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[24832] ◆GSvs魔法使い◆(GS+ネギま!)【習作】
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/25 21:57
「ふぉふぉふぉ、これでネギ君は伝説の『悪の魔法使い』を倒した事になる予定通りじゃな、
 それにエヴァンジェリンにはこれからも真帆良に居てもらわなければ困るからのぉ」


「たしかに予定通りに事は進みました、
 しかし!! エヴァが初めから全力でネギ君と闘っていたらどうするつもりだったんですか?!」



なにやらキナ臭いことを言うこの頭の長い老人は近衛 近右衛門、
麻帆良学園理事長であり裏では関東魔法協会の長を務める学園最強の魔法使いである。
近右衛門の目の前で憤る男はタカミチ・T・高畑、彼は学園広域指導員として『死の眼鏡(デスメガネ)』と恐れられ、
裏では居合い拳、咸卦法を使う学園No.2の魔法使い、そして煙草の似合う渋い30代独身である。



「電力の復旧が遅ければどうするつもりだったんです?! 危ない処だったんですよ!!」
 

「結果オーライじゃ、危ない処じゃったが良いタイミングで結界を復旧出来たんだから無問題」


「ギリギリのタイミングだったじゃないですか、
 それにエヴァだって危なく怪我をするところでした!!」



実は近右衛門は結界用の別電源を確保していて何時でも結界は起動可能だった。
例えば病院のように重要施設に予備電源は常識、有事の備えとして主電源とは別系統で用意されていた。
ただし別電源での結界は稼働時間が短いためギリギリまで使いたくなかったのだ。
しかしその事は高畑に秘密にしていた、高畑をハラハラさせたい近右衛門の悪戯だ。



「それにアスナ君まで戦いに巻き込んで、いったいどうするんです」


「彼女も同意の上じゃ問題なかろう」


「同意といっても彼らは戦いがどういうモノなのか知りません、
 場合によっては文字通り命がけの時もあります、先ほどの戦いも下手をすれば死んでいました!!」


「・・・魔法界には『新たなる英雄』がどうしても必要じゃ、
 そしてこれからのネギ君には従者が必要じゃ、彼女には悪いがネギ君の力になってもらうしかない」


「しかし彼女は!!」


「わかっておる!! こちらも出来る限り事はする、陰ながらにじゃがの」



近右衛門はネギ・スプリングフィールドを『新たなる英雄』にする計画を行っていた、
自称『悪の魔法使い』エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルを利用する事によって。
ネギがピンチになったとき結界を作動させる事によってエヴァンジェリンの魔力を封じネギに勝利させたのだ。
しかし予定外の事態が起こった、神楽坂明日菜がネギの『魔法使いの従者』になってしまったのだ。



「・・・エヴァやアスナ君がこの事を知ったら恨むでしょうね」


「彼女達は君の管轄じゃ、アスナ君は勿論じゃがエヴァンジェリンは君の初k「わかりました!!!」」


「僕が出来る限りのフォローをします」


「そうかの? その時はよろしく頼むぞい、ふぉふぉふぉ」



近右衛門の言葉を遮って高畑が珍しく大声をあげる、実は高畑の初恋の相手が元同級生であるエヴァンジェリンであった。
男にとって初恋は美しい思い出のままなのだ。
そして神楽坂明日菜は高畑の庇護の下で生活していた事もある、二人とも高畑の関係者だと言えなくもない。



                  ◆



麻帆良学園都市中央駅にひと組のカップルが降り立った、
男はジージャンにジーパン頭に赤いバンダナ、ファッションセンスの無い貧乏くさい格好、
女性は白のワンピースにカーディガンを着ていて清楚で可憐な印象を受ける。
共に二十歳前後だろうか男の背おう大荷物が異様に目立っていた。



「やっと着いた、しかしここは本当に日本か?まるっきりヨーロッパの街並みじゃないか。
 昔は埼玉と言ったら日本の田舎の代名詞だったんだけどな、いつの間に変ったんだ?
 あの素晴らしいオッパイなんかまさにヨーロッパの並み!!」



男の視線は始めは街並みを見ていたが、途中から近くを歩く女の子の大きな胸に向けられていた。
つられて感想の対象もそれに変わっていた。



「どこ見て言ってるの?ヨコシマ」


「いや、あの・・・」
(マズイ!!エロ本やDVDを処分されたせいで巨乳分が足りなくて視線があの素晴らしいバストに釘ずけに。
 ルシオラじゃ巨乳分の補給にはならないなんて事を本人に知られたら俺は・・・
 ここは何としても誤魔化さなければ!!」


「全部声に出てるわよヨコシマ」


「しまったあぁぁー!」」


「フフフ、そんなに大きな胸が好きなの? 私という者がありながら!? 私の胸じゃ不満なの?
 わかったわヨコシマ・・・・・・お前を殺して私も死ぬーーー!!生まれ変わって私は巨乳になる!!!」



女性は男に泣きながら首を絞めながら詰め寄る。
一見貧弱そうに見えるこの男は三界でも稀少とされる神器【文珠】の使い手であり若手GSナンバー1との呼び声も高い横島忠夫、
魔神大戦においては魔神アシュタロスを倒し神魔界やオカルト業界では『影の英雄』『魔神殺し』とも呼ばれ、
仲間からは『煩悩魔神』『セクハラ大王』『ザ・丁稚』とも呼ばれている。


その隣に立つ女性は横島の恋人であり、魔神アシュタロスが大戦決戦時に作り出した魔族の三姉妹の長女。
スパイとして潜入していた横島と恋仲となり造物主を裏切り愛を選んだ蛍の化身、
一時は横島を助ける為に自分の霊基構造の大部分を与え死んでしまったがある方法により復活した。
小さい胸にコンプレックスを持ち、三女の蝶の化身に言わせれば『終わった胸』を持つ女性。



「堪忍や~、ルシオラ~ 昔の癖が直ってないだけなんや~」


「なによ! 私の胸じゃ不満なの?!」


「そんな事はない、いつも俺には勿体ないくらいの彼女だって思ってるよ」


「ヨコシマが見てくれないのは私に飽きちゃったのかって・・・」


「・・・ごめん」


「もう私に興味が無くなったのかって・・・」


「・・・スマン」


「私じゃダメなの? 私、ヨコシマの恋人なのに・・・私の胸じゃ満足できないの?」


「俺の恋人はルシオラお前だけだ。今までもそしてこれからも、胸なんて関係ない」


「ヨコシマ」


「ルシオラ」
 


喧嘩していたかと思うとすぐに仲直りして人前でイチャイチャしだす、二人は筋金入りのバカップル。
二人は最近GS事務所を立ち上げたばかりである、彼らはある依頼の為に麻帆良までやって来た。



「ホテルに行きましょ、
 それから・・・・・・ね?」


「そうだな、着いたらさっきの言葉を証明するよ」


「やだ人前で・・・でも嬉しい」



依頼を受けて来たはずである・・・



[24832] ◆GSvs魔法使い2◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/10 02:38
「部屋に盗聴機やオカルト的な仕掛けは無いみたいね」


「見鬼君くんにも反応が無いし部屋に結界札も貼った、これで一応セーフハウスの完成だな」


「でも油断はできないわ、ここ麻帆良は関東魔法協会の本拠地、地の利は敵にあるわ。
 それに彼らの使う魔法を調べたけど解らない事も多かったわ」


「関東魔法協会か・・・正直あまり好きになれないな。
『魔法生徒』とか言って学生も取り込んでるんだろ、どこのかの胡散臭い新興宗教みたいだ、
『立派な魔法使い』を目指すって辺りもそこはかとなく狂信くさい」


「それだけじゃないわ、
 町全体に情報操作の為に人の認識を操作する魔法が掛けてある、精神操作や洗脳ほど酷くはないんだけどね。
 魔力が集まるっていう世界樹は管理と称して独占状態だし、
 噂の図書館島も貴重な書籍や魔道書の保護と言いながらこれも独占状態、
 どうやって集めたのかしら、一般の貴重な文献にせよ魔道書にせよ簡単に手放すものではないわ。
 そしてその二つを狙う敵が来て此処が戦場になるのが解っていながら学生を集めて学校運営、確信犯ね」


「あのでっかい木だって樹齢100年200年じゃないだろ、西洋の魔法使いが何時からどういった経緯で手に入れたんだか。
 まともな連中じゃないのは確かだよな、
 これでどうしてオカルトGメンが動かないのか不思議だ」


「たぶん政治家や官僚とつながっているわね、でなければ魔法使いが運営する学園都市なんて無理だもの。
 魔法を使った治療だけでも彼らにとっては魅力的だわ。
 ここでオカルト事件が起こっても本格的に警察やオカルトGメンが動かないのがその証拠、
 圧力を掛けて動かないようにしてるんでしょうね」


「政府と繋がる魔法使いか・・・嫌な予感しかせんな~、
 この仕事今からでもキャンセルできんかな?」


「『彼女』をこのままにしておくの?」


「・・・そんな訳にもいかないか、それにしても魔法か」


「魔鈴さんの魔法とは違うみたいだし、私たちにはなじみの薄い技術体系だから何を仕掛けて来のるか解らないわ」


「このホテルだって部外者を招き入れるんだから関東魔法協会の息が掛っているだろうし、いずれ監視が付くな」


「なら監視が付く前に行動開始ね、まずは『彼女』を見つけましょう、同時に魔法使いの情報もね」



そう言いながらルシオラは蛍の眷属を数万匹を呼び出し町に放った。
三姉妹の長女ルシオラは神魔と闘う際の情報収集と戦闘指揮官の役割をもって作られた。
情報を収集分析しそれを次女べスパ・三女パピリオに伝え指揮する。
その様な役割の為ルシオラの眷属も情報収集能力に特化している、
攻撃力は低いものの光学的にも霊的にも優れたステルス性を駆使して偵察を行う。
原作でのルシオラの麻酔攻撃とサイコダイブは殺さずにの敵の精神を探り情報収集する為の能力である。
※オリ設定



「お昼を食べたら私たちも町に出て見て回らないとね」


「そうだな、でもその前にルシオラ・・・」


「やだヨコシマ・・・やん!くすぐったい」


「愛しているよルシオラ」


「私も・・・」



横島とルシオラは2時間後に昼食を取りにホテルを出た。



                  ◆



「学園長、麻帆良ホテルに不審な男女がチェックインしました、
 ホテル担当はこの二人の会話から裏の人間と判断したようです。
 宿泊名簿には高島忠介と高島蛍とあります日本国内に同姓同名は数名確認出来ましたが、
 年齢や夫婦兄妹などの続柄に照らし合わせると一致しません、おそらく偽名でしょう。
 顔写真から調べていますがもう少し時間が掛ります」


「学園長どうしますか?これだけの情報だけでは判断が難しいです」



明石教授は近右衛門に報告をし、高畑が今後の指示を求める。
明石教授は調査や分析を得意とする魔法使いで戦闘は得意ではない、
中学生になっても父親と結婚すると言っている娘を持つ魔法使いである。



「二人の現在地は?」


「共に先ほどまでファミリーレストランで食事、現在は徒歩で移動中だそうです」


「会話や人物像は確認出来たかの?」


「世界樹を含む会話は確認できましたがそれ以外に不審な会話はありませんでした、
 他は普通のカップルの会話、途中浮気がどうのと痴話喧嘩をしていましたがすぐに仲直りしてイチャイチャしていたそうです。
 気配や動きにこれといったモノはなく一般人と変わらなかったそうです、魔力も一般人レベルと報告にありました」



ここで魔法使いの言う『魔力』と魔族が持つ『魔力』と別物である。
これは昔の魔法使い達が悪魔と契約し魔法を行っていた頃の名残である。
今でも召喚術により魔族を呼び出し戦闘時に使役する事もあるが、
現在の魔法は万物に宿るマナを取り込み術を媒介に精霊の力を借りるのが主である。

※オリ設定



「判断に困るの、ホテルに偽名で宿泊する魔力のない裏の関係者らしき人物のう・・・」

(一般人でも世界樹は知っている者は居る、なにせ世界一の高い木じゃ、
 麻帆良の街並み図書館島を含めても観光客は珍しいものではない。
 それに不倫や浮気での旅行のときは身内にばれないように偽名を名乗る事もある。

 裏の人間ならば目的あって来たのじゃろうがその目的がわからん、
 怪しいからと問答無用で追い出すわけにもいかん表の人間だったら大問題じゃ)


「しかしどうにも嫌な予感がするの~
 タカミチ君、今から彼らに接触してきてくれんかの、もちろん此方の正体は隠しての。
 明石教授、引き続き身元確認を頼む何かあれば速やかに報告を頼む」


「わかりました、現状それしか手は無いようですね」


「了解しました」


「ホテルの部屋の方も確認しておくかの、ガンドルフィーニ君を呼んでくれ」



[24832] ◆GSvs魔法使い3◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/10 17:43
横島とルシオラは世界樹に向かって歩いていた、世界樹周辺を観察するように歩いていた。
予定通り監視の気配も着かず離れずつい来ている、
横島達が観察するように歩くのは目的を世界樹と思わせる為の欺瞞行動である。
敵に誤情報を与え此方の情報は見せない、既に戦いは始まっている。



(ねえヨコシマ)


(ああ、わかってるしかし動くのが早いな)


此方を探っていた気配が近づいて来るのを感じた、横島とルシオラはテレパシーで会話する。


「ちょっといいかい?君たちはどこの高校かな?」



高畑は学校をさぼる学生を補導するふりをして話掛ける事にした。
二人は高校生に見えない事もない、これは話掛ける口実であり極端に不自然でなければよいのだ。



「いや俺たちは高校生じゃないんだけど、えっと・・・あなたは?」



横島もとぼけて聞き返す、目の前の人間が関東魔法協会の関係者であり、動きと気配でかなりの実力者だと解る。
彼はいわゆる秘密組織しかもオカルトグループの構成員である、合わせて言えば『秘密オカルト組織の構成員』だ、
怪しい事この上ない、仕事でなければ近づきたくないと思っている。
横島達が知っている関東魔法協会の情報は組織名と本拠地、魔法を主に使う事と世界樹と図書館島が重要施設である事ぐらいだ。
構成員数、目的、組織規模、トップの名前すら解っていない非公開組織が今回の相手なのだ。



「そうなのかい?僕は高畑・T・タカミチ麻帆良女子中学校の教師だよ学園広域指導員も兼ねている、まあ補導員みたいなものだよ。
 高校生じゃないのなら身分証を・・・」


「じょ女子中学校だと!!!」


「そうだけど、それがどうかしたのいかい?」


「こんな親父が女子中学生に囲まれてるだとォっ!!」


「いや、あのね君」


「こんな所にも富の偏在が!!
 可愛い生徒に『先生! 好きなんです』とか告白されたり!!
 そんでもって『放課後に残って特別補修だ』とか言って青い果実を頂いたり!!
 このロリコンめ!!!!
 神は死んだー!! モテる男は許すまじ!
 かくなるうえは俺が直々に天罰を・・・・・・は!! 」



横島は背後で突然黒いオーラが立ち上がり我に返る、
今まで対峙したどの魔族や悪霊もぬるま湯に思えるほどの恐ろしいプレッシャー。
横島はおそるおそる振り返り後ろを確認する、気配の元は当然ルシオラだ。



「それは私じゃ不満って事なの!? さっきもホテルで『愛してるよ』って言って可愛がってくれたのに!
 あれは嘘だったの?! 本当はロリコンだったの!!」


「違うんだ!! さっきのは世の不条理に少し憤っただけで俺が愛しているのはお前だけだ。
それに俺は決してロリコンじゃない!!」


「本当? 信じていいのね?」


「信じてくれ、また昔の癖が出ちまっただけだ」


「だったら愛してるって言って」


「愛してるよ、世界で一番誰よりも」


「ふふふ、許してあげる」


「ごめんな不安にさせて」


「あ~ 君達もう良いかい?」


「す、すみません。
 で?何でしたっけ」


「高校生じゃないのなら身分証があれば見せて欲しいんだけど、
 あと名前も教えてくれるかな? これも仕事でね」



なにやら二人だけの世界に入って行きそうだったので高畑はとりあえず声を掛けた。
事前に聞いていた情報とイメージは違うが油断はしない、
話を元に戻し二人から情報を聞き出そうと改めて身分証の提示を求める。



「俺は高島忠介で彼女は高島蛍、身分証は今は持ってないっすね」


「困ったな、それなら電話して身分が確認出来る所は無いかな? 仕事先や家で確認が出来ればいいんだが」


「ごめんなさい最近は個人情報の管理はしっかりしないとだめから気軽には教えられないわ。
 高畑さんの身分証を見せてくれたら教えますけど?」


「ぼっ僕かい? 初めてだね反対に身分証の提示を求められたのは」

(まさか逆に身分を聞かれるとは思わなかった、しかも言っているのは尤もな事だ無視できない。
 名前は既に名乗っている、学園広域指導員としてここで偽名は名乗れない。
 彼らにこの場で名前や身分の真偽は確認できない、僕を不審者と判断したのかもしれない。
 なら見せるか? ここで身分証を見せてもそれだけで魔法関係者だとバレる事はない、
 しかし既に魔法関係者だとバレていた場合を考えれば名前は確認させない方が良い。
 だがこの話の流れで見せないのは不自然・・・ならば)


「すまないね僕も持ってないんだよ、さっき言ったみたいに今まで身分証の提示を求められた事がなかったものでね」


「名刺でもいいですよ?」


「そ、それも持ってないんだ」


「困ったわね」


「それじゃしかたないっすね、ここに連絡してみて下さい」



横島は紙に電話番号を書いて高畑に渡す。
高畑もようやく手に入れた手がかりに内心安堵のため息をつく。



「教えてくれるのかい? 助かるよ」


「麻帆良ホテルの電話番号です、連絡してみてください×××号室の高島で確認出来るハズです。
 高畑さん良い人そうだしこれぐらい教えても大丈夫でしょ。
 麻帆良の高校生が麻帆良のホテルに部屋なんてとらないですからね、高校生じゃないとわかれば問題ないでしょ?」


「あ、ありがとう確認してみるよ」

(それは知ってるんだよ!)



