<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[20278] 【ネタ】世紀末悪魔伝【女神転生 ヒャッハー!】
Name: モヒカンの人◆46a88152 ID:fbe08971
Date: 2010/07/14 00:19
 199X年 東京は核の炎に包まれた! 
 地は裂け、海は枯れ、異界から溢れた悪魔たちによって地球は蹂躙された!
 恐ろしい力を持った悪魔たちによって、あらゆる生命体は死滅したかのように思えた……







 だが、人類は死滅していなかった!!








「ヒャッハー! 新鮮なMAGだぁー!!」

 ビューネの主であるサモナーはもはや定型句と化した奇声を上げながら、大上段に構えた頑丈な消防斧を餓鬼の脳天に振り下ろした。
 ぐしゃりと汚らしい血飛沫と脳みそをぶちまけながら、振り向く暇すらなく餓鬼は絶命した。
 サモナーは斧を引き抜くと、突然の横槍に慌てふためく悪魔達の群れに何の躊躇もなく突っ込んでいく。

「しねェ! 悪魔ども!」

 敵の陣容は餓鬼が13体とポルターガイストが6体、それにブラックドッグが数えきれないほど。
 そしてその中心には今にも悪魔の群れに飲み込まれようとしていた人間たちの姿があった。

「やれやれ、狂っているのかどうなのか、そこがもんだいだよ」

 そう彼女は独りごちて、目庇をガシャリと下ろしてから、世界がこんな状態になってからサモナーと一緒に西洋歴史博物館から頂戴したバルディッシュを振りかぶりながら跳躍する。
 サモナーに向かって注意を引き付けられていた悪魔達は、その背後の崖上から突然降って湧いた半龍の悪魔に全くの無防備であった。

「南無!」

 瞬く間すらない一瞬で、群がったブラックドッグを何匹も纏めて血煙にする。
 ドスドスと暴力的な足音と共に全長2.8メートルの巨体が鋼鉄と厚皮に身を固めて迫ってくると、一山幾らの雑魚悪魔達は悲鳴を上げながら脱兎の如く逃げ出した。ついでに、殺されかけていた人間たちの顔色が死人同然の様相を呈する。
 無理もない話だ、彼女が彼らの立場でも、死を覚悟するような状況だろう。
 逃げ散った悪魔は戻ってこないだろうから無視して構わない驚異だが、彼女の主は背中を向けて逃げる敵には全く容赦のない輩である。

「ぎぇー! 逃がすかぁ!! しねぇぇぇ!!」

 全身返り血で真っ赤になりながら、鋼鉄のブレストアーマーとトゲ付き肩・膝パット、そしてムースでがっちりとセットされたモヒカンで風を切りながら、ビューネの主であるテリーは逃げる悪魔を追いかけまわして高笑いを上げながら、敵の脳天に消防斧をぶち込んでいく。

「おーい、こっちはどうするんだい」
「うるせぇ! 今お楽しみ中だぁ! 見て分かんねぇのか!」
「はいはい……」

 予想通りの返事に彼女は溜息を付いて、ボロ布で武器に付いた血飛沫を拭いとってから目庇を上げた。
 その下から現れたのは、これだけ激しい殺戮を十も呼吸が終わらぬうちにしでかすような顔つきではなかった。柔和、或いは温厚とでも言えばいいのか、整った卵型の顔つきには困ったようにハの字に下がった眉と細い目が配置されている。
 唯一、その荒事の気配を匂わせるのは固く閉じられたままの左目で、縦に走る傷跡からして失明かそれに準じる状態であることは明白であった。
 ふと、視線を感じて斜め下に顔をやると、傷付いた人間たちが恐怖と緊張に震えながら彼女に剣を向けている。
 先程の悪魔達の襲撃で散々に痛めつけられたのだろう、この集団で満足に戦える兵士はどうやら今現在彼女に剣を突きつけている五人ばかりのメシア教団兵だけのようである。

「剣を下ろしなさいよ。そんな事をするより後ろの怪我人を助けたほうがいいんじゃないの」
「黙れ、悪魔め!」
「メシア様に歯向かう邪悪の輩が!」

 はぁ、と溜息を付いて、彼女は左手をスッと彼らの方につき出した。

「メディア」

 複数の対象を選ぶことの出来る癒しの魔法が難民達を覆うと、一瞬の後に死人以外の全員が負傷から回復した。
 突然の事に目を白黒させるメシア兵と難民に肩を竦めて見せてから、一瞬の隙をついて伸ばされた左手が彼らの武器を跳ね飛ばした。
 ビューネの四肢は龍の甲皮と鋭い爪で守られている、この程度の芸当は素手で十分であった。

「あっ!」
「はいはい、無駄な足掻きは辞めときなさいな。少なくとも死にやしないから。あたしのサモナーは見た目はああだけどそれほど悪い奴じゃないよ」
「信じられるか!」

 そう言って男が指さした先で、テリーは最後に残った餓鬼の胸に斧をぶち込んでから素手で胸骨を無理やりこじ開け、大小幾つもの血管をぶちぶちと引きちぎりながらまだ鼓動を刻む心臓を摘出していた。そしてついに餓鬼の体内から引きずり出した心臓を彼は頭上で左右に引き裂くと、ぼたぼたと流れ落ちる血潮を頭から浴びながら狂笑を上げた。

「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」

 不気味な雄叫びと高笑いをBGMにして、難民たちと彼女たちの間に気まずい沈黙が漂った。
 ビューネは何とかフォローしようと、とりあえず本当のことを言った。

「あー、実は彼は少し頭がおかしいんだ」
「少し?」
「物事の大小は相対的な問題だよ」
「無礼を承知で言わせてもらうが、あの男より貴女の方がよほど人間らしいという時点で釈明の余地がないと思うのだが」
「うわぁ、本当に無礼だ。しかしメシア教団の人間に「悪魔のほうが人間らしい」なんて言葉を吐かせるなんて、やるなぁ」

 そう言って愉快気に笑う彼女に向かって、齢10にも届かないほどの少女が歩み寄ってくる。
 彼女が笑いを納めて興味深げにその様子を見ると、そこでようやく気がついた兵士たちが慌てて制止するが、少女はその両目に明らかな安堵と感謝の光を灯しながら数メートルほど離れたところでビューネに声をかけた。

「巨人のおねえさん、ありがとう!」
「どういたしまして。命があって何よりだ」
「お母さん! お母さん! ほら、怖い人じゃないよ、ちゃんと話せるよ!」

 そこでようやく自分の娘が恐ろしい悪魔に話しかけていることを知った母親が、驚愕に両目を見開きながら走りよってくる。倒れ込むように娘を掻き抱くと、母親は恐怖の眼でビューネを見た。
 人間の反応としてはむしろそちらの方が一般的であるから、物怖じしない少女の態度こそが異端である。
 ビューネはからからと笑った。

「巨人のお姉さんって言うのは新しいなぁ、あたしはビューネって言う名前なんだよ、あなたの名前は?」
「キョウコ!」
「こ、コラ! 止めなさい、こっちに来なさい、早く!」
「なんで? お母さんも神父様もいつもいってるじゃない、「助けて貰ったらお礼を言いなさい」「感謝の気持ちを忘れてはならない」って。ビューネさんは私たちを助けてくれたのに、お礼も言っちゃだめなの?」
「キョウコっ!」
「お母さん、構いません」

 そう言って、先ほどまで少女を制止していた年配のメシア兵が母親を立たせてこちらに向き直る。
 灰色の頭髪と口ひげを蓄えたメシア兵は、制帽を取ってビューネに向かって頭を下げた。その行為に彼女は仰天したが、周りの人間はもっと仰天していた。

「隊長! 何をしているのですか!」
「そうです! こんな汚らわしい悪魔に頭を下げるなんて」
「あなたは一体何を考え――」
「黙れ」

 ピンと、まるで細い鋼線が張り詰めたような鋭い声色だった。
 隊長と呼ばれた男は鷹のように鋭い目付きで兵士たちを睥睨する。

「理由や経過がどうであれ、我々が彼女に助けられたことは間違いない。そのことに対してすら礼の言葉の一つも言えないようで、どうして我々が民の規範足りえるというのか」

 どうやら本気でそう言っているらしく、ビューネは思わず口笛を吹いた。

「ああ、ごめん。馬鹿にしたわけじゃないよ。あなたはすごく柔軟な人みたいだね」
「……そんなふうに言われたのは初めてだ」
「じゃあ今までの人たちは人を見る眼がなかったのか、悪魔じゃないんだろうね」

 それに対して男が口を開こうとしたところで、流血の儀式を終えたモヒカンがノシノシとやってきた。
 これをみて男たちはあからさまに警戒心を呼び戻し、キョウコの母親は慌てて少女の手を引いて難民達の元へ駆け込んでいった。
 今度はキョウコも抵抗しなかった。

「テリー、最後のアレは一体なんだったの」
「あのほうがよさそうだった」
「ああ、そう」

 ビューネはそれ以上の会話を諦めた。どう頑張っても理解できそうにない。

「で、これからどうするの」
「ええと、ああー結構生き残ったな、ひ、ふ、み、よ」

 指差しして全員を数え終わると、健康な成人男性が10人、労働に耐えられなさそうな老人病人怪我人が20人、男女あわせてそれなりに健康そうなのが18人、合計で48人の大所帯であった。

「どうする? 病人だけ車に載せる?」
「そうだな、そうするか」

 そう言ってモヒカンは草むらに隠しておいたバックパックから無線機を取り出した。

「こちらテリー、応答せよ」
《こちらウォッチタワー テリーどうぞ》
「ポイントW-51-14で難民を保護した、傷病者多数、車がいる」
《ラージャ トラックを送ります メディックはいるか?》
「いらねぇー、相棒がいる」
《愚問だったな 通信終わり》

 無線機をバッグに戻すと、テリーはついでに取り出したタオルで顔面の返り血を拭いながらメシア兵の隊長に話しかけた。

「つーわけで、アンタらは俺らと一緒に来てもらう。まさか嫌とか言わねーよな、あ?」
「……仕方あるまい。だが、彼ら難民達にはどうか慈悲のある対応を願えないか」

 最後の言葉はテリーではなくビューネの方に向かって、まるで砂漠の中で遥か彼方の蜃気楼に祈るような様子であった。突然の信頼宣言とも取れるその言葉に、ビューネはどぎまぎしながら返事をした。

