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[27089] テスト
Name: NO地◆36dadaeb ID:7ecfff6e
Date: 2011/06/07 02:53

「エロいことしてみたいの」
「えっ、していいの?」

 幼馴染みの女の子にそんなこと言われたから喰いついたらナジるような目で見られた。
 ハニートラップは卑怯だと思う。

「冗談はほどほどにしておくの。せめて年収300万を超えてから月給3カ月分の指輪を用意して言ってくるの」
「そこで1000万とか言ってこないあたりにコナちゃんらしさがあるよね」
「最低限、自分の食いぶちさえ確保してくれるのなら文句はないの」
「高校3年、大学4年、働いてある程度の貯金ができるまでに3年――合計10年待ってくれる?」
「ん、かまわないの」

 あっさりとプロポーズに成功しちゃったよ。
 嬉しいな。






「ママから連絡あったの。また離婚して、慰謝料たっぷりとせしめてたから2億くらい分けてくれるらしいの」
「また? 吹雪さんってよく大金持ちと別れるよね」
「恋多き女なの」 

「ちょっとした生涯年収くらいの金額なの。ぶっちゃけるともう働くどころか学校に行く気にすらなれないの」
「まぁそうなっちゃうよね」
「だから退学届出してきたの」
「フリーダムだね」

「これからはこのマンションから出ることなく引きこもり生活を満喫するの」
「ダメな方向に振りきっちゃったね」
「もう二度と紫外線を浴びることのない色白美人になるの」
「今だって、日焼けしなさすぎる色白美少女なのにさらにだなんて妖精さんになっちゃわないか心配だよ」

「たいていのことは通販でどうにかなるの。どうにかならないものはショウくんにお使いしてもらうの」
「コナちゃんとあえる口実になるのならそれくらいいいけどさ」

「問題は、ショウくん以外の人目に触れない生活を送っていくと確実にだらしなくなることなの」
「異性に見られない女子校とかひどいらしいよね」
「なのよなのよ。だから、わたしはいい女でいるために画期的なことを思いついたの」
「どんなの?」
「私の写真や動画を毎日のようにネットにアップするの。そうしたら見られまくっているのに等しいの」
「……なんか、飛んだよね?」

「学校辞めて今後働かなくていいのなら世間体を気にする必要はないの」
「だからってさ」
「エッチぃことをしまくって気持ちよくなりたいの」
「………………ねぇ、鼻血出していい?」

「退学したけどわたしは高校一年生だったの。もうそろそろエロい娘になったっていい年頃なの」
「男の幼馴染みとして言わせてもらえるのなら大歓迎なんだけどさ。さっきのネットにアップする話と組み合わせると嫌な予感がするんだけど」
「アップするのはわたしのヌードなの。もしくはエロい画なの」
「超複雑なんだけど」
「撮影は任せるの」
「任されたよ!」

「大胆告白して疲れたから今日はここまでなの」
「僕はちょっとひと眠りしていろいろと考えてくるね」
「じゃ、またね――なの」




[27089] ■2
Name: NO地◆36dadaeb ID:7ecfff6e
Date: 2011/04/17 22:31


「知っていたよ。粉ちゃんがずぅっ~~~とまえから変態さんだってこと」

 私をせせら笑うように翔は覗き込んでくる。その視線を向けられているのが恥ずかしくてたまらなくて肌を隠したいのだけど、あらかじめ掛け布団や毛布などは仕舞われているベッドの上には覆えるようなものは何一つとしてなかった。真っ白い、このときのためだけに買ってきた"代えのシーツ"の上には全裸の私とまくらだけが置かれている。腕や脚でガードするのが精いっぱいの状態。

「――ほら、見てあげるから腕をどけてよ」

 逆らえはしなかった。
 ああっ、催眠術にかかってしまったかのように発達途中の膨らみをさらしていく私がそこにいた。
 密かに気にしている小ささを幼馴染みはどう思っているのか不安でたまらない。

 翔はいつもの細目だった。

 感情の読みとれないこの目が気になっていて翔とは話すようになった。
 別に幼馴染みとはいったってご近所さんというわけじゃなく、小学校から一緒だったというだけの関係が元。
 けど、ハーフゆえに金髪の私を興味なさそうに通り過ぎて行った視線が放っておけなくてこちらから話しかけた。
 あれから9年になるけど、まだまだこの幼馴染みの心中は読みとれるという自信は持てない。

 この貧乳に興奮してくれているのか、やはり巨乳じゃないと失望されているのか、さっぱりとわからない。
 ただじっと言葉を待つだけの時間は長くて心細かった。
 そして、翔はすっと迫ってきて――

「おかしいね。なんで、粉ちゃんはこんなに乳首を起てているのかな?」
「ひぃぃっ!」

 ――ドアノブを掴むかのような気軽さで乳首を捻りあげた。

 頭がスパークして勝手に喉が動いた。

「こんなんで気持ちよくなっちゃうなんて露出狂のケがあるだけじゃなくてマゾ属性もありそうだよね」
「ふぅっ、ふぅんっ!」

 私は必死に首を振ってそんなことはないと主張するが、翔はなおも乳首を弄りまわす。
 愛撫というにはあまりにも雑で荒い行為だというのに私の身体は石炭をくべられたかのように熱くなってしまっていっている。
 こんなことおかしいのに反応を止められない。止めたくない。