知ってはいるが目の前で電話して確認をとる高畑、話の流れ上しない訳にはいかない。
横島も馬鹿ではない、目の前の男が自分達の情報を手に入れようと接触してきたのは解っていた、
解った上でおちょくっているのだ。
横島忠夫は二枚目をギャグキャラに引きずりおろしてコケにするのが大好きなのだ。



「確認出来たよ、ありがとう。
 ところで高島君たちは麻帆良へは何をしに?」


「観光ですよ、ここには世界一の図書館と世界一高い木がありますからね
 街並みも外国みたいで綺麗だし蛍も楽しんでますよ」


「そうかい、さっきのお詫びに案内しようか?」


「それは悪いっすよ、高畑さんも仕事があるだろうし。
 世界樹へ行くつもりなんですけどあのデッカイ木は何処かでも見えるから迷わないですよ地図もありますしね」


「そうかい? 悪かったね時間をとってもらって、それじゃ失礼するよ」



高畑は有益な情報を得られなかったが退散する事にした、
これ以上しつこく絡めば不自然になり本当に不審者になってしまう。
話を切り上げ学園長へ報告に戻るしかなかった。



(ルシオラ)


(まかせて)



横島はルシオラに合図して眷属に高畑を追わせて監視させる。
会う人間を辿って行けば組織の情報伝達ルートが解る、うまくいけば関東魔法協会のトップが解るかもしれない。
現在の処は横島達の作戦通りに事は進んでいる。



                  ◆



「以上が直接会ってみて得られた情報です、有益な情報は得られませんでした。
 これは勘なのですが彼等は裏の人間じゃ無いですね、裏の人間特有の薄暗さがありません、
 しかし隙を見せないある種の緊張感がありました、おそらく彼等は・・・」


「ふぉふぉふぉ、正解じゃ彼等は霊能者」



高畑は学園長室へ戻ってきて近右衛門に報告をする、
精神的に疲れ、こころなしか眼の下にクマの様なものも見える。
接触したが有益な情報は得られなかったがそこへ自分の所見を報告にいれようとする、
しかし近右衛門の先読みした言葉に遮られる。



「なにか解りましたか?」


「留守の間にホテルの部屋を直接確認させてもらった、鞄には除霊具、壁には結界札が貼っておったそうじゃ。
 お札のせいで部屋での様子は魔法では確認できんようじゃが。
 明石君に情報を霊能者に絞って調べてもらっておる、すぐに正体は判明するじゃろ」


「霊能者・・・GSだったら厄介ですね。
 GSはオカルト関係者だか表の人間です、GSに何かあるとオカルトGメンとGS協会が出てきます。
 Gメンと協会の上層部とは暗黙の了解もあるが現場の人間にはない、公式に記録に残るとまずいですよ」


「いっそモグリのGSだったら闇から闇へなんじゃがのう」


「堂々と危ない事を言わないでください!それで今後の対応はどうするんです?」


「今の処は敵対行動もしておらんから実力行使も不可能じゃ、正体が完全に判明するまでは監視するしかないじゃろ。
 彼らの目的もわかっておらんしな」


「しかし疑問もあります、彼らからは霊力が感知されていません。
 感知されていればもっと早い段階で霊能者だと確認出来ていました。
 彼等は囮で主力が他に居るのかもしれませんね」



霊力が感知されないのは横島達が力を抑え更に偽装している為である、
ワルキューレが春桐魔奈美と名乗り美神令子に接触した時に使っていた偽装術である。
一流の霊能者に通用した偽装術はあらゆる観測方法を用いても一般人としか判別されない。
魔族が人界で無用のトラブルを避け平穏に暮らすには便利な方法なのでワルキューレに教えてもらっていた。
対価として【文珠】を10個もっていかれたが・・・



「おそらく霊力は偽装術もしくは霊具によるものじゃろう。
 囮は確かに考えられるの、他に不審者は確認出来ておるのかの?」


「いえ、今のところ麻帆良内では確認出来ていません」


「ふむ・・・」


コンコン


「学園長失礼します、例の二人のうち男性の方の身元が確認出来ました。
 霊能者に情報を絞って調べたところ該当者がいました」



明石教授は学園長室に入り近右衛門に報告を始める。



「顔写真と身体的特徴がGS協会の免許取得者とデータが一致しました、
 男性は横島心霊事務所の所長で横島忠夫です年齢19歳、
 元美神令子除霊事務所所属、17歳で免許を取得、17歳の終わりに退社、19歳で事務所を立ち上げています。
 しかし女性の方のデータはありませんでした」


「ふむ・・・やはりGSか、しかし若いの19歳で独立か、ならばかなり腕が立つと考えた方がよいの」


「さらにGS協会の深い部分のデータを探っています、他のデータでも『横島忠夫』で再照会を掛けています、報告は以上です」


「御苦労じゃった、何か解れば速やかに報告を頼む、下がってよいぞ」



明石教授が退室すると高畑は近右衛門に話しかける。



「GSでしたね、目的はなんでしょう?」


「情報が少ないの・・・何か目的があって麻帆良に来たことは確かじゃ、でなければ除霊具や結界札は必要ないからの~
 しかし未だ具体的な動きを見せんし目的も伺えん、
 これは相手の術中にハマっておるのやもしれん、後手にまわっておる気がする。
 ここは奴に動いてもらって流れを変えようかの」


「もしかして彼ですか?
 あの彼が此方の指示どうり動いてくれますかね」


「大丈夫じゃろ『目的不明の不審なGSと正体不明の謎の女』と言えば嬉々として動いてくれるじゃろ、
 それに奴なら戦闘になっても大丈夫じゃろうて」


「彼は大丈夫でしょう彼は、しかしその周りの被害や騒動は誰が納めるんです?」


「タカミチ君よろしく頼むぞい」


(このジジィ!!)



今までに近右衛門が騒動を起こし高畑にしわ寄せが来た事は一度や二度ではない。
高畑は考える、転職と目の前の年寄の始末を心に天秤に掛ける。
考え抜いた末に何をしても無駄だと答えが出る。
そんな彼は麻帆良のトラブルシューターであり魔法界のトラブルシューターでもある、厄介事は彼に集まる。



[24832] ◆GSvs魔法使い4◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/10 17:44
同時刻、高畑で学園長室へ報告に戻っていた頃、横島とルシオラは世界樹の下の広場で甘い空間を作っていた。
監視の魔法使い達は口から砂糖を吐きながら監視していた、
彼女彼氏の居ない魔法使いは血の涙を流しながら監視していた。



「俺さ今とても幸せなんだ、また蛍をこの手で抱くことが出来て」
(もう身分がばれたか、予定よりかなり早いな。明日中には身元がバレるなこりゃ)


「私も幸せ・・・・・私も忠介の傍に居られるだけで良いの」
(関東魔法協会の情報網は広いみたいね、GS協会にも食い込んでるようだし侮っていたわ)


「もうこの手を放さない、どんな事があっても」
(この『学園長』が関東魔法協会のTOPかな? しかし妖怪か?)


「本当に私でいいの? 私のせいで忠介は・・・」
(人間よ・・・たぶん。
 それよりも厄介そうな人間が出てくるみたいね)


「そんなの関係ない! 俺は蛍じゃなきゃダメなんだ蛍が欲しいんだ」
(ハァ~嫌だな~、凶暴なバトルジャンキーじゃないだろうな、
 やっぱこの依頼無かったことにしないか?)


「嬉しい! 私の全てを忠介にあげる、私も忠介が欲しい」
(もう!そんな訳には行かないでしょ、
 今夜ホテルで××××××してあげるから元気出して♪)


(ホ、ホントかーッ!!夜まで待てねー」



第三者にはイチャついているだけの様に見えるが横島とルシオラは作戦会議をしていた、最後に横島が暴走したが。
ルシオラの眷属は学園長室のへの侵入に成功し、そこでのやりとりは横島たちに筒抜だった。
ルシオラの眷属は対神魔ステルス仕様であり魔法使いといえども発見する事は不可能なのだ。



(ヨコシマ、ホテルの部屋に誰か来たわ)


(一人だけか、泥棒か?)


(何も盗んで行かないし私達の荷物を調べてる、魔法使いよ。
 私たちを調べに来たんでしょうね)



ホテルに残した眷属からもガンドルフィーニが部屋を物色する様子が届いていた。
ガンドルフィーニは眼鏡をかけた黒人男性で一般人の妻と今年小学校に上がる娘を家族に持つ魔法使いである。
右手に拳銃、左手にナイフを持ちCQC(Close Quarters Combat 近接格闘)を得意とする、
近右衛門が屋内戦闘のスペシャリストである彼に横島たちの部屋の調査を命じたのだ。



(怖!!この黒人拳銃とナイフ持ってるよ)


(物騒ね、誰かに見つかったらどうするつもりなのかしら)


(じゅ、銃刀法違反!けっ警察!! )


(依頼が終わったら拳銃不法所で警察にチクッちゃいましょう)



ガンドルフィーニに逮捕・強制送還の危機が迫っていた、
ガンドルフィーニの魔法道具である銃やナイフは法的にマズい気もするが魔法使いたちは気にしていない。



(あ!盗聴器を仕掛けてる)


(結界札で部屋の様子が解らないから仕掛けてるのよ)


(帰ったら盗聴器をネタにホテルから誠意(慰謝料&口止め料)を見せてもらうか、
 『ネットに証拠付きで噂を流す』と言えば嫌とは言えまい、骨の髄までしゃぶらせて貰おうか、クックックッ)



確かにホテルと関東魔法協会は関係している、しかしホテルもエライ奴に目を着けられたものである。
その後横島とルシオラは世界樹広場で夕陽を眺めてからその場を立ち去った。



                  ◆




「今晩は、お食事中お邪魔します私は・・・」


「・・・言わんでもいい、おまえ関東魔法協会の魔法使いだろ」


「よくお解りで」


「馬鹿にしとんのか!! そんな明らさまな格好してたら解るちゅーねん!!」



横島とルシオラが夕食のイタリアンレストランで最後のデザートを食べていると男が声を掛けてきた、
男はローブに深いフードをかぶり誰が見ても魔法使いだった。
それに明らかに魔法を使っていた、レストランに場違いな魔法使いが現れたというのに店内の客は誰も気にしていない。



「ユ○クロで買った服なのですが何処かおかしいですか?」


「○ニクロにそんな服おいてへんわ!!」


「本当ですよ、ピー○のファッション○ェックでも誉めて頂けました」


「嘘つけ!! 何処にそんな服着た奴が町を歩いとんねん!! 
 美形ってだけでも気にいらねーのに、わざわざフードで顔を隠しやがってイヤミか!!」



フードから少し見える顔は誰が見ても美形と言える顔だった、横島にとって天敵とも言える存在だ。
しかし横島は男のボケにツッコんでしまう、大阪人の悲しい血の習性だ。



「で?なんの用だ、」


「あなた方に興味がありましてね、ああ!私のことはクウネル・サンダースと呼んでください」


「どこのフライドチキン屋だ!!おもいっきり偽名じゃねーか!!」


「それはお互いさまです高島忠介さん高島蛍さん、すみません!チーズケーキとカプチーノのセットをください」



自称クウネル・サンダースはウェイトレスにオーダーを頼む。
この長髪の美青年は本当の名をアルビレオ・イマといい重力系の魔法を得意とする魔法使いだ、
悪ふざけを好む性格でありその外見は20年間全く変わっていない。



「注文すんな! 何しに来たんだ」


「あなた方が食べているのが美味しそうだったもので、甘いものには目がないんですよ私は」


「知るか!! 俺たちは興味を持たれるほどの者じゃなねーよ」


「いえいえ大変興味深いですよ、特にあなた横島忠夫さんにはね。
 霊力が感知されない霊能者で若手No.1のGS、しかも・・・・・・あなた人間ですか?」


「そう言うあなたはどうなのかしら? クウネル・サンダースさん。
 本体はどこかしら? 遠いところから操作しているようだけど」


「おや、気づいていたのですか? 私は数キロメートル離れた場所にいますが詳しい場所は秘密です♪」


「じゃあ私たちの事も秘密ね♪」


「つれないですね人との出会いは大切にするものですよ、
 私は図書館島で司書の様な事をしているんですがお暇なときお茶を飲みに来ませんか?」


「脇役の分際で人の女に色目を使ってんじゃねぇ!!この美形野郎があああぁぁぁ!!」 


「ぐバボハッ!!」



横島は電光閃光でアルビレオ・イマの顔を殴りつける、目の前で自分の女に手を出されたうえ相手が美形では容赦が無い。
アルビレオ・イマを睨めつけながらルシオラを抱き寄せる、まるで餌を横取りされそうになった野良犬である。
アルビレオ・イマは口からは血を流し妖しい笑みを浮かべながら立ち上がる、頭にケーキが乗っているのはお約束だ。
それまでのやり取りは結構な騒ぎだったのだが認識阻害の魔法の効果で店内の誰も気にしていない。



「さ、流石ですね私を殴り飛ばすとは、しかし勘違いはいけません私が特に招待したいのは貴方の方ですよ横島忠夫」


「お!おまえホ○か?! あの女より男が好きという特殊な嗜好の持ち主の・・・」


「ふふふふ、まあその辺はご想像におまかせするとして・・・」


「否定しろー!!」


「さて、そろそろ私は失礼しますよ、またお会いしましょう」


「あら? もう帰るの、魔法の事を聞きたかったわ」


「ふふふ、それは秘密なんですよ、あなた方の事を教えてくれたら教えて差し上げてもよいのですが」


「帰れ帰れ、美形と○モは男の敵じゃ
 ってあの野郎!! 金を払わないで帰りやがった!」


アルビレオ・イマは横島に身の危険を覚えさせて帰っていった、チーズケーキとカプチーノのレシートを残して。
殴られたのでせめてもの仕返しのつもりなのだろう。
結局、横島はアルビレオ・イマの料金も支払い店を出た、少し負けたような気分だった。



[24832] ◆GSvs魔法使い5◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/11 16:59
「1! 2! ○! 4!I WANT Y○U♪~(I WANT Y○U♪)I NEED Y○U♪~(I NEED Y○U♪)」
近右衛門の携帯電話が鳴る、着メロはa○b48のヘビー○ーテー○ョンである、
こんな所も近右衛門のおちゃめな性格が現れている。


「もしもしワシじゃ」


「フフフ、今晩はご機嫌いかがですか?」


「お主か、早速じゃが」


「例の二人の事ですね」



電話の相手はアルビレオ・イマの様だ。
先ほど横島達とレストランで会っていたので報告をして来たのだ。



「そう横島忠夫と正体不明の女性じゃ、イノチノシヘンの結果はどうじゃった?」


「前置きもなしですか、何故それほど焦るんです?」


「うむ、調査でも表一通りの事しか解らん一介のGSにしてはセキュリティーレベルが高すぎる、
 それにどうにも嫌な予感がするのじゃ、で?」



結果を急かすように求める近右衛門。
アルビレオ・イマのアーティファクト『イノチノシヘン』は、相対した人間の歴史を読み記憶や能力をコピーする事が出来る。
アーティファクトとは魔法使いと従者が契約する事によって得られる固有のマジックアイテムの事である。
イノチノシヘンが魔法書の状態ならば、対象の人間の半生を読む事が出来る。
発動すればアルビレオ・イマは対象人物の記憶・感情・性格・能力を自身にコピー可能なのだ。



