エルディアに命令した直後にそれは起こった。全身に漲り始める異質な力。それは俺の全身を満たし、うちへと向かって際限なく高まってゆく。
一体なにが起きているのかと両手を見つめる中、彼女もそれに気付いたのか身体をびくりと震わせ恐る恐るといった風情で肩越しにこちらを振り返った。
「―――あ、あ、あ、そ、そんな………………」
恐怖に顔を青ざめさせ、歯をガチガチと云わせて怯えるエルディア。余りの恐怖に腰を振るのを忘れているらしい彼女の尻に平手を放ち、乾いた音が室内に響いた。
「ひぃっ!」
「おい、止まってるぞ」
睨み付け、静かにドスを聞かせた声に慌てて腰を降り始める。その様子を見下ろしつつ俺はこの湧き上がる力の正体を知るために、物置に置かれた魔道書『蛇の林檎』に意識を集中する。たったそれだけで脳裏に流れてくる知識。その知識の内容を読み解くうちに俺は自然と笑みを浮かべていた。
俺のうちに漲るこの力。これを一言で言ってしまうならば、これが魔力という物らしい。今まで魔力を持っていなかった俺が突然それを得た理由はある意味当然とでも言うべきか、エルディアを犯したことが原因らしい。こいつの純潔を奪い、その所有権を得たことにより魔術的なつながりが出来上がり。それを通して術を破られたことでその殆どを失ったなけなしの魔力が俺へと流れこんだのだ。つまるところあれだ、日本で言う房中術という奴なのだろう。これで俺が魔力を持ちえた理由はわかった。しかしそれだけでエルディアが怯える理由となるかと思うと首を傾げる。先に魔道書から得た知識によると、この世界の人間が大なり小なり魔力を持っているはずなのだ。その疑問の答えを得るために再度意識を集中し、帰ってきた答えに、思わず声を出して笑い出してしまった。
なんともこっけいな話である。俺がこいつを犯すのに使用し苦しめるペニスも、こいつに復讐する境遇に俺が立つことになったのも、俺に隷属を強いられることになったのも、こいつが俺に怯えるのも、すべてはこいつの自業自得なのだ。突然笑い出した俺にその身を竦ませ動きの鈍ったエルディアの尻を再度叩いて動かさせ、俺はこの沸きあがる魔力をどう使うべきかと考えに没頭し始めた。
際限なく高まり続ける魔力。これがエルディアを怯えさせる原因だった。この世界の人間は保有できる魔力にそれぞれ上限があり、それは生まれついての時点でほぼ決まってしまうことは先に説明したとおりだ。しかしこの世界の生まれではない俺にその条件は当てはまらない。この世界のものとは違うことわりの中に生まれた俺は魔力を持たないがゆえに、“上限すらも持たない”のだ。そんな俺が魔力を持ったとき上限を持たない俺はどうなるのか、答えは際限なく魔力を取り込むことが出来るという事実。魔力を持つ生き物は消費した魔力を大気中から体内に取り込むことで回復する。それゆえに俺も大気中の魔力を内へと自然に取り込み始めたのだ。しかもこの塔は元より大気中の魔力を集積する施設だ。この塔の主であるエルディアの上へと俺が立ったことにより、塔は魔力の供給を俺へと変更し、これにより俺はものすごい勢いで体内へと魔力を取り込み始めたのだ。元より優秀な魔法使いだったエルディアにも俺の中で膨れ上がる魔力を感知するのは容易いことだっただろう。いやこの場合は容易く探知できてしまったという言うべきか。魔力がどう言う物なのか俺以上に詳しいこの女にはさぞかし俺が前代未聞の化け物のように感じられたことだろう。
怯えながらもがむしゃらに腰を振りたくるエルディアを見下ろしながら、俺は湧き上がる嗜虐心に唇を舐めた。とりあえず今こいつをどのようにしてやるかだ。実験の副作用により果てることの無い性欲を持っている身であり、こいつは自分で施した術の影響で俺の言うことに逆らうことが出来ない身、いかようにもできる。
この三年間こいつから受けた仕打ちを思えばただ一度で終わらせるなど生易しすぎる。じわりじわりと時間をかけて骨の髄までしゃぶってやるべきだ。そのためにはどうするべきか、今まで魔術を使ったことの無い俺がこの溢れんばかりの魔力でもって出来ることの中から今必要なことを魔道書から引き出してゆく。
時折動きの鈍るエルディアの尻を叩いて動かさせながら、俺は魔道書の知識を頼りに掌に魔力を集めてゆく。次第に掌が淡く青白い光に包まれてゆき、それを感じ取ったエルディアが息を飲む。焦ったように尻を振りたくる彼女のアナルに人差し指を添えると、こちらに向けて尻を振る瞬間に合わせて指を突き立てる。