「やだの、こんなのヤダの!」
「そんなに気持ちいいの? 変態だけあるね。せっかくだから写メで撮ってあげるよ。記念するべきうpの第一弾にしようね」

 人差し指と中指で挟んで親指ですりつぶしながらもう片方の手で取り出される携帯電話。
 そのまま何の掛け声もないままにパシャりまたパシャりとおっぱいばかりを捉えた光が発せられていく。

「ごめんね。まだモザイクかけたりする機材の用意できていないから顔と一緒に撮れなくて。けど、このビンビン乳首はちゃんとアップするから」

 謝るように見せかけて責めてくる翔くんに、私は……私はひときわ大きい声で…………








「――夢なの。それも淫夢なの」

 性癖告白した興奮を落ち着かせるためにオナニーしてそのまま寝てしまったせいなのだろうか。
 翔くんに言葉責めされながら乳首を弄られるという夢を見てしまった。

 実際には、あんなことを聞かされたというのに素直に帰っていったからなにもなかったというのに――だ。
 襲われるくらいのことは覚悟していたというのに――で。

「ちょっと癪なの」
「若インポなの」

 金髪ハーフ美少女だというプライドがぼろぼろだった。
 帰国子女だということで半ばハブされているうちにオタク文化にはまり、語尾がおかしくなったものの、私はとても可愛らしいことには間違いない。あまりにじろじろと見られているものだから露出趣味に目覚めてしまったほど、私は自分の美貌を自覚している。ハーフというのは基本的に顔がいいものと相場が決まっているのだ。
 ゴロスリとかを着たらたぶん芸術的に似合うことだろう。趣味じゃないから着ないけど。

 比較対象が母のたわわなフルーツだからこそ気になっている膨らみだって、Bカップにはなっている。
 性欲爆発している男子高校生なら誰しもむしゃぶりたくてたまらない存在のはずなのに。
 だというのに――思えば、翔くんに意識されたことはなかったような気がする。
 雨や汗で透けちゃっているときもスルーだったような……
 そのくせして、ブラジャーをつけるようになった日には真っ先に気付かれたし。

 まったくもってよくわからない幼馴染みだった。
 あの細目の向こうにあるものが読めない。

 昨日の告白だって、どういう反応が返ってくるのか知りたくてやってしまったようなものだった。
 似たようなことはこれまでにもやってきたけどやはり読めないので、どんどん過激になってきてしまっている。
 翔の言葉は軽快かつ軽い。だから話していたって理解できる気がしてこない。
 表情だって、いつもおだやかにほほ笑んでいるような形になっているし。

 そういえば小学一年生の初対面のとき、話しかけたのに、表情筋のある仮面のような顔で対応されたのにえらく腹だったのを覚えている。
 どうやったらあんな子供になるのかか不思議だった。
 家庭環境に問題があるわけではなく、トラウマができるような事件があったわけでもなさそうなのに。
 ごく普通にクラスに溶け込んでいるけどあれほど異端という言葉の似合う人間はいない。
 周囲は気付かない。すぐに女優になれるくらいの演技力を持つ母と家族をやってきたからこそ気付くことができた違和感。

 勉強ができ、運動もできて、喋れないというわけじゃないのに中学時代では私以外に好きだという女の子は出てこなかった。
 周囲の受ける印象までコントロールしているかのような不気味さがある。
 そこに惹かれた私は真正の変態さんなのかもしれない。

 翔を男優に迎えた淫夢を見てしまったのは今日がはじめてというわけじゃない。
 そのときそのときで、軽蔑されていたり、情熱的に愛を囁いてくれていたり、性欲処理に使われていたり――本心を見通せないからこそ無数のパターンの夢を見てしまう。たとえ、抱かれるだけ抱かれた後に「飽きた」という一言でぱったりとこのマンションにこなくなったとしても、翔ならそれもありえると納得してしまいそうな、そんなあやふやさがあるからだ。放課後には毎日のように家にきてくれている恋人のような関係にあるのに信じきれない不安定さがいいなんて、精神的マゾなのか、私は。幼馴染みなのになー。なんだろ、私と翔くんとの関係って?

 私の性癖とこれからの性生活だって、翔くんの隠し持っている何かに比べたらちっぽけなことだと思えるから告白できたのだと思う。

「いまさら照れてきたの」

 かーっと顔が赤くなってきた。昨日の私はいったい何を言っていた?
 幼馴染みの美少女の性癖を告白された翔はどう思ったのだろうか。
 考えるといっていたけど……被写体になる私を想像してオナネタにしてくれていたりすると地味に嬉しいな。

 つかっ、翔くんには結婚できる財力持つまで手だし禁止っぽいことを言っておきながらどうしてネットには晒すってなんてビッチ。
 翔くんにならなにされたっていいのに素直になれなかった……
 撮影しているうちに我慢できなくって押し倒されるとかそれはそれでアリなんだけど。

「襲ってくれるかどうかは微妙なの」

 中学三年間、一人暮らしの私のマンションに入り浸っていながらそういう関係にならなかったのはあきらかにおかしいの。
 家に隠せないエロ本エロビデオをうちにある翔くんの部屋に隠すくらいなら私を口説けって思ってしまう。
 そういえば露出にはっきりと目覚めたのは、欲求不満になって翔くんのオカズを拝借させてもらったときその手の写真集を見つけたからだった。
 けっして安くはないそういう本を持っていたということは期待していいのだろうか?