「残念ながらお答えする事が出来ません」


「何故じゃ!?」


「読めなかったのですよ、理由はわかりません」


「読めなかった? イノチノシヘンが?」


「はい、強力なマジックアイテムで守られているのか?
 あるいは・・・」


「あるいはなんじゃ?」


「イノチノシヘンとて万能ではありませんこういう事もあるでしょう、フフフ」


「あるいはとはなんじゃ?!!!」


プッ・ツー・ツー・ツー



一方的に電話を切られる近右衛門、しかしこれ以上聞ける事はなさそうだと判断する。
しかし状況は全く好転していない、相手はイノチノシヘンすら受け付けないとの事。
そんな話は聞いた事が無い、ただのGSにはあり得ない話だ。
近右衛門の嫌な予感が加速する。


そして一方的に電話を切ったアルビレオ・イマは横島忠夫の人物像を改めて考察していた。



「さて、横島忠夫は一体何者なのでしょうか?
 ただの馬鹿にも見えますが得体のしれない何かを感じます、彼を前にしたとき体が震えました。
 彼にはとても興味があります、今度ゆっくりお話がしたいですね。
 お連れのお嬢さんも楽しそうな方でしたアレはたぶん・・・、
 きっとネギ君やタカミチは大変でしょうね、フフフ」



アルビレオ・イマはこの状況を如何に楽しむかを真剣に考えていた。
事情があり十年間この地を離れられなかったがそれは平穏な日々であった、昔戦場に身を置いていた時と比べようが無いほど。
だが最近それが退屈になってきていた。
アルビレオ・イマは横島忠夫に生粋のトラブルメーカーのニオイを感じていた、退屈から解放してくれる適度な騒動の予感がしたのだ。
近右衛門に言わせればそれは嫌な予感と言うモノなのだが。



                  ◆



「ルシオラ、クウネルに着けた眷属は?」


「見失ったわ、転移したみたい」



横島はルシオラとホテルに帰り盗聴器を撤去した後にアルビレオ・イマの事を聞いた。
もちろんホテルにねじ込んだ後の事だ、誠意はたっぷり貰ったらしい。



「そっか、さっきの自称クウネル・サンダースが学園長室で言ってた『奴』かな?」


「たぶんね、遠距離で人形だか影だかを操作出来るんですものかなりの実力者ね」


「接触の目的はなんだったんだ? ホモのお誘いか?」


「そんな訳ないでしょ!・・・・・・たぶん
 おそらく魔法による調査でしょうね、その魔法の発動条件が近づくとか会話をするとかじゃないかしら?
 私たちのよく知らないオカルト技術だから想像の域は出ないけど。
 妨害や排除なら戦闘になってるでしょうし警告も無かったわ」


「なら身分は全てバレて目的も知られた可能性もあるな、
 例の学園長へ報告するだろうから監視してれば何処まで知られたかわかるな。
 それから彼女は見つかったか?)


「少し前に見つけたわ、自宅も確認した」


「OK、なら作戦を繰り上げよう、パピリオに連絡して今夜動いてもらおう。
 関東魔法協会の動きが予測より早い、
 安全な所から魔法使いの戦闘を確認したかったけど仕方がない、此方から積極的に動いて魔法使いを調べよう。
 作戦の最終段階も明日の夜に変更しよう」



横島が最初に用意した作戦を簡単に言えばこうである、
『不審な霊能者が麻帆良に潜入、
 裏の人間ともGSとも判断がつかない為に手を出しあぐねる。
 裏の人間なら排除、GSなら妨害だが判断がつかないため監視にとどめる。


 その間に自分たちは魔法使いと敵対者の戦闘を眷属で観ながら情報収集する、
 作戦の最終段階では万全の態勢で彼女に接触し依頼を達成、
 身元や目的が判明した時点ではすでに麻帆良にいない』である。


その為にわざと霊能者らしい会話をし部屋に除霊具を残していた、
しかし、関東魔法協会が予想以上に情報収集能力の高い組織のようでこのままでは追い込まれる予感がした、
少々危険ではあるが積極的に行動し作戦を早める決断をした。



[24832] ◆GSvs魔法使い6◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/11 17:00
最初は麻帆良学園のはずれにある森、人々がそろそろ寝始める時間それは始まった。
妖蝶が50匹ほどの群れを作り学園の結界を超えてやって来たのだ。



「プールをはさんだ○こう側♪~アイツの視線気○かないふりして♪~慌てて決めるボ○ィーライン♪~」
近右衛門の携帯電話が鳴る、着メロはア○ドリング!!!のプール○イド大作戦である、
相手によって着信音を変えている、こんな所も近右衛門のおちゃめな性格が現れている。



「ジジィ私だ、森から侵入者だ数は約200、小型だが魔の気配がする。
 報告は以上だ、私は今から寝るので朝まで起こすなよ」


「エヴァンジェリンか? いやいやスマンとは思うんじゃが出来れば寝ずに引き続き監視して欲しいんじゃが」



電話を掛けてきたのは先日『血』と『真面目に学校へ行く』を賭けてネギ・スプリングフィールドと戦った
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、外見はただの10歳の少女だが600歳を超えている。
『ハイ・ディライトウォーカー』と呼ばれる日光を克服した真祖の吸血鬼で最強クラスの魔法使い、
『闇の福音』『人形使い』『不死の魔法使い』など数々の異名を持つ魔法界では600万ドルの元賞金首。
現在は『登校地獄』と『学園結界』により魔力が極限まで封じられて麻帆良学園女子中等部で15年間学生生活を送り続けている。




「断る、夜更かしは美容の大敵なのでな、監視ならば明石と弐集院がすればいいだろ、せいぜい頑張るのだな」


「実は麻帆良に不審な男女が滞在しておっての」


「なに!! 私は何も感じなかったぞ!」


「普通に電車で麻帆良に入ったようじゃ、今は麻帆良ホテルにいるがこの侵入者に関わりがある可能性がある、
 タイミングを考えても偶然とは考えにくい。
 今夜の侵入者は何かの前触れの様な気がするのじゃ、あくまで勘なんじゃがの」


「ジジィの勘か・・・どんな奴らだ?」


「男の方はGS、名前は横島忠夫です年齢19歳、横島心霊事務所の所長。
 女性の方は正体不明まったくの謎じゃ、
 二人ともイノチノシヘンでもなにも解らなかったようじゃ」


「なに!! イノチノシヘン?!
 ジジィ貴様アルの居場所を知っているのか?! さっさと吐け」


「それは秘密じゃ、時が来ればいずれ教えよう」


「本当だろうな? しかしイノチノシヘンがな、
 面白いなそいつ等は私が直々相手してやろう、動くときは必ず連絡をよこせ」


「いや、それよりも侵入者の監視をして欲しいんじゃが」


「フンッ、そんなモノはお前たちだけで相手していろ、
 くだらないモノ相手に私は出る気はない!!」


プッ・ツー・ツー・ツー



また一方的に電話を切られる近右衛門、もしかすると関東魔法協会のトップとして威厳が足りないのかも知れない。
森エリア担当の魔法使い達は被害もなく妖蝶を殲滅できた。
しかし今度は麻帆良の南から妖蝶の群れが侵入して来た、それを殲滅し終えると今度は東と西から同時に侵入して来る。


妖蝶は世界樹を目指し進行してくる、そして世界樹に取りつき魔力を吸収しようとする。
樹高270mの世界樹に一度取り付かれると対応が困難である、そのため纏めて一度に対応する事が出来なかった。
魔法使いたちは侵入の知らせがある度に出向いて対応するしかなかった。


エヴァンジェリンはその後も一応侵入の報告をしていたが第七波侵入の報告を最後にサボりを決め込む、
それ以外の魔法使い達は麻帆良中を走り回り対応した。



                  ◆



朝、魔法使い達は疲労困憊だった、なにせ昨夜から朝日が昇るまで何度も何度も妖蝶が侵入して来ていた。
魔法使い達は総出でその対応にあたったがその数が尋常でなかった、最終的には35回の侵入を確認しその全てを殲滅した。
表の仕事に支障をきたす者も少なくないだろう。


そんな魔法使い達の姿を横島とルシオラはホテルで眷属を通し見ていた、
そしてパピリオも自分の眷属である妖蝶を通して魔法使いの戦いを見ていてた。
三人は距離があるのでテレパシーを使って作戦会議をしていた。
パピリオはまだ麻帆良には居らず妖蝶のみを麻帆良に侵入させていたのだ。
昨夜の行動はパピリオによる威力偵察、小規模な攻撃を行うことによって敵情を知る偵察行動である。



(パピリオお疲れ様、どうだった?ここの魔法使い達は)


(人間にしてはなかなかでちゅ、物理的な攻撃力だけならGSより強いでちゅよ、
 霊的攻撃力は大したことなかったでちゅね、その辺の浮遊霊にも苦労するレベルでちゅ)


(まあ除霊は専門外みたいだし幽霊みたいな物質を伴わない純粋な霊的存在は苦手なんだろ、
 性質から考えると対人用の攻撃魔法だな、嫌な魔法だよな~)
 

(半霊半物質の妖怪なんかにも有効ね、
 あとは結界魔法や召喚魔法もある様だからそれらを破るのに効果的な魔法もあるでしょうね)


(雷系の攻撃が近くのビルの避雷針に落ちずにパピリオの眷属に当たったのはどういう理屈だ?)


(魔法攻撃の追尾機能は便利そうね、私も研究してみようかしら)


(パピリオどうだ?今夜の作戦いけそうか?)


(まったく問題ないでちゅ、任せるでちゅ!!)


(作戦中は俺とルシオラはパピリオと別行動だからすぐにフォローには行けない、無理はするなよ)


(神魔は高位な霊的存在、今私たちがこうして実体を持っているのは自分の魔力で体を具現化しているから
 ここの魔法使い達には相性が悪いでしょうね、だからきっと大丈夫よ)


(ヨコチマは心配性でちゅね~)



パピリオは魔神アシュタロスが大戦決戦時に作り出した魔族の三姉妹の三女、神魔と戦う為に作られた存在である。
その眷属も同様で神魔と戦う為のモノであり魔法使いとはいえ人間相手に殲滅される事は無い。
昨夜は本当に殲滅された訳ではない、ある程度攻撃を受けたら自ら消えていたのだ。
そしてその日の夜、横島心霊事務所は作戦の最終段階に入った。



[24832] ◆GSvs魔法使い7◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/12 19:29



近右衛門と高畑は明石教授から昨夜の妖蝶侵入についての報告を聞いていた。



「明石教授、こちらの状況はどうなっておる?」


「魔法教師と魔法生徒は共に怪我をした者はいません。
 ただ人員の約30%が本日中の魔力と体力の回復は無理でしょう、それ以外の者は問題なく活動可能です。
 町に損害はありませんでした、世界樹は現在調査中です、目撃者も現在報告にありません。
 現在の状況は以上です」


「横島忠夫と女性の昨夜の行動は確認出来ておるかの?」


「部屋から一度も出ていません」


「盗聴の結果は?その時彼らは部屋でなにをしておったのかの?」


「盗聴器は取り外され、それをネタにホテルに慰謝料と口止め料を請求されました。
 『ネットに証拠付きで噂を流す』と言われ泣く泣く要求を飲んだそうです、
 額はここにホテルからの請求書があります」


「こ、これはシャレにならん金額じゃの、すまんが後で持っていくと伝えてくれ、
 他に無ければ下がってよいぞ」



近右衛門は明石教授を下がらせ高畑と事後総括をする。
どうも関東魔法協会はトップダウン方式で物事が決まるらしい。



「妖蝶は横島忠夫と関係があると思うかの?」


「証拠は無いですが関係あるでしょうね、不審なGSが麻帆良に入った同じ日に妖蝶の侵入、
 しかも妖蝶の波状侵入は明らかに組織的でした、これは今までに無かった事です偶然とは考えにくい」


「やはりキミもそう思うか、しかも昨晩の行動はおそらく威力偵察じゃろうな、
 こちらの戦力はおおよそ知られてしまったと考えて間違いないじゃろ」


「ええ、偵察と解っていても世界樹の魔力を狙われては対応せざる負えない・・・
 しかも彼らにつながる証拠は残していません、いやらしいやり方です」


「タカミチ君、ネギ君はどうしておった?」


「アスナ君と共に女子寮周辺の妖蝶を相手していたそうです」


「ふむ・・・」


「学園長の悪い予感が当たりましたね」


「まだ続いておるわい、更に予感が増しておるくらいじゃ」


「昨夜が偵察だとすれば」


「近いうちに本格的に動くという事じゃ、おそらく今夜じゃな。
 昨夜の目的にはこちらの戦力削減の意味もあったのじゃろう、
 動くのが遅ければ戦力が回復するし応援を呼ばれるかもしれない」


「学園長は横島忠夫の目的は何だとお考えですか?」


「わからん、自分の意図を悟らせない様に行動しておる、少なくとも世界樹ではないじゃろうの」


「それは何故ですか?」


「・・・勘じゃ」



もちろんこの様子は学園長室にいる眷属を通して横島とルシオラに知られている。
これは近右衛門の油断、麻帆良は自分たちの縄張りで学園長室はその本丸、
そこで自分たちが監視されているとは想像すらしていない。

そして近右衛門の失敗は横島を重点的に調べた事、調べるべきはルシオラの方だった。
ルシオラを重点的に調べていればもしかするとTV映像から魔族だと判明していたかもしれない。
魔族は重要なファクターである、ならば対応も変わっていただろう。




                  ◆



夜、パピリオは麻帆良の町を一人楽しげに歩いていた、
挑発するかのように魔力を隠さず堂々と世界樹に向かって歩いていた。
その姿はその正体を知らない者が見れば非常に愛らしく保護欲をそそられるほどだった。



「君ちょっといいかな、君たちはいったい何者かな?なんの目的でこの学園にやって来たんだい?」


「いきなりでちゅね、オマエは誰でちゅか」



暗がりから高畑が現れパピリオに声を掛ける、彼は侵入者の報告を受けてやって来たのだ。
高畑は相対する幼女が悪魔だと解る、それも溢れ出る魔力からかなり上位の悪魔だ。
そして目の前の悪魔が横島忠夫と妖蝶に関係している事を微塵も疑っていない。



「僕は高畑・T・タカミチここの警備員みたいなものだよ」


「警備員がパピに何の用でちゅか?」


「僕と来てもらえないか? 学園長が君に聞きたい事があるらしいから此方の指示に従ってほしい」


「お断りでちゅ、どうしてパピが従わなきゃいけないんでちゅか」


「交渉決裂かしょうがないね、手荒なまねはしたくは無かったが腕ずくでも従ってもらうよ」



そう言って高畑は戦闘準備に入る体に魔力と気を巡らせズボンのポケットに両手を突っんだ、高畑の得意技の居合い拳の構えである。
高畑は長年世界中を飛び回り危険な仕事を進んで引き受けてきた、その経験と勘が警鐘を鳴らす『目の前の悪魔は強い』と。
パピリオも合わせるかのように魔力を高める、二人を中心に種類の違う魔力が吹き荒れ空気が戦場のそれ変わる。
そして・・・



「なるほど、『 言うことを聞かなければ殴るぞ 』と言う訳でちゅね、なら此方にも考えがありまちゅ」


「出来れば大人しく従って欲しいんだが抵抗すると言うのなら容赦しない、命は保障するがかなり痛いよ?」


「お、お巡りさ~ん!!助ちゅけて~!!!!幼女誘拐でちゅよ~!!変態のロリコンでちゅ!!!」


「突然なにを!!」



パピリオの叫び声は魔力と合わさって言霊となり認識阻害の魔法を破壊した。
高畑は軽いパニックに陥っていた、この場にはそぐわない言葉の数々、此処は戦場も同然だったはず。
しかも自身そんな事を言われたことは一度も無いし身に覚えもない。
高畑は状況が整理できずに戸惑っていると更にパピリオが追い打ちを掛ける。



「パピの体を己の欲望の赴くままに蹂躙し、イカ臭い体液で私の純潔を穢そうとする変質者が出まちたよ~!!!」

「君!!いったいどういうつもりで?!」



そこへタイミング良く青い制服の公務員たちが現れた、市民の味方、正義感の使者、警察官の登場だ。
警官の一人がパピリオにの前まで来ると腰を降ろし視線の高さを合わせると優しく声を掛けてきた。



