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[27745] 【ネタ・習作】魔砲少女ほむほむ☆マギカ(魔法少女まどか☆マギカ×Dies irae)
Name: ぬこ◆d0f30961 ID:ce0c061c
Date: 2011/05/24 01:53

 前書き
 
 タイトル通りこのSSは魔法少女まどか☆マギカとDies irae ~Acta est fabula~ のクロスものです。詳しくいうとDies側の設定のクロスによる、最終回時のほむほむが別のループに介入したらという話になります。
 また両作品のネタばれ及び二次ネタ、独自解釈等が含まれていますので嫌いな方は回避を推奨します。


 
 拙い作品ですが読んでもらい、感想や突っ込みなど頂けたら幸いです。










以降は一発ネタとして投稿したもの




「あれが、彼女の祈りがもたらしたソウルジェムだ。その壮大過ぎる祈りを叶えた対価に、まどかが背負うことになる呪いの量が分かるかい? 」

「一つの宇宙を作り出すに等しい希望が遂げられた。それは即ち、一つの宇宙を終わらせるほどの絶望をもたらすことを意味する」

「当然だよね」

 私は、暁美ほむらは今回もまどかが魔法少女になることを防げなかった。それどころか、まどかの背負うその呪いの量を直接見てしまった私はこれまでのループの中で最悪な結末を招いてしまったと理解したと同時にそのあまりの結末に絶望しそうだった。

 そんな時、まどかと声と共に魔女が祓われて、私は光に包まれた。

 本来ならばこの後にまどかとの僅かな会話を経て、改変された世界に戻り、これまでとは異なる魔法少女として生きるはずだった未来。しかしある人物と出会いにより新たな選択肢が生まれる事となる。







「いやはや、人の身でここに来れるとは。思いもよらぬ出来事さえ起こる。これだから未知は素晴らしい」

 いつ間にかまた別の場所に移動していた上に、目の前のボロボロのマントを身に纏う奇妙な男がいた。奇妙というのは目の前で男と顔を合せているのに、次の瞬間には男の顔を上手く認識できないからだ。例えるなら夢の中で逢ったような……朧げにしか覚えられない、そんな風に感じる男から問いかけられる。

「もう一度やり直したいとは思わないかね? 君は後悔していないかね?」

 後悔なんて、あるわけないとは絶対に言えない。だけど、まどかが望んだ魔法少女(わたしたち)の救済という願い。それを想えば、多分やり直しを望んじゃいけないと思う。

「ああ、いけないな、本当に。君の勘違いを正さねばなるまい。そも、人とは皆もっと身勝手で単純なものなのだよ。君の胸に秘めた渇望とは、原初の願いは何故生まれたのか思い出してみたまえ」

 私の願い――魔法少女になる切欠となった祈り



 『鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい』



 それを望む理由なんてあんな結末を許容できないから。だって彼女はワルプルギスの夜との戦いの後にはいつも――
 そんな考えが即座に浮かび、そこで目の前にいる人物が何を言わんとしているか分かった。ワルプルギスの夜の打倒という事に囚われて為に何時の間にか見失ってしまい、そして今だからこそ気付くことが出来た事。

「つまり、これはそういうこと。故にもう一度問わせてもらおうか。君が本当に、切に望んで止まない願いとは何かね?」

 私が願った望みの本質、そしてあの瞬間に生まれた望み。それはあまりに自分勝手な願いできっとまどかの思いを踏み躙ることだし、まどかが聞いたら多分怒るだろう。だけどやっぱり私は…

「然り然り、ならばこそこれは君に贈るに相応しい。受け取ってくれまいか?」
「第九位、勝利、人馬宮。相性はそれほど悪くはない。これは君がかつて必要と感じた“力”だと思うよ」







私は本当の願いを胸に秘め、あの男に与えられた力と共に再び歩き出す。今度こそ必ず望む結末を手に入れる為に新世界へ。そして物語の歯車が動き出す。

 二度と逢えないと思った私の最高の友達との再会に涙を流し、災厄ばかりもたらすウザい奴には色々と叩き込んでやった。

 この世界の変化に困惑しつつも、結末を変えるべく私は動き続けた。ループにおいて暁美ほむらの行動次第で状況が変化していった経験から違いが出て当たり前だと思っていたのだが――





「まどか…ハァハァ……かわいいよ、まどか……ハァハァ。抱きしめて、ギュっとして、ほむほむしたい」


「数多の銃弾による舞踏(ワルツ)を存分に楽しんで頂けたかしら? 不満でも次のこれは中々のものだと自負しているから、きっと満足して貰えると思うわ。だから、受けなさい――全てを撃滅する究極の砲撃(アルティマ・シュート)」


「フフフ、アハハハハハハハハ。あたしって、ホントばか。私が殺しちゃえば、誰からも絶対に奪われない。永遠に恭介は私のモノ。なんだ、こんなに簡単なことだったんだ」


「フン、勘違いすんなよ。前々からテメエの事が気に入らないからブン殴りたかっただけだっての。別に心配して顔を見にきた訳じゃねーからな。本当だぞ」




 おかしい、わけがわからない。
 
 色々と思う所はあるものの、かつてのループでの彼女達は基本的にまともだった。敢えて言うなら若干恥ずかしい人がいたくらいで、こんなことは初めての体験だ。そんな事よりもなんだアレは。同じ暁美ほむらなのに理解できない。同じ存在でもアレの本当の気持ちと向き合えますか? とか聞かれたら、断固無理だと即答できる。寧ろ「こんなの絶対おかしいよ」と心の底から叫びたい。

 自分の中の何かが崩壊していくのを感じながら、調査を進めることにより一つの仮説『この世界の魔法少女には顕著な変化が起きている』を得ることで、戦う理由が増えた。まどかを魔法少女(変人)にしてはいけない。そんな決意を新たに秘め、私は思う。