「んっ」

 あの本のモデルと同じポーズをしているところを翔に見られる想像をしただけでビクンと体が震えた。
 寝ている間に火照ってしまっていて、このくらいのことですぐに反応してしまう。
 いつもだったらシャワーを浴びてすっきりするのだけど……

「うぅん、あんっ、あぁん」
 
 今日からはもう登校する必要はないのだ。
 いつ一人遊びしたっていい環境にある甘えがでてきてもぞもぞと熱くなっているところに手を伸ばしてしまう。
 わかっているけど感触で濡れているところを再確認すると、こう、なんか頭がぼぉっとしてくる。

「この調子じゃ、わたしは悪い子になっちゃうの。まだ休日のほうがいつくるかわからない緊張感があるの」

 オナニー三昧になる生活が予期できてしまい、人間とした数段階は堕ちた感覚がなんともいえない背徳感で暗い情念を灯していく。
 蜜はさらに溢れ出ていた。布団の中にむわっとした臭気が立ち込める。
 食べ物と健康には気遣っているから悪臭にはなってないけど、翔の遊びにくることの部屋にこの臭いを染み込ませていると思うとそれだけで気をやってしまいそうだった。

「ああっ、翔くん……」

 どういう想像でしているときにもオナニーしているときに彼の名前を呼ぶのは癖になってしまっている。

「いいの……粉のこことってもよくなっているの、翔くぅん」

 一番気持ちいいところを指でなぞるだけの拙い行為。
 これ以上のことに興味がないわけではない。
 けど、自分でやってしまうのは翔の開発する楽しみを奪ってしまうような申し訳なさがあってここまでで留めている。
 けれどもゆっくりと時間をかけて回数をこなせば満足できないわけじゃない。
 それに翔のことを思い浮かべるだけで私は幸せになれるのだ。

 こうして私の平日の午前は過ぎていく……ゆらゆらゆらりと退廃的に過ぎていくのでした。






【地の文少なめが予想外に好評すぎて、今回のが投稿しにくくなってしまっているってなにその罠】
【翔サイドはああいう感じで、粉サイドは普通の一人称でやっていきます。交互というわけではないですけど】




[27089] □3
Name: NO地◆36dadaeb ID:7ecfff6e
Date: 2011/04/12 22:55
「で、どういうところに投稿するかっていう話なんだけど……」
「ちょ……ちょっと待つの」
「ん、なに?」
「なにって………………ショウくんはいいのなの?」

 昨晩考えてきた計画を説明しようとしたらコナちゃんにストップさせられた。
 止められるようなことなにかあったっけ。

「えーっと、どうしたのかな? んと、ジュース? 説明長くなりそうだから先にジュース用意しろってこと?」
「――違うの!」

「ごめん、僕にはコナちゃんが何を言いたいのかわからないよ」
「わたしにはどうして普通にショウくんがネットデビューにそんなに乗り気なのかわからないの」
「だってコナちゃんはやってみたいんでしょ?」
「普通、男は好きな女の子の恥ずかしいところを他の男には見せたいと思わないはずなの」
「そりゃあ、僕はコナちゃんのことは大好きだけどさ――好きだからこそ、コナちゃんが冗談半分や思いつきで口にしたわけじゃないことくらいはわかっちゃうよ。本気でしたいっていうのなら応援するまでさ。愛しているよ、コナちゃん」
「……真顔で言うななの」
「ん、なに? 声が小さくて聞えなかったよ」
「……言えるかっ、なのよ」

「まぁ、賛成じゃなくて条件付き賛成なんだけどね」
「条件? どういうものなの?」
「住所を公開していいのは関東とか関西くらいの大雑把なところまでとか、モデルになるときにはちゃんと化粧をして顔の印象を変えることとか、一度でもネットにアップしたあとは僕がついているとき以外は外出しないこととか――まぁ、身の安全を守るために大切になってくるルールだね。コナちゃんは僕に絶対服従だよ。逆らうようだったらオシオキするから」
「オシオキ……セクハラなのっ!」
「ふふっ」
「ぶっ、不気味なの」

「ちなみに最初のルールはもう決めているから」
「言うの。けど、ヤな予感がするの」
「僕にも嫉妬や独占欲がないわけじゃないからね――ネットでなにかはじめてのことをするときは、その前に、僕のためだけにやってもらうから」
「っ!!」
「おっぱい接写をうpするっていうのならその前にガン見させてもらうよ。全裸になるならヌード観賞させてもらうし、もっと過激なことをしたいのならどんなことだってはじめては僕のまえでやってもらうよ。これが僕の協力する条件だから。コナちゃん、別にかまわないよね?」
「勝手にするのっ!」

 約束したからね、と僕は締めくくったけど顔真っ赤になったコナちゃんは可愛いなー。
 ぷいっとそっぽを向いているところなんてたまらない。

 世の中には寝取られ属性なんていう性癖の持ち主はいるようだけど僕はそうじゃないんだよ、コナちゃん。
 君が見られたいなら、見せつけてやるだけのことなんだ。






「で、話は戻して、どういうところに投稿するかっていう話なんだけど」
「候補は見つけてきたの?」

「絶対にダメっていうところはリアルタイムに放送しているライブチャット系だね」
「放送事故は恐いの」

「あとは大金を貰えるような契約をするところは辞めとくよ。僕たちは社会経験のない子供なんだから裏の世界に関わるのはよしておこう。生活に困らないんだから安全にね」
「リスクは避けるのがわたしたちゆとり世代なの」