「お嬢ちゃんどうしたの?」


「この男がパピを何処かへ連れ込もうとしまちた」


「ち、違う!!そんな事はしていない!!
 僕はこの子に聞きたい事があって!!」


「ほう、このお譲ちゃんに何が聞きたいのかな?」


「そ、それはこの場では言えない、
 しかし僕は何もしていない!!決して怪しい者じゃない!!」


「犯罪者はみんなそう言うんでちゅ!!腕ずくでも従ってもらうって言ってまちた」



警察官達がさり気なく高畑を取り囲む、もちろん逃走させない為だ。
パピリオは魔力を抑え体を震わせながら警察官の陰に隠れる、
目に涙を浮かべ助けを求める様に警察官を見る。
この時点で警察官はパピリオを欠片も疑てはおらず逆に『市民を守る』という職務に燃えていた。



「ちょっと署まで来てもらおう、そこで詳しい話を聞かせてもらおうか」


「待ってくれ!! 僕は高畑・T・タカミチ麻帆良学園中等部の教師だよ、学園広域指導員でもある!!」


「つまり淫行教師でちゅね」


「違う!!その子は悪魔で僕を陥れようと嘘を言っているんだ!!」


「パピは嘘なんか言ってまちぇん」


「キサマ!!この期に及んでこの可憐な少女を悪魔呼ばわりか!!!!!!!!」


「本当なんだ!信じてくれ嘘は言ってない!!僕は麻帆良を守る為に!!」


「黙れ!!!この性犯罪者め!!貴様には黙秘権も弁護士もない!!こいつを連行しろ!!」



高畑はテンパっていたのか裏の事情を少しばかり漏らしていた、
必死の弁明も自己保身の言い訳と取られまったく聞き入れてもらえなかった。
そして高畑は連行されていった。


高畑が逃げるのは不可能だった、取り囲まれていたし警官とはいえ一般人に実力行使は問題があった。
顔も見られ身分と名前を言っているので逃げても捕まるのは時間の問題だ、
何よりも逃亡は罪を認めたとみなされる。



「お巡りさん、ありがとう御座いまちた」


「いいんだよ、君たち市民を守るのは僕たち警察官の使命だからね」



高畑がパトカーに乗せられこの場から消えたあとパピリオは警察官にお礼を言った。
残った警察官も良い笑顔でパピリオの頭を撫でながら去っていった。
パピリオもまさか本当に警察官が来るとは思っていなかった、
認識阻害の魔法を破り町中で一般人の注目を集める事によって相手の行動を封じる予定だった。
高畑の最後のセリフは『この悪魔ぁぁぁ!!!!』だったらしい。



[24832] ◆GSvs魔法使い8◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/12 19:30


パピリオが世界樹に到着すると大勢の魔法使い達が待ち構えていた、高畑が警察官に捕まっている間に集結していたのだ。
魔法使い達が集結する時間が稼げたのだから高畑の逮捕も無駄ではなかった。
しかし本当なら世界樹に近づけさせたくなかった、だから高畑は町中でパピリオに接触したのだ。
魔法使いにとって町よりも世界樹の方が重要なのだ、
町が大事なら争いの種でもある世界樹の近くに学校や町を築いたりしない。


そして横島の作戦でもここが予定作戦地域だった、先ほどの高畑は予定外だった町中での戦闘は避けたかった。
つまりこの状況はパピリオも望んでいた状況なのである。



「大勢いまちゅね~、パピに何の用でちゅか」


「先ほどは高畑さんがお世話になったようですね、
 では改めて聞きます、あなた達はいったい何者なんですか?目的は何なのです?」



葛葉 刀子が答える、刀子は京都神鳴流の剣士であり陰陽術師でもある、正確には魔法使いではない。
眼鏡をかけストレートロングの髪をした美女、ちなみに20代後半のバツ1である。
京都神鳴流とは、魔を討つ為に組織された剣術の流派である、巨大な野太刀を使用し気を操る。



「質問の多いオバちゃんでちゅね、パピはパピリオ、目的は世界樹の魔力を貰いにに来まちた。
 オバちゃんは誰でちゅか?パピに何の用でちゅか?」


「オ、オバちゃん!!! 私は葛葉 刀子ここの警備員です、
 そして、世界樹から魔力を奪うと言うのならそれを阻止しあなたを滅します、
 それが嫌なら今すぐ真帆良から出て行きなさい!!」


「怖いオバちゃん出でちゅね~ 怒り過ぎると皺が増えまちゅよ。
 魔力ぐらい分けてくれても良いじゃないでちゅか、独り占めは良くないでちゅよ魔力はみんなの物でちゅ」


「ここは関東魔法協会の管理する地、勝手な真似はさせません!!」


「そんなの知りまちぇん、そんな人間が勝手に決めた理屈は魔族のパピには関係ないでちゅ」


「やっぱりあなた悪魔だったのね、だったらなおさら魔力は渡せません!!」


「あんまり無理をしない方がいいでちゅよ、もう無理の出来ない歳なんでちゅから、
 帰ってダンナ様や子供の相手をしてた方が良いでちゅよ」


「悪かったわね!!私は独身よ!!」


「え!その歳で?それは・・・ 寂しいでちゅね、ごめんなちゃい無神経な事言って。
 でも大丈夫でちゅよ、きっと今にいい人が現れまちゅよ?」


「悪魔が憐みを掛けるな!! 疑問形で慰めるな!!」


「冗談でちゅよ、ギャグパートはこれで終了、今からはシリアスモードでいきまちゅよ、
 それで誰が相手でちゅか?一度に全員で来ても良いでちゅよ手間も省けまちゅし」



刀子の触れて欲しくない所を刺激しまくるパピリオ、刀子のこめかみに血管が幾つも浮き出る。
パピリオは今まで抑えていた魔力を開放して戦闘態勢に移行する。
その力に刀子は少し気押される、今まで対峙してきた敵の中でも文字通り桁外れの力を感じる。



「この人数に強気な発言ですね、ではその様にさせて頂きます、斬魔剣!!」



刀子は気丈にそう答えると一瞬で距離を詰めいきなり奥義を使用する、やはり激怒していた様だ。
それと同時にパピリオを囲むように移動していた魔法使い達も攻撃を開始する。
そして何百何千の攻撃魔法がパピリオに襲いかかる、辺りは轟音と土煙りで何も見えない、誰かが攻撃中止を命令し攻撃が止む。
魔法使い達はこれで終わったと思った、それほどまでに熾烈を極める攻撃だった。



「戦術的にみて少数を倒すには、退路を断ち集中砲火を浴びせた方が確実な戦果をあげらまちゅ。
 この場合、包囲、殲滅という作戦をとった敵の司令官の判断は正しい。
 ちかち・・・
 こちらの戦力を把握する前に行動を起こすべきではなかったでちゅ」



攻撃が止み土煙りが晴れ無傷のパピリオが現れる、DVDで見たアニメの影響だろうかピエロなテロリストのセリフを言う。
魔法使い達はオーバーキルと思えたほどの攻撃に傷一つ付いて無い敵に愕然とする。


無傷なのは理由がある、予め文珠を装備していたのだそれも二文字入れられる双文珠【守/護】を持っていた。
【文珠】とは霊力をビー玉程度の大きさに凝縮したもので、漢字の念を込めることで様々な効果を起こす。
パピリオは普段から【守/護】と【反/射】の文珠をお守り袋に入れて持ち歩いている、
今回はある理由で【守/護】の文珠だけを装備していた。
もっともパピリオクラスの魔族だと素の状態でも無傷なのだが、今回は未知の魔法に対する保険として文珠を装備した。



「こんなものでちゅか?本気を出しなちゃい、でないと死にまちゅよ。
 まずは倍プッシュでちゅ」



そしてパピリオは両手から無数の魔力弾を放つ、その数は先ほどの魔法使い達の攻撃以上だ。
魔法使い達は予想以上の力を持つ敵に対して焦り碌に連携も取れずに反撃する、中には恐慌状態の者もいる。
麻帆良の魔法使い達で大規模な集団戦の経験がある者は少ない、麻帆良内での警備では2,3人でチームを組むのが通常だ。



                  ◆



「始まったみたいだな、こちらも行動開始だ」


「予定より時間は少し遅れているわね、パピリオったらやり過ぎなんだもの・・・
 あの男の人は大丈夫かしら」



世界樹広場でパピリオと魔法使い達との戦いが始まった頃、眷属を通してその様子を確認した横島とルシオラは行動を開始する。
ルシオラが言っているのは高畑の事、
おそらく関東魔法協会の影響力は麻帆良の警察にも及ぶ、裏から手をまわして釈放されるだろ。
しかし一般人の目撃者がいれば噂となり社会的には死んだも同然だ。


二人は目的地に向かって歩いていた、周りは木々で覆われており少し寂しげな雰囲気だ。
横島はいつものGジャン・Gパンではなくスーツを着ている、バンダナも外し髪をオールバックにしている、
ルシオラも珍しくパンツスーツだ、もしもの戦闘を考えスカートではなくパンツを選択している。


そしてあるログハウスの前に着くとチャイムを鳴らす、
中からライムグリーンの髪をしたメイド服を着た無表情な少女が出てきた、
明らかに人間では無い耳に当たる部分からセンサーらしきい物が生えている。


「どちら様でしょうか?」


「夜分遅くに申し訳ありません、
 私は横島心霊事務所の所長でGSの横島忠夫と申します、こちらは除霊助手のルシオラです。
 ピエトロ・ド・ブラドー氏の依頼で伺わせて頂きました、
 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル様は御在宅でしょうか?
 これをマクダウェル様にお渡しくださいブラドー氏からの手紙です」


「少々お待ちください、今マスターに確認してまいります。」



メイド少女は手紙を受け取り主人にお伺いを立てに行く、
少しするとメイド少女が戻ってきた。



「お待たせしました、マスターが話を聞くそうです、どうぞお入り下さい」


「失礼します」



昔の横島を知る者がこの横島を見れば偽物だと思うだろう、
これは独立の為に習得した言葉使いだ、スーツも仕事で人前に出る時は必ず着用する。
若い横島が少しでもクライアントに信用される為にこのスタイルになった。
若手GSナンバー1と業界内では有名だが一般人であるクライアントには見た目も大事なのだ。
そして横島はリビングに通されると改めて挨拶をする、彼女については一通りピートに話を聞いている。



「初めまして、私は横島心霊事務所の所長でGSの横島忠夫と申します、こちらは除霊助手のルシオラです。
 ピエトロ・ド・ブラドー氏の依頼で伺わせて頂きました」


「私がエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ。
 まさか麻帆良で今一番警戒されている者が其方からやって来るとはな。
 手紙は読んだしかし信用出来んな、
 古い知り合いの名が出たので会ってやったが私を退治しに来たGSかもしれんからな」
 

「でしょうね、では今からブラドー氏に連絡します、直接お話し下さい」 


「通信鬼」


横島がそう言うとルシオラは何処からともなく蝙蝠の羽根の生えた小さな魔物を呼び出し横島に渡す。
通信鬼とは神魔がよく使う携帯電話のようなモノだ。



「もしもしピートか?彼女は無事だ、
 今のところ予定通りだ、そうだ、いま彼女と会ってる目の前にいるよ、
 彼女と変わるからピートからも説明してくれ、じゃあ変わるぞ」



少し会話をすると通信鬼をエヴァンジェリンにさしだす、
エヴァンジェリンはいきなり変なモノを渡されて少し迷ったが受け取った。


ピエトロ・ド・ブラドーはヴァンパイアハーフでありGSでもある、外見は10代後半の美男子だが年齢は700歳を越える。
優しい性格で正義感が強く生真面目、神聖な力と吸血鬼の能力を同時に操ることができる。
現在はICPOの超常犯罪課、通称『オカルトGメン』に就職している。



「もしもしエヴァンジェリンさんですか?お久しぶりですピートです」


「ピート、本物だろうな?」


「本人ですよ、エヴァンジェリンさんと初めて会った時の事でも話しましょうか?
 あれは確か・・・・・・」



ピートは淡々と当時の話を始める、どれも本人でなければ知らない事ばかりだ、
エヴァンジェリンも質問をしながら確認していく。



「確かに本人だな、ところでこの手紙はどういうつもりだ?」


「その内容通りです、時間が無いので手短に言います僕が彼らに依頼しました、
 そこに居る人たちは僕の親友で信頼できます、必ずエヴァンジェリンさんの力になってくれます」


「ほほう、貴様がそこまで言うのなら話ぐらいは聞いてやる、
 しかし最終的にどうするかは私が決めるぞ」



そう言うと通信鬼をルシオラに返す、
この会話に通信鬼を使ったのは携帯電話では盗聴の可能性がある為、
依頼人であるピートを知られる訳にはいかない、ピートには事前に通信鬼を渡しておいた。
まずは信用を得られたようでエヴァンジェリンから警戒の色が薄れる。



「茶々丸、茶だ」


「かしこまりました」



エヴァンジェリンは横島達の後ろで警戒していたメイド少女にお茶を用意させる。
ライムグリーンの髪をしたメイド少女は絡繰茶々丸といいエヴァンジェリンのメイド兼『魔法使いの従者』であり、
魔法と科学を融合させたガイノイドタイプのアンドロイドである。



「話を聞こうかGS横島忠夫」


「改めて説明させて頂きます、私たちはピエトロ・ド・ブラドー氏の依頼で参りました、

























 依頼内容は貴女の救出です」



[24832] ◆GSvs魔法使い9◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/13 17:11

「学園長!!例の二人に動きがありました。
 二人は今エヴァンジェリンのログハウスに向かっています」


「なんじゃと!!こんな時にか?
 いや、こんな時だからか世界樹の騒ぎは陽動、本命はエヴァか?!」



横島とルシオラが行動を開始した数分後、明石教授があわてて学園長室に駆け込んで来る、
その報告を聞いてようやく近右衛門は横島忠夫の目的の一部に気が付く、しかに未だのその全容は解らない。
エヴァンジェリンのログハウスは魔法で覗けない、誰かに行ってもらわなければならない。



「タカミチ君は?」


「現在世界樹で悪魔と交戦中です」



どうやら高畑は本当に関東魔法協会が手をまわして釈放してもらったらしい。
現在、世界樹での戦闘は高畑を含めた少数で戦っている、死んだ者こそ居ないがほとんどの者が戦闘不能で動けない状況だ。
今の高畑に戦線を離れログハウスへ行ってもらうのは不可能だ。
アルビレオ・イマには何度も連絡したが電話には出なかった、今回は傍観を決め込むつもりだ。



「残りはロリコンだけでちゅ」


「なぜだ!!なぜ封魔の瓶で封印出来ない!! なぜ上位古代語呪文が効かない!!
 上位古代語呪文なら高位の悪魔でも完全に滅ぼすことが出来るはずだ」


「そんな小瓶で封印なんて下級魔族がせいぜいでちゅね、パピには効きまちぇん」



パピリオは体格も思考も子供だが対神魔用にアシュタロスによって作られた魔族である、人間が勝つのは絶対に不可能なのだ。
決戦時での戦いを例にすれば、
一流の能力を持つGSのチームを作り、そのチーム精神感応を以ってを一つの『人間以上』として
戦いなんとか『戦える』レベルになる、けっして『勝てる』レベルではない。


大戦時と比べれば寿命と引き換えに多少パワーダウンしているが、
妙神山での神界屈指の武神による修業はそれを補って余りある。
はっきり言って横島心霊事務所で一番戦闘力の高いのはパピリオである。



「クスクス、それに『高位の悪魔を完全に滅ぼすことが出来る』上位古代語呪文?
 どこの上級魔族が滅せられたんでちゅか? 聞い事もないでちゅね」


「なんだと!!」


「神代の時代じゃあるまいし上級以上の魔族は人界に来れまちぇんよ、唯一の例外はアシュ様だけでちゅ」



その際に神魔最高指導者つまり最上級神魔も人界に現れたのが、これはアシュタロスに許しを与えるために降臨したのである。
本当に高位の悪魔が頻繁に人界に来ていたら人類は既に滅んでいる、
上級魔族が最後に人界に現れたのが約2000年前でキーやん誕生以来現れていない。


そして約2000年間使うことのなかった呪文が伝承出来る訳がない、
つまり魔法使いの言う『上位悪魔』とGSの言う『上級魔族』はイコールでは無い。
上位古代語呪文はネギも使える、しかし才能があろうと10歳の子供に『上級魔族』を完全に滅ぼす事が出来る訳がない。
そもそも上級神魔は『魂の牢獄』に囚われ滅ぼされてもすぐ復活する、そう世界意志に定められている。