――つまり私が来たのは新世界なんかじゃなくて、珍世界だったというわけね





 そんなこんなで来たる審判の日、ワルプルギスの夜。

 私にとって全ての始まりと終わりである運命の日であり、絶望を私達に幾度となく与えてきた忌まわしい敵。どのループでも常にあいつが立ち塞がり、その結果として『まどか』達が犠牲になった。

あの最後のループで当時の私が出しえる最大限の事をしても勝てなかったことを考えると、未だにあいつの実力の底が見えない。だけどあの時とは色々と違う。この力だってあるし、かなりアレだけど仲間だっている。だから――もう何も恐くない。


運命を変えるべく魔女たちの狂騒の夜が幕を開ける。



「私は絶対にまどかを守る。もう二度と失わない」

 最初から分かっていた。こいつをまどか抜きで倒すことがどんなに困難であること、この世界の魔女たちが私の知っているものに比べて強くなっていることも。それでもこれだけの戦力があればきっと勝てると思っていた。

 でもその考えを嘲笑うかのようにあいつは暴れ回り、それにより一人また一人と倒れていく。あいつもまた初めに比べて明らかに弱っていることから私たちがしている事は無駄じゃない、だけど倒すにはまだ足りない。私の最後に残った道しるべ……



「だって私の願いは――」

 要らない、もうあんな結末なんて要らない。例え世界中の人達があの結末を望んだとしても、そんなの、私が許さない。
 要らない、私の願いを邪魔するモノなんて要らない。邪魔をするのであれば、なんだって排除してやろう。

 より強く、より深く、己の渇望の成就を願う。そして、傲慢とも言える狂信の果てにそれは発現する。



「まどかと一緒にいたい。これから先もずっと一緒に歩いていきたい」

 徐々に顕在していく暁美ほむらだけの『世界』。その『世界』はかつての所有者――ザミエルと呼ばれた者が作り出したモノと酷く似ていた。


 自らを焦がす黄金の輝きに永劫焼かれていたい、黄金を追い続けたいという渇望。その渇望を具現化した忠誠と言う歪んだ恋慕の一振りの剣(世界)。神話の時代に世界を焼き尽くした炎の魔剣とも勝利を与える剣とも言われたモノ。そして使い手の身すら焼き、激痛の罰さえ与えるモノ。その銘――




『焦熱世界(ムスペルヘイム)・激痛の剣(レーヴァテイン)』



”素晴らしい。凡夫ではあるものの加護がある故に或いはとは説いたものだが、本当にそれを成すとは。誇りたまえ、暁美ほむら(ブリュンヒルデ)。君は呪いを超越したのだ。ならば新たに書き換えられた脚本に不粋な役者は不要。須らく退場するのがよかろう”



 これまではもう誰も頼らないと思ってたけど、今は違う。皆でワルプルギスの夜を越えることが出来たら、それはとっても嬉しいなって思うのだから。



 魂に刻まれた詠唱(うた)の終わりと同時に、完全に顕在する逃げ場無き焔(ほむら)の世界。



「だからあなたは邪魔よ、消えなさい」








 魔砲少女ほむほむ☆マギカ





 ニート「奇跡も、魔法も、あるのだよ」

 QB「だから、僕と契約して魔法少女になってよ」







 始まりません











 

 あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! ほむほむに幸せをとか中二全開のマミさんとか書こうと思っていたらいつの間にかこんなのになってしまった。
 何を言っているのかわからねーと思うが俺もどうしてこうなったのかわからなかった…。きっと色々あって頭がどうにかなりそうだったからついカッとなってやったんだと思う。今は反省している。でも自重しない




 実際のところはまどマギとdiesの両方の設定の親和性が意外に高いお陰で妄想大爆発しちゃったっていうオチ。このSSの設定はもしほむほむがまどかの代わりにマリィルート後のニートに会うことで、もう一度ループに介入するように誘導されたらっていう話です。

 とりあえず言いたいのは
QBとメルクリウスは死ねばいいと思うよ




[27745] プロローグ
Name: ぬこ◆d0f30961 ID:0c96cb41
Date: 2011/05/24 01:44

「あれが、彼女の祈りがもたらしたソウルジェムだ。その壮大過ぎる祈りを叶えた対価に、まどかが背負うことになる呪いの量が分かるかい? 」

「一つの宇宙を作り出すに等しい希望が遂げられた。それは即ち、一つの宇宙を終わらせるほどの絶望をもたらすことを意味する」

 私は、暁美ほむらは今回もまどかが魔法少女になることを防げなかった。それどころか、まどかの背負うその呪いの量を直接見てしまった私はこれまでのループの中で最悪な結末を招いてしまったと理解したと同時にそのあまりの結末に絶望しそうだった。

「当然だよね」

 そんな時まどかと声が聞こえたかと思うと同時に、まどかの弓による一撃で呪いの集合体は祓われ、私は光に包まれた。







「ここは…」

 私の気が付いた時、いつ間にかまた別の場所にいた。さっきまでは宇宙とも言えるような場所にいたのに、今はオレンジに染まる浜辺だった。

「そうだ、まどかッ」

 辺りを見回してまどかを探してみても、ただ一面に広がる浜辺しか見当たらなかった。まどかもあの呪いの集合体と言えるもの、あの地球らしきモノも何もない。

 途方に暮れそうになった時、私はその声を後方から聞いた。誰も、何もないと確認した直後だというのに。

 きっと忘れることはないだろう。この出会いによりまた全ては始まるのだから



「いやはや、人の身でここに来れるとは。思いもよらぬ出来事さえ起こる。これだから未知は素晴らしい」

 私は声を聞くや否や振り返ると、目の前にはボロボロのマントを身に纏う男がいた。それを視認すると同時に奇妙な違和感を覚える。男性のようにも女性のようにも見え、若者とも老人とも言える人物。それよりも目の前で顔を合せているのに、次の瞬間には上手く認識できないからだ。例えるなら夢の中で逢ったような人物、見たとは思うのにその顔を朧げにさえ覚えられないと言えばいいのだろうか。