「となってくると、やっぱりブログとかが一般的になってくるよね。最近は無料でアダルトなことやっていいとこあるみたいだし。コナちゃんはどういうコメントされていてどういう評価されているのかとか知りたいよね? だったら他の人が管理している掲示板とかに投稿するよりかは自分たちの城をつくって、そこで自分好みに公開していこうよ。固定の場所ないと、転載されて、僕たちのところまで辿りつかれなくなっちゃうからさ。最初は観客少ないだろうけど、ちょっとずつ常連さんを増やして、カウンターの数値を増やしていく感じでね。そのうちどっかのランキングに参加して上位を目指していこうよ」
「地道にいくの」
「あとは集客用にてきとーなSNSにも参加してもらおうかなって考えているよ」
「ゲームつきのところがいいの。学校辞めてヒマなの」
「うん、わかったよ。ブログとSNSはどこがいいのか明日までに調べてくるから待っててね」
「了解なの」

「僕がちゃんとプロデュースしてあげるから、大丈夫だよ」
「光栄に思うの。ショウくんにわたしを預けるの」

「じゃ、今日のところはコナちゃんの手料理食べてからぷよぷよでもしよっか」
「今晩は肉じゃがと焼き魚、それも鮭なの」
「楽しみなの」
「なの言うななの」




【コナちゃんの上の名前まだ決めてなかったので、ネタとして安心院と名づけようとしましたが直前に自重しました】




[27089] ■4
Name: NO地◆36dadaeb ID:7ecfff6e
Date: 2011/04/17 22:32


「ブログはここがいいよ。テンプレートやプラグインが充実していて、今はまだ考えていないけどアフェリエイトだって認められている。アダルトの場合、一番上と一部にちょこっと広告でるけど、気になるようだった月額料金を支払えばいい。アップグレートしたら消せるから」
「パソコンは人並みに使えるつもりだったけどさっぱり意味がわからないの」
「えと、こういうサイトになるっていうこと」

 翔はUSBメモリに入れていたいくつかのショートカットを開いていく。
 美女というには程遠い、けどドキっとするようなポーズをしてている裸の女性たちの画像に動悸が激しくなる。
 こういうのを見て回ったことはあるけど、翔の後ろから覗いているっていう現状が信じられなくて頭がおかしくなりそうだった。
 もう一人の澄ました横顔にイラっとするくらい緊張してしまう。

「いいと思うの」
「じゃ、どういうデザインにするかあとで話し合おうよ。粉ちゃんのほうがセンスいいからね」
「任せとくの。だから、パソコンの操作は任せるの」






 携帯を操作しているけど、ついついモニターに向き合って何かをしている翔に視線がいってしまう。
 私のはじめてをもらうと言っていたのにあれからアクションがない。
 こっちは毎回、お風呂に入ったり香水つけたりと大忙しだというのに――だ。
 乙女を振りまわしてどういうつもりだろうか?

 今、携帯でやっているのは『モリー』というCMをばんばんやっている携帯での利用がメインになっているSNSだ。
 これまでやったことのあるのは実名登録タイプだってので、ハンドルネームのはちょっと勝手が違っていた。
 第一にアバターに悩む。
 この『モリー』はライバル企業のアバターを吸収してきたらしく、デフォルトのマネキンみたいな裸の絵を十数タイプから選ぶことになる。課金して買うことになる服は、すべてのタイプに互換性があるわけじゃないのでどれを選ぶのかたいへん迷ってしまう。リアルっぽいのからデフォルメされているもの、二頭身のものにぬいぐるみみたいなもの、太っているのにエルフ耳の。モーションをつけられるタイプから胴体がない顔だけの目や鼻のパーツを課金購入していくタイプ。あまりに選択肢がありすぎて、選ぶのにとても時間をかけてしまった。
 いつでもタイプを切り替えられるとはいえ、他は課金するというのならどれか一つに絞っておきたい。
 大金はあるからって、引きこもり生活以外にはあまり浪費する気にはなれなかった。
 結局、翔の意見を聞きながら女子高生に一番人気だというタイプにする。
 ブランド服とかとの提携が一番多いものらしい。

 この『モリー』は翔に勧められたけど、ネットアイドルの聖域と呼ばれているくらいその手の人間に好まれているサイトらしい。
 コミュニケーションしやすい機能が充実しているのはどこのSNSでも一緒だけど、ここは通販サイトとの提携が凄いとか。
 プレゼントしたい商品を選んで、贈りたいプレイヤーを選択するとその相手から承認してもらった場合のみ、代金自分持ちで相手の住所に届くというサービスがあることには驚いた。住所をバラすことなくギフトを貰える画期的なシステム。元々は下着会社のやっていた男性に欲しいものを記したメールをしておねだりするという営業方法を取り入れたものらしく、最近始めたみたいだ。だからか世界一ネカマの多いSNSと言われているらしい。うまく男を騙して貢がせている人たちが山ほどいるとか……。
 社会人にはネットでの付き合いの人にまでお歳暮を贈らないとならなくなったと不評らしいけど。
 超大手動画サイトの実況放送によって活躍していたネットアイドルたち(男の人気者もけっこういる)が、『モリー』のサービスによって現品とはいえ収入手段を手に入れた今、ネットアイドルは爆発的に増えていっているとか。テレビのニュースではあまり語られることのない流行。その中にはアダルト方面に進出している人たちもけっこういて、ほっとするやら、なんか寂しいやら。案外翔はこのことを知っていたからすぐに私の性癖を受け入れてくれたのかもしれない。