「しかし弱いでちゅね、よくこの程度の腕で今まで生き残れまちたね、
 本物の魔族を相手にするのは初めてでちゅか?」


「馬鹿にするのは止めてもらおう!!
 我々は今まで悪魔から人々を守り戦い抜いてきた、戦うのは初めてなんかじゃない!!」


「この程度じゃ召喚されて制約の付いた下級魔族ぐらいしか相手になりまちぇんよ、
 本物の魔族が相手じゃ封印も消滅も無理でちゅ」


「なんだと!!そんな筈は・・・」


「そろそろ時間でちゅね、みんな出てきなちゃいお仕事でちゅよ。
 では魔法使いの皆様お休みなちゃい」



パピリオは眷属である妖蝶の大群を呼び出し鱗粉結界を張る、そして動けずにいた魔法使い全員を眠らせる、
最後まで闘っていた高畑も鱗粉を吸いこんで眠ってしまった。
妖蝶の羽から出る燐粉には強力な麻酔毒が含まれていて吸い込む事で眠らせる事が出来る。



「ルシオラちゃんに連絡してお仕事は終了でちゅ♪
 後は餌の時間でちゅ、みんないっぱい食べなちゃい、逆天号もたくさんお食べ」



パピリオは妖蝶に世界樹の魔力を吸わせる、
ポケットから取り出したヘラクレスオオカブトに似たモノにも魔力を吸わせる。
これはアシュタロスが創り出したカブトムシ型の移動要塞『逆天号』である、魔神大戦では108の神魔の拠点を全て破壊した。
最強装備の断末魔砲は一撃で神族の拠点である妙神山を壊滅させ、防御力は神魔の兵器さえ受け付けなかった。
大きさは伸縮自在である。
良質な餌があるのを知ってわざわざ持って来ていたのだ。
ペット?を飼うのはパピリオの趣味で寿命が短かった頃の代償行為のなごりである。



此処でのパピリオの役目は二つある。
一つ目は魔法使い達を引き付け横島たちの邪魔をさせない事、
二つ目は魔法使いの報復する意志を削ぐ為に力の差を見せつける事。
だから一撃目はわざと避けずに受け止めたのだ。
普段は二つ持っている双文珠を【守/護】だけ装備したのは魔法使い達が【反/射】の文珠で跳ね返された自分達の魔法で死なない様に。
殺さなかったのは復讐心を芽生えさせない為、生き残って絶対的な力の差を他の者に伝えさせる為である。



                  ◆



「世界樹へ派遣した者たちは全滅しました!!現在、悪魔は世界樹の魔力を強奪中です」


「全滅じゃと?!他に動ける者は誰かおらんのか」


「警備員は誰も居ません!!
 療養中の者もまだ誰も回復していません」


「・・・・・・世界樹の悪魔への迎撃は中止、以降は監視のみ続けるのじゃ。
 怪我人は悪魔が移動したらすぐに救出、
 救助要員はいつでも出動出来る様に待機をしておくのじゃ」



学園長室で世界樹の様子を見ていた近右衛門と明石教授は全滅という結果にショックを受けた。
しかし取り乱す事無く現状を整理し次の行動を考える。


予想以上の被害だが世界樹は状況が変わるまで打つ手がない、
そしてエヴァンジェリンのログハウスへ誰かに行ってもらわなければならない。
しかし現時点で動ける魔法使いは『彼』しかいない。



「・・・しかたが無い、ネギ君に行ってもらうしかないの」



現在、強力な悪魔が居る世界樹にネギを送ることは出来ない、
ネギには才能はあるが経験が足りない、はっきり言えば実力不足だ。
ならばログハウスに行ってもらう方が良い、
戦いになるとは限らないしこの緊急事態に戦力温存はあり得ない選択だ。


しかし昨日から続く嫌な予感が最大で警告する、しかしそれが何を意味するのかが解らない。
ネギを早く行かせろという警告なのか?
行かせるなという警告なのか?
近右衛門は携帯電話を手に取った、苦渋の決断だった。



[24832] ◆GSvs魔法使い10◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/13 17:12
「救出だと?!」


「事の起こりはブラドー氏が貴女の魔力を感知した事に始まります、東京に居ても感じるほど大きな魔力だったそうです。
 15年前に貴女が魔法使いに捕まったと聞いて以前から探していたそうです、
 そして方向とおおよその距離そして現在務めているオカルトGメンの資料から麻帆良とすぐに解ったそうです」


「ああ、それには覚えがあるボーヤと戦った時だな、
 学園を覆う結界も無かったし同類の吸血鬼ならば魔力を感知するかもしれないな」


「大きな魔力の放出は戦闘でも無ければありえない、
 つまり緊急事態で貴女に身の危険が迫っていた可能性が非常に高い。
 しかも麻帆良の何処に居るかまでは解らない上に危険が迫っているのなら時間はない、
 そこで私たちに依頼が来たというわけです」


「どうしてピートが直接来なかった?何故わざわざ貴様達に依頼をしたのだ?」


「最初はブラドー氏も参加すると言っていましたが私たちが止めました、
 彼は今はオカルトGメンの公務員です、騒ぎを起こすとクビになるかも知れません。
 それに今吸血鬼が人間社会に受け入れられつつあるのを御存じですか?」


「フッ、冗談はよせ、どうやれば人間が天敵とも言える吸血鬼を自分達の社会に受け入れるのだ?
 そんな事はありえん」


「二年前の魔神大戦、一般には核ジャック事件と呼ばれる事件にブラドー氏はGSとして参加していました、
 現在はICPOという世界的な警察組織に所属しています。
 これらは雑誌やテレビでよく特集を組まれ一般にも知られています。
 社会はブラドー氏の目指す『吸血鬼と人間の共存』に近づいています、
 騒ぎを起こすのは少なからずリスクがありますそれで今回は諦めてもらいました」


「核ジャック事件は私も知っている、あの時は此処でも妖怪やレッサーデーモン復活して大騒ぎだった。
 しかし信じられんな、私が麻帆良に閉じ込められていた間にそんな事になっていたとは・・・」



エヴァンジェリンはワイドショーや女性週刊誌の類を見なかったので知らなかった、時代劇やグルメ番組をよく見ていたが。
さらに機械が苦手でインターネットもしていなかったので人間社会における吸血鬼の現状を知らなかったのだ、
麻帆良という閉塞空間に閉じ込められていたのも原因だ。



「そして私達の事務所に依頼されたのはこういった荒事には慣れているのと、
 ブラドー氏とは親友だからです、高校時代のクラスメイトでGS免許取得の同期になります」


「・・・にわかには信じられん吸血鬼がGSとはな、先ほどもピートは貴様を親友と言っていた、
 しかしなぜ高校なのだ?あいつはあれでも700歳を越えているのだぞ」
 

「ICPOの超常犯罪課に就職する為に採用条件の高卒の学歴を得に私のクラスに編入してきました。
 いくつかの事件で共に戦いいつの間にか親友になっていましたね」


「成程な、それにしても貴様達が荒事に慣れているようには見えん、魔力も霊力もほとんど無いではないか、
 場合によっては麻帆良の全ての魔法使いを敵にまわすのだぞ、
 私は力も覚悟もない者と共に行動する気はない。」


「昔に似たような事を言われた事がありますよ、魔力は私達が一般人に見える様に偽装しているからです。
 仮に全ての魔法使いが敵になったとしてもココから救出が出来る準備はしています、
 もっともその時は麻帆良も無事ではないでしょうがそれは魔法使い達の出方しだいです。
 邪魔をするというのならそれ相応の代価を支払ってもらいます、女の子を閉じ込める様な連中に遠慮はしません。
 大丈夫です私達はマクダウェルさんの味方です必ず助けます」 



努めて丁寧な言葉使いをしているが隠そうとしても隠しきれない魔法使いに対する怒りが漏れ出ていた、
そして目にはある種の決意『どんな』手段を使ってでも救出するという決意があった。
横島からしてみればどんな理由があろうと女の子を閉じ込める魔法使いは人を襲う悪霊や妖怪や魔族となんら変わらない、
そして今までそんな悪霊・妖怪・魔族にはそれなりの対応をしてきた、時には滅する・・・いや殺す事もあった。



「フン、エヴァンジェリンでいい」


「は?」


「エヴァンジェリンと呼んでかまわん」


「そっか、ありがとうエヴァちゃん」


「馴れ馴れしいぞ!そこま許可してない」



力や本当の覚悟はこの様な場では見る事は出来ない、
しかし600年間命を狙われ生きてきたエヴァンジェリンには極めて優れた洞察力があった、
エヴァンジェリンは目の前の横島を見て信頼しうる人間と判断しファーストネームを呼ぶ事を許可した。


そしてエヴァンジェリンは自分を語っていく、
賞金を掛けられ命を狙われ続けた事、
身を守るためにそれを殺し続けてきた事、
15年前に『登校地獄』の呪いを受け学園から出られない事、
学園の結界により魔力のほとんどを封印されている事、
ずっと中学生をやらされている事、
麻帆良で警備の仕事をしている事、
数日前に呪いを掛けた魔法使いの息子と『血』と『真面目に学校へ行く』を賭けて戦った事。




「登校地獄ね~? 何らかの呪術や契約で縛られてるとは予測していたけどふざけた呪いね~」



「そっか中学生を15年もやらされてたのか、俺も高校2年を8年ぐらいやってた様な気がするがそれとは違うんだろうな」


「ヨコシマそれは禁則事項よ!!」


「私にはなんの話か全く解らないが。
 ・・・しかし良いのか?凶悪な吸血鬼を世に放っても、
 私は『闇の福音』『人形使い』『不死の魔法使い』とも呼ばれた悪の魔法使いなのだぞ」


「何だか仰々しいけど大丈夫だろ、エヴァちゃん悪い子に見えないしピートの友達だし、
 それに俺も昔は『人類の敵』って呼ばれてたしな」


「私は『魔王の娘』だしね」



そう言われてエヴァンジェリンは横島とルシオラの正体に気がついた、
横島は核ジャック事件の時にテレビで見た顔だった、ならばルシオラの言う『魔王』とは・・・



「成程な、今世界樹で戦っている魔族は貴様達の仲間だな、陽動という訳か」


「正解♪ 世界樹に居るのは私の妹よ。
 魔法使いが此処に来ない様に引き付けてもらっているわ」



                  ◆



ネギ・スプリングフィールドはエヴァンジェリンのログハウスの前に居た、
横には神楽坂明日菜もいる。
携帯電話に近右衛門から連絡がありエヴァンジェリンの元へ不審者が接近しているのを知らせて来たのだ。
ネギは一人で部屋を出ようとしたが、明日菜が明らかに様子の変わったネギを問い詰め全てバレてしまった。
そして『魔法使いの従者』を楯に強引に付いて来たのだ。


ログハウスに着くなり堂々と玄関をノックして入ろうとするネギ、それを明日菜があわてて止める。



「バカネギ!!なに考えてんのよ!!」



キョトンとした顔で何故怒られているのか解っていないネギ。



「アンタ今魔法が使えないんでしょ?!
 不審者が中に居るかもしれないのよ、堂々と入ってどうすんのよ!!
 まずは外から中の様子を覗うもんでしょ!!」


「あ!!流石ですねアスナさん、気がつきませんでした」


「まったく、エヴァちゃんと茶々丸さんにもしもの事があったらどうすんのよ」



ネギ・スプリングフィールドは
魔法界の『英雄』ナギ・スプリングフィールドを父に持ち、世界を旅し不幸な人々を救った父に憧れている10歳の魔法使いである。
その父を探すため『立派な魔法使い』になる事を目指している。
マジメで責任感が強く英国紳士で礼儀正しいのは良いのだが、
真っ直ぐ過ぎる性格の為にこの様な『人に知られず動く』や『嘘を付く』という行動に向かない。
そのうえドジなところもあり、麻帆良に来て早々に魔法が明日菜にバレた。


神楽坂明日菜は友達思いで面倒見が良く明るく活発な性格であるが、少し怒りっぽい所もある中学生。
渋いおじ様が好きで子供は嫌い、学生寮の部屋には後からネギが居候してきた。
両親がいないので毎朝新聞配達のバイトをして学費を稼いでいる。
ネギとは『魔法使いの従者』の仮契約をしており『魔法無効化能力』という極めて稀な能力を持っている。


二人は此処まで杖に二人乗りして飛んで来ていたが、途中で飛べなくなり走って来た、何故か他の魔法も使えなくなっていた。
普通なら一旦引き返して原因を調べるものだが、
ネギの責任感の強さと明日菜の友達思いの性格が二人を前に進ませた。


ネギと明日菜がログハウスの外を移動していると話し声が聞こえてきた。
二人は急いでその窓の下まで移動し、息を殺して聞き耳を立てると中から



      >「じゃあ、エヴァちゃん茶々丸ちゃん麻帆良から出ていく準備を始めてくれ」


      >「すでに茶々丸に命じて用意してある、いつでも出発出来る」


      >「荷物はここに纏めてありますマスター」



と聞き捨てならない事が聞こえて来た。



「エヴァンジェリンさん!!出て行くってどういう事ですか??!!」



次の瞬間ネギは窓を開け叫んでいた。
ネギのあまりの素早さに今度は明日菜も止められなかった。
様子見のはずが思わぬ会話に動揺し目的も魔法が使えない事も忘れ動いてしまった。



[24832] ◆GSvs魔法使い11◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/14 17:58

「ヨコシマ、誰か来るわ」


「魔法使いか?どんな奴だ」


ネギと明日菜がログハウスに着く少し前、外を警戒していたルシオラが接近者に気付く、
横島はエヴァンジェリンと話し合っていて気が付かなかった。



「子供が二人、男の子と女の子が杖に乗って空を飛んで来るわ、
 このままだとあと5分ぐらいで此処に着くわ」


「子供?!でも空を飛んでるんじゃ魔法使いだよな・・・
 エヴァちゃん知り合い?」


「ああ、それはネギ・スプリングフィールドと神楽坂明日菜だろう」


「友達か?」


「いや、クラスの担任とクラスメイトだ、
 お前達が此処に来たのがジジィに知れたんだろう」


「子供が担任?!どないなっとんねん!!
 で?そのジジィってのは」


「近衛 近右衛門、ここ関東魔法協会の長だ」


「もしかして頭の長い妖怪爺か?」


「知っているのか?そいつが関東魔法協会の長だ。
 一応人間だが」


「どうする?ヨコシマ」


「子供魔法使いが来る前に解呪しちまおう、
 あとは知らんぷりして様子を見よう、
 偵察に来たのなら無視、邪魔しに来たならその都度対応って事で」



横島はそう言うと偽装術を解き力を開放する。
まず最初に意識下からストックしていた文珠を六つ取り出す、そして魔法使いが敵と知って事前に考えていた文字を込める。
ルシオラもそれに合わせて偽装術を解き力を開放する、
パンツスーツから二年前の魔神大戦時のコスチュームに変わる。
二人は戦闘態勢に移行した。



「なるほどそれがお前達の正体か・・・恐ろしいな、
 600年生きた私でさえそれほどの力を持つ者は見たことが無い。
 ルシオラとやらの正体はお前達の話から魔族だと解っていたが、横島忠夫、貴様も魔族だったとはな」


「マスター!!危険です」


「問題ない、それにしても二人とも魔族だったとはな、アルビレオ・イマのイノチノシヘンでも解らないはずだ。
 あれは人間を対象にしたアーティファクトだ、
 魔族相手では記憶を読んだり能力をコピーしたり出来ないはずだ。
 ククク、面白い!!
 貴様たちを信頼し行動を共にしてやろう」



茶々丸はレッドシグナルが鳴りっぱなしだった、
センサーが横島とルシオラを危険だと判断し警告を発していた。
エヴァンジェリンは横島とルシオラを本能で危険と判断していたが、
理性の部分が敵ではないと判断し本能をどうにかねじ伏せる。
茶々丸もエヴァンジェリンの判断に従った。



「ありがとうなエヴァちゃん、
 俺は生まれた時は純粋な人間だったんだけどな、ちょっとした事があって魔族になったんだ」


「ヨコシマ・・・」



横島は何でもないかのように気軽に言う。
ルシオラはそう言う横島を少し悲しそうな目で見ていた。


魔神大戦時に横島はルシオラとベスパの姉妹同士の戦いでルシオラを庇い致命傷を負った、
ルシオラは横島を救うために霊基構造の大部分を彼に与え消えてしまった。
美神令子は横島の子供としてルシオラは生まれ変わると言ったがそれは善意の嘘だったのだろう、
なぜなら転廻輪生するべきルシオラの魂のそのほとんどが横島の中に存在し、
その残りも霊破片として横島が持っているからだ。