 しかし、今はそんなことはどうでもいい。

「まどかはッ、まどかを知りませんかッ? 」

「まずは落ち着きたまえ。君の言う少女が鹿目まどかだとするならば知っているよ」

 慌てて問いただす私に対して、その人物は緩々と諭すように答える。

「と言っても無理なものか。よろしい、答えよう。彼女は人と言う存在を超越した。陳腐な言い回しになるが神になったと言えば解るかな」

 その答えを聞いた私は固まった。解らない、神? 何を言っているの。

「君も聞いただろう。一つの宇宙を作り出すに等しい希望と呪いを背負う、そんな領域に至る者などもはやヒトではない。まぁ、彼らの言に沿えば一種の概念と化したとでも言うべきか」

「つまり、鹿目まどかは君の知りうる全ての世界から消えたのだよ。誰も彼女を認識できない。出来るとすれば己が存在と同格以上の者だけ。」

 理解したくない、否定したい。でも私の心の何処か、魔法少女としてのカンとでもいうべきモノ、それが正しいと冷静かつ残酷なまでに告げている。『呪いの集合体はまどかの魔女化したもの(Kriemhild Gretchen)すら超えている。そんなモノに容易く勝つことは特別な魔法少女でも不可能だ』と。永い間、私が信頼してきたそれを否定することは無理だった。

 最悪の結末だと思っていたが、そんな考えの比じゃなかった。私がまどかを消してしまった、魔女すら超える存在にしてしまったという事実が重く圧し掛かる。体から力が抜けて地面に跪き、声にならない呻きを上げて泣いた。私を支えていた何かが完全に折れてしまったのを感じたながら、暫くの間泣き続けた。

 そして、一瞥していたであろう人物は私がある程度落ち着いた瞬間を狙ったかの様なタイミングで話しかけてくる。

「さて、自己紹介が遅れたね。私の事はメルクリウスとでも呼びたまえ。ああ、君の名など知っているから言わなくてよろしい」

 彼は一方的に名を告げた後、さらに問いかけてくる。

「君に問おう。もう一度やり直したいとは思わないかね? 後悔していないかね?」

「…………無理よ」

後悔なんて、あるわけないとは絶対に言えない。だけどもう無理だ。あの言葉が真実だとしたら、私の力ではもう二度とまどかに逢えない。そもそも心が折れてしまったのだから。

「では、もう一度やり直せるとしたら? まだ鹿目まどかが存在する世界、それがあるとするなら君はどうする? 」

 根拠も何もないその言葉、だけどそんな悪魔の囁きと言えるそれに私は希望を持ってしまう。それでも、まどかが望んだのは魔法少女(わたしたち)の救済という願い。それを想えば、多分やり直しを望んじゃいけないと思う。

「ああ、いけないな、本当に。君の勘違いを正さねばなるまい。そも、人とは皆もっと身勝手で単純なものなのだよ。君の胸に秘めた渇望とは、原初の願いは何故生まれたのか思い出してみたまえ」

 私の願い――魔法少女になる切欠となった祈り


 『鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい』


 それを望む理由なんてあんな結末を許容できないから。だって彼女はワルプルギスの夜との戦いの後にはいつも――そんな考えが即座に浮かび、そこで目の前にいる人物が何を言おうとしているか分かった。ワルプルギスの夜の打倒という事に囚われて為に何時の間にか見失ってしまい、そして今だからこそ気付くことが出来た事。


「つまり、これはそういうこと。故にもう一度問わせてもらおうか。君が本当に、切に望んで止まない願いとは何かね?」

 私が願った望みの本質、そしてあの瞬間に生まれた望み。それはあまりに自分勝手な願いできっとまどかの想いを踏み躙るだろうし、聞いたら多分怒るだろう。だけどやっぱり私は…

「私はまどかと一緒にいたかった。あの日より、いや、もっとずっと。どうでもいい事を話し合ったり、遊びに行ったり、もっともっと一緒に色んな事をしたかったの」

「然り然り。ああ、君の魂の叫び、痛いほど胸に沁み入る。ならばこそこれは君に贈るに相応しい。君の為に調整したのだ、受け取ってくれまいか?」

 感情が高ぶって叫びにも近い私の答え。折れてしまった心にこれまでとは違う、本当の芯が入る。

 それを聞き、満足気にくつくつと笑いながら彼は返す。

「法則を超越し、破壊する為に編み出したモノ。聖遺物、そしてそれを操る複合魔術たる永劫破壊(エイヴィヒカイト)を」

 同時に目の前で空間が歪み、現れ始めた何かに対して私は身構える。これまで無風と言えたのに、圧迫感さえ覚える突風が急に吹きつけてくる。

「第九位(ノイン)、勝利(シゲル)、人馬宮(サジタリウス)。相性はそれほど悪くはない。これは君がかつて必要と感じた“力”だと思うよ。」

 いや、そんなもの生易しいモノじゃない。このままでは体が吹き飛ばされると思うほどに強くなっていく。分かることは途轍もなく大きいモノが目の前でせり出してことで突風が発生していることだけだった。

 完全に現れたその巨大な姿に圧倒される。そして現代の兵器を運用してきた私でなくとも、誰もが馬鹿げていると思うだろう。理解しがたいソレ――運用性を切り捨て、火力を求めた一種の要塞