 だからなのか、『モリー』にはネットアイドルをやる上での注意点が記されていた。
 具体的には書いていないけど、ストーカー被害やレイプの危険性を指し示すような文章が踊っている。他にはリアルバレからのイジメ問題や炎上騒ぎから発展した自殺まで。そういえばそういった事件はときたま耳にすることがある。午後六時からのニュースではあまり見かけないけど、昼下がりのワイドショーでの特集が組まれていたことがあったような気がする。
 注意点のほとんどはやってはいけないことやリアルバレしないための方法だ。
 けど、バレてからは親御さんと相談しましょうとかストーカーは警察に相談しましょうとかそういうものだけ。
 基本的には自己責任だと冷徹に書かれているようだった。

 こうやって改めて文章にされているとやはり不安になってくる。
 まだアダルト業界に踏み込んではならない年齢。
 ネックになっている学校と就職の問題はないとはいえ本当にやっていいものなのか?
 とくに翔はまだ高校に通っているのだ。巻き込んで、迷惑にならないか心配になってくる。

「そんなにしかめっ面してどうしたの、粉ちゃん」

 悩みまくったせいで、翔が一段落つけてこちらを振り向いていることに気付けなかった。不覚なの。
 でも、せっかくなので訪ねておく。

 返答は予想外なものだった。

「リアルバレのほうは、粉ちゃんが不用意に外出したときの危険以外はたいしたことじゃないよ。さいわい、うちの親も吹雪さんも稼いでいるのは海外だからね。僕たちのやったことで脅迫を受けるような業種じゃないし。家族にまで迷惑のかかることにまでは発展しないと思うよ。大丈夫、問題にはならないよ」
「わたしは未成年なの」
「警察だってそんなにヒマじゃないんだよ。大丈夫、大丈夫」

 いつもの細目で、安心させるために言っているのか、本当に大丈夫なのか判断できない……

「僕が大丈夫だって言ったら大丈夫だよ。ほら、日本人は西洋人の顔の見分けがつかないって言うし、カラーコンタクトでもすれば」
「でも、万が一、翔くんの学校にわたしのことが噂になったらどうするの?」
「僕の学校? 別に地元だから通っているだけなんだから、留学しちゃえばいいよ」
「いなくなるのはダメなの!」

 いなくなるのは嫌だった。小学一年生のときからずっと共に歩んできた翔がいなくなるくらいならネット露出なんてどうでもいい。
 けど、あいかわらずの細目で翔はとんでもないことを言い出した。

「当然、コナちゃんは一緒に移住するんだよ? 吹雪さんが結婚しているときだったら楽に国籍を手に入れられるだろうから、そのコナちゃんと結婚したら、僕も住めるでしょ。それまでは留学っていうことで間に合うと思うし。せっかくだからそのときには同棲しようね」

 ――結婚。
 ――同棲。

「な、何を言っているの?」
「いやさ、ついこないだプロポーズしたばっかでしょ。いつまでも一緒だよ、粉ちゃん」
「あうあうなの」
「照れまくっているのは可愛いけど、あえて口にすることじゃない言葉だよ」
「うるさいの」

 ソファーの片隅に置かれていたクッションに顔をしずめて絶対に見せないようにする。
 今の顔は見せられるものじゃない。

 二人掛けのもう片方のスペースに座られる気配――

「いい加減覚悟しておいてよ。僕と粉ちゃんは一心同体・一蓮托生なんだから。ブログをはじめる準備が全部終わったら粉ちゃんのすべてを見せてもらうつもりだし」
「!」

 耳にかかっている髪をさらりとどけ、ささやいてくる翔に私は……私は…………

「香水かえたの? いい匂いだね――襲いたくなる」
「ひゃぅんっ!」

 髪を撫でられるのは気持ちいいけど、耳はヤーなの。
 最後のひと押しにぷつんと意識が遠ざかっていくのがわかる。 

「大丈夫だから、安心してネットデビューするんだよ粉ちゃん。――――バレたときは責任とって僕をもらってもらうけど」

 私は翔のささやきの最後の一言を聞き逃してしまった。
 聞き逃してしまったの。




【まったく関係ない話ですけど、私は「サイモンの災難」という小説がとても好きです】
【作中の映画の、どこからどこまでが作為なのかそもそも作為はあったのか? という流れが妙に気に入っています】




[27089] □5
Name: NO地◆36dadaeb ID:7ecfff6e
Date: 2011/04/13 22:29


「カタログいくつか貰ってきたよ」
「なんのなの?」
「動画撮影のできるデジカメのだよ。コナちゃんはそこらのモデルより可愛いけど、撮る僕は初心者だからね。AV撮影に使われているような高性能のカメラは早いよ」
「そこはグラビアやテレビと言えばいいの。乙女にAV言うな、なの」
「ごめんごめん、最近そういうコナちゃんを妄想してばっかだったからついね」
「…………バカめ……なの」
「そのうちアングルとか編集にもこだわった二時間くらいのビデオを撮ってあげるから期待しててね」
「……………………約束、なの」