ルシオラの復活は不可能に思えた、なぜなら人間の魂は粘土の様にちぎったりくっつけたりは出来ない。
そう『人間』なら不可能だ、しかし『魔族』では?
ルシオラは霊基構造の大部分をを彼に『与え』た。
ベスパは拡散していた魂の破片を『掻き集め』復活した。
つまり魔族なら魂の加工は可能、魔族になればルシオラは救える、
そして迷う事無く横島は魔族になった。
魔族になり自分に与えられたルシオラの魂を削り持っていたルシオラの魂の霊破片と融合させた。



「そんな事より邪魔が入る前にエヴァちゃんの呪いを解呪しちゃおう」


「簡単に言うがどうするつもりだ?私も研究したが結局は掛けた本人が解呪するか、
 血縁者の血液を媒介にするしか方法は無かったのだぞ」


「これを使うんだよ、本当は秘密なんだけど信頼には信頼で応えないとな、
 それに『エヴァちゃん』て呼んでいいって言ってくれたし」


「なんだこれは!!!
 少し待て、茶々丸これからの事は記録するな、
 先ほどこいつ等が魔力を解放していたデータも削除しろ」



横島はそう言うと再び意識下から手の平に文珠を六つ取り出すとエヴァに見せる。
エヴァンジェリンは『ちゃん』付けまで許可はしていないが既に諦めている。
そして見せられたビー玉の様な物体に途方もない魔力が宿っている事に気づき茶々丸にデータの削除を命じる。



「もういいか?これは文珠、ちょっと便利な俺の霊能だ、
 使い方は時間がないからその目で確かめてくれ」



横島は文珠に文字を込める、【登】【校】【地】【獄】【解】【呪】
六つの文珠は横島の手を離れるとエヴァンジェリンの周囲を取り囲むように回り出す、
次の瞬、眩い翠色の光を発するとエヴァンジェリンに光が収束していく。



「どうだ?ちゃんと解呪できてるか?
 感じからしたら成功してるっぽいんだけど、魔力は戻ってるか?」


「フフ・・・ アハハハハ!!解けた!! 解けたぞ!!」
 力が沸いてくるアーハッハッハ!!」


「あー問題なく解呪出来たみたいだな、
 それから魔法は少しの間使えないからな注意してくれよな」


「なんだと!!どういうことだ?!解呪出来たのではないのか」


「解呪は出来てるよ、魔法が使えないのはコレのせいだよ」



そう言って横島は先ほどスーツのポケットにしまっておいた文珠をエヴァンジェリンに出して見せる。
横島は魔族となってから文珠の制御数が飛躍的に増えた、複数同時制御もなんなくこなす事が出来る。


既に並行世界となってしまったが未来の横島は人間でありながら14個の文珠を制御している、
横島が魔族となり制御数、生産数、保持数、マイト数は大きくそれを超えた。
応用範囲も広がり、使用時のタイムラグも短縮した。
文珠は神器と言われるほど万能である、しかし昔はそれを使う横島が逆に枷となっていた、
人間としての認識の限界、意識・無意識の干渉、そしてなによりも『文珠使い』として初心者だった。
パソコン初心者にスーパーコンピューターを与えた様なもの、まったく使いこなせていなかった。



「これは・・・貴様は魔法使いの天敵だな」


「魔法使いが来るって聞いて用心の為にな、転ばぬ先のなんとやらだ。
 子供魔法使いも飛べなくなって今頃は走ってるだろ、だから来るのにもう少し時間がかかるな」


「ヨコシマ、パピリオから連絡があったわ『お仕事終了』ですって」


「『お疲れさん、もう少し待ってて』って伝えといてくれ」


「OKヨコシマ、
 それとこっちに来ていた二人が着いたわ」


      >「バカネギ!!なに考えてんのよ!!」


「来たか、とりあえずは気づいてないフリしてよう、良いか?エヴァちゃん茶々丸ちゃん」


      >「アンタ今魔法が使えないんでしょ?!
        不審者が中に居るかもしれないのよ、堂々と入ってどうすんのよ!!
        まずは外から中の様子を覗うもんでしょ!!」


「ふん、私は初めっから馬鹿どもの相手などする気はない」


      >「あ!!流石ですねアスナさん、気がつきませんでした」


「わかりました」


      >「まったく、エヴァちゃんと茶々丸さんにもしもの事があったらどうすんのよ」



ネギと明日菜の会話は横島たちに丸聞こえだった。
眷属で聞いた訳でも魔法を使った訳でも無い、ネギと明日菜の声が大きいだけだった。
特に明日菜の怒鳴り声はよく聞こえた。



「じゃあ、エヴァちゃん茶々丸ちゃん麻帆良から出ていく準備を始めてくれ」


「すでに茶々丸に命じて用意してある、いつでも出発出来る」


「荷物はここに纏めてありますマスター」


「エヴァンジェリンさん!!出て行くってどういう事ですか??!!」


突然ネギが窓を開けて会話に乱入してきた。



                  ◆



横島はエヴァンジェリンに許可を取りとりあえずネギと明日菜を家に入れた。



「え~と、君たちは?」


「ネギ・スプリングフィールド、エヴァンジェリンさんと茶々丸さんの担任です」


「私は神楽坂明日菜、二人のクラスメイトよ」


「おれは横島忠夫GSだ、こっちは助手のルシオラ。
 でも二人とも覗き見はいけないな」


「あら、ヨコシマがそれを言うの?
 いっつも私のシャワーを・・・」


「ち!違うんや!!若さだ!若さがいかんのやー!!!」



ルシオラの思わぬ暴露に頭を抱え床を転げまわる横島、そんな横島を冷めた目で見るネギと明日菜。
ルシオラと暮らしているくせにいまだに覗きを続ける横島は確かに若い、
しかしルシオラも覗かれているのは分かっているのだからそういったプレイであるとも言える。



「そんな事より!!エヴァンジェリンさん、麻帆良から出ていくってどういう事ですか?!」


「そのままの意味だ、私は今からここから出ていく、それだけの事だ」


「学校はどうするんです!?真面目に学校へ行くって約束したじゃないですか」


「なに家庭の事情ってやつだ、サボる訳じゃない」


「け、けど!呪いは?」


「それならさっき俺が解呪したよ、それよりもどうして窓の外にいたんだ?」


「私たちはエヴァちゃんと茶々丸さんの家に不審者が来たって聞いて様子を見に来たのよ」


「そんなアッサリ解呪したって・・・僕それでエヴァンジェリンさんと命懸けで戦ったのに・・・」


「あら?命懸けで戦ったって、エヴァちゃんが前に戦ったのってもしかしてネギ君?」


「そうだコイツが英雄ナギ・スプリングフィールドの息子、ネギ・スプリングフィールドだ、
 不本意ながら私は負けてしまったがな」


「10歳の子供を戦わせるって此処の魔法使いは頭がおかしいのか?
 もしかして明日菜ちゃんもその時に戦ったのか?」


「エヴァンジェリンさんと戦ったのは僕の意思です、強制された訳じゃありません!!!」


「私はネギを助けたくて戦ったわ、自分の意思よ」



横島はここの魔法使い達がここまで酷い組織だったとは思っていなかった、
まさか女の子や10歳の子供を戦わせるとは、思わず嫌悪感が感想に漏れてしまった。
横島の周りにも戦う『女性』は多かったが『女の子』はいなかった、
かろうじておキヌがそれに当たるが彼女は幽霊時代からの事なので少し事情が違う。
他には人外の女の子たちにも多くいたが人間と人外では在り方が違う、
横島に神魔妖の垣根はないがそれは人間と同じ様に接するのとは意味が違う。



「子供を戦わせるのはいかんやろ、
 たとえ自分の意思だったとしてもそれを止めるのが大人だし、
 戦う必要があるのなら大人が戦わないと」


「ねえネギ君あなた学校の先生よね、例えば生徒が戦おうとしていたら貴方ならどうする?
 戦いを止める?それともそれを戦うのを見過ごす?」


「そ、それは・・・」


「無駄だそれぐらいで止めてやれ、ぼーやはジジィの書いた『新たなる英雄誕生』というシナリオに踊らされたに過ぎん、
 戦う意志さえもコントロールされた情報の結果だ、神楽坂明日菜はそのとばっちりだな」


「そんなまさか!! 学園長はそんな人じゃありませんあの人は立派な魔法使いです」


「甘いなぼーや、あの狸ジジィならそのくらいの事はやるさ、
 好々爺に見えても奴は関東魔法協会の長だぞ、目的の為に非情になる事など当然の心得だ」


「エヴァちゃんなにか知ってるのか?」


「少し考えれば解ることだ。
 魔法界は『新たなる英雄』を必要としている、
 そしてジジィの元へ『英雄の息子』が来てそこには『悪の魔法使い』が居る。
 後は小学生でも書けるシナリオだ、『悪の魔法使い』を『英雄の息子』が成敗して『新たなる英雄』誕生だ」


「そんなのエヴァちゃんの想像じゃない。
 学園長先生は身寄りのない私を学校へ通わせてくれているのよ、普段だって気に掛けてくれているわ」


「他にもあるぞ、吸血鬼騒ぎは何故ぼーやだけが動いた?ジジィやタカミチは出張って来たか?
 ここは関東魔法協会の本拠地だぞ吸血鬼騒ぎに気がつかない訳がない。
 ジジィもタカミチも私が真祖の吸血鬼だと知っている、ぼーやは奴らからそれを聞いたか?
 寮の風呂場や橋の戦闘跡は誰が始末した?用意が良過ぎるとは思わなかったか?
 何故騒ぎを起こした私は何の罪にも問われなかった?」


「それは・・・」


「・・・」



証拠がある訳ではない、しかしエヴァンジェリンの説明には矛盾がなく説得力があった、
ネギは言葉を詰まらせ明日菜に至っては言葉すら出ない。



「・・・ルシオラ少し計画を変更していいかな?ちょっと寄る所が出来た、
 エヴァちゃん茶々丸ちゃんも良いかな?」


「何を考えている?横島忠夫」


「立つ鳥跡を濁さずって言うし、黙って出ていくってのも何だしな」


「逆じゃないかしら?掻き回すだけ掻き回して逃亡っていういつものパターン」


「・・・なるほどな、確かに最後にケリを付けないと『悪の魔法使い』として名折れだな」


「マスターがあんなに楽しそうに」


横島がニカッと笑ってそう言うとルシオラとエヴァンジェリンは大凡察しが付いたようだ。
茶々丸はエヴァンジェリンの嬉しそうな笑顔に喜んだ。



[24832] ◆GSvs魔法使い12◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/14 18:00
「ネギ君が消息不明になりました!!魔法で追跡していましたがエヴァンジェリンのログハウス手前で音信途絶、
 現在の所在が掴めません生死も不明です」


「何じゃと?!ネギ君が行方不明じゃと?!」


「非戦闘要員でも良い、誰かに確認に行ってもらってくれ所在の確認だけでよい、戦闘は避けるように」



近右衛門は指示を出すと明石教授はすぐさま学園長室を出ていく、
『英雄の息子』を預かる責任者として最優先事項はネギの身の安全だった。
『新たなる英雄誕生』のシナリオを書いたのは近右衛門だ、しかしそれは魔法界上層部の意向を受けて近右衛門が書いたもの。
それゆえの非戦闘要員まで動員してのネギ捜索だった。


明石教授が学園長室を出てると同時に翠の光が学園長室を満たす、
その光が止むとそこには4人の人影、横島とルシオラとエヴァンジェリンと茶々丸が現れる。



「挨拶に来てやったぞ近衛 近右衛門」


「初めましてだな関東魔法協会の爺さん」


「エヴァンジェリンと横島忠夫か、まさかそちらからやって来るとはの。
 いろいろ聞きたい事はあるがまずはネギ君を何処にやったのか聞かせてもらおうかの」



近右衛門は突然の事態にも歴戦の魔法使いらしく素早く無詠唱魔法で拘束しようとする、しかし魔法が発動しない。
自分の中に魔力は感じる、だが拘束魔法、真実看破の魔法、攻撃魔法あらゆる魔法を行おうとするが発動しない。
近右衛門はこの様な事態は初めてだった、魔法が相手に効かない事ならば何度もあった、
しかし発動すらしない様な事態は初めてだった。



「・・・!!」


「挨拶も無しにイキナリかよ、でも無駄だよ爺さん魔法は使えないよ。
 それに心配しなくてもネギとアスナちゃんはログハウスで寝てもらっているよ」


「魔法が使えんとは面白い話じゃ、いったい何をしたんじゃ教えてくれんかのう」


「それは企業秘密だ、タダでは教えられないな」



横島は近右衛門の状況を感じ取り魔法が使えないと警告する。
学園長室に来る前、横島がエヴァンジェリンの解呪をした時に『魔法は少しの間使えないからな注意してくれ』
と言っていたのはこの文珠【魔】【法】【使】【用】【不】【能】の効果の為だ。


横島も文殊がちゃんと効果を発揮している状況に安堵していた、
よく解らない魔法に対しては文殊といえどもその効果は保証の限りではない。
近右衛門もポーカーフェイスで秘密を聞き出そうとする、
敵の前で魔法使いが魔法を使えないという最悪の状況で冷静さを失わないのはさすが関東魔法協会の長である。



「・・・いったい何の用でここに来たのじゃ」


「爺さん、エヴァちゃんは麻帆良を出ていく」


「ほう、それは困ったのうエヴァンジェリンには麻帆良への侵入者の監視をして貰っていたんじゃが、
 居なくなると監視に穴があいてしまうの」


「何も問題なかろう、『新たなる英雄』ネギ・スプリングフィールドが居るではないか、
 私に勝ったんだ英雄ならばそのぐらい楽にこなしてくれるだろう」


「・・・ネギ君には無理じゃ、先の戦いもエヴァンジェリンが最初から本気なら勝てなかったじゃろう、
 死んでは血が手に入らんから手加減しておったんじゃろ。
 それにおぬしは女や子供を殺さないのが『悪の魔法使い』としての矜持と言っておったではないか」


「フン、当然だ。
 しかし言い訳はしないさ私はボーヤに負けた、それが事実だ」


「爺さん、何故ネギをエヴァちゃんと戦わせるように仕向けた?
 それにアスナちゃんは関係ないだろ二人とも子供だぞ、闘っているんだ怪我じゃすまない場合もある」


「我々には英雄が必要なんじゃ、しかし今のネギ君では実力不足、そこでエヴァンジェリンには乗り越えるべき試練になって貰ったのじゃ。
 アスナ君の事は偶然じゃったがネギ君にパートナーの大切さを知ってもらうために黙認しておった、
 ネギ君にはパートナーが必要じゃった」


「神楽坂明日菜はネギ・スプリングフィールドの、いや『新たなる英雄』の為の犠牲か、
 やはり全てジジィの手の上だった訳だ『立派な魔法使い』が聞いて呆れるな」


「でも何故ネギなんだ? すごい潜在能力を持つ孫がこの学園に居るってエヴァちゃんに聞いたぞ」


「孫は西の長でもある父親の方針で魔法と係わらせずに育てておる、
 孫には裏には関わらずに生きて欲しい、それはワシの願いでもある」


「勝手だな、ネギには試練を孫には平穏をか、爺さんちょっと我儘が過ぎるぞ。
 もしそんな理由でアスナちゃんが怪我でもしてたら爺さんを・・・いや関東魔法協会をぶっ潰してたところだ」


「言い訳はせんよ、しかし魔法界にはどうしても必要な事じゃった」


「ふ~んだとさ、ネギ、アスナちゃん」



そう言うと横島は指をパチンと鳴らす、するとネギと明日菜が学園長室に突然現れる、
二人は初めから横島達4人と一緒に学園長室に来ていたのだが横島が文珠で【隠】して姿が見えないようにしていたのだ。



「そういう事だったんですね学園長先生」


「酷い!!学園長」


「・・・ネギ君アスナ君」


「解ったか二人とも、戦いなんてものは綺麗事じゃない。
 爺さんは魔法界の為にネギを英雄に仕立てアスナちゃんを犠牲にしようとした、
 その魔法界はエヴァちゃんに賞金まで掛けて殺そうとした、何も悪いことなんかしていない吸血鬼って理由だけでだ。
 二人とも自分の意思で戦ったと言ったがこの事を知っていたらエヴちゃんと戦えていたか?」


「それは・・・」


「そんなの戦える訳ないじゃない!!」


「まあ、ネギも自分が殺されると思って戦ったんだろうけどな、
 でもアスナちゃんにもしもの事があったら如何するつもりだったんだ?
 共に戦うってのは仲間の命を預かるって事でもある。
 ネギは先生でもまだ子供だ迷ったり悩んだりしたら来い、相談ぐらいには乗ってやる。
 アスナちゃんも困った事があったら連絡してくれ将来の美女への先行投資だ、いつでも力になるよ」