「80cmドーラ列車砲を素体とした聖遺物。極大火砲・狩猟の魔王」



 



「さて、私に出来るのはここまで。ここから先は君次第だよ」
 
 あの後、私は彼から教えを受けた。色々と理解できない事ばかりだったが、要するに魂で感じて扱えとのことらしい。ますます訳が分からないが、とりあえず経験を積むことが大事らしいという点には同意出来た。

「最後に魔名を贈ろう、“神に反逆する者”(ブリュンヒルデ)。君だけのオペラを作れることを願っているよ。さぁ、女神の新世界へと往きたまえ」

「待って。なんでここまで手を貸してくれるの? あなたが得る物なんて何もないのに」

 ブリュンヒルデ――神話や歌劇で出る人物だったかしら。そもそも神に反逆するなんて物騒なあだ名を付けられたわね。まぁ、これまでやってた事を考えたらそうだと言えなくもないか。それに今もそうしようとしているし。

 そんな物思いをしつつ、彼が別れとも言える言葉に待ったをかけた。私が一番疑問に思っている事をまだ聞いていないから。

 彼がどんな存在からおおよそ見当は付いていた。まどかの行方を知っている、こんな力を与えられる、別の世界に送れる――魔法少女である私が足元にすら及ばない存在。つまりまどかと同じで神と呼べる存在なのだろう。だけど、私を手助けする理由なんてないはずだ。

「なに、私もまた永劫歩き続けたのだよ。君の感じる怒りや嘆き、無力感が手に取るように分かるとも。理由としては不服かな? 」

「教えてくれてありがとう。この力に関しても感謝しているわ」

 彼の答えに一応納得する。というのも他の方法、例えば、まどかが絶対に魔法少女にならない運命すら作れたんじゃないかと。そうすればこんな手の込んだ事をする必要もない。そんな風に思ってしまうが即座に考え直す。元々どうしようもない状況だったのを好転してくれたんだ。その事だけで十分感謝してもし足りない。そう思えば彼は機会と力は与えたのだから、望みは自分で掴みとれと言外しているのだろう。

「では、良き旅を」




 私は本当の願いを胸に秘め、メルクリウスに与えられた力と共に再び歩き出す。今度こそ必ず望む結末を手に入れる為に新世界へ。そして物語の歯車が動き出した。



 



「これで良かったかな、マルグリット」

「うん。ありがとう、カリオストロ」

 私の頼みを終えただろう彼は私に聞いてくる。なんだかいつもに比べて機嫌が良さそうに感じるのは気のせいだろうか。

「なんだか嬉しそうだね」

「愚問だよ、マルグリット。愛しい我が女神と逢えたのだ。私はね、二度と逢えぬとさえ覚悟していたのだよ。その上君から頼られる、これ以上の喜びなどあるまい」

 あいも変わらずこんな調子な彼を疑問に思う。私がした事をなんとも思ってないだろうか? あの時とは違って、感情をそれなりに学んだ今だからこそ思わずにはいられない。恩を仇で返すような真似をした私に愛想を尽かさないのかなって。普通だったら顔も見たくないと思うはずなんだけど。

「どうかしたのかな、マルグリット。何か悩みでもあるのかい」

 そんな私の様子を気にしたのか、カリオストロは心配そうに聞いてきた。顔にでも出てたのかなと思いつつ、どう考えても答えが分からないから素直に聞いてみる。

「どうして助けてくれたの? 私がした事を考えたら避けられてもおかしくないって思ったから。」

「それも愚問だよ。あなたの前に跪くと言った。全霊をもってあなたを解き放つとも。あの誓いは今もこの胸に、消えず在り秘めている。君がどんなに厭おうとも、私は君の幸せの為だけにある。例外があるとすれば――」

 その事を言われる前に私は遮る。これは私の誰よりも愛しい彼との誓い。

「前にも言ったでしょ。私にはレンがいるの。だからフリンはしないの」

「くく、ははははははッ。本当に妬けるよ、君たちには。この辺りで邪魔者は退散し、見守るとしよう。また困ることがあれば呼んでくれたまえ。喜んで助力させて貰おう」

 そう言って彼は消えていき、黄昏の浜辺には私一人になった。消えていった彼は本当に相変わらずだったけど、憎めない所もあるかなと今は思ってしまう。せめて私に向けてくれるモノをほんの少しでも他の人達に分けてあげたらいいのにとも。でも、即答で無理だねと言う彼の姿が簡単に想像出来て、思わず苦笑してしまう。

 波打ち際で波の音を聞きながら海を眺めて、彼とまた逢う切欠となった彼女達を想う。抱きしめたいと思った片方、暁美ほむらの行く先はどうなるか分からないし、もう干渉も出来ない。でも幸せになってほしいなと願いつつ、きっと遠くない未来に逢える残りの彼女に想いを馳せる。早く友達になって色んな話をしたいなと思いながら。













 以下、一話冒頭でQBにニート成分が混入したらというネタ。セリフのみですみません



「ひどい」

「仕方あるまい。彼女では届かない。尤も彼女もまた理解した上での愚行だよ。」

「そんな……あんまりだよ、こんなのってないよ」

「諦めるかね? 君にしか出来ぬ事、君だけが出来る事。君ならばあの運命を変えられるやもしれぬのに」

「本当なの?」

「君にはそれを為せるだけの才はある。だが、もう時間がない。見えるだろう? 彼女の姿が。ああ、死ぬな。もう死ぬな。君が助けなければ終わりだな」

「私なんかでも、本当に何かできるの? こんな結末を変えられるの? 」

「然り。故に私と契約して、魔法少女になってくれないか」











後書き
 まだプロット組み終わってないのに続いちゃったZe。一応中盤ぐらいまで組んだのですが、ヤンデレさやかさんの存在が強力すぎるYo 。
 今回の内容は一発ネタの前半を引き延ばした説明話になってしまい申し訳ないです。やっぱりプロローグなので雑には扱えない、でも既知感がと苦しみました。なるほど、これが副首領閣下の方術なのね。恐ろしくなる、本当に。