「まあ、暴れたり盗んだり殺したりしない限りは、あたしの権限でそれなりに」
「そのような事は絶対にしない」
「へっへっへ、絶対とは大きくでたなぁオッサン。人間なんざ一皮剥けばどいつもこいつもケダモノだぜ、人間ほど信用できない生き物もいねぇや」

 ニヤニヤと笑いながらそう言い放つモヒカンのサモナーに、隊長はカッと頭に血が昇った様子で怒声を吐いた。

「貴様のような奴と一緒にするな、この悪辣外道のガイア教徒めが!!」
「?」
「?」

 その怒鳴り声に、ビューネとテリーはぽかんと顔を見合わせた。
 その様子に隊長も不審気な様子を隠せない。

「……隊長さん、一つ聞いてもいいかな」
「なんだ」
「ガイア教徒ってなに?」











――――――――――――――――
登場人物紹介

照井賢治[テルイ ケンジ]
 渾名はテリー。もともとちょっと危険な感じの土方のあんちゃんであったが、自宅のPCに勝手に仕込まれた悪魔召喚プログラムを知らない間に起動させ、仕事から帰ってきたら自宅のコタツでビューネが勝手にチゲ鍋を作って食べていた。あ、ありのまま今起こったことを(ry 状態の彼に向かって、ビューネが懇切丁寧に彼の置かれた状況を説明。「何、世紀末がやって来るだと、こうしちゃいられん、今から準備だ!」
 今のところ、最初に仲魔にしたビューネが強すぎるためにキャパシティがアップアップ。
 現在の目標は生体マグネタイトの保有量を増やして新しい仲魔を手に入れること。
E 世紀末モヒカンヘッド
E 世紀末アーマー
E 世紀末ガントレット
E 世紀末ブーツ
E 世紀末革パンツ
E 世紀末消防斧(すごくがんじょう)
E 世紀末火炎瓶(じぶんももえる)
E 世紀末ショットガン(ソードオフ)
            ,,、,、、,,,’;i、,、  
             ヾ、’i,’;||i !}, ゙〃  
             ゙、’;|i,!  ’i , +  
              `、||i |i i l|,   
         +    ‘,||i }i | ;,〃,ミ    
              .}.|||| | ! l-’ミ     +  
             /⌒  ⌒\;;;;:ミ  
   ヒャッハァ━━━//・\ ./・\\;;;;;;ミ ━━━━ッッ!!!!  
      +   /::⌒(__人__)⌒:::::\:ミ +  
          |  ┬  トェェェイ      |;;し   
       +  \│   `ー’´     /ヽ    +  
       _|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_  
       >                  <  
    l  ..l .l    ノ ――、 .  l  
  ―十―十十― く/..__|…―‐十―‐ ヽ|  |ヽ  ム ヒ | |  
    |.|__|   ∠,_ゝ|     ””’木””’   | ̄| ̄ 月 ヒ | |  
    |___   ィ |ヾ|__ノ  /..| .\ ../ | ノ \ ノ L_い o o  


ビューネ[龍神]
 本人はヴィーヴル(半龍の妖精、或いはドラゴン)だと言っているが、自己申告な上に限りなく疑わしい。
 非常に強靭な肉体と無尽蔵のスタミナの持ち主であり、接近戦で彼女に敵う相手は余りいない。魔法は苦手で、今のところメディア(複数回復魔法 小回復)とタルカジャ(複数補助魔法 攻撃アップ)しか使えない。が、その打たれ強さと強靭な肉体があればそれで十分とも言える。猛毒のブレスを吐くことが可能。
 照井のPCに転送された悪魔召喚プログラムの中にデフォルトで登録されていた。本来ならば照井が召喚に値するレベルに達するまでは出てこれない筈だが、どんなインチキを使ったのか勝手に現れて彼の家の冷蔵庫をあさってモリモリと飯を食っていた。
 世界崩壊前から狂気の片鱗を見せ始めていたサモナーに内心引きながらも、心のなかでスティーブンを100回ほど殺してから何とかかんとか良好な関係を築く。
 災禍の中心である東京から随分離れていたため、核兵器の影響は受けずにほっとしていたが、照井がしきりに爆心地に行って見たがるのに辟易としている。
 別に彼女は照井の支配から離れてもいいと思っているが(支配されなくても協力するつもり。その場合、照井のキャパシティは大幅に改善される)しかしながら照井が変なこだわり(最初の仲魔は絶対に外さない)を持っているために、今のところ彼女ひとりだけが照井の仲魔である。
E クルセイダーヘルム
E ブレストプレート
E ドラゴンアーム(装備なし)
E ドラゴンフッド(装備なし)
E ケブラーグリーヴズ
E バルディッシュ
E ドラゴンクロウ
E ドラゴンファング
E M-2重機関銃
*機関銃とケブラーグリーヴズ以外は全て照井が世界崩壊後の混乱期に近所の歴史博物館から盗んで手直しして使用している。



[20278] 【人類の】「親友がモヒカンになってた」改め世紀末世界で頑張る人たちのスレ 6年目 part185【黄昏ぜよ】
Name: モヒカンの人◆46a88152 ID:48a7e96c
Date: 2010/07/15 00:00
*今回は実験的作品です*






123 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
つうかお前らガイア教団ってしってる?

124 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
なに? メシア教じゃなくて?

125 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
まぁた宗教か、どいつもこいつも考えることはおんなじだな

126 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
まあこんな世情じゃあ宗教に頼りたくなる気持ちも分からんでもない。
というか実際神様仏様魔神様どっさり出てきて助けてくれるしなwwwwwww
まあ、邪神一歩手前のヤバイ祟り神もいるけど

127 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>126
お前、ミシャグジさまの禰宜してる俺ディスってんのか、祟砲撃つぞコラ

128 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>127
祟り神って認めてんじゃねえかwwワロスwwwww

129 名前: 126 [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
あわわ、諏訪大社の方、いらしてたんですか
ごめんなさい軽率な発言でした許して

130 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
おい、話が横道にそれたぞ
ガイア教団だガイア教団
俺は聞いたこと無いな

131 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
俺もねぇな

132 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
俺はある。最近東京でやけに力つけ始めてる宗教組織……というか超巨大暴力機構というか
アイツらやばいよ、メシア教とか目じゃないくらい見境ない。
かたっぱしから堕天使とか魔神とか天魔とか集めまくって、ヒャッハーしたい連中を兵隊にしてる
奪うわ殺すわ犯すわ火付けるわやりたい放題だ。
今んところ東京中心だけど、その内に地方にも出るかも。メシア教が布教に来たみたいに。

133 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
俺が見た「ガイア教徒」ってただの野盗共の集まりだったぞ?
マジでそんなでかい組織のヤツら? おれのアーマーンに頭からガジガジされてあっちゅう間だったんだが
戦利品も涙出そうなくらいしょっぱかったし

134 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>133
マルカジリ怖いです
>>132
何か、大分組織の勢力にむらがあるみたいだ。下っ端は劣化モヒカンがいっぱい。
やばい連中はまじでヤバイらしい
なんか鬼とか天狗とか、日本の妖怪もいっぱいいるみたい

135 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
鬼っ子萌え

136 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
馬鹿、そこはカラステングたんだろうがJK

137 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>135-136
スマン、奴らオスしかいないぞ。
人間の女を孕ませて子作りするらしいな。

138 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>137
それはそれで興奮するな

139 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>137
何か問題でも?

140 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>137
ソレナンテ・エ・ロゲ

141 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>138-140
お前らwwwwwwwwwwwwwww

142 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>138-140
ワロスwwwwwwうぇwwwwww
バカwwwwwww

143 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
こいつらどうして大破壊の時に死ななかったんだろう
その方がずっと世界は綺麗になったはずなのに

144 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
それは前から俺も考えてたが答えは出なかった
そんな事よりそろそろ決算の時期だな、今年も波乱に満ちた一年だった

145 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
諏訪と出雲と伊勢は相変わらず鉄板だったなー

146 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
カミ様はやっぱいいな、基本的に日本人には優しいし

147 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
まあ、そのかわり天津神と国津神で殺意ムンムン過ぎるだろ
数千年単位の恨みなんて俺には想像できんわ

148 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>145
諏訪は座ってるだけで周りが平伏してくる

149 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>148
俺は評価する

148 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>148
>>148
>>148
>>148

149 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>148
>>148

150 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>148

151 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>148

152 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>148
>>148
>>148
>>148
>>148
>>148

153 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
お前らほんとここぞというときに団結するなwwwwww
このクズどもwwwww ワロスwwwwww

154 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
もう許してやれよwwwwww

155 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>148
安心しろ、ミシャグジさまは面白いってよ
かなり笑ってるから何かいい事あるかもよ

156 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
禰宜様のお墨付きktkr

157 名前: 148 [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
うっひょー! マジで! カミ様直々に褒められちったよおれ
いい事って具体的に何、金運? こじんてきには
あ、ごめん、だれかき

158 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
おかしな切りかたすんなwwww

159 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
おいやめろばか

160 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
早くもどってこーい

161 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
……おい、帰ってこねぇぞ

162 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
((((;゚Д゚))))

163 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
ま、まだ30分しか経ってないから、ほら、話が弾んでるとか

164 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
148は犠牲になったのだ……

165 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
さーあ、いなくなった人の話題はどんどんしまっちゃおうねー

166 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
以下何事もなかったかのように国家運営スレになります

167 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
そういやさっき野盗の話題でたけどさ
こないだ俺が山道通ってたら、世紀末の漫画から飛び出たような格好の男と超デケェ女の悪魔に助けてもらった
男の方の格好見た瞬間、俺の頭の中には「テーレッテー」が鳴り響いた
つうか見た瞬間ゼッテェ野盗だと思ったのに警邏隊でやんのwwwwwww
しかも人間より悪魔の方が親しみ易いってどうよ