横島はネギと明日菜に名刺を渡す。
横島が二人に近右衛門とのやり取りを見せたのは戦いの汚さを教えておきたかったからだ。
かつて横島も味方に捨て駒にされ殺されかけた、
仲間を裏切る行為を肯定するつもりはないが現実そういった戦いを行う者もいる。
横島は二人に他人の都合なんかで死んでほしくなかった。
そして二人の子供を自分達の都合で利用しようとする関東魔法協会の思惑、いや陰謀と言ってもいい計画ををぶっ潰したかった。



「そうだ爺さん良いことを一つ良い事を教えてやるよ、心配しなくてもエヴァちゃんの変わりはいるぞ」


「誰の事じゃ?麻帆良にそんな人材はおらんはずじゃ」



横島は文珠を四つ取り出すと文字を込め近右衛門に投げつける、文殊に込めた文字は
【登】【校】【地】【獄】
近右衛門はその文字を見て横島の意図を察する、因果応報これもエヴァを利用した報いかとそれを受け入れる。
近右衛門はエヴァンジェリンを嫌いではなかったむしろ好意を抱いていた、
それでも利用するような事をしたのは魔法界の事情、関東魔法協会の事情だった。
そしてエヴァンジェリンを狙う魔法使い達から守る意味もあった、方法は褒められたものではなかったが。



「ヨコシマ、挨拶も終わったし帰りましょ、パピリオも待ちくたびれるわ」


「エヴァンジェリンさん茶々丸さん本当にここを出て行くんですか?
 僕はまだお二人にちゃんと謝れてもいないのに」


「エヴァちゃん茶々丸さんごめんなさい、私そんな事情があったなんて知らなかったから。
 向こうでも元気でね」


「ネギ・スプリングフィールド、神楽坂明日菜、せいぜいジジィに利用されんように気をつけることだ。
 魔法使いどもは自分の正義を押しつけてくるぞ、その正義を疑いもせずにな」


「ごきげんよう、ネギ先生、アスナさん」


「爺さん、魔法使いがまたエヴァちゃんを狙ったり、ネギとアスナちゃんを利用しようとしたら今度は容赦しないからな」


横島はルシオラとエヴァンジェリンと茶々丸を【転】【移】する為に引き寄せる。
一見さりげない動作もルシオラに加え美少女二人を抱き寄せる好意に内心ホクホクしていた、
間違ってもルシオラに知られる訳にはいかないが。



「ああ!こいつを忘れるところだった」



四人が翠の光に包まれ消える直前に横島は思い出したようにもう一度文珠を近右衛門に投げつける。
【魔】【力】【封】【印】
文珠は近右衛門に当たると光を発し魔力を封印する、エヴァンジェリン同様に侵入者を感知出来るぐらいの魔力は残して。
横島は女の子を利用するような人間に何もせず立ち去るほど人間が出来ていない、もっとも今の横島は魔族だが。


『飛べない豚はただの豚』の言葉もある『魔法の使えない爺はただの爺』だ、
それは魔法使いとして終わったも同然、その事実に茫然とする近右衛門。
そして横島たち四人は茫然とする近右衛門、悩むネギ、そして元気に手を振る明日菜を残し学園長室から【転】【移】した。



                  ◆



「それではお心当たりは無いのですね?」


「ふぉふぉふぉ初耳じゃ、オカルト集団と魔族の戦闘か恐ろしいの~、生徒たちにも気をつける様に注意しておかんとな」


「その方が賢明かと、しかし魔族の方は除霊助手ですので問題ありません、
 GSが魔族を使役したり契約によって力を借りる事は珍しい事ではありません。
 むしろいきなり襲ってきた謎のオカルト集団の方が問題かと、なんでもオカルト集団には学生らしき姿もあったとか」


「それは困ったの~ 生徒を危険にさらすのは不本意じゃがオカルトを禁止する訳にはいかん、
 下手をすれば中世の魔女裁判になりかねんからの~
 それにオカルト集団と言うだけで危険な集団とは限らんかしの、
 魔族との戦闘も何かの行き違いによる誤解の結果も知れん、なにせ相手は魔族じゃからの~」


「そうですね問題の魔ほ・・・失礼、問題のオカルト集団が情報公開してくれれば誤解は無かったかもしれませんね」


「オカルト集団が情報を秘匿するのは常識じゃしの仕方のない事じゃ」


「お詳しいですね」


「年の功じゃ、ふぉふぉふぉ」



エヴァンジェリンが麻帆良を去って二週間が過ぎたころ麻帆良学園理事長である近右衛門の元へ一本の電話があった、
相手はICPO(国際刑事警察機構)超常犯罪課、通称オカルトGメン日本支部支部長の美神 美智恵である。
用件は数日前の『GSの除霊助手の魔族が麻帆良で謎のオカルト集団に襲われた』事件についての聞き取りらしい、
その為に麻帆良学園理事長である近右衛門に連絡を取ったのだ。


しかしこれは表向きの話である、
美智恵は近右衛門が関東魔法協会の長であるのは知っているし、近右衛門もそれを美智恵が知っている事を承知の上での会話である。
これは美智恵は秘密主義の魔法使いを良く思ってないので嫌味を言い、
近右衛門は魔法使いの事情を話せないのでのらりくらり返事しているのである。
早い話が『早く吐いちまえゴラァ』『秘密は常識じゃボケェ』である。



「オカルト集団の特徴なのですが呪文を詠唱し杖を持っていたそうです、
 まるで映画のハ○ーポッ○ーの様に」


「はて?演劇部が練習していたのを間違えて見たのかの~」


「襲われた魔族の少女は相手の顔をよく覚えていないらしいのですが」


「ほう、それでは捜査も大変そうじゃの」


「学生と思わしき人物が大人を『~先生』と呼んでいたようです。
 今回は怪我も無いのでこの様な聞き取り調査のみなのですが、また同じ事があれば本格的に捜査せざるおえません」


「そ、それは怪我がなくて何よりじゃ」



そして近右衛門の手元には数枚の写真がある、差出人不明で普通郵便で送られて来たものだ、中身は写真のみ。
写真には世界樹でパピリオと戦う魔法使い達が顔まではっきりと写っていた。
近右衛門は美智恵からの電話でこの写真の送り主と意味が解った、
『大人しくしてろ、じゃないとコレを・・・』である。
魔法使いの報復を懸念した横島がルシオラの眷属が見たものを写真にし、それを近右衛門へ送った物である。
もちろんオカルトGメンに通報したのも横島である、美智恵もおおよその状況は理解している様だった。



「それでは体調の良くないところ御協力ありがとう御座いました」


「体調?」


「噂では近衛理事長は最近体調を崩されてお仕事が出来ない体になったとか。
 もう御年なんですからお体を労りませんと」


「はて何のことかの?体はいたって健康じゃが、どこで聞いた噂かの」


「あら?噂もあてになりませんわね、どこで聞いた噂だったかしら?申し訳ありません」


「気にしておらんよ、ふぉふぉふぉ」


「ありがとう御座います、おほほほほっ」



近右衛門の【登】【校】【地】【獄】と【魔】【力】【封】【印】はまだ解呪が出来ていない、
八方手を尽くしているのだが魔法使いは秘匿主義なので堂々と解呪出来る人間を探せないのだ。
それに内外の敵に麻帆良最強の魔法使いが魔法を使えないと知られる訳にもいかない。
極秘に細々と探しているのだ。



[24832] ◆GSvs魔法使い13◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/15 18:46
「茶々丸!! いったいどういう事ネ」


「説明してください!! 私たちは製作者として聞く権利があるはずです」


「なぜパーツの継ぎ目や関節の隙間が消えてるネ」


「頭部のセンサーも無くなってます、表面を覆う素材も皮膚にしか見えません」


「「どうして外見が人間同様になってる(ネ)(のですか)?」」


「超さん、ハカセ、確かにおふた方にはご説明するのが筋というものでしょう。
 しかしこの体をくれた方に迷惑を掛けたくありませんこの話は他言無用、それをお約束して頂けないのならお話する事はできません」


「確かに他の科学者に知れたら大騒ぎネ、仕方ない約束するヨ」


「そうなったら茶々丸は捕まって分解されてしまいますね、わかりました誰にも言いません約束します」


「それではお話しましょう、マスターと私が学校を休んでいたのは御存じですよね、
 その時にお世話になった方から申し出があったのですが・・・」



近右衛門が美智恵と腹の探り合いをしていた頃、なぜか麻帆良を出て行ったはずの茶々丸が教室にいた。
そこへ茶々丸の製作者である超鈴音と葉加瀬聡美が詰め寄って来たのだ。
理由は茶々丸の見た目が変わり人間と見分けがつかなくなっていたからだ、
唯一人との違いはライムグリーンの髪のみ。
そして茶々丸はそうなった経緯を二人に説明していく。



「茶々丸ちゃんってエネルギーの供給やメンテナンスはどうしてたの?」


「エネルギーは1日1回魔力を込めてゼンマイを巻くことで供給されます、
 メンテナンスは定期的にハカセにしてもらっていました」


「ふ~ん、でもそれだとちょっと不便ね、
 茶々丸ちゃんは麻帆良から長く離れられないって事になるし故障しても修理の度に麻帆良に行くのも面倒よね」


「ルシオラどうにかならないか?
 それだと結局麻帆良に縛られてるのとあまり変わらないし茶々丸ちゃんやエヴァちゃんも困るだろ」


「どうにか出来るのですか? 私が原因でマスターの行動が制限されるのは好ましくありません」


「そうね~ これからの事を考えるとメンテナンスフリーで自己修復可能、
 エネルギーも長期単独行動が出来るものに変えた方がいいわね」


「そんな都合のいい事が出来るのか?
 これでも茶々丸は魔法と科学を融合させた魔法科学で造られた最先端のロボットなんだぞ」


「ああ大丈夫だよ、ルシオラはこういうの得意だし、オカルトの世界はたいてい何でもアリだからな、
 九十九神になるって方法や長期単独行動は出来ないけど式神化って方法もある、俺の文珠を使って【受】【肉】って方法もあるしな」
 

「受肉って・・・貴様バチカンにでも喧嘩を売る気か?」


「そんな気ないって、だけどてっとり早いし楽かな?と思ってな。
 それでどうするんだ? ルシオラ」


「ねえヨコシマ、キャメランや大魔球1号を覚えてる?」


「あの時ルシオラが作っ兵鬼だろ、ってまさか!!」


「それが一番ベストだと思うんけどな、エヴァちゃんも従者は強い方がいいでしょ♪
 それにその方法ならすぐに出来るし」


「確かにそれはそうだけど・・・マズくないか?」


「ちょっと待て、兵鬼とは何だ?説明しろ」


「ああ、キャメランや大魔球1号ってのは前にルシオラが作った造魔でな、
 ベースは普通の亀と野球のボールなんだけどメチャクチャ強くてな、美神さんや一流のGSが束になっても敵わなかったんだ。
 そういう戦闘用の造魔を兵鬼って言うんだ」


「だから欠点と言えば魔物化、茶々丸ちゃんの場合は魂が人間に近いから魔族化しちゃう事かしら?
 霊波迷彩を掛けるからバレる事はないし何も問題はないわ」


「いや魔族化はマズイだろ」


「なるほどな、・・・どうしたい茶々丸? 貴様の好きにするがいい」


「なにも問題ありません、ルシオラさんよろしくお願いします」


「しょうがないな、チャチャゼロはどうする? ついでにやっとくか」


「俺カ?ソウダナ御主人ガ魔力ヲ封ジラレタトキ俺モ動ケナカッタノハマズカッタナ、
 ツイデニ俺モタノムゼ」


「ルシオラ出来るか?」


「もちろんよ、腕が鳴るわマイト数は6000いえ7000マイトを目指そうかしら、
 武装は・・・マティリアルは・・・フフフフフフ」


「おい横島!! 大丈夫なのか?目が尋常じゃないぞ」


「すまん、ルシオラはこういうの得意って言ったろ?でも少しマッドが入っててな」


「ケケケ気ニ入ッタ、ナンナラ御主人ヨリ強クシテクレテモ良インダゼ」



チャチャゼロはエヴァンジェリンの最初の従者であり身長70cmほどの人形である、茶々丸の姉にあたる。
エヴァの魔力のみが原動力であるためエヴァの魔力が封じられていた麻帆良では動く事が出来なかったのだ。
そしてルシオラの言っていたマイトとは神族・魔族・人間の霊的な強さを表す時の単位であり、
キャメランが5000マイト、大魔球1号 3200マイト、そして一流霊能者の美神令子が95マイトである。
マイト数=戦闘力ではないが横島が躊躇うのも頷ける数字である。
こうしてガイノイドと人形の姉妹はルシオラによって体を改造?する事になった。



「「つまり茶々丸は魔族になったという事(カ)(ですか)?」」


「そういう事になりますスペック的にはその方曰く、


『メンテナンスフリーで自己修復可能。
 飲食可能で当然味覚等の五感もあるわ、更にセンサーには霊視機能も追加。
 皮膚に当たるマティリアルは通常兵器が効かない上に対魔法・対霊コーティングと霊波迷彩。
 固定武装は有線式の射出アームと眼球部のレーザーは同じ様だけど除霊も出来る仕様よ。
 オプション武装の重火器は普段は異空間に置いておいて、使用時はゲートを開いていつでも取り出し可能。
 AIシステムの枷が無くなって思考に応用力が広がったわ。
 浮遊・飛行は魔族の基本スキルだから魔力ジェットなんて撤去。
 コンピュータへは霊体を介しての接続可能。
 その他秘密もいっぱい♪
 今まであった欠点は全てなくなって今の仕様なら一流の魔法使いやGSが10人20人集まっても敵ではないわ♪』


 だそうです、ちなみに姉さんもほぼ同じ仕様でオプション武装が各種刃物になっています」


「超さんこれは・・・」


「そうネ、我々への挑戦状ネ」



超と葉加瀬にはルシオラの声が聞こえるようだった『弱点をこんなに残して置くなんて、魔法科学なんて甘いわね』と
もちろん二人の思い込みなのだがこうも見事に茶々丸を仕上げられては挑戦状に思えてしまう。
ロボットの属性を残しつつ魔族化させてる辺り手が込んでいる。



「茶々丸、今度データを取らせてくれませんか?」


「それはお断りさせて頂きます。
 能力とは秘するもの、その情報が敵に知られないとは限りません」


「う~ しかたないネ、それは諦めるヨ、
 しかし計画の方はどうするネ?」


「それはマスターに伺っています、『契約通り』との事です」


「そうカ、それなら良いヨ」


茶々丸は超と葉加瀬に説明する際は横島とルシオラの名前はぼかして話した、
これは横島とルシオラに万が一でも迷惑が掛からないようにする為だ。
茶々丸はこの体にしてくれたルシオラに感謝している。



                  ◆



「はぁ、いったい僕は何を見ていたんだろう『立派な魔法使い』を目指していたはずなのに、
 僕は何をしているんだろう? ・・・はぁ」


「兄貴まだ悩んでいるんですかい?
 あの時はどうしようもなかったって、なんだかんだ言っても兄貴はまだ子供なんだ間違える事もあるって。
 大事なのはその経験を次に生かす事じゃないんですかい?」


「それは分かっているんだけどね、
 後でよくよく考えてみれば血なんて少しずつ抜いて保存しておけば呪いも解けたんだ。
 なのに僕は先生だというのにエヴァンジェリンさんと闘って、・・・はぁ」


「ダメだこりゃ」



超と葉加瀬が茶々丸に詰め寄っていた頃ネギは憂鬱な気分で朝のHRの為に教室へ向かっていた、
ネギはまだエヴァンジェリンの件を引きずっている様である。
担任教師として『立派な魔法使い』を目指す者として天才と持て囃されながらも、
良い様に利用されエヴァンジェリンと戦ったていた自分を考えると落ち込むばかりである。
ネギの使い魔兼相棒であるオコジョ妖精のアルベール・カモミールがフォローするが効果はないようだ。
ちなみにカモは先日のエヴァンジェリンの麻帆良脱出の時は置いてきぼりを食らい部屋で寝ていた様である。