 基本的にほぼ設定のみクロスで進めるつもりだったんですが、最近はせっかくだから魔女繋がりで彼女を投入しようぜと思考の繰り返しに。なるほど(ry






 以下はDiesキャラ紹介。Diesを知らない人用に書いたものですが、プレイする予定の方は回避を。やっぱりネタばれや二次ネタが含まれます。





メルクリウス

 まどか様みたいな存在その1。詐欺師カリオストロ。全ての元凶。究極の14歳。通称ニート
 マルグリットを解放して、その上で自分を殺して貰うという願いの基に本編で暗躍する。そこら辺は長いので省略するが、マリィルートでは神である彼が彼女にその座を明け渡すだけに終わった。しかも肝心のマリィの祝福から一人だけハブられる。ニートざまぁ。
 一言で言い表わすならばウザい。悪意を持った上で全てを仕組んで実行する、それに足掻き苦しむ者達を嘲笑うとQBすら越えかねないウザさである。ファーブラで追加されたルートにおいて、ニートの汚名返上どころか働いたら勝ってしまうのだよと言わんばかりの活躍っぷりの結果、そのウザさは天井知らずとなる。
 このSSではマリィルート後の為ある程度満たされた状態で一応きれいなニート。でも相変わらずウザい。やっぱり黒幕の一人。



マリィ

 まどか様みたいな存在その2。マルグリット。新世界の女神。
 まどかと違い、先天的にそうなれるだけの存在として生まれた少女。その為に世界から永遠に外れ続ける存在だった。偶々彼女を見たメルクリウスはその在り方に打ちのめされ、彼により女神と讃えられる。そんな彼女を解放しようとニートが決意したのが本編の切欠。
 人とは次元が違う存在の故に人間らしい感情を持たなかったが、ある一連の出来事を通じて獲得、自分の「抱きしめたい」という渇望によって、世界を包む女神となったのが本編における彼女のルート。マリィマジ女神。
 このSSではきっと遠くない未来にまどか様と友達になるに違いない。というかマリィルート後の結末を考えたら、それくらいの役得はあげたい。何気に黒幕の一人だったりする。


レン(藤井蓮)

 まどか様みたいな存在その3。超越する人の理。至高の14歳。通称練炭。
 このSSでは名前だけしか出て来かったがDies Iraeの主人公。マリィと同じく先天的に(ry。というかニートが願いを叶える為の手駒としてそういう風に創り出した存在なので当たり前と言える。ニート死ね。
 ニートと顔も声もそっくりらしいが全然ウザくない。
 マリィルート後は万年単位でいちゃついているとの事。もう永劫やってろよ、バカップル。
 さやかさん並みに尽くしてくれる幼馴染をスルーして、別ヒロインを選ぶ姿はかみじょー君を彷彿とさせるが、エロゲだからしょうがない。彼とは違い、ちゃんと彼女を大切な存在として扱ってますヨ。





[27745] 1話
Name: ぬこ◆d0f30961 ID:0c96cb41
Date: 2011/05/24 01:48

 目を覚ますといつもの病院のベッドの上、というわけではなく何処かのビルの屋上だった。これまでのループとは違う始まりに驚きつつも、辺りを確認する。青空の下で見渡せる風景はもう見慣れたものでもう何年もこの街に住んでいる感覚さえ覚える。おそらく見滝原市なのだろう。
 私の恰好もいつもの寝巻ではなく制服だった。ワルプルギスの夜との決戦で負った傷も無くっている。
 他の事も確認する為にその場から動きだす私だが、私の内にある聖遺物の感覚であの出会いは夢ではないことだけは既に認識できていた。

 現状確認という名目で町を散策しながらも頭の中で確認出来た事を纏めていく。結果から言えばここはやはり見滝原市だったのだが、本来のループ開始時よりも一年ほど前にズレていた。これについてはコンビニ等、複数の場所や方法で確認した以上間違いはない。
 また街を見た感じだと別の世界といっても前のループのものとこれといった違いはあまり無いように思える。変化している部分、例えばまだ建物が建っていない等は時間のズレが原因とも十分に考えられる。

「はぁ……」
 
 始まる場所や時間軸も違うという結果については違う世界だからと一応納得しておく。若しくはメルクリウスが前とは違うことの証明にしたのか、気を利かせてくれたのかもしれない。エイヴィヒカイトの才能について微妙とも言える判定を下してくれたし。

「はぁ……」
 
 行動の指針はループ時のものにエイヴィヒカイト関連が増えた程度でそこまで変わりはない。戦力強化を行う時間の余裕が増えた為、大分楽になったといえる。あとは前より上手くやるだけだ。

「はぁ……」
 
 色々思案しつつさっきから溜息ばかりつくのには理由があった。まず私という存在が与える影響。異世界で無くても干渉次第で未来が変わる事を知る私にとっては、正直この事だけで思わず頭を抱えたくなる。迂闊に動けば何もかもを変えてしまう可能性があり、その果てに自分が知る未来とは全く異なる未来となり兼ねない。
 次に家が無い。そもそもこの世界にも本来の暁美ほむらがいたとしてもまだ東京にいるはずである。実際に見に行ったが誰も住んでなかった。家そのものはまだ無くてもやってはいけるが、流石に安心できる拠点は欲しいと思う。
 最後に今一番の悩みがお金がないことだった。財布は持っていない。というかあの最終決戦に財布なんて持って行くほどお気楽じゃない。調達自体は能力を使えば簡単なのだがそんな事に使いたくなかった、魔力とか精神的に。
 そんな考え事を一通り終えた私はいつの間にか大通りに出ていた。天気の良い夕暮れ前の為か、歩道には歩く通行人で溢れている。そんな中で自分と同じ制服を着た女子中学生を見て、自分が今一番したいことをやっていない事に気付いて走り出した。
 そう、まどかに逢いに行く為に。