「あぎぃっ!」
その瞬間エルディアから短い悲鳴が上がり、それと同時に膣が急速に収縮し俺のペニスを締め付ける。アナルから指を引き抜き、動きの止まったエルディアの尻を左手で強く引っぱたいた。
「おい、誰が止まれって言った?さっさと動け」
「ひぃっ、ごめんなさい、ごめんなさいっ…………!」
怯えの色を濃く示しながらエルディアが動きを再開させ、俺は再びアナルに指を突き刺した。悲鳴と共に動きの止まる尻を引っぱたいて三度動き出し、それに対してまたもアナルに指を突き刺してやる。さすがに三度目となれば一瞬動きは鈍るものの動きを止めるには至らなかった。俺は指でアナルを抉ってやりながら、指を突き刺すたびに締りのよくなる膣に想像通りの効果が発揮されていることを確信して笑みを浮かべた。
「おい、お前普段からアナルでオナニーでもしてたのか?アナルに指突き刺すたびにマンコの締め付けが強くなるじゃねぇか」
「ち、違う!私はそん「誰が口答えして良いって言った!?」がぁっ!」
口答えをしたエルディアの尻に右手を振るい、悲鳴を上げて身体を引きつらせる。
動きを止めるエルディアに右手を振るい、そのたびに右手を包む魔力が飛び散り、それが紫電となってエルディアを襲う。この右手を覆う魔力は何かに触れた瞬間電流へと変換されるように術を組んである。ゆえにアナルに突き刺したときにもその電流がエルディアの下半身を襲い、筋肉が萎縮して膣を締め付けたというのがその真相。俺の指摘は完全な言いがかりでしかないが、俺はそれに反論はさせない。今までの俺がそうであったように、今のこいつは俺が黒といえば白でも黒なのだ。だから俺はエルディアが俺の言葉を肯定するまで右手を振るう。背中で両腕を拘束されたエルディアの肢体が尻を叩くたびに仰け反り悲鳴を上げる。
「―――あぎぃ、す、すみま………、ひぃっ!―――すみません!わた、私ひがぁっ!私はっ!いつも、ひ、ひと、ぎぃっ………、一人で、あな、アナルっぅっ、アナルで、お、オナニーをしてました、あぎゃっ!」
「そうだよなぁ、お前はアナルでオナニーする変態の雌豚だ」
「はい、はいっ!私は、雌豚ですぅっ!」
これ以上暴力を振るわれることを恐れたのだろう。俺の言葉に一生懸命頷くエルディアを鼻で笑い、俺は右手の魔力を別のものへと変換させてゆく。大気中の水分が右手に集まってゆき、それが魔力と触れ合った瞬間に一瞬で凝結し、俺のものと同サイズの氷でできたディルドと化す。
「そうか、そんな雌豚にプレゼントだ。なに、こいつも今までの礼の一環だ、遠慮なく受け取りな!」
「えっ?―――――――――ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
俺の言葉に呆然と振り返ろうとした彼女のアナルに氷の塊を突き刺した。エルディアの悲鳴が上がり、俺はその悲鳴を心地よく感じながら氷のディルドをねじ込んでゆく。息も絶え絶えに動かなくなったエルディアの尻を掴み、俺は自分から腰を叩きつけてゆく。腰が彼女の尻に叩きつけられるたびに腹部にぶつかる氷のディルドがアナルの中へと叩き込まれ、エルディアはそのたびに短い悲鳴を上げ続ける。そしてどれだけ腰を振り続けたか、本日2度目の射精を膣内へと注ぎ込み、俺はそこでペニスを引き抜いた。
破瓜の血と二度の射精によるザーメンに汚れたペニスは当然のごとく萎える兆しを見せず、ペニスを抜いたことでもう終わりと勘違いしたのか、どこか安堵の表情を見せるエルディアを見下ろし、俺は残酷な笑みを浮かべてやる。それと同時に魔力が右手に集まり、もう一本の氷のディルドを精製する。それを見て一度は安堵の表情を浮かべていた彼女の表情が一転して絶望へと染まってゆく。
「終わりだと思ったか?そんなはずがあるわけないだろう?時間はたっぷりとあるんだ。ゆっくり、ゆっくりと、いたぶってやるよ」
「いゃ、お願い、許して……………、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
懇願するエルディアの淫裂にディルドを突き刺し、いきり立つペニスで一息に口を、喉まで犯し、髪を掴んでイマラチオを開始する。
そう時間はまだまだあるんだ。この程度で俺の復讐が終わるわけが無いだろう?