168 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
奴か

169 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
奴だな

170 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
あの二人かwwwwww

171 名前: 167 [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
有名人なんかwwwwwwww
俺が商品載せたロバと一緒に森の中で迷ってたらいきなり斧引っ提げて目の前に現れて
俺「!!?!?!!?(驚きの余り声が出ない)」
モヒカン「ヒャッハー!! 品物を出せぇ!」
俺「は、はい! い、命ばかr」
モヒカン「コレとコレとコレを貰うぞ! ヒャッハー! 新鮮な川魚だー!」
水と一緒に川魚の入った樽と醤油と味噌の容器を抱えて反対側の森の中に消えていくモヒカン
( ゚д゚)状態の俺
ノシノシと現れる悪魔
悪魔「ああ、ごめんね、お代は魔貨でいいよね、はい」
俺「は、はぁ、は、ええ? おお、あえ?」
悪魔「方位磁石貸したげるよ、真っすぐ北東に進んだらあたしたちの里だから」
俺「は、はぁ? え?」
悪魔「じゃあ、仕事中だから。またね」
暫く( ゚д゚)顔でつったってから、妙におかしくなって笑いまくってた

172 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>俺「は、はぁ、は、ええ? おお、あえ?」
混乱しすぎワロタwwwwwwww

173 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
いやそりゃ、山道であんなもんに出くわしたら混乱するだろwwwwww
おれなんか見た瞬間に発砲しちまったってのwwwwww

174 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>173
だが傷ひとつなかった

175 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
悪魔召喚師ってなんか人類の範疇超えてねぇ?
やっぱ魔力とか関係あるんかね

176 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
少なくとも生体マグネタイトの絶対保有量が何らかの相関関係にあるのは間違いない
悪魔を殺してそのMAGを自らの物に出来るから強くなるのか?
それだと一般人でも強くなれそうだが、明らかにデビルサモナーのほうが強い
効率よく吸収できるから悪魔召喚師なのか、それとも悪魔召喚師になれば吸収効率が上がるのか?
スティーブン辺りはこのへん研究してそうだな

177 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
スティーブン……都市伝説じゃなくてマジで存在するんだよな?

178 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>177
少なくともそう名乗って手当たり次第に悪魔召喚プログラムをばら蒔いた人物がいる
俺もデビルサモナーだが、このプログラムをマジで一人で作ったとすればこいつは天才という言葉も生やさしい
鬼才、異才、変態だな。

179 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
複雑な儀式を全部PCでエミュレーションさせるとか、頭が湧いているとしか思えん
これって昔の召喚士はカルチャーショックだったりしたんかな

180 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
だろうなー

181 名前: 1 [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
('A`)ウボアー
ようやく書類仕事から解放されたお。
なんか久しぶりに帰ってきたらウチんとこの世紀末コンビが話題に出ててワロタ
あ、>>167さんはあの時のロバ連れた行商さんですか、塩と味噌と醤油助かりました
あのアホはあの後こっちで吊るし上げといたので勘弁してやってください

182 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
1さんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

183 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
お疲れ様でした、総督!

184 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
お疲れ様です! 書記長!

185 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
オサ  オサ  オサ
長! 長! 長!

186 名前: 1 [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
というかマジでしんどいって、だれか官僚出身の生き残り欲しい
霞が関がまるごと死滅したから優秀なのはいないし、地方官僚とかあらかた悪魔に喰われちまってるし
俺って別にそういう専門の教育受けたわけでもないのに……
まあ、日がな一日引きこもってるもやしっ子にはこれしか仕事が無いのであるが
ああー、クソ、あのモヒカンめ、ゴエティアくらい崩壊前に確保しとけっての
72柱に政治の上手いヤツとかいたっけか? ……ボティス、とかなんかいたような

187 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>これしか仕事が無いのであるが
                       ,、ァ
                      ,、 '";ィ'
________              /::::::/l:l
─- 、::::;;;;;;;;;`゙゙''‐ 、    __,,,,......,,,,_/:::::::::/: !|
  . : : : : : : `゙'ヽ、:::゙ヾ´::::::::::::::::::::::`゙゙゙'''‐'、. l|   またまた ご冗談を
、、 . : : : : : : : : r'":::::::::::::::::::::::::,r':ぃ::::ヽ::::::::ヽ!                 ,、- 、
.ヽ:゙ヽ; : : : : : :ノ:::::::::::::::::::::;;、-、、゙:::     rー-:'、                /   }¬、
. \::゙、: : : :./::::::::::::::;、-''"::::::::::   ,...,:::,::., :::':、           _,,/,,  ,、.,/   }
   ヽ:ヽ、 /:::::::::::::::::::::::::     _  `゙''‐''"  __,,',,,,___       /~   ヾ::::ツ,、-/
     `ヽ、:::::::::;;;、、--‐‐'''''',,iニ-    _|  、-l、,},,   ̄""'''¬-, '  ''‐-、 .,ノ'゙,i';;;;ツ
   _,,,、-‐l'''"´:::::::'  ,、-'" ,.X,_,,、-v'"''゙''yr-ヽ / ゙゙'ヽ、,    ,.'      j゙,,, ´ 7
,、-''"    .l:::::::::::;、-''"  ,.-'  ゙、""ヾ'r-;;:l  冫、     ヽ、 /    __,,.ノ:::::ヽ. /
       l;、-'゙:   ,/       ゞ=‐'"~゙゙') ./. \    /  '''"/::::;:::;r-''‐ヽ
     ,、‐゙ ヽ:::::..,.r'゙         ,,. ,r/ ./    ヽ.   ,'     '、ノ''"   ノ
   ,、‐'゙     ン;"::::::.       "´ '゙ ´ /      ゙、 ,'            /
  '     //:::::::::            {.        V           /
        / ./:::::::::::::            ',       /         /
.    /  /:::::::::::::::::.            ',.     /   ,.、     /

188 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
1がヒッキーだったら俺は何だ、蛆虫か

189 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>1
カミパワーなしであそこまで大きくするとか、どう考えても人間の力です本当にありがとうございました

190 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
まあ、悪魔もいるが

191 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
悪魔も召喚師の力だろ常考

192 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
1さん、サブナク様お元気?
ローマ軍のキャンプの作り方とかスゲー参考になったよ、有難う
今度お礼に行くわ

193 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
こないだ>>1んとこ行ったらマジで中世の城砦でお茶吹いた
あんな大量の石、どっから切り出したんだ??
魔法か

194 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
というか俺は歩哨に立ってたマッスル海兵隊の白人が鎧兜着てるの見て吹いちまったんだが
コスプレって言うかマジモンの雰囲気が出てて逆に笑えた、実際本物だったし
いつの間に日本の雑木林から中世ドイツの暗い森に行ったのかと思ったぜwwwww

195 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>194
あの厳しい格好と顔つきで「ヨーコソ、イラッシャリゴジャリマスタ!」とか言われたら吹かざるをえんだろwww
マジ誰だよあの間違った日本語教えたのwww

196 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
っていうか、>>1さんさっきからどうした?

197 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
寝落ち?

198 名前: 1 [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
亜qwせdrftgyふじこlp;@

199 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
!?

200 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
どうした!?

201 名前: 1 [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
ちょwwwwwおまwwwwwwwwwwwwwwwwwモヒwwwwwwwwwwwwwww
なにやらかしwwwwwwwwっうぇうぇっうぇwwwwwwwww
俺オワタ\(^o^)/

202 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
ざわ……
  ざわ……

203 名前: 1 [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
新しく50人近くも難民とかwwwwwっうぇうぇwwうぇw配給計算し直しwぇうぇwwwwwwっうぇうぇw
また徹夜wwうぇwwwwうぇうぇええwwwこれで5徹目突入wwwwうぇうぇwwwwwwww
やべぇっうぇwwwwうぇwwなんか変な液体出てきたwwっうぇwwww


















泣いていい?

204 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>1…………!!
モヒカン……お前という奴は……!

205 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
泣いていい! 泣いていいんだ! お前は今泣いていいッ!!

206 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
ミシャグジさまが「お大事に」って、祈りの治癒念波送っときますね

207 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
略式軍事裁判を改定する
被告人 モヒカン

208 名前: YAMA [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
死刑だ

209 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
これにて閉廷

210 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>207-209
この間約十秒

211 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
>>1の悲しみを背負ったスレ住民に躊躇はなかった

212 名前: 1 [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
       / /|        /|   |ヽ      ヽ,ヽ,   |
.       // .|       〃   |  / / ,.へ |!  >  _、へ |\     ヽ,ヽ,|    バカなっ・・・! バカなっ・・・!
.          | /| ./!イ==`、  iレ´==== ヽ    ヽ,ヽ,    なんでこんなことがっ・・・・・・!
.           | / レ  ト、_。_)  (      ,、 | |⌒i  iヽ,\
、_          レ    /|  ̄/.|j~ `.=°=´   | |つ.|  ゝ.\.\   なんでこんな・・・・・・
、_`'-、_         / .レ´    u u _ ,、-'´  .| |ノ/   ヽ \ \  あってはならないことがっ・・・・・・!
 `' -、,`' -、/`7―-/ r'__   __ `  ̄    |j~ ||ノ.      \ \ \
     `'ァ、\/―- 、 __| f========ニ`i   /|       |\ \ \ .\   どうして・・・
     /  \ \       | |          }  / |       | / ̄ "'' ‐-\ .\  なんで・・・ こんな・・・
    i.   / \.\   / ||- ―‐-r――‐-/ / レ     N ̄ "'' ―‐ --\  こんな・・・・・・・・・
.    |   /   \.\〃! |` ――' -----'/    |      |
    |        \.\| .| u==  ,、- '´  u ./|     |   こんな理不尽なことが
    |           \ \l_ ,.、- ' ´         /| |.    N   オレの身ばかりにっ・・・・・・・・・!
    |            | |\ \        |j~  / | レ   |
    |         | レ |\ \       / |   |   |
    |.         | | |  \ \  u  /  |   |   |

213 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
(´;ω;`)カワイソス

214 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
生キロ……



















「けしからん!! 全くもってけしからん! いつもそうだ、やりたい放題絶頂にやり散らして、結局最後の尻拭いは我々だ! そうだ! 1! お前は今泣いていい、いや、怒らねばならぬのだ!!」

 そう言って、閻魔大王ことヤマは思わずドスンと執務机を叩いた。

「ヤマ様、いかがしましたか!」
「喝! 休憩中は入ってくるなといっただろうが!」
「も、申し訳ございません!」

 怒りに真っ赤になったまま、巣鴨プリズンの主で最高裁判長である彼は、小間使いの人間にセットしてもらった小さなモバイルパソコンに向かってうんうんと頷きながら、ROM専に戻ってF5キーを押すのであった。














「うげぇ、1さん死んじまうんじゃねぇのこれ」
「ドウシタ、マスター」
「サブナクのマスターが過労死しそうだぜ」

 そう言って近藤はハンドヘルドPCに並んだ文字列を、背後から肩越しに覗き込んでいるアーマーンに見せた。
 およそ知性的な外見ではないが、アーマーンは爬虫類の瞳でその文字列を眺めてから、やけに鉄錆臭い溜息を吐いた。

「マスター、テツダッテヤッタラドウダ」
「遠すぎだっての、トラポートも使えねぇし」

 主従はそろって窓の外を見る。
 その空の下でこの偉大なスレッドを最も初めに立てた生ける伝説が血の涙を流しているのだろうか?