 下校する学生達の中にまどかがいないか確認しつつ、確証もないのに今の時間にいそうな学校へ向かう。メルクリウスを疑う余地なんて今は無かったけど、どうしてもまどかが“いる”ことを確かめたかった。期待や不安、焦燥、罪悪感といった色んな感情が混じり合い、どうしようもないそれが一秒でも速くと私の行動を更に促した。
 学校へと辿り着いて門を潜ろうとした時、私が探し求めていた人物の姿を確認出来た。私の知る彼女と比べてどこか幼げで不安そうで、でも期待に満ちている印象を感じるまどかは同じような印象の美樹さやかと一緒にこちらへと歩いて来ている。何か二人で楽しそうに笑いながら話しているその姿を見るだけで涙が零れる。
 思わずその体を抱きしめたい、救えなかった事を謝りたいと動こうとする体を踏み留まる。そんな事をすればに彼女にどんな影響があるか分からない、今こうしていること自体が危険だという冷静な思考、つい先程まで頭を悩ませていた事が私を縛っていた。
 そもそも今の私は友人でもクラスメートでもない他人だからきっと困惑するだろう。真っ当な理由で完全に諦めるが、ただ彼女を眺めることだけは止められなかった。
 せめて今だけは弱い自分で在らせて欲しい。そして改めて誓おう。あなたをもう二度と失わない、必ず守ろうと。





 隠れるようにして彼女達が立ち去るのを見送り、私は学校の中に入った。本来なら家に帰ってじっくりと落ち着いて考えたかったが、家が無い私には行ける場所が限られている。幸い制服を着ている事で今の時間帯は怪しまれないし、下校時間を過ぎても今の内に隠れてしまえば問題は無い。問題が起きたとしても最悪能力を使えばどうにかなるだから。

 先送りにしていた私が与える影響などについて考える。私が望むベストな展開は色々行動した上で一年後のループ開始日の状況がループと全く同じになるというもの。そうなれば私は時間と未来の情報の両方を生かすことができるが、私がいる限り同じという状況にはまず成り得ないだろう。    
 でも限りなく近づける事は可能なはずだ。ループにおいて私が干渉しなかった事柄については大凡同じ結果を辿っていた。それならこの町の人々に干渉しなければあの状況に良く似たものになるのではないだろうか。
 勿論異世界だからそうならないとも言えるが断言も出来ない。異世界と言っても今日一日街を見た感じだとそんなに違いは感じられなかったし、元々一年後のこの街しか知らないので違いなんて本当には判らない。
 可能性の問題や時間を得た事を考えれば、動かないという選択は出来ない。つまり変化を最小限に抑えてある程度を許容するか、それとも干渉してループ時とは完全に違う状況を作っていくかのどちらか二択を選ばなければならない。
 
 私が取るべき選択は――




 人はあらゆる瞬間に選択を迫られる。取るに足らない些細なものから人生を左右する程の重要なものまで無数に。そして選べる選択肢の中から最良と思える選択をし続ければならない。そこで選ばれなかったそれらの結果は体験できず、あくまで結果を予想することだけしか出来ない。IFの世界が存在しない以上、最良の選択肢というものは誰も知り得ない。
 そもそも結果が一つしかないのだからそうなるべくなった、つまり選択しているのではなく、選択させられているとも言えよう。
 そのIFを知り得え、そのような意味で選択肢を持つ数少ない例外――暁美ほむらはそうであるが故に悩む。既知という世界で足掻き慣れてしまった故に未知を恐れる。
 以前のループであれば永劫繰り返せば良い。魂が擦り切れようが絶望で心が折れぬ限り、終わり無き円環で戦い続ける事が出来る。壊れる前までに望む結末を掴みさえすれば良い。
 しかし暁美ほむらはもう繰り返せない。己が鹿目まどかにもたらす影響、彼女が元々そうなるだけの素養を秘めている事、そしてそれらが指し示す可能性。
 なくしたものは戻らないと知ってしまったのだから。

 



 結局私は変化の最小限に抑える前者を選択した。理由としては干渉によるメリット・デメリットが未知数である事、私の持つ最大の武器である情報を失う事、ループ時の未来の状況が十分に恵まれている為だ。特にワルプルギスの夜を倒す為に必要な協力者としてあの実力の巴マミや佐倉杏子が存在するのは大きい。
 兎も角定期的にこの街を調査、未来に影響を与えないように戦力の強化と結論付けて、学校から出る。
 日は既に暮れて、動きやすい夜になっている。取り敢えずの目標はこの世界の暁美ほむらの確認と決めて、この街から離れる為に行動を開始した。





 あれから3日、既にこの世界の暁美ほむらの確認を終えた私は協力者や魔女を求めて当てもなく放浪していた。運が悪いのか今の所どちらとも見つけることが出来なかったが、一つだけを発見があった。私の魔法そのものが変化していた事だ。
 あれは資金を調達する為に仕方がないので魔法を使おうとした時だった。左手にある筈のシールドがなかったどころか時間操作の魔法も使えなくなっていた。確認してみるとその代わりに右手の弓と背中から腰の辺りにある光で出来た翼みたいなモノが私の魔法になっていた。あの時は能力の変化にまた頭を抱えたくなったが、魔法自体の使い勝手が良くなったことや準備期間の増加を考えればそう悪くはないと今は思える。『まどか』と同じ弓という武器に好感が持てたのもあるだろう。
 