どれぐらいの時間がたったのだろうか?俺は肉体的にも、精神的にも虫の息となったエルディアを床に放り捨て、壁の一面を覆いつくす魔力の窓を見た。塔の内部に設けられたこの部屋から塔の外を見ることは普通ならば出来ないが、この部屋にあるその壁だけは魔術的な仕掛けが施されており、塔の外を映し出すスクリーンのようになっている。
魔力の窓から見える外の景色。山の向うに見える朝日はこれで何度目だろうか?
主従の呪いを解いたあの日から既に数日が経過し、俺はその間休むことなくエルディアを犯し続けていた。永遠には無理だが1週間程度ならばこのありあふれた魔力を使えば眠気も空腹も無視することが出来る。エルディアの体力も幾度か回復させながら犯し続けた俺のペニスはやはり萎える兆しを見せず、未だにそそり立ったままだ。
犯している間はこれに関して便利だと思ったりもしたが、やはり四六時中こうなっているのはつらいものがある。エルディアに責任を持って処理させようとも思ったが、それで壊してしまってはつまらない。俺の復讐はこいつが生きている限り永遠に続ける心算なのだ。
水を飲もうと水差しに手を伸ばし、それを持ち上げた直後に右手が痙攣し、水差しが床に落ちる。エルディアに潰され、また治した右手は箸やペンを持つのが精一杯の握力しか無い。それすらも時折起こる痙攣により持っているものを幾度も無く落としてしまう。当然『蛇の林檎』でもってこの回復方法は無いか調べたが、出てきた答えに俺は悔しさを噛み締めることしか出来なかった。
片や既に絶滅した植物が必要かと思えば、他の方法は百年に一度だけ実をつけるという世界樹の実の滴が必要で、次の周期は五十年ほど先の話。
そういった不可能に近い代物が必要なもの以外にも方法はあるにはあった。それは教会の信徒の扱う奇跡と呼ばれるもの。しかしその奇跡は一部の上級司祭にしか行うことの出来ない奇跡。それを受けるには莫大な寄付が必要であり、また国の要人など一部の人間でもそうそう受けることは叶わないらしい。俺の膨大な魔力ならばあるいはと思い再度調べたが、そもそも奇跡と魔法では使用される力が別物であるらしい。魔法に使用されるのが魔力ならば、奇跡に用いられるのは信仰心。術者に高い信仰心を求められるのは当たり前で、その奇跡を受ける側の信仰心によってもその効果は大きく変動するという。もとの世界においても宗教などに興味の欠片も持たなかった俺にこの世界の神に対する信仰心などあるはずも無く、こんな俺がその奇跡を受けたところでその結果たるやたかが知れている。
つまるところ、この世界において俺の右手を治すことは不可能ということだ。
俺はどこを見ているともわからぬ目をして足元に倒れるエルディアを見下ろすと、舌打ちと共にその顔を蹴り飛ばした。
「いつまで寝てるつもりだ?さっさと起きろ」
もう返事をする気力も残っていないエルディアは、のろのろとした動作で身体を引きずり、ベッドに身体を預けながら立ち上がり。俺を見るなり怯えた表情で顔を伏せた。
「さっさと飯の用意をしろ。それともいまどきの奴隷は主人に何もかもの仕事をさせるものなのか?え?」
「あ、あ、す、すみ、ません……………」
消え入るような返事を返し、彼女は部屋を出てゆく。意識を塔に集中すればエルディアがどこにいるのかが用意に把握することが出来た。
しばらくの間部屋の中で立ち尽くしていた俺は、朝日が完全の山の中から姿を現したのを見届けてから部屋を後にする。向かう先は先日まで俺の寝床となっていた物置だ。あいつにあれを読むことは出来ないだろうが、念には念を入れておくに限る。