「……久しぶりに顔でも見に行くか」
「……ソウダナ、シヌマエニ」
「不吉なこと言うな」
















――――――――――――――――――――――――――――――――
DDN[Digital Devils Net]
このスレは偉大なるマニトゥ様とその配下である電霊達によって維持されています
1000レスに達したらマニトゥ様にお祈りを捧げましょう
スレを立てるときはマニトゥ様に感謝の言葉をささやきましょう



[20278] 物資調達作戦
Name: モヒカンの人◆46a88152 ID:8641a90a
Date: 2010/07/16 03:56
「装填(リローディン)!!」

 掛け声と共にコッキングレバーをガチャリガチャリと素早く二度引いて初弾を薬室に叩き込む。

「く た ば れ !」

 引き金を引くと同時に12.7㍉NATO弾が毎分550発の速度で発射される。
 凄まじい重低音と共に音速を超えた完全装甲弾が悪魔に向かってばらまかれた。
 並外れた巨体であって尚、両手で持たねば反動で骨が外れるような強烈な反動を、ビューネはまるで生ける固定砲台のような頑強さで完全に殺してみせる――常人であれば、三脚に固定して発射するような重機関銃を改造して個人携行用にしてある。
 その改造の利点はたった一つ、彼女以外に使えるものがいないので奪われる心配がない。
 薄闇に映えるマズルフラッシュに照らされながら、金色の空薬莢が次々と鋼鉄の凶器から吐き出されていく。
 本来であれば人体に向かって使用することが国際法によって禁じられている機関銃であったが、この情勢下にあってそんな物は便所の紙ほどの値打ちもない。いや、そもそもこの敵は「人体」の範疇からはみ出してしまっているように思われた。少なくとも、心臓の止まった肉の塊を「人体」とはどんな優秀な法解釈の専門家でも強弁できまい。
 それでもなお倫理と慣習に縛られるなら、戦場で耳の側を一発の銃弾が通り過ぎるのを、目の前を槍や剣がぎらつくのを、すぐ近くに魔法の炎が着弾するのを感じればいい。
 その瞬間、兵士の頭の中にはただ相手を殺して生き残ることしか残らないだろう。
 ビューネはあっと言う間に撃ち尽くした箱型弾倉を外して投げ捨てると、腰にぶら下げた予備弾倉を素早く装填する。装填の掛け声と共に、またしても打ち放たれた銃弾が死してなお任務を果たそうとするゾンビーアーミーをバラバラの屑肉に変えていく。
 腕に当たれば腕が飛び、脚に当たれば脚が飛ぶ。胴体に当てれば内臓を盛大にぶちまけて赤黒い花を咲かせる。
 通路いっぱいにひしめいていた歩く死体を片付けて、ビューネはあらん限りの大音量で叫んだ。

「テリー! 血路は開いた、真正面!」
「ヒャッハー! 汚物は消毒だーーーーーーーーーーーーーー!」

 車のタイヤが破裂するような発射音、一発毎にされる特徴的な排莢音。
 そして着弾と共に通路の奥で団子状になっていた屍鬼の群れに焼夷弾が着弾する。
 テリーの持ったイサカM37に装填された焼夷弾頭がスラムファイア(トリガー引きっぱなしでフォアエンドを高速で前後させる射撃)で次々と敵に炸裂し、摂氏数千度に達した炎の海が生ける屍を「消毒」する。
 ぶすぶすと真っ黒い煙を吐き出しながら、それでもなお炎の中で死者たちが蠢いていた。
 それが果たして焼ける筋肉が自動的に動く反射なのか、あるいは哀れな死者の脳内に欠片だけ残った任務遂行への意識がなす業か。
 ビューネは大破壊によって産まれた悲しい兵士達に暫しの黙祷を捧げるのだった。

「ヒャッハー!! 装填! 射撃! 粉砕! どけどけぇぇえ! 道を開けろぉぉぉ消毒しちまうぞぉぉぉぉ! ウハハハハハハハハ!」
「……テリー、ちょっとくらいしんみりさせてくれないかな」
「知るかボケェ! 前進! 前進だ! アンデッド共をしっかりデッドさせてやる! 安らかににくたばれ!」

 バババババン、またしてもスラムファイアで放たれた銃弾は、先程のようにトリッキーな焼夷弾ではなく標準的な散弾であったが、銃身を切り詰めて改造を施したそれから放たれた弾は凄まじい拡散率で広範囲の敵を殺傷する。
 屋内戦での制圧力を念頭においたその凶悪な改造は、ソードオフ(sawed off)と呼ばれるものだった。
 接近戦主体である彼自身の戦い方を考えて改造したのかといえばそうではなく、単に「こっちの方が世紀末に相応しいから」という頭の痛くなるような理由である。
 火達磨になって蠢いていたゾンビたちは、真正面からばらまかれた散弾の雨を食らって挽肉になる。
 未だ硝煙の立ち上るショットガンを捧げ持ちながら、テリーは通路の奥にうず高く積もった焦げ臭い汚物の山を見ながら叫んだ。

「よし、やったか!?」
「無理にフラグ立てようとしなくてもとっくに死んでるよ。見りゃ分かんでしょうが、ぐちゃぐちゃだよ」
「いや、もしかしたらこの状態から合体して屍鬼コープスになるかも知れねぇだろうが」
「そりゃ一体どんな超進化だよ。穢れの染み付いた魔力溜りでもあるまいし、そんな事起こりっこないって」

 呆れの溜息を突きながら、ビューネは機関銃の安全装置をかけて背中の専用ホルスターにそれを収めた。
 銃撃戦が始まったときにその場に落とした超硬ジュラルミンシールドと血塗れの大鉈を拾い上げる。シールドはこの基地跡で拾った。巨大鉈の方は最近倒した悪魔から奪ったもので、どうやら呪いがかかっているらしいが悪魔の彼女には何の問題もない。

「で、この先?」
「おお、見取り図にはそう書いてある」
「やれやれ、とんだ手間だよ全く。物資補給に来て盛大にばら蒔いてちゃ何のために来たのかわからんよ」
「こまけぇ事はいいんだよ! へっへっへ、次の奴らはこの斧のサビにしてやるぜ。たっぷり可愛がってやるからな、ベイベー」
「……おかしいなぁ、それ、呪われてるはずなのになぁ」

 モヒカンのサモナーが生き生きとした顔で砥石を滑らせている斧の名は「ギロチンアクス」。首切り処刑人が愛用したという曰くつきの呪いの斧である。ついさっき拾ってからこのように手入れに余念が無い。
 それを握った人間は血塗られた狂気に呑まれて敵味方なしに斬りかかるとも、あるいは敵を殺すたびに全身から血が吹き出すとも言われる恐ろしい呪いの斧である……はずだ。

「ねぇ、ちょっと、なんかこう、それを握って変わった感じはないの」
「なにが」
「こう、無性に血が見たいとか。誰かの首を切り落としたくてたまらないとか」
「……? いつもそうだ」
「――――――――」

 ああ、そうか。
 とっくに頭がおかしいんだった。

「どうした? おかしな奴だな」
「……うん、何でも無いよ。ごめんね、あたしが悪かったよ」
「??」

 訝しげに首を傾げるサモナーに菩薩の笑みを投げかけながら、ビューネはそれ以上考えるのをやめた。


――――――――――――――――


 現在二人は遺棄された軍事基地に潜入していた。
 お目当ての品物はズバリ武器弾薬。
 流通の寸断されたこの世界で、軍事用品はどの勢力も血眼になって探し回っている。金銭で贖おうと考えるならばそれなりに大きな街に行かねばならず、しかも高価だと相場が決まっている。
 それならば、ある所からたっぷりと頂戴すれば話しは早いのだ。
 死人に口なし、死人に金いらず、物いらず……。

「うっひょーーーーーーーー! 宝の山だぜ、ヒャッハァーー!」
「おお、これはすごい」

 小学校の体育館ほどの広さだろうか、鉄骨とコンクリリートで作られた無骨な武器弾薬庫にはうず高く積まれた軍需物資の山がズラズラと続いていた。
 早速ビューネは手近に置いてあった弾薬箱の埃を払う。

「12.7㍉NATO弾……これだけあれば来世の分まで使えそうだ。最も、あたし一人で使うわけじゃないけどね」
「おっおっ! ガソリンだ! 何ガロンあるんだよこりゃ、大収穫だぜ!」

 言うまでもなく、ガソリンは貴重品である。
 ビューネの里では里長が疾っくの昔にガソリン抜きの社会体制で回せるようにしてしまっているので余り意味が無いが、他の経済圏ではとんでもない高レートで換金できる。そう考えるとドラム缶一本で一財産だ。
 ……もっとも、目の前で大はしゃぎのモヒカンは戦闘バギーと魔改造単車の燃料が手に入ってご満悦である。
 調子にのって燃費の糞悪いそれを乗り回して、もともと余り多くなかったガソリンを最初の半年であっと言う間に使い切ってからというもの、まさに血眼になって探し回っていたからその喜び方も傍から見ればやや大げさに見えるほどのものだ。
 