「コナちゃんはどういうのがいい?」
「ショウくんの……希望は、ない、の?」
「最近のデジカメだったら欲しい機能はたいてい揃っているからね、なんでもいいよ」
「なや……むの」
「こういう可愛らしいほうが落ち着く? それとも、こういう無骨なフォルムのやつのほうが燃えちゃう?」
「……こぉれ……いいの」
「へー、この真っ赤かなカメラ。うん、いいんじゃないかな」
「気に入った……の」
「赤は情熱の色だね。生命力に溢れる自己主張の強いカラー……これからのコナちゃんにはぴったりじゃないかな?」
「自己主張……と、いうのは初耳……なの」
「じゃあ、これを買うからさ、コナちゃんはこのカメラのレンズを向けられたら自分のエッチなところをしっかりとアピールしないとね」
「アピールする、の……?」
「僕はいろんなコナちゃんを知っているよ。料理がうまくて、お掃除だって大好きな、ぜひお嫁さんになってほしいいい子だよね。アニメとか大好きだけど僕とご飯するときの放送は録画にしておいてくれる優しい子。けど、撮影のときだけは切り替えたっていいんだ。気持ちよくなることだけを考えるとってもエッチな女の子になったっていいんだよ。カメラを向けられているときはとびきり淫乱になって男を誘うんだ。撮影のときは乱れちゃっていい。エロくて淫らな一面を出しちゃってかまわないんだ。
 だから、コナちゃんはカメラを向けられたらエッチな気持ちにならないと――だよね?」

 よりそうように、コナちゃんの可愛らしい肩に顔をのっけるように覆いかぶりながら語りかけていく。
 ゆっくりとじわじわ~って胸を揉まれているコナちゃんは息を荒くしながらもうなづいてくれた。
 このちょうど掌におさまる感じがなんともいえないなー。

「ぅん…………ゃっ……わかった、の。撮影のときぃ、わたしぃはエッチな女の子になるの」
「コナちゃんなら楽勝だよ。オナニーしているところを全国にさらしたい飛び切りの露出狂なんだから」
「露出狂じゃ、ない、のぉ……」
「えっ、マッサージ機に股間揉みほぐされてアヘ顔を撮られているって想像してごらんよ。――ほら、もっと起ってきた」
「ショウくんの指がイタズラするからなのぉぉ」
「はぁ……いつまでも触っていたいなぁ」
「無視するなーなの!」
「素直になったらもっと気持ちよくしてあげるよ、コナちゃん」
「ぷいっ、な――のぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 頬膨らむの可愛すぎ!
 つい、やりすぎちゃったよ。

「待つぅの、よっとタンマなのよぉぉ!」
「舌足らずになってるコナちゃんはいいよねー。あー、このカメラが今手元にあったら永久保存するのになー」
「聞けぇぇぇぇぇなのっ!」

 流石にこう暴れられると逃げられちゃうか。
 今日は無理強いする気分じゃないから逃がしてあげるよ。もうすぐだしね。

「はぁ……はぁ……はぁ………………っん」
「吐息エロいね」
「ショウくん!」

 睨みつけられちゃった。
 ソファーの角にすっぽと収まるように体を押し込んで、両足を抱え込んだコナちゃん。
 威嚇している小動物みたいで愛でたくなる。ガマンガマン。

「コナちゃん、僕はいったい誰に協力しているのかな?」
「ぅぅ……卑怯なの」
「その辺はちゃんとしっかりさせとかないとね。コナちゃんはデジカメとかの準備が整ったらちゃんと脱ぐんだよね?」
「それはその……ショウくんに撮ってほしいからなの」
「僕に見せてくれるなんて嬉しいな。そのときは気持ちよくなっちゃうんだよね?」
「わからないけど……たぶんそうなっちゃうの」
「発情しちゃうんだ。レンズを向けられただけで発情しちゃうんだね?」
「発情…………しちゃうの」
「レンズを向けられたらスイッチ入って淫乱モードになっちゃうんでしょ、コナちゃん」
「カメラのレンズを向けられたら、スイッチ入って、わたしは、淫乱モード……」
「乱れに乱れちゃう。ヌード撮影のはずなのにオナニー開始しちゃうんだ」
「あぅん、わたしはオナニーしちゃうの……」
「これまでの欲求不満を全部さらけだす『もう一人のコナちゃん』が出てきて激しくオナニー。僕にすべてを見せる」
「ショウくんにもう一人のわたしが全部見せちゃうのぉ」
「コナちゃんはやりすぎだって思うんだよ? けど、『もう一人のコナちゃん』はどんどん過激になっていく。僕にしてもらいたくてセックスアピールをしまくるんだ」
「そんなことまで……わたしは…………でも、ショウくんに触ってもらえるなら………………いいのなの」
「うん、そうしたら思う存分に弄ってあげるから――わかったね?」
「わかったの………………」

 とろんとした目になったコナちゃんがちょうど眠くなったときにあわせて話を打ちきる。
 もう、これ以上はささやいたって覚えていないだろう。
 今の会話だってどこまで思い出せるか。