物置に辿り着いた俺は魔道書『蛇の林檎』を回収し、少し迷った末に約三年間俺に時を教え続けてくれた水時計を持ってもとの部屋へと戻った。
部屋に戻った俺は精液で汚れたシーツをベッドから剥ぎ取り、それを床に広げてたんすやクローゼット開く。中にしまわれている衣類の中から奴が特に気に入っていたものをのぞきすべてシーツにくるみ、陵辱中に練習した魔術を使用して火をつける。この塔の仕掛けのおかげで他の調度品などに日が飛び火する心配も無く、まもなくしてエルディアの衣服は一着を残して灰と化した。
一着を残したのは当然慈悲によるものでもなんでもない。あいつが気に入っていたものならばなおさら、それを利用したときあいつに味合わせる絶望はどれほどのものになるのだろうか?
魔道書の知識からエルディアすらも知らなかった隠し棚を発見し、そこに魔道書を隠すと、倉庫から持ってきた水時計を机の上において一息つく。
しつこいかもしれないがエルディアへの復讐はまだ始まったばかりだ。これからも時間を掛けて奴を苦しめることに変わりは無い。だが、それだけをして生きていけるほど現実は甘くない。
この世界で生きていくために俺はどうするべきなのか。望む知識を与えるあの魔道書があるとはいえ、あれは俺が望まぬ限り知識を与えることは無い。つまり本当に必要な知識でも、それを必要なものだと俺が意識することが出来なければそれを知ることが出来ないとうこと。
「だれか、そういったことをサポートできるやつが必要だな」
当然のこととしてその中からエルディアは除外する。あいつは復讐の対象、あいつにはなんの協力も求めるつもりは無い。
「それと、俺の身の回りの世話をさせる奴も必要か………」
痙攣の続く右腕に唇を噛み、それから目をそらすように机の上に開いた地図を開く。
この塔にはテレポートを行うための施設が存在する。それを使って行くことが出来る街は四つ。そこで奴隷でも買ってみるか?この世界では今でも普通に奴隷の売買が行われている。現代日本で育った(一時海外暮らしだったけれど)身としては少々思うところがあるが、それでも自身の現状を思えば必要な人手を金で得ることが出来るのは助かる話である。
がしかし俺の身の回りの世話とこの世界の一般常識面での知識のサポートをする奴は一人いればそれで十分なはずではある。しかし、今の俺の身体の現状、エルディアを簡単に使い潰すわけにはいかないことを考えると性欲処理のための奴隷も何人か必要になってくる。陵辱のためとはいえ数日間エルディアを犯し続けた感覚からして少なくとも三人、出来ることならば余裕を持って五人くらいは用意しておきたい。そうなってくると問題は金だ。奴隷が一人につきいくらぐらいするのかはわからないが仮にも人間を売り買いするのだ、安いということはあるまい。エルディアの金もあるがそれで奴隷を必要数買えるかもわからないし、たとえ買えたとしてもそれでこれからの生活に必要な資金が切れてしまっては元も子もない。
となるとまず最初にしなくちゃいけないのは金策か。とはいえこれもそう簡単に出来る仕事があるわけでもない。そうなると危険な橋を渡る覚悟も必要だろう。たとえば、盗賊のアジトを襲撃して盗品をそのまま頂くなど。都合のいいことにテレポートできる範囲には大小幾つかの盗賊のアジトがあることがわかった。その中でも一番大きなところを目標に定め、俺はそのための準備をすることにした。この世界はもとより、元の世界でも荒事とは無縁な生活を行っていた俺だが、出来うる限りの対策を魔道書『蛇の林檎』から引き出せば何とかなるだろう。
初投稿、2011,6,19
修正、2011,6,20
修正2、同上
修正3、2011,6,24