「あのバイクと車、まだ捨ててなかったの」
「バカッ! 捨てるとかお前、鳥肌立つようなこと言うな! アレに一体幾らかけたと思ってんだァ!?」
「知ってるよ、あたしはそばで見てたでしょうが。あんなもんの改造費にじゃんじゃかお金つぎ込んで、何が「世紀末の準備」なんだか。ゆーくんも言ってたでしょう「こんなゴミをせっせと作る暇と金があったならどうして百科事典の一つも買っておかないんです真面目に準備してる私が馬鹿みたいじゃないですかいえ違います馬鹿はあなたですバカ死んでも治らないって言いますけどそれを試すいい機会です死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに本当に死ねばいいのに」って」
「すげぇ、一呼吸で言いやがった」
「もう一回言おうか?」
「いや、もういい。由真の小言は聞いた十秒後に忘れることにしてるからな。あと五秒はインターバルを置かねぇと」
「なるほど、常に新鮮な気持ちで小言を聞けるというわけね。びっくりするくらい正真正銘の最低屑ヤローだね、マスターは」
「クズ野郎か……その響き、嫌いじゃないぜ」
「死ねばいいのに」

 道端の毒虫をみるような視線を向けられたテリーは嬉しげな顔で斧を研いだ。このモヒカンは人として大切な何かがぶっ壊れていた。

「さて、連絡連絡っと」

 研ぎ終わった斧を腰にぶら下げたまま、テリーは無線機のスイッチをひねる。

「あーあー本日ハ晴天ナリ。ウォッチタワー応答せよ」
《こちらウォッチタワー》
「ヘイ! こちらお前に良し皆に良しのマスターテリーだ、倉庫いっぱいの武器弾薬とガソリンのデリバリーを頼みたい。人足だ! 人足とクルマをかき集めろ! 宴の準備だ野郎ども!」
《ヒーハー! マジかよ! 愛してるぜベイベー!》
「キスは帰ってからタップリしてやるぜ、俺達はここを確保する、防御に穴を開けない程度の人数でピストン輸送だ、オーケー?」
《オーライオーライ、まかしとけ ああーそうだ、この間お前が連れてきた難民を使うぞ タダ飯を食わせる余裕はないからな》
「そのへんはお前らでテキトーに決めろや 通信」

 無線機をナップザックに戻して一仕事終えた溜息をつくと、テリーは近くにあった木箱の上にどっかりと座ってタバコを取り出し、ライターを取り出したところでふと自分が腰を下ろした木箱の表示を見た。そこには大きな文字で「TNT」と書かれている。
 彼は黙ってライターを仕舞うと、タバコの代わりにチューインガムを取り出した。
 彼女もそれに続いて腰を下ろそうとした瞬間、柔和な顔付きが一瞬にして引き締まり流れるような動作で背中のブローニングを引き抜いていた。

「寛ぎだしたところ申し訳ないんだけど」
「あん?」
「お客さんだよ」

 その言葉に応じるかのように、外に通じる大シャッターに外側から何かが体当たりをする。
 軍用の頑丈なそれをメキメキとぶち壊しながら、鋼鉄の巨獣が姿を現す。


 マシン 試作多脚重戦車X-009 が 一体 あらわれた


「ヒャッハァーー! ぶち壊してやるゼェぇ!!」
「頑張れポイントマン、援護射撃(パブリックファイアー)!!」

 人足部隊が到着するまで、あと一時間……。



















――――――――――――――――
おまけ

[ChatRoom SUWAKO]
KT>ミシャグジさまのご利益って結局なんだったんですか
NEGI>もうお分かりでしょう?
KT>いえ、もしかしたら勘違いかもしれないと、そんなふうに思いまして
NEGI>恋愛運です。嫁ができて嬉しいですか?
KT>普通の嫁が欲しいです。チェンジできませんか
NEGI>何がご不満ですか? ミシャグジさまは特級のご利益をあげたと言っておられます
KT>確かに特級のが来ました。人外の美貌です。プレッシャーでしにそうです、あと、この悪魔で童貞捨てたくありません
NEGI>なぜ
KT>ついてるんですけど
NEGI>何か問題でも

「あるに決まってんだろうが!!!!」

 木村光太郎は思わず激昂して机を叩いた。

「いかがされました、我が主」
「うぇっ」

 ぎょっとして彼が振り返ると、ゆったりとしたローブを身に纏った美貌の悪魔が気遣わしげに彼を伺っている。
 堕天使セエレ、それがこの悪魔の名前であった。
 冷え切った月の光をそのまま形にしたような銀髪、エメラルド色をした双眸、中性的というよりも女性的な柔らかく美しい顔付き、声も女性そのものだ。よくよく見れば実はその両胸は慎ましやかながら膨らんでいる、そう、胸があるのだ。しかし、あれも付いている。
 アレの方は両方付いているなどという天使にありがちな幻想はなかった、光太郎と全く同じモノがしっかり付いていたのを確認済みである。ちなみに光太郎より大きかった。
 スラム街でこそこそと運び屋をやって生計を立てている彼のもとに突然この超絶美しい堕天使がやってきたのはつい最近のことだ。
 仕事が終わっていつものようにDDNに書き込みをしている時に突然呼び鈴がなり、警戒して拳銃片手に開いたドアの向こうにこの人外がペガサスを連れて立っていたのだ。
 そして呆然とする彼に向かってセエレは言った「宿命の流れが貴方のもとにありました。どうかお仕えさせてください」と。
 光太郎はアホ面下げた空っぽの頭で即座に承諾した。
 最初はセエレを女だと思った、思ってしまったのだ……。

「い、いや、なんでもない。仕事はどうした? たしかめっちゃ遠くのはずだったが」
「伊勢神宮にグレネード120箱でしたね。申し訳ございません、予定よりも遅れてしまいました。言い訳じみていることは承知ですが、向こうの受取人が主の代理だと言っても納得してくださらず……一度こちらに戻って主の運び屋証明書をお借りしてようやく信頼して頂けました」
「……」
「我が主、如何なされましたか?」
(え、えええー!? あの免許取りに来たの、一回行って帰って来てたのかよ!? つうか朝の10時に頼んで免許取りに来たのが10時半で……マジかよ!? 嘘ついてんじゃねぇ……いや、こいつは絶対俺に嘘をつかない、それ以前にそんなすぐに分かる嘘を付くか。じゃあ、マジでもう言って帰って来たわけ? 高速跡地を使っても片道で500キロ近くあるんだぞ、そこまで行って言い争って帰ってきて……それを30分以下? 片道10分くらい? パネェ……)
「……主様、体の具合が悪う御座いますか」

 心配そうにセエレがその細長い華奢な指を持つ手のひらを光太郎の額に当てる。

「特に熱はお有りになりませんね。回復魔法はお入りようですか?」
「い、いらねぇ、ちょっとシャワー浴びてくる」
「あ、主様」
「あん?」

 戸口でふらりと振り返ると、光太郎が何かに目覚めそうになるほど美しい堕天使は恥ずかしげに顔を俯け、耳から首筋に到るまで真っ赤になりながらぼそぼそと囁いた。

「お、お背中お流ししましょうか……?」
「くぁwsでfrtgyふじこlp;@:」

 壊れるかと思うような力で扉が閉められ、バタバタと逃げるように足音が遠ざかっていく。
 一人残されたセエレは真っ赤な顔のまま握りこぶしを震わせ、目尻に涙を浮かべながらキッと机の上に放置されたPCを睨みつけてその椅子に座った。


[ChatRoom S*O*L*O*M*O*N]
Seere>全然ダメだったじゃないですか!! どうしてくれるんです、これ以上嫌われたら!
Berith>え、マジで信じたの? バカスwwwwwwwwwwっうぇっうぇww久々にワロタwwwwwwwww
Halphas>ヒデェ、seereよ、だからお前こんな二枚舌野郎の話信じるなってアレだけ言ったろうが
Marchosias>Berith! この恥知らずの詐欺師めが、今すぐ貴様の舌を引きちぎってくれる! 
Sabnock>腐敗の剣が貴様の後ろに迫っておるぞ、Berith!!
Eligos>我が黒馬の嘶き声が聞こえるかBerithよ。我が軍団の角笛が聞こえるか。
Berith>ちょwwwwwwwwwww戦争屋ども鼻息荒すぎwwwwwwちょっとした冗談だろうがwwwww
Seere>ひどい……私の悩みなんて所詮冗談ごとのレベルなんですね
Decarabia> [ ・ j墨 $a$1$ *$A$ 3 B* OJ QJ CJ msHKH PJ nH^J aJ _HtH B A@・ B A b s a t z - S t a n d a r d s c h r i f t a r t B ・・B A b s a t z - S t a n d a r d s c h r i f t a r t・ k=・00・0 > "> 級ⅧW0 ・x $ OJ QJ CJ PJ ^aJB
Ose>止めよDecarabia、呪殺スクリプトはマニトゥネットに流すな。逆流するぞ
Gomory>Seere、Berithは後で私がお離ししておきます。とにかく今は貴方の主に謝りなさい。聞いたところ全く脈がない様子でもありません、ひたすら誠実に、貴方の真心を込めて仕えなさい。そうすればいずれ報われるわ
Seere>Gomory様……有難うございます。あ、主がもう来ます、さようなら

*Seereさんが退室されました*

Sabnock>所でGomory様、漢字が間違ってござる
Eligos>おお、珍しい事もあるな
Gomory>いえ、間違ってません。首と胴を「お離し」する予定ですので

*Berithさんが退出されました*
*Gomoryさんが退室されました*



[20278] アッーーーーーーーーー!!
Name: モヒカンの人◆46a88152 ID:743381f9
Date: 2010/07/18 02:32
「おい、セエレ。今からおやっさんとこ行くけど来るか?」
「あ、はい。お供させて頂きます」

 相変わらず堅苦しいその返事に、〈運び屋〉木村光太郎は苦笑を隠しきれなかった。いくら改めさせようとしても頑なにその言葉遣いを改めようとしないので、既に諦め始めているところである。
 今まで真剣な顔で読み込んでいた冊子を慌ててカバンに詰めて、セエレは文机から立ち上がって彼の方に歩み寄ってきた。ちらりと見えた冊子のタイトルは「運び屋訓戒」。

「勉強中か。別にお前は読まなくても俺が知ってりゃいいだろうに、昨日の晩からぶっ続けで読んでんな。疲れねぇ?」
「いえ、どんな事であろうと主のお役に立ちたいのです。貴方の力になれることを考えればこの程度、疲労のうちにも入りません」
「そ、そうか」

