬢は息を吐くと姿勢を崩し
「で、どうするの? お金は払ってきてるんでしょ? 私はしばらく休業になるわけだし。」
「決まっているだろう?」
そういい、男は風俗嬢を押し倒した。
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遺伝子関係ネタにするとどうしても種が思い浮かびますね。
この話だと全員コーディネーターってことにはなりますけど。