 まぁ刻んだからいいけど。

「そうそう、コナちゃんに言っておくけど、自分がお酒に強いかどうかわかっていないのに、勧められるままにアンコール飲んじゃうのはどうかと思うよ。ちょっとしたマッサージでも酔いはさらに回っちゃうし。まぁ、ブログ完成祝いとかいって飲ませたのは僕だけど」

 おねむになっちゃったコナちゃんに忠告だけして、抱えて、ベッドに運んであげる。
 今日は襲わないからいい夢見てね、コナちゃん。
 風邪ひかないように下着をかえてパジャマに着替えさせといてあげるから。




【今回の投稿分を読み返して思ったこと――「地の文をもっと減らそう。多ければ多いほどに主人公が誤解されちゃう」、です】




[27089] □6
Name: NO地◆36dadaeb ID:7ecfff6e
Date: 2011/04/14 23:20


「21、22、23、24。25、26。27、28、29、30――――」
「暑苦しいの」

「…………さぁんじゅういぃち」
「我が家のフローリングに汗が染み込んでいくの」

「……」
「男臭くて呼吸ができないの」

 腕立て伏せをやっているとコナちゃんにひどいことを言われた。
 そんなに汗が流れるほどの回数はまだこなしていないのにこの言いようって……泣いちゃうよ?

「コナちゃん、少女コミックを脇に置いているっていうことはヒマなの?」
「イエスサ―なの」
「イエッサーね」
「…………アイアイサーのアイは愛してるの愛なの」
「コナちゃんと僕は英語の成績けっこうよかったよね?」
「ネィティブな発音をすると恐がられるからあえてカタカナっぽいのにしてるの」
「可愛いからいいけど、アイアイサーの件については追及していいの?」
「忘れるの」
「わかったの」

 ぽすんとクッションを投げつけられた。






「で、かまってほしいの?」
「そうなの」
「素直なことはたいへんよろしい」
「偉そうにするななの」

「学校を辞めたからといって漫画の発売ペースが縮まるわけじゃなかったの」
「まぁそうだね」
「普段買わないの買ったら無理にエロくしようとした作品ばっかりでつまらなかったの」
「コナちゃんは『花とまぼろし』派だからねー。規制のやり玉にあげられているあの手のタイプは合わないかも」
「レイプされて即感じてくるなんてどこのビッチなのよ」
「……ビッチすぎるねー」
「まったく処女の妄想は痛すぎるの」
「…………だよねー」

「なんか暇つぶしになるような宿題を考えとく?」
「勉強は嫌なの」
「新聞くらいは読んでおこうね。じゃなくって、ネットアイドルとしてやっていくためにノルマつけようかなって」
「グッドアイデアなの」
「うーん、できなかったときはどんなペナルティーにしようかなー」
「先にペナを考えるのっ!?」

「まぁまぁ、それはともかくおいでよコナちゃん」
「さておくななの」
「まぁまぁまぁ、まぁまぁまー。人のっけてやるやつあるでしょ。あれ、どのくらいきついものなのかやってみたい」
「面白そうなの」

 テクテクっていう足音まで可愛いな、おい。

「よっこらしょなの」
「あっ、地味に重くてきつい」
「レディには禁句なの!」

 上半身は裸になっているんだから手形つけられるとけっこう痛い。

「腕立てできないほどじゃないけど回数はこなせないっぽい」
「どうして腕立てなんかはじめたの?」
「男の子がいきなり筋トレする理由なんて限られているよ」
「体育祭に備えるにはまだ気が早いの」
「コナちゃんはいつまでもそのままでいてね、僕が染めることになるんだけど」
「イミフなの」

「ギブー」
「最近意地悪ばっかりされていたから尻の下に敷くと中々痛快なの」
「男に跨るだなんてはしたない」
「ショウくんだからいいの」

「あうー、床のひゃっこさとコナちゃんの柔らかさに癒されるー」
「たれショウになってきたの」
「もちもちの太ももとかぷりぷりののお尻とか……ご馳走さまです!」
「最っ低なの」

「えっーと――『バカ』かな?」
「正解なの」
「『ヘンタイ』」
「次いくの」
「くすぐったいね。これは……『カメラマン』っぽい」
「最後はちょっと難しいの」
「――ウォーアイニー」
「! バレないと思ったからやったのになんでわかるのっ!?」
「コナちゃんの番になったら書こうと思っていた文字だから――相思相愛だね」
「ショウくんなんて嫌いなの!」
「や、やめて。肩甲骨をピンポイントで連打しないで!」
「いーなの」

 後日、コナちゃんにやってみたら敏感すぎて別な遊びになっちゃいましたとさ。




【エロ度を水増ししといた前話の不評さにどういうのが求められているのかわからなくなってしまい、迷走中】




[27089] ■7-1
Name: NO地◆36dadaeb ID:7ecfff6e
Date: 2011/04/17 23:19


「――このデジカメは、僕から粉ちゃんへのプレゼントっていうことで代金を支払っておいたよ」
「ダメなの。安いものじゃないのに悪いの」
「いいんだよ。粉ちゃんがせっかく人生を再スタートさせるのだからその重要アイテムくらいは贈らせてよ――まぁ、これからの金銭問題については話し合っておくべきだけどね」

 そうやって包装を解いたばかりのデジカメを握らせてくる翔。
 デザイン重視のチョイスをしたために、コストパフォーマンスがいいとはとても言えないお値段のもの。
 なのになんのためらいもなく代金を支払い受け取ってくれたことには心が動かされる。
 遊び半分に、玄関にすら出られない状態になるまでイタズラされていたことなんてどうでもよくなってくる……