 女と見紛うばかりの美貌にそう言って優雅に微笑まれ、光太郎は背筋にゾクゾクと走る得体の知れない感覚に戦慄した。
 自分はノンケだ、そのはずだ、断じてアッーの趣味など無い!
 そうブツブツと自己暗示をしながら、光太郎は彼の住処である地下室から外に出た。
 ここは大破壊前は何か後ろ暗い事をしている人間の住処だったらしく、上の建物が根こそぎ吹き飛んでいた代わりに頑丈な鉄筋コンクリート製の地下室――今しがた彼らが出来た場所――がある。
 大量の保存食と水や空気の濾過装置、発電機、小部屋いっぱいにみっしりと詰め込まれたあらゆる書籍。そして極めつけに彼が今までモニタ越しにしか見たことのないような武器弾薬がどっさりと。
 どう考えても此処の住人は今このような状況に備えていたとしか思えなかったが、本来の住人はそれを活かすことが出来なかったようである。
 それなら俺が替わりに使ってやろうと、光太郎がここを使い始めて直ぐにとんでも無いものを見つけてしまう。
 それはこの大破壊が起きる直前に東京で起こった軍事クーデター。通称「五島一佐の乱」の計画書と、陸自の制服。そしてよくよく見れば、置いてある武器の数々は陸上自衛隊が制式採用していた……。
 怖くなってきた光太郎はそれ以上考えるのをやめた。
 好奇心は猫を殺す、小市民的思考で小悪党を地で行く光太郎は其れ以上その危ない代物に触れるのをやめた。とっくにクーデター軍など影も形もないが、あまり踏み込むと祟り殺されそうな気がしたのだ。このご時世、冗談ごとでは済まない。
 さて、それから彼は持ち前の端っこさと世渡りの上手さ、そして背後にある大量の保存食・安全な住居という後ろ盾による安心感も手伝い、東京郊外でちょっと名の知れた運び屋となっていた。
 もともと崩壊前はバイク便に勤めており、趣味のツーリングで日本中に行ったことのある彼は遠方の地図に載っていない裏道にも精通しているため、大破壊によって各地で寸断されまくった主要道しか知らない人間よりも確実かつ迅速に物を運ぶことが出来た。
 しかしながら当然彼にも弱点がある。それは「運べる物量」である。
 他の運び屋が数人から数十人のキャラバンを組んで大量の物資をのろのろ運ぶに対し、彼の方法は個人が持てるだけの最小限を迅速に目的地に届けることが出来る――いや、「其れしか出来ない」のである。
 彼もキャラバンを組めばいい? 
 馬鹿を言ってはいけない、今のところ彼が同業に持っているアドバンテージは「大量の裏道と日本全国津々浦々のマップデータ」だけなのだ。
 もしキャラバンを組んで其れが他者にまで知られたら……考えたくもなかった。
 さて、そんな彼がつい最近、とんでもない美貌の「女悪魔」を連れ歩き出したと一部の界隈で話題になった。
 噂というのは事実と異なるのが常であるが、彼の場合はこの噂が真実だったらと毎夜血の涙で枕を濡らしていた。
 現在も彼の後ろで優雅な笑みを浮かべながら追従するその悪魔。
 どこからどう見ても「性別♀」のこれは実のところ「性別♂」なのであった。
 非常に悲しいことに、彼自身の眼でしっかりと確認済みであった。

(ファック……呪われちまえ)

 くさくさした彼は道路に転がっていた石ころを思い切り蹴飛ばした。
 蹴飛ばされた石ころは放物線を描き、浮浪者を寄って多かって殺して遅いランチを貪っていたゾンビーの一団に直撃した。
 ゾンビー達は食事を邪魔されてさぞご立腹の様子で、知性の欠片もない食欲の塊は彼とその背後にいる悪魔をデザートにすることにしたようだ。

「――――――」

 光太郎のすぐ背後で笛を鳴らすような旋律が数秒続いたかと思うと、真っ赤な火球が屍鬼共の中心に着弾して破裂する。魔法の炎はあっと言う間に奴らを焼き滅ぼすと、まるで何もなかったかのように虚空に消えた。

「主様、ご自重下さい」
「おう、悪いな、気をつけるよ」
「はい。それにしても物騒な通勤路ですね、もっと安全な道はないのでしょうか」
(テメェがいるから使えねぇんだよ)

 彼は心で悪態を付いた。
 本来ならば彼自慢の「秘密基地」から直結で旧下水道に侵入する道があり、至る所が崩落で塞がったその迷路を彼だけが知っている道で進めば地上とは段違いの速さと安全性で目的地に到着できる。が、彼はそれを使えない、いや、使わない。
 原因は言わずと知れるように傍らの悪魔である。
 結論から端的に言えば、彼はこの美貌の堕天使を全くと言っていいほど信用していなかった。
 この堕天使は完璧に偽装され、絶対に入ってこれるはずのない正面玄関を「素通り」して、内玄関の真ん前で呼び鈴を鳴らしたのである。
 こいつがその気になればどんな場所にだって行ける、やろうと思えば彼を殺すことなど造作も無いはず。或いは背後の組織が自分の持っている何かを狙っているのか? いやいや、こんな力があるならそれこそ殺してからどうとでもなる。一体何が目的で? 何のためにデビルサモナーでもない自分に近づいた? いや、裏に何があるにせよ、「こいつは信用なんか出来るものか」。それが彼の心の中であった。
 ……ちなみに、これらの事は全てセエレを女だと思ってホイホイ引き入れて速攻で寝室に向かって世界とミシャグジさまに絶望して賢者状態になった状態で考えたのである。
 どう控え目に言っても小賢しい馬鹿者でアホだった。
 やがて二人は比較的破壊の跡がマシな区画にやってきた。この辺りはいわゆるバブル期のニュータウン構想で春先の土筆か筍のようにニョキニョキと鉄筋コンクリート製の集合住宅や一戸建てが建てられまくったところで、大破壊後の相次ぐ火災や地震などに何とか耐えた建物が多い。
 以前はほとんど住む者もいなくなりゴーストタウン化していたこの場所が生き残り、最も人口が密集していた場所は壊滅状態であるというも、運命の皮肉を感じさせる。
 その中の一角、元は某有名宅配サービス会社の集荷集配基地だった場所に「運び屋連合」の事務所はあった。
 敷地内をぐるりと囲むようにコンテナーを使った壁と有刺鉄線が張り巡らされ、一定間隔で監視塔が建てられている。そして入り口や監視塔には物々しい武装をした兵士達や、サモナーによって使役された悪魔達が不審者たちに眼を光らせている。

「おいすー」
「Oh コータロ、今日はオセーナ、ドシタ?」
「ちょっとな」

 片言の日本語を話す白人の歩哨に運び屋連合の免許証を見せてそう答えると、兵士は意味ありげな顔で彼の背後のセエレを見たあとに「Oh……みなまで言うなみなまで言うな」とばかりに彼の肩を抱きしめてバシバシと叩き、セエレに見えないところで「d(>_・ )グッ!」と親指を立てた。
 普通にウザかったので無視して先に歩くと、背後の方でその兵士が他の仲間と下品な冗談でゲラゲラ笑っているのが聞こえる。
 意訳すると「おい聞いてくれよ、光太郎のやつ男になった途端に俺に冷たくなりやがって、俺達の間の熱い友情もリリスの与えてくださる下半身の欲求には勝てないらしいぜHAHAHAHAHAHA!!」
 クソッタレ、ミシャグジさまに呪われてチンコもげちまえ。

「いけません」
「あぇ?」
「そのカミに軽々しく祈るのは危険です」
「ちょ、おま、な、なんで」
「主はあのマニトゥネットのアストラルサイドを介して、かの恐ろしいカミとパスが繋がっています。ごくごく弱いものですが、軽い祈祷や祈願は聞こえてしまうでしょう。私も主とパスが繋がっていますので分かります」
「なにそれこわい」

 思わずそう返した途端、彼らの背後で「アォォオオオオオオオオオオオ!! マイサン!」と人類の限界に挑戦するような絶叫が上がった。
 ギョッとして二人揃って背後を振り返ると、さっき彼を笑っていた兵士が股間を押さえて地面に崩れ落ちている。突然の事に周りの兵士達が騒然とし、とうとう地面に股間から溢れた血溜まりが広がると「敵襲! 敵襲!」と大騒ぎになって警報が鳴り響きだした。
 守備兵の詰所からは押っ取り刀で兵士達が飛び出し、強化外骨格を纏った完全武装の兵士達が「悪魔ブッ殺死!」「見敵必殺!見敵必殺!」「白兵上等!」「吶喊!吶喊!」と叫びながら門の外に飛び出していった。
 まさに、蜂の巣を突付いたようなカタストロフィ。
 股間のポケットモンスターがイジェクティンしたせいでアポカリプスである(表現に配慮をしています)。

「……」
「……」
「……お、おれしーらね、さ、仕事仕事ー」
「あ、あの、主様、何を祈願なさったのですか……?」
「え? 祈願? 何のこと? さっぱり分かんねぇなーミシャグジさま有難うございます」
「なぜ何も祈願していないならそこでその言葉が出るのです!?」
「あ、この間手に入った本醸造百六十二代、本殿宛に送っときま――」
《良き哉》
「……」
「……」
「たとえ恩恵があっても、アレは祟り神なのですよ……どうなっても知りませんよ」
「うん、ちょっと後悔し始めている」

 「ノォォォ! マイガァァァ!」という悲痛な悲鳴と大騒動を背中に置き去りにしたまま、二人は何かに追い立てられるように――特に股間のあたりに冷や冷やとしたものを感じながら本部に向かって早足をするのであった。