ワイワイ、ガヤガヤ


「・・・はぁ、いったいなんの騒ぎなんですか?HRを始めますよ」


「ネギ大変よ!!エヴァちゃんと茶々丸さんが登校してるわ」


「ほほほ、本当ですか? エヴァンジェリンさんと茶々丸さんはどこに」


「此処だ、久しぶりだなぼーや」


「お久しぶりですネギ先生」


「エヴァンジェリンさん!!茶々丸さん!!どうして学校へ?」


「おかしな事を言う、学生が学校へ来るのは当然だろ」


「で、でも麻帆良を出て行ったじゃないですか?
 茶々丸さんも『ごきげんよう』って」


「麻帆良は出て行ったさ、しかし私は約束した『真面目に学校へ行く』とな
 その約束が勝負に負けての事ろうと約束を違えるつもりはない」


「それじゃ僕との約束の為だけに学校へ戻って来てくれたんですか?」


「ちょっと待ってよエヴァちゃん、ならどうして二週間も学校を休んだのよ」


「神楽坂明日菜なにをボケている、あの時言ったはずだ『家庭の事情』と」


「エヴァンジェリンさん『家庭の事情』ってなんですか?」


「ククク、これだ」


「車の免許書じゃない、エヴァちゃん合宿免許でも行ってたの?」


「バカモノ良く見ろ」


「対心霊現象特殊作業免許?!エヴァンジェリンさんこれって」


「エヴァちゃんGSになったってコト?!」


「「「「「「 ええええええええええええええ 」」」」」」



エヴァンジェリンとネギと明日菜の会話に聞き耳を立てていたクラスメイトが驚きの声を上げる、
ネギもエヴァンジェリンの登校に驚いて認識阻害の魔法は掛けてなかったらしい。
クラスメイトも二週間も休んだエヴァンジェリンをそれなりに心配していた様だ。



「エヴァちゃん本当にGSになったの」


「カッコイイ」


「GSの免許見せて見せて」


「GSって儲かるんだよね、エヴァちゃんなんか奢って」


「もう除霊とかした?」


「勘弁してくれ、女子中学生の吸血鬼がGSってどこのラノベだ」



各々が好き勝手なコメントを言う。
ネギは会話を聞かれていたと知り今までの会話に魔法の秘匿に引っ掛かるものがなかったか必死に思い出す。
どうやらセーフのようだ。
ネギは改めて認識阻害の魔法を掛ける、とたんに波が引いたように生徒が離れていく、
それでも魔法関係の生徒はこちらを興味深げに見ているが。



「そうだGSの免許書だ、つまり私はGSエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルという事さ、
 ククク、世も変わったものだ吸血鬼がGSとはな」


「エヴァンジェリンさん凄いです!!でもどうしてGSになったんですか?GSは高収入な職業ですが危険な仕事ですよ」


「ぼーや、あの時いたGSの横島という男を覚えているか?
 奴が家に来て依頼内容を説明している時にな・・・」



素直にエヴァンジェリンの免許取得を尊敬するネギ、しかしエヴァンジェリンとGSが繋がらない。
確かに麻帆良からエヴァンジェリンを脱出させたのはGSだ、
しかしそれだけでGSを選ぶわけがない、ネギは率直にエヴァンジェリンに聞いてみた。
機嫌が良いのかエヴァンジェリンは事の経緯をネギと明日菜に教え始める。



「エヴァちゃんの救出は問題ない、仮に麻帆良全ての魔法使いが敵になっても脱出が出来る用意はしてある。
 問題はその後、麻帆良を出てからのエヴァちゃんと茶々丸ちゃんの生活だ、
 15年も閉じ込められてたんじゃ以前の生活基盤なんてもうないだろ?」


「確かにな、しかし施しを受ける気はないぞ、私は誇り高い『悪の魔法使い』だからな。
 これでも600年生きてきた身だそんなものどうとでもなる」


「まあ、確かにそうなんだろうけど一つ提案があるんだ、エヴァちゃんGSにならないか?」


「GSだと? ピートは確かにGSらしいが奴はハーフだ半分とはいえ人間だ、
 しかし私は真祖の吸血鬼だ人間が認めるとは思えん」


「それが大丈夫なんだな、俺達はいろんな処にパイプがあるんだ。
 それで実はもういろんな所に手を廻していてGS協会に一応のOKはもらってるんだ」


「なるほど準備は既に出来ているという訳か、
 だが気に食わんな、これでGSになれば貴様の手の上で踊っている様なものだ」


「そう言うなよ俺もピートも一生懸命動いたんだぜ?」


「冗談だちゃんと感謝している、私もそこまで恩知らずじゃないさ。
 しかし何故GSなんだ?」


「GSは国際免許だから日本以外でも使えるだろ?
 それに技能職だから不況にも強い、長生きするエヴァちゃん達に合ってる思うんだ。
 それにエヴァちゃん見た目が10歳だろ?
 学校へ通わないで普通の生活は難しいと思うんだ、
 だけど世間はGSは怪しい職業だと思われてるから誤魔化しやすいしGSは実力の世界だから見た目は関係ない」


「見た目が10歳の私がまっとうに生きられないのは事実だ、以前も裏の仕事で生きてきた。
 しかしそれだけが理由か?」


「これが本命の理由なんだけど、魔法使い達を牽制するのが狙いなんだ、
 魔法使いがGSを襲えばオカルトGメンが動く、言い難いんだけど魔法使いが吸血鬼を襲っても事件になり難いんだ。
 だからGSになると世間への露出を嫌う魔法使いには良い牽制になるんじゃないかな」


「なるほどな、確かに賞金はもう取り下げられているが『自称』正義の魔法使いが襲ってくる可能性はある、
 それにオカルトGメンが相手では事件のもみ消し工作も難しいだろうな」


「そういう事、ラッキーな事にもうすぐGS試験があるんだ」


「ほう、いつだ?」


「今月末、でもエヴァちゃんには楽勝だろ?」


「フン! 当然だ、私は『最強の魔法使い』だぞ、GSにもなってない人間など相手にもならん」


「それでもってエヴァちゃんと茶々丸ちゃんにお願いがあるんだけど、免許を取ったらうちの事務所で働いて欲しいな~って、
 ピートはオカルトGメンに来て欲しいらしいけどな」


「フン、私を部下にしようなど100年早い、だが貴様には世話になった仕事の事は考えておいてやろう。
 しかしGS免許は面白い考えだ、今後のことを考えると有効なのも確かだ」



事実エヴァンジェリンはGS試験では首席だった、茶々丸も連れずに体術と身に纏う霊力のみで勝ち上がった。
免許習得後にエヴァンジェリンが横島の事務所で働いているのは横島達を気に入ているからだ。
彼らは正義など在りもしないモノを振りかざさず、自身の強大な力にも溺れず、戦いの意味を知りその覚悟を持っている。
それはエヴァンジェリンの思想に近く、そしてエヴァンジェリンを認め受け入れてくれる場所という事だ、
600年間心の奥底で求め続けた居場所なのだ。
長らく偽善くさい魔法使いに囲まれていたせいか魔族の横島達に清々しささえ感じていた。



「なるほどそういう事ですか、僕もエヴァンジェリンさんがGSになるのは良い方法だと思います、
 今まで理不尽な目に合ってきたエヴァンジェリンさんには幸せになって欲しいですから。
 でもそれじゃ麻帆良に帰って来ないんですか?」


「私は今東京に住んでいる、あのログハウスに帰る事はない。
 それに今の私の所属は横島心霊事務所だ関東魔法協会ではない」


「東京って、エヴァちゃん達どうやって通ってるの?まさか電車とか」


「転移魔法でだ、本来の魔力の戻った今なら簡単な事だ、
 ログハウスから通っていた頃より楽なくらいだ」


「転移魔法って誰かに見つかったらどうするんですか!?」


「何も問題ない、転移魔法が誰かに見つかっても今の私はGSだからな、
 GSが魔法を使っても不思議ではないだろう」


「そんな、魔法の秘匿はどうするんです!? バレたらオコジョにされちゃうんですよ」


「もともと私は賞金首で狙われていたんだ今更だな、
 それに私は『悪の魔法使い』だ『立派な魔法使い』の作った法など守る義理はない。
 今までは仮だが関東魔法協会に属していたんだ、一応は守ってやっていたのさ」


「それじゃエヴァンジェリンさんと茶々丸さんはこれからどうするんですか?」


「卒業するまでは真面目に登校するさ、ぼーやとの約束だからな、
 もっともまた『家庭の事情』で休む事があるかもしれんがな。
 その後の事はゆっくり考えるさ卒業までは時間がある」


「そうですか・・・わかりました卒業までの間よろしくおねがいします。
 僕も教師として精一杯頑張ります」


「そっか、エヴァちゃん茶々丸さんこれからもヨロシクね」



[24832] ◆GSvs魔法使い14◆(GS+ネギま!)
Name: 芥川龍之介(偽)◆855b977d ID:a89e5e77
Date: 2010/12/25 21:57
「以上がその後の経過を含めた最終報告だ、詳しい事はこの書類を見てくれ」


「これは・・・思いっきり関東魔法協会に喧嘩を売りましたね、
 僕が依頼したのはエヴァンジェリンさんの救出だけだったのですが、何故ですか?」



横島は今ピートの所へ報告へ来ていた、
救出直後にもエヴァンジェリン達を連れて報告に来たのだがエヴァンジェリンのGS免許取得やここでの生活基盤の構築、
茶々丸・チャチャゼロの改造などその後の経過も含めて最終的な報告に来たのだ。



「エヴァちゃんを拉致監禁して力を奪った上に強制労働、10歳のネギを戦わせるて関係ないアスナちゃんを巻き込む。
 そんな奴らにむかっ腹が立ってな、ついやっちまった」


「しかし彼らも悪気があっての事ではないと思うのですが・・・」


「確かに関東魔法協会は悪党の集まりって訳じゃない、奴らなりの事情があってした事だろうしな。
 でもなピート、奴らは自分たちの事情も説明せずに全てを押しつけた、エヴァちゃん達の事も考慮せずにな。
 なら此方も奴らの事情なんか知ったこっちゃない、俺達はそこまでお人好しじゃない。」


「確かにその通りですがこれでは挑発して煽っているようなものです」


「それは奴らの恨みを俺達が全て引き受ける為だな、エヴァちゃんには向けさせない。
 横島心霊事務はアフターケアの事も考えて仕事をする優良事務所だからな」


「横島さんらしいですね、でも横島さん達は大丈夫なんですか?」


「関東魔法協会も一枚岩じゃないみたいでな、急進派みたいな奴らがいてあの後すぐに魔法使いが何回か報復に来たよ」


「どうしたんです?」


「みんなとっ捕まえてサイコダイブで情報を引きずり出して文珠で【洗】【脳】してその上に【催】【眠】を掛けて送り返したよ」


「え!! ・・・それはまた人権保護団体が聞いたら乗り込んで来そうな話ですね」


「命を狙って来たってのに逆にパピリオとエヴァちゃんから命を救ってやた上に一応五体満足で送り返したんだ感謝して欲しいくらいだよ。
 奴ら家族団らんで晩飯食ってる時に襲ってきやがってな、パピリオとエヴァちゃんが怒った怒った。
 せっかく茶々丸ちゃんがうまい飯作ってくれたってのに奴らにせいで全部パアだ」


「そ、それは壮絶だったでしょうね、でも彼女たちが怒ったらただじゃ済まないでしょう」


「あやうく家が崩壊するところだった、
 それに今の俺は魔族だからな非人道的な行いは当然だよ時には命を奪うこともある」


「横島さん・・・ 、
 僕は横島さんを非道な魔族だと思った事はありません、横島さんは昔と同じ優しい横島さんのままです」



横島は仲間たちには自分が魔族になった事を言っていた、
それはルシオラを失った時に励まし支えてくれた仲間たちに隠し事をしたくなかったからだ。
もっともルシオラが復活した喜びでその報告をした時にポロっと話してしまったという話もある。



「安心しろピート、俺は黒い服に黒マントに黒バイザー着けて『 君の知っている横島忠夫は死んだ 』なんて言わねーよ、
 根暗な中二病じゃあるまいし」


「な! なんて危険な事を・・・
 ま、まあ、それはそれとして、でもどうして洗脳と催眠を二つも掛けるんですか?」


「五体満足で送り返したんだそいつは仲間に疑われるだろ?
 だから催眠でそいつに報復を命令した上司を狙わせたんだ、そうして目立たせてわざと催眠を解かせるんだ。
 催眠を解くと安心してそいつをまた手元に置いておくだろ、
 だけど本当はまだそいつは洗脳されていて実はこっちの手足になってるって寸法だ」



横島が襲ってきた魔法使いを五体満足?で返したのはなにも【相手は人間だから】だとか【殺しはいけない】と考えた訳ではない、
その方が今後の為になると判断したからだ。
殺すと判断すれば殺す、人間時代に悪霊を滅し妖怪を殺してきた様に。
時には少々やりすぎる時もあるが横島は正義の味方でも神族でもない、
魔族としての存在理由である【悪】に疑問を持つこともなかった、
何も考えていないのか、それとも恋人が魔族だからなのか、あるいは元雇用主がアレだからなのか・・・



「なるほど、そういうところは美神さんそっくりですね」


「まあな、エゲつないやり方や卑怯な戦法はあの事務所で学んだ数少ない事の一つだからな」


「しかしエヴァンジェリンさんにはオカルトGメンに来て欲しかったのですが」


「エヴァちゃんまだ中学生だもんな、オカGは要高卒が就職条件だからな」


「それでエヴァンジェリンさんは今何処に?」


「今は麻帆良の学校だよ、なんでも約束した事があったらしくてなここから通うそうだ」


「大丈夫なんですか?」


「大丈夫だろ? エヴァちゃん強いし茶々丸ちゃんが付いてる、二人には【守/護】と【反/射】の文珠も持たせてあるしな」


「・・・横島さんありがとう御座います、これからもエヴァンジェリンさんの事をよろしくお願いします」


「気にするな、俺としてもかわいい女の子が三人も事務所に入ってラッキーだ、
 エヴァちゃんはロリッ娘だが茶々丸ちゃんとチャチャゼロはナイスバディだからな」



おどけて答えたが痛がりで怖がりの横島が魔族になってもGSを続けている理由の一つが弱い立場の妖怪や魔族を守る為だ、
人間界には妖怪や魔族に対して人権に類するものが無い、以前ギャンブル船で幸運の精霊フォーチュが囚えられていたが囚えていた人間を取り締まる法律がない。
南部グループの人造魔族事件にしても美神令子除霊事務所に対する偽依頼は違法だが魔族や妖怪に対してはなんら違法性はない。
横島の知り合いには妖怪も多い、彼女たちを守る為にはGSという立場は都合が良い、合法的に保護できるし情報も集めやすい。
今回のエヴァンジェリン救出も横島としても望む仕事だった。



「そんな事言ってるとルシオラさんが怒りますよ?」


「う! スマンこの事はルシオラには秘密にしていてくれ」


「あはは、秘密にしておきますよ。
 でもエヴァンジェリンさんも良い笑顔で笑うようになりました横島さんのおかげでしょうね」


「俺は何にもしてないぞ、もうすぐ修学旅行だからそのせいじゃないか?
 エヴァちゃんは日本文化が好きだからな、行き先が京都・奈良らしくてなガイドブック広げてニコニコしてたぞ」


「ようやく麻帆良から出られたんです楽しんできて欲しいですね」



ピートもエヴァンジェリンがようやく平穏な生活を手に入れる事が出来て安心していた、
ただ此処は非常識なトラブルが時々舞い込んでくるが親友である横島の近くならばきっと大丈夫だろうと思う。
そのトラブルの原因も横島なのだが・・・



「おっと時間だ、すまんピート今夜の仕事の準備で帰らにゃいかん」


「残念です、久しぶりなんですからもっとお話ししたかったのですが」


「はは、悪いなピート代わりにいつでも家の方に遊びに来てくれ茶々丸ちゃんの料理は絶品だぞ」


「そうですね、仕事は忙しいけど時間をみつけてお邪魔させてもらいます」


「じゃ依頼完遂って事で」


「ええ、お疲れさまでした」



これで横島の仕事は終了した、麻帆良の魔法使い達を大混乱に陥れ禍根を残しまくりつつエヴァンジェリンを無事救出できた。
しかしネギと明あすなはのクラスにはワケありの美少女達がまだまだ存在する、
その時、近右衛門は横島の魔手から魔法使い達を守ることが出来るのか?
高畑は性犯罪者の疑惑を払拭する事が出来るのか?
ネギは『立派な魔法使い』になれるのか?
明日菜は平穏な生活を取り戻す事が出来るのか?
横島心霊事務所の人間は・・・まあ心配するだけ無駄だろう。


ある魔法使いはつぶやいた「この横島忠夫が最後の一匹だとは思えない」



☆終わり☆


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