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[25533] 恋に恋した女の子
Name: たぬきが◆57ada074 ID:a9c23baa
Date: 2011/01/20 04:48
つまり、これはちょっとした恋の物語。

人生を語るにおいて、もっとも重要なファクターとはなんだろう?

資産?
学歴?
職歴?

どれも違うと私は断言できる。
なぜならこの世の中で大切なものはそんなものではないと確信しているからだ。
たとえば、あるところにバスケットボールの好きな少年がいるとしよう。好きで、好きで、毎日ボールをいじっていないと落ち着かないほどにだ。そんな彼でもいつかは大人にならなくてはいけない、社会に出なければいけない。

彼はある日、選択を迫られる。
一生バスケットボールを続けていくか、会社に入ってサラリーマンとして生きるのか、だ。
彼はもちろんバスケットボールを続けることを選択をしようとするが、両親の強い説得によってしぶしぶサラリーマンを選択することになる。その後、彼は会社でそこそこ出世し、若くして自分の家を持ち、外車を乗り回せるようになる。世間でいう勝ち組というやつだ。それでも、たまに小首をかしげてしまうときがある。はたして、自分の選択はあっていたのだろうか?

私が断言しよう。

間違っていた、と。

彼はそれこそ、食えなくてもバスケットボールを続けるべきだった。
たとえ親族に白い目で見続けられようとも。
恋人にあいそをつかされようとも。
常に、かたわらにはバスケットボールがあるべきだった。

彼はそれを曲げたのだ。そんな人生はゲロカスで、吐き気のもよおすような吐しゃ物となんら変わりがない。
彼はバスケットボールというスポーツに恋をしていたはずなのだ。なのに、彼はそれを曲げてしまった。愛するものを裏切った。
そんな男の人生なんて、私は認めない。だから私は思い続ける。おまえの人生など酔っ払いのゲロのようだと。

私は絶対に間違えない。私は自分の恋を絶対に成就させてみせる。

そう、私は、恋に恋をしている。




部屋で、金属質な音が二度と鳴り止むもんかというような勢いで鳴り響く。この世で二番目に大切な時間を邪魔したそれを一秒、二秒、三秒我慢し・・・私は思いっきり右腕をふりおろした。ピタリと目覚まし時計の音が止む。よし、これでもう少し眠れる・・・そう思った瞬間今度は自室のドアが爆発するような音を立てて開かれた。来たか、最後の魔王よ。

「あー!お姉ちゃんやっぱり二度寝してるーっ!!駄目だよー!お姉ちゃん!ねぇっ!一回で起きなくちゃ駄目なんだよー!!」
目覚まし時計よりもよっぽどキンキンした声を出す妹。こんなんでも高校二年の私と一歳しか年が変わらない。
「もうっ!おきてよ!ねぇっ!ねぇったら!!」
これこれ、姉をゆするんじゃありません。
「おーきーてーよー!うー・・・!こうなったら・・・」
これこれ、姉の布団もぐりこんでどうするんだい。
「必殺・・・」
あれ、両足をひろげてもたれて・・・この体制って
「電気あんまーーーーっ!!!」
「ひぎゃーーーーーーーーー!!」
馬鹿!この馬鹿妹!なにしてる!!なにしてる!!
「お姉ちゃんが起きないのが悪いんだよーー!!」
「わっ!あっ!ま、まって!起きる!起きる!!」
「本当に?」
妹がにっこりと問いかけるが、私にそんな余裕はない。悲鳴をあげながら頷く。
「ほんとっ!本当にっ!!」
そんな私を見た妹は、ポイと私の両足を解放して、絶対零度の声で吐き捨てた。

「最初からそういえばいいんだよ」

そしてドアの閉まる音がして、私は自室に取り残される。
「悪魔か・・・あの妹は」



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