――――――――――――――――


「このクソったれが」
「どうしようセエレ、対面して一言目が罵倒だぞ。この糞親爺の口が糞みたいに悪くてゲロの匂いがするのは前からだが、仕事の話もなしにいきなり誰かを罵倒するほど人類のコミュニケーションの範疇から逸脱し始めてるとは知らなかった。あれ、もしかしてコミュ能力だけじゃなくて体の方も逸脱してる? おめでとう糞親父、あんたは類人猿からデモノイドに進化した。祝ってやるからその代わりに可及的速やかにその芳しい糞の香りがする口を閉じてくれませんかね」
「半人前のションベンタレが、一丁前の口をこの俺に聞くんじゃねぇボケ。テメェあのゲロみたいな糞ったれパーティーは一体全体何だ、いつから俺の基地はサプライズパーティーの開催場になった? 口だけ達者なドブネズミが、言え、一体何をやらかした」
「何をやらかした? おいおいやめろよ、そのあわよくば誰かに罪を擦り付けて手打ちにしちまおうって遣り口はよ。俺が何をしたって? わざわざ依頼を受けに遥々やってきてやったんだろうが、俺が! ここに! こんなところまで! こんなとこまでやって来て、テメェの兵士がノータリンでやらかしたミスまでおっかぶされちゃたまらん」
「…………」
「…………」
「………………ふん、まあいい、だがしっかり見はってやる。今度また似たようなことがあってみろ、お前のケツの穴から腕を突っ込んで、引っ張り出した内臓で荷物を梱包してやるからな、覚えておけ」

 その太く節くれだった指を机の向こうから彼に突きつけてそう恫喝したあと、運び屋連合の総長である伊井田は一つの小包を取り出した。
 A3サイズのその小包は、机の上を滑って彼の目の前にやって来る。
 それを受け取って宛先を見た光太郎は、思わず眉を上げてその宛名を読み上げた。

「アサクラ城塞代表代行 朝狗羅由真様……えぇ? アサクラ代行に個人宛? なにこれこわい、どういう代物だよ」

 この名前を知らない奴はど素人か仙人かと言われる超有名人に「個人宛」された小包に、知らず光太郎は顔を引き攣らせた。
 アサクラ城塞は太崩壊以後に各地に乱立した「地方都市国家」の中で異彩を放ち、更には頭一つどころか十は飛び出たところである。元々は限界集落間際の山間部の小さな村だった其れを難攻不落の城塞都市に変え、都市国家群を緩やかな同盟関係による連合状態へと引っ張り上げるという偉業の旗頭になった、光太郎からすれば何そのカエサルかアレキサンダー、パネェという国家であり人物である。
 ちなみに今まで彼はアサクラ城塞には殆ど荷運びをしたことがない。
 何故ならばあの都市国家はどう考えてもあり得ない規模で毎回物資を運ばせるからで、運び屋連合の中でもトップクラスのお得意先で、当然ながらそんな大規模輸送に彼は必要ない。
 それがいきなり件の最高権力者に直接の配達である、彼でなくとも「何かやばいものではないか」という考えが浮かぼうというもの。

「荷物の詮索はご法度……と言いてぇところだが、安心しろ、ただの本だ」
「本?」
「ああ、アサクラ代行は大層な読書家でな。今までも発掘した書籍を何十冊と届けてる。今度のそれは、代行が「できるだけ早く、それだけでもいいから見つかったら送って欲しい」と依頼を受けていた本だ。だからお前に任す、いいか、代行はその本が見つかったと連絡したとき、とても……いいか? とてもとても喜んでおられた。つまりだ……テメェが、もし万が一、ありえねぇとは思うが、しくじったら、どうなるか……分かってんだろうなぁ、おい……」

 光太郎は知らずの内にゴクリと生唾を飲み込んだ。
 失敗した時のことは……考えたくなった。


――――――――――――――――


「なあ、おい、マジでやんの?」
「? どうしたのです、先程「超速でいく」と言っておられたではないですか。さあ、お乗りください」

 セエレの眼は完全にマジであった。
 光太郎の目の前には躍動感溢れる素晴らしい馬体――ただし翼のあるペガサスが存在している。今や馬上の人となったセエレは、彼のもとにやってきた時に着ていた、体にぴったりと張り付いて空気抵抗の少なそうな服を身に纏っていた。
 基地内の空き地に突然現れたペガサスの悠然とした姿に、周りの人間達が次第に興味を向けてざわつき出すのが分かる。くそ、このまま押し問答してても無駄に注目を集めるだけだ。
 光太郎はやけくそになって鞍を跨ごうとし――初めてのその行為に危うく転げ落ちそうになり、セエレが予想していたように素早く彼の腕をとって引きずり上げた。
 予想外の力に目を白黒させる光太郎は、改めてこの眼の前の相手が悪魔なのだと再認識する。

「さあ、しっかり掴まっていてください」
「お、おう」

 バサリと翼を広げ、一つ大きく空気を打つ。するとまるで魔法のように……実際そうなのであろうが、天馬は空に飛び立った。丹田の辺りに氷を突っ込まれたような感覚に、光太郎は思わず悲鳴を上げてセエレにしがみつく。
 それを見ていた観客は口々にはやし立てた。

「ヒュー! おいキムラ! 彼女とタンデムかぁ!? 羨ましいなおい!」
「テメェが前に乗れよ、女の後ろで情けぇねぞー!」
「うるせェ死ね! あとこいつは女じゃねぇ!」
「バレバレの嘘つくんじゃねぇ! お前が死ね!」
「すげぇ、マジ飛んでるよ!」
「ハァハァセエレたん…………ウッ」
「おーい、衛生兵、こいつまた抜け出してるぞー。早くつれてけー」
「なんだよクソ、そりゃあんなもんあったら特急で届けられるっての」
「つうかアレで男ってマジ? なんか胸あるんですけど」
「そういうプレイじゃね?」
「なるほど、俺達が未だ踏み込めていない深淵の匂いがするな。今度これでスレ立てするか」
「おい! またBerithがクソスレたてたぞ!」
「なにそうか! よし! 荒らす!」

 ど汚い罵声と歓声と碌でも無い言葉をあとにして、天馬は一定の高度に到達した瞬間に爆発的な加速で矢のように飛び立った。
 通常、人間は文明の利器に守られていない状態で空中を移動することに慣れていない。その点は光太郎も当然同じで、あまりの急加速とまるで大空に放り出されたような感覚に悲鳴を上げながらセエレにがっしりとしがみつく。

「あ、主様?」
「う、うるさい話しかけるな俺は高所恐怖症なんだよ」
「え、そ、そんな。な、何故先にそう言ってくださらなかったんですっ」
「馬鹿か、運び屋訓戒読んでねぇのか、この小包は「可及的速やかに」だ、使える手段は全部使う、だからもう話しけるな、行け、早く」
「……承知いたしました」

 光太郎の耳元で暴力的なまでに風が唸る。
 悲鳴を何とか噛み殺して、ますます彼はセエレにしがみつき、そのせいでおかしなふうにテンションの上がったセエレがスピードを上げていく。
 光太郎の顔色がますます青白くなるのに反比例して、セレの顔色はほんのりと薔薇色に色づいているのであった。





















――――――――――――――――
おまけ

「……あれ? ミシャグジさま、そんなところでどうしたんです?」

 禰宜の疑問の言葉に答えず、邪神ミシャグジさまはオンバシラの頂点に胡座をかいて空の向こうを見上げながら、S○NYの小型ネットブックを開いて文字を打ち込むのだった。

【諏訪湖に】人間にちょっと加護を与えたら運命がミューテーションおこした part6【おいでよ】
1 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
 *1は永久欠番です*

2 名前: MISHAGUZISAMA [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
 でも、天馬宅配便ってカッコよくない? ねえ?

3 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
 あんたの仕業かwwwwwwwwwwww今リアルタイムで窓から見てるってwww

4 名前: 名無しのモヒカン [sage] 投稿日: 20XX/XX/XX(月) XX:XX:XX ID:XXXXXXXX
 あんさんほんまもんのネ申やでぇ……かなわんわぁ



[20278] オワタ式最終手段
Name: モヒカンの人◆46a88152 ID:8eadbec5
Date: 2010/07/23 09:11
「主、もうすぐ目的地上空に侵入します」
「分かった。ウォッチタワー、こちらペガサス1、作戦空域上空に到達し――うぇあ!? クソ!」
《ペガサス1 どうした!》
「クソったれ、戦闘中だぞ、聞いてねぇ! 通信オワリ!」

 雲を突き抜けて降下した二人の目に飛び込んできたのは、遺棄された軍事施設の練兵場で死闘を繰り広げる多脚戦車と二人の人影――いや、片方は明らかに人類の範疇を超えた体格をしている。悪魔だ。
 しかも驚いたことに、悪魔は人間の武器で戦っている。殆どの悪魔は人間を自分たちより弱い下等な生き物だと思っているため、人間の作った「弱者のための武器」を使いたがらない。だが、眼下で戦闘中の悪魔は例外のようで、人間には持つことすら危ういような重機関銃を担いでぶっぱなしていた。
 流血と弾丸の渦巻く戦場に、厳しい顔付きとなったセエレが背後を振り返る。

「契約外の状態です、引き返しますか?」
「ちょっと待て。ウォッチタワー、当該地区で先遣隊と思われる二人と戦車が交戦中。指示を乞う」
《…………代行殿から追加の依頼だ 用いる手段の全てを使って援護を願う 最低でも先遣隊だけ救助を頼む 報酬は三倍払うとのこと》
「ヒュー! 太っ腹だな、了解だ! 通信オワリ。セエレ、聞いていたな? 行くぞ!」
「了解致しました」

 風を切り裂きながら天馬が円を描きながら急降下する。
 ベルトで互いを縛り付けた状態で、光太郎はガンホルスターから40mm擲弾銃を取り出すと、対装甲車用の徹甲弾を素早く装填した。
 上空から急降下してくる姿に真っ先に気がついたのは、好感度センサーを搭載している戦車の方で、カメラアイが装着された旋回機銃が上空の彼らに向かって火を噴く。
 至近を大口径銃弾が過ぎ去っていく感覚に心臓を縮み上がらせながら、光太郎は激しく揺れる馬上から一瞬の安定を見きって引き金を引いた。
 発射された徹甲弾は戦車の上部装甲に命中したものの、激しい金属音がしただけで全くダメージを追った様子が見られない。空薬莢を素早く投げ捨てながら、光太郎は舌打ちを禁じ得無かった。

「クソ! トップアタックでこれかよ! せ、セエレ、魔法はどうだ!?」
「いけません、天馬の操縦で手一杯です。魔法を……アレを倒せるほどの大魔法を使うには一旦降りるか止まらないと!」
「止まったら蜂の巣になっちまうぞ!」
「くぅッ」
「うおっ!」