 聖遺物の事もあってか、魔女だけでも早めに見つけるべく捜索を続けてようやく魔法少女と魔女を感知することが出来た。感知を頼りに探して回り、とある建物の中で結界を発見した。
魔女の結界の中へ入る。中は他と変わらずモノの滅茶苦茶な組み合わせで出来ていたが静かだった。見た目こそ悪いが静寂や静謐という言葉が似合うだろう。
 まずは魔法少女を探そうとして動き出して、そこで違和感を覚えた。周りには魔女もその使い魔も誰一人いない静かな世界――そう、自分の足音や風切り音、呼吸すら聞こえない程に。

「――――」

 驚き、思わず大声を上げてみるが何も聞こえない。弓を其処らに打ち込んで床や壁を壊しているのに拘らず何も聞こえない。手首や音符の様な姿の使い魔を見つけたものの、動いているそれらからも何も聞こえない。
 一通り試してみた私は即座にループで得た経験による仮説――魔女は特性を持つ。恐らく魔法少女だった頃の能力等が変質して特殊な能力になっている ――で彼女が音に関する能力ないしは願いがあったと推察し、戦略を立てる。
 今の私の魔法は弓による攻撃と光の翼による機動の二つに変化してしまっている。簡単な話、一撃離脱タイプみたいなものだ。今までの時間停止というある意味究極の安全策は取ることはできない。
 此処に至って能力の変化が改めて痛いと感じる。あの力は絶対的な優位性や万能性はあっても弱点だらけで無力だと思っていたが、今その力が必要だと思っている自分に苦笑する。無いものねだりしてもどうしようも無いので簡単に対策を練る。
 完全に視覚頼りになるのでなるべく距離をとりつつ、全方位を確認して安全を確保した上で攻撃。もし厳しいなら高機動を生かしつつ攻撃と場当たり的なものしか思いつかなかったが、相手の情報が限られている為有効な対策は元から無理だった。
 
 魔力温存為に翼を使わずに最奥の魔女を目指し走る。幸い道中の使い魔達は好戦的ではなかったので楽に進む事が出来たが、目的の人物を見つけることは出来なかった。
 やっと魔女の間に辿り着いた時、其処には私が捜す両方がいて、お互いに戦っている最中だった。まだ遠目なのだが白を基調としたフリルのついたドレスが特徴的な赤毛の小柄な少女がゆらゆらと動く黒い何かを操って魔女や使い魔を攻撃しているように見える。少し離れた所には彼女のものだと思われる麦わら帽子みたいな鍔の広い白い帽子が落ちていた。
 無音の世界に苦戦しているのか攻撃そのものが苦手なのか、魔女と戦っている彼女は一杯一杯という感じで明らかに押されていた。道中とは違い、使い魔達が襲いかかってくるのも一因なのかもしれない。
 そんな彼女に念話を送るのは危険と判断して、助けるべく弓による掃射を開始しながら彼女の視界に入るように動く。私に気付いた使い魔達が襲ってくるが回避、代わりに威力よりも速度を重視された矢を叩き込みながら距離を詰めていく。使い魔の数を減らしながら本命の魔女にも矢を放ち、此方への注意を促す。

“ありが“いいから先に倒すわよ”はいッ”

 ようやく私を視認したらしい彼女から念話で礼を言おうとしてくるが切って捨てる。それを受けるのは魔女を排除してからでも遅くない。
 彼女はその場から大きく距離をとり、その黒いモノで魔女を攻撃し始めた。あらゆる方向から攻撃したり、魔女を拘束するような戦い方は私の援護をしてくれるようだった。
 その援護に答えるべく私は魔女や使い魔の攻撃を回避して、改めて少し距離を取りつつ弓による連射を続ける。彼女も防衛用なのか黒いモノを足元に纏い、無理をせずに私よりも距離をとり続けて攻撃しているようだ。
 暫く攻撃を続けた結果、もう少しで倒せる程に弱り切った魔女を見て一つ確認代わりにやりたいことがあったので彼女に念話を送る。

“ちょっと大きいのを撃つから少し時間を稼げる?”

“長くは無理だけど、少しなら大丈夫”

 彼女の返事を受けて私は回避を続けながら集中する。メルクリウスに見せてもらったザミエルという女性の戦いの記憶を思い出す。
紅蓮と形容できる赤い髪に黒い軍服を着こなし、そして何よりも目に付く半顔を覆う火傷の跡を持った眼つきの鋭い女性。
 彼女が魔法陣のようなものから放つ極大の一撃。彼が君とでは到底次元が違うと言っていた彼女の一撃を私が放つのは無理だろう。だけど、絶対無理だとしてもそうなるように近づきたいと願う。
 
活動――彼に教えられた中でも基本中の基本。聖遺物の特性を生身に付加する術。

 特性を付加すると言ってもそんなに難しいものではないらしい。私の聖遺物のような銃火器の場合は『発射』だし、刃物であれば『切断』、聖遺物本来の使い方を生身で行うだけと彼はと言っていた。
魔力で以って聖遺物を駆動させ、それの特性をイメージしながら意思を持って実現を願う、これが彼の教えの私なりの解釈。その解釈の下で活動を使おうとする。
 魔力を使うイメージも砲弾を放つイメージも簡単だ。そんなもの私はこれまで何度も魔力を使い、様々な銃火器を使ってきたのだ。これまでやっていた事をわざわざイメージする必要すら無い。
 だから右手を魔女の方へ掲げて、願いと共に強く意思を込めて“撃て”と心の中で言い放つ。

 見えない何かが放たれる感覚。予想もしてなかったそれの反動で思わず私の体が後ろへ投げ出されるが、直後の爆発による衝撃で更に吹き飛ばされた。
 翼を使って体勢を整えつつ着地、爆発による煙の中で状況確認をするのだが――