 最近の翔はちょっとだけ変わった。
 これまでは放課後うちに入り浸っていたのにありえないくらい手を出してくることはなかったけど。
 私のカミングアウトを受け入れてからは、積極的に触れて……揉んで舐めて噛んでくる。羞恥のあまりに気絶してしまうほどの攻勢。
 ……ぜ、絶対にあんなのはやりすぎているの。
 そのくせして唇を奪ったりはしてくれない彼には振りまわされる。

 否、――わかっているのだ。
 彼に振りまわしているのではなくに『私が』振りまわしてしまっていることは自覚している。

 翔は私の性癖を正確にはたぶんわかってはいない。
 だから、どういったことではどういうことまで大丈夫なのかを手探りで調べて、理解してくれようとしてくれている。自分でさえ言葉にして説明できるほど把握できていない事柄なのに、翔はさりげな――さりげなくはないけど、ごくごく当たり前に向き合ってくれて、受け入れようとしてくれている。そのことは涙が出るほどに嬉しいの。

 ときたま、横着をしているのか、言葉責めによって性癖をさらに上書きしようと企み、自分の植えつけた部分からコントロールしようとしている気配はあるけど……いいの。
 翔になら好きなように染められたっていい。
 自分のすべてを捧げられるぐらい好き。

(愛してるの、ショウくん――)

「この先、いろんなものが必要になってくると思うんだ。撮影機器だってデジカメ一つじゃ物足りない。撮影には小道具だっている。そういったものをに手に入れるにはやっぱり先立つものが要るよね。粉ちゃんとそういうことでもめ事になるとは考えていないけど、礼儀として、事前に話し合ってべきだよね。割り勘はきついけど、数割くらいならバイトしてでも支払うよ。その分はこっちにこれる時間は減るけぇ…………んぐぅ!」

 目を白黒させている翔は可愛かったの。
 何があったのかさっぱりわかっていない顔をしていてただ口を手で押さえている。
 奇襲は成功。

「ショウくんはお金のことを気にしないでいいの」
「それは流石に男として――じゃなくって! 粉ちゃん?」
「私のこと愛してほしいの」
「熱でもあるの?」

 困惑する翔を置いてけぼりに、私は一方的にすりすりしてスキンシップを図るのであった。






「つまり、甘えたいモードなんだね?」
「ようやくわかったの? 遅いの」
「いつもだったら認めないのにこんなに素直だし。可愛いからいいけど」
「へっへーなの」

 あれからお姫様だっこをせがんた私はベッドに運ばれていた。
 翔と抱き合っている。
 服は着ていて愛撫らしいものはないけど、ただ、体温を感じているっていうだけで気持ちよくてたまらない。
 178の翔に154の私はすっぽりとおさまっている。
 ごろんと転がったまま横になったらこのポーズになったけどお気に入りになりそうだ。
 抱きまくらにされている構図。

「胸あたっているけどいいの?」
「あててんのよ」
「使い方間違っているし」
「細かいことはいいの」

 別に真正面からあててんのよをしたっていいじゃない。

「ショウくんはわたしの彼氏だからこのくらいのコミュニケーションは当然なの」
「えっ、恋人にしてくれんだ?」
「プロポーズするされる間柄なのにいまさらなの」
「告白イベント飛ばしちゃったのは惜しいんだけど……まぁ、コナちゃんと付き合えるならいっか」

 翔の手が背中にかかっている髪を撫でていく。
 私は肩甲骨を超えるくらいまで自慢の金髪を伸ばしているけど、指が、触れるか触れないかくらいのタッチで腰までいく。
 くすぐったいのに幸福感のある、ふわふわとした感覚。
 細身なのに鍛えてある胸板に顔を沈めてゆっくりと時が満ちるのを待ち――
 ややして。そっと離れると、どちらからともなく顔をよせあっていた。
 互いの吐息が混ざり合って消える。

「ん、んんっー」

 息継ぎがよくわからなくなったけどそれでも長くできた。
 正解を知らないからいろいろと試した。
 何分くらい立っただろうか。
 いつのまにのしかかれていたのか気付けなかった。意識したときにはもうそういう姿勢になっていて、重いともなんとも思っていなかった。
 まるで夢でも見ていたかのように現実味はなくておぼろげで。

 このまま無意識に任せていったらどこまでも発展していってしまいそうで――

 だからこそ、あえてここでストップをかける。
 そう思ったら……それだけで顔の隣に手をついている翔はそれ以上行動に移さないようにしてくれた。
 なんで伝わったのか、彼はじっと私の言葉を待っている。
 そのことに言葉にできない感動を覚えてうっすらと涙が滲んできた。
 このまま見つめ合っていると声が震えてきそうなので私は真っ直ぐに用件を切り出した。

「ショウくん、聞いてもらいたいことがあるの」
「うん、たぶんそれは僕の聞きたかったことだと思うよ、粉ちゃん」


 ……話はもうちょっとだけ続くの。




【この後半、続けて粉サイドにしようと思っていたけどあまりに大変なので翔サイドに変更。】
【その女の子はどうしてそういう性癖になったか、なんて、女性の一人称で書いていくには私の筆力じゃできっこありませんでした。すみません】



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