 遠かった。さっきの反動やら爆風の規模を考えれば別におかしくは無いが、その前提が予想以上すぎて困惑する。あんなのワルプルギスの夜との決戦レベルの規模だ。
 次第に煙が晴れていき、魔女の姿を探してみるがいない。おそらくアレで倒したみたいだけどそれはいい。そもそも魔女を狩りに来て、倒すためにさっきの撃ったのだから。その証に結界が解除され始めている。
 結界が消える去る前に煙が晴れたことで爆心地の巨大なクレーターが見えた。それでもう自分がした事を認めるしかなかった。

 此処にいないメルクリウスに言いたい、そして聞きたい。それも沢山。強力な力が欲しいとは思ったけどここまでだとは思ってなかったとか、彼女に大いに劣るとは言え基本中の基本でこれだとしたらその先はどうなるのかとか、人間止めたつもりとは思ってたけど人間兵器になるつもりはなかったとか色々と。
 ぽけーと今はない自分が行った惨状の方を見ながらも思考はひたすらフル活動。此処に来てからもう何度感じたか分からない頭を抱えたくなるという感覚を覚える。
 結局文句を言うことは出来ないので諦めるしかないのだが、訳が分からないよと叫びたくなった。


 


「ちょっとー、助けてもらったのには感謝するけどいくらなんでもあれは酷過ぎない」

 あまりの出来事に混乱していて、急に声を掛けられた事に驚く私。爆発による影響なのか話しかけてくる彼女がぼさぼさになった赤毛を手櫛で直しているのを見て、申し訳ないなぁと思いつつ答える。

「……ごめんなさい。正直ここまでだとは思っていなくて」

「ってことはあなたも魔法少女になったばかりなんだ。そうだったんだー、それじゃあ仕方ないよね」

 私の答えを聞いて彼女は何やら勝手に納得しているようだった。それどころか笑顔で嬉しそうにはしゃぎ出している。
 彼女の言葉の節に疑問を覚えたので問いかけみる。
 
「あなたもって?」

「うん、私もなったばかり。仲間に会えて嬉しいなぁ。あ、えっと自己紹介が遅れたね。私はアンナ、影沼 杏奈だよ」





後書き

 まどマギ本編の開始を期待していた方、申し訳ありません。色々と考えた結果時間をズラしてほむほむ投入になりました。そうあるべき存在ならまだしもチート補正溢れるっていうのはあんまりかなと思った次第であります。
 あと最後の彼女についてはもはや語るまい。







 以下はDiesキャラ及びSS設定紹介。Diesを知らない人用に書いたものですが、プレイする予定の方は回避を。やっぱりネタばれや二次ネタが含まれます。









ザミエル(エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグ)

 回想に登場。正式な魔名は“魔操砲兵”(ザミエル・ツェンタウァ)。極大火砲・狩りの魔王の本来の所有者。赤騎士。バ○ライカさん。
 古くから由緒正しい騎士の家の出の女性。その生まれから自他厳しく誇り高い性格であり、また軍人としての非凡な才能を持つ。それは厳しい修練を重ねた結果とはいえ、人をやめて限界突破した連中と切り結べるほどのレベルである。
 そんな才能の代償故か、色んな意味で不器用な人物。誰よりも心は乙女なのにそれを受け入れない部分がその最たるもの。ちなみにツンツンツンデレなヤンデレ。殺し愛を平然とやらかすお方である。
 本来なら魔術やオカルトとは全く無縁な人物であったはずなのだが、ニートの策略によって魔道の道に入ることとなる。その策略はまどマギで例えるなら色々あってボロボロの魔女化寸前さやかさんがいきなり現れたかみじょー君から「僕にはさやかが必要なんだ」と言われながら抱きしめられるようなもの。こんなんされて落ちない人はきっといない。つまり何が言いたいかと言うと、こんな事仕組みやがったニート死ね。

 能力はバトル物ではお馴染の『絶対命中』。当たるまで広がり続ける拡大爆心やら結界に無理やり引き摺り込み、結界内全てを炎で埋め尽くすとバージョンの違いはあるがその本質はどちらも同じ。
 能力自体はありきたりだが問題は火力。彼女の動きにより生じる熱風で鋼鉄溶かすなんて序の口、数万度の砲弾を余裕で撃つ、溶岩の数百倍や核レベルの熱量で以って燃やし尽くす、補正有といえしまいには超新星爆発と渡り合う等とチートである。
 尤も同僚とかがこれまたお馴染な『必殺』持ちなので印象は薄くなりがちだが。
 


暁美ほむら

 時間制御を失い、かわりに本編の改変世界での能力にシフトチェンジ。一応の能力の変化の理由は渇望の変化によるものだと言ってみる。実際は珍世界のほむらさんと被るからだが。
 能力については自体は速射に優れるメイン武器の弓と高速機動を可能にする光の翼で、光の翼は某機動戦士の如く攻防一体の最終決戦兵器だという妄想設定。
 割とスタンダードな能力に極大火砲を加えたのがこのSSのほむほむの能力だが、流石に本家本元の極大火砲には大幅に劣る。本家のまんまだと街とかこのSSとか色々滅ぼし兼ねないので自重。
 それでもバ火力なリアル系の魔砲少女。変化前もそうなのできっと問題はない。
 アンリミッテドバズーカワークスからのチェックメイトだッ!とかタンクローリーだッ!は出来なくなった。残念ではあるが、色々フッ切れたほむほむならドーラ列車砲だッ!をしてくれるに違いない。
 まぁ少なくとも近い内に高速で移動しながら素敵性能な兵器で薙ぎ払ったり、爆撃する姿を見せてくれるはずである。




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