 其れまでの動きとは一変して、上下左右に乱暴な機動が連発する。
 敵の対空砲火がこちらの進路を予想して上部二門・前部二門、合計機関砲四門を用いた飽和射撃を仕掛けてきたのだ。セエレは驚異的な動体視力と勘でもって手綱を引き絞ると、天馬の周囲に風の障壁を作りながら緊急回避を繰り返した。
 ……幸運にも、熱追尾型ミサイルなどの対空兵装は装備されていないようだ。もし誘導兵器が装備されていた場合、開始五秒で二人と一匹は汚い花火と化していただろう。

「っ! くそ、うっががが、ちょ、セ、セエレ、首がもげる……!」
「ご辛抱を! 一つ間違えただけで肉片になります!」
「ぐぇ、くそ、撃つ暇がないッ」

 ダッダッダッダッダッダ! と暴力的な射撃音が木霊する。機関砲としては最低ランクの20mm口径ではあるが、それを人体に向かって使えばどうなるか? 試すまでもなく、二三発身体に食らっただけでジューシーなミートソースが出来上がるだろうことは明白である。
 主従二人は背後に迫った死神の足音に冷や汗を流す。
 運び屋がするような、任務ではなかった。


――――――――――――――――


「援軍か!?」

 全身傷だらけとなり、汗と流れ出した血でどろどろになったテリーが空を仰ぐと、青空に映える優美な天馬が旋回をしながら下降する。
 手綱を握っていない後席の人影が大口径の銃を撃つと、戦車は目の前のテリーとビューネよりも上空の敵のほうが脅威度が高いと判断したか、上部の対空砲火と前面に配置してある連装機関砲を上空に向けて射撃し始めた。
 凄まじい射撃音と共に大量の空薬莢がバラバラと地面に吐き出され、もう射撃に晒された上空の天馬は激しい回避運動を繰り返している。

「しめた! テリー、あの戦車、おつむが試作品だ。上にばかり気を取られてこっちがほったらかしだよ」
「へっへっへ、なるほどな、いただきだぜーーーー!!」

 テリーは両手でギロチンアクスを構えると、対空砲火に集中する敵戦車を回りこんで脚部の関節部に向かって振り上げたそれを思い切り叩きつけた。
 複合装甲に包まれた装甲板は敵戦車の主砲に耐えうるほどの硬度を誇っているものの、幾度となくテリーの常人離れした剛力で叩きつけられてきた斧の攻撃と、中距離から凄まじい精度で飛来するビューネの重機関銃の弾丸に激しく劣化していた。そして今しがた振り下ろされたギロチンアクスの一撃は、傷だらけとなった脚部の一本にトドメを刺す。
 右後の脚を切り飛ばされた戦車は、残りの脚で何とかバランスを保とうとするも、バランサーが調整されていないためか、よろよろと虚空に銃弾を吐き出しながら出鱈目に動き、最後にはなくなった足の方に崩れ落ちるように擱座した。

「やったぜ!!」
「馬鹿、まだ生きてる!」
「あ?」

 ぽかんとアホ面を浮かべるテリーを突き飛ばした瞬間、戦車下部から飛び出した奇妙な形の短い砲塔が火を吹いた。
 世界が揺れ、鼓膜が破れるかと思うほどの激しい射撃音。
 超音速に達した弾丸が空気の壁を突き破る破裂音と共に、テリーを庇ったビューネの土手っ腹に拳大の穴が開く。そしてその背後から射入口の何倍もの大きさの穴が開き、体に収まった内臓を根こそぎぶちまけた。

「がっ……」
「ビューネ!」

 狼狽したテリーが近寄ろうとするのを跳ね飛ばし、彼女は口から血を吐きながらニヤリと笑って敵戦車に飛びかかった。
 戦車が吶喊するビューネに向かって機関砲を雨あられと撃ちこむ。
 全身を直撃弾で流血まみれにしながら、それでもビューネは歩みを止めない。彼女のマスターの制止の声を振り切りながら、ビューネは圧縮プラズマ弾の第二射が自らの脳天を吹き飛ばすその瞬間まで笑みを絶やさなかった。



――――――――――――――――



「ああッ!」
「クソ! 一人やられちまいやがった」

 巨体の悪魔が頭部を吹き飛ばされ、血と脳症をまき散らした瞬間、セエレは悲痛な呻きを上げて光太郎は思わず舌打ちを漏らした。先遣隊だけでも助けてくれと頼まれているのに、あっと言う間に一人死んでしまった、これでは依頼が達成できるか怪しい。

「もう一人だけでもすぐに助けましょう!」
「しょうがない、素早く回収してずらかるぞ」

 下降する間に光太郎が生き残ろりを見下ろすと、戦車に寄りかかった死体を暫し呆然と見ていたかと思えば、彼らの方に向かって男は猛然と走り寄ってくる。その顔色は血の気が完全に引いて真っ青で、如何にも外道畜生の類を彷彿とさせる世紀末装備に光太郎は自然と頬が引くつくのを感じた。
 正直言って、依頼でなければ好んで近づきたいとは思えない風体である。
 セエレの方も同感なのか、すっ飛んでくる男を見て眉根を寄せていた。
 男は片輪になりながらも悪魔の死体をマニュピレーターで退かそうとしている戦車を見て、更に顔色を悪くしながら叫んだ。

「はっはやく、早く乗せろ! 早く! なにしてる! 早く降りろ! テメェ、もたもたすんな、ブッ殺すぞ! とっととずらからねぇとヤバイ!」

 しかも、この言い草である。
 仲魔を殺されて錯乱しているのかも知れないが、自分をかばって死んだ仲魔に思うところが一つもないのか、清々しいほどのクズっぷりに光太郎は呆れの溜息を突きながらランディングの指示をセエレに出した、まさに其の次の瞬間である。

「グオォォォォォォオォオオッォアアァァアアアアアアア!!」

 大地を揺るがすような唸り声。
 心臓を鷲掴みにするような感覚に光太郎は息を飲んだ。
 セエレは驚愕の視線を声の主に投げかけ、地上のテリーは死を覚悟した者特有のギラギラ燃え滾る眼をしながら跳躍する。
 驚異的な身体能力で飛び上がったテリーは、そのまま彼らが跨る天馬の尻尾にがっしりと掴まった。
 突然の暴挙に驚いた天馬が嘶き声を上げ、暴れまわる天魔を何とか制御しながらセエレは怒りの声を上げる。

「一体何をするのですかッ!」
「うるせぇええええ! 上昇だ! 行け! 速くここから逃げろ!!」
「は、離してください、痛がっているでしょう」
「へっへえっへ、誰が離すかウボァ」

 怒り狂った天馬の後ろ蹴りが尻尾にぶら下がる馬鹿の鳩尾に突き刺さる。
 鋼鉄の鎧をいとも容易くぶち割り、ケブラー繊維のジャケットが全く衝撃を殺せず、鋭い一撃で内臓をしこたま抉られたテリーは、血反吐をぶちまけながらもより一層その両手の力を強め、あまつさえジリジリとよじ登りながら血塗れの顔を邪悪な笑顔に歪める。

「げぶっ、げほ、げっへっっへっへ、逃がすかぁ……!」
「ヒィィィ! 普通にこぇぇぇ! そ、装填、装填! あ、ああわわ、手が……くそぉセエレ、上昇だ、上昇しろぉ!?」
「は、はい!」
「まぁあてぇぇぇえぇ、連れていけぇぇぇぇ」
「うあぁぁぁぁぁああ! 死ねよぉぉぉお!」

 パンパンパン!と、とっさに引き抜いた拳銃を光太郎はテリーに撃ち放つ。
 揺れながらの射撃で狙いはほとんどバラバラだったが、その中の数発がテリーの胴体や首筋に命中する。

「必ず死ぬはずだ、人間ならば……ッ!」
「イテェじゃねぇぇぇかあぁあぁああ!!」
「ば、化物!」
「俺は人間だァ畜生が!」
「嘘つけ! 異能生存体かなんかだろうがッ!」

 逃げろ落ちろ、いや振り落とせそうはさせるか。ごちゃごちゃと団子になってふらふら飛びながら、一行はこの場で何より大事な「とっとと逃げる」という当初の目的をすっかり忘れていた。
 そして、カタストロフが始まる。

「ま……さか……な、何故……こ、こんなところに!?」

 セエレの呆然とした言葉に答えるかのごとく、緑鱗の暴龍がそこに現れていた。
 全長約15メートル。まるでエメラルドを並べ立てたような深緑の鱗がギラギラと輝き、背中の翼はまるで剃刀のように鋭利な陰影を刻む。そしてその首は根元で二つに別れた双頭竜。
 首の根元には人間の女性の上半身が怒りの形相で生えていた。

「な、なんだありゃ!?」
「人生オワタ\(^o^)/」
「龍公!? ブネ卿です! まずい、速く離れないとっ」

 しかし、逃走の時間はすでになかった。
 今や怒れる巨竜となったビューネ――龍公ブネは、その鋭い爪と剛腕で戦車の車体を容赦なく引き裂いていく。まるで紙細工のように戦車の複合装甲が引き裂かれるその光景は、まるで一昔前に映画館を賑わせた怪獣映画のパロディを見るような気分に陥らせる。
 まるで好奇心旺盛な子供に四肢を引きちぎられる蜘蛛のようになった戦車は、発狂したようにプラズマ砲を乱射するが、高密度プラズマ弾はブネの鱗の表面を焦がすことしか出来ず、連発して砲身が焼け爛れるまで撃ったものの、首の根元の人間体は鬱陶しげに眉を顰めるだけだった。
 やがて戦車のパーツをバラバラにしてたたき壊すと、ブネは激怒に真っ赤になった両目を爛々と輝かせて、ふらふらと上空を飛びまわる彼らの方を見たのであった。
 特に、天馬の尻尾にぶら下がったまま蒼白となったテリーを見て、艷めかしい裸体を晒すブネの人間体はニッコリと笑顔を浮かべる。

「……セエレ、あのヤバげな美人と知り合いか」
「ソロモン王に封ぜられた72柱の魔神、その26位に叙せられた龍公ブネ……連絡が全く取れなかったので顕界していないと思っていましたが、ま、まさか分霊ではなくて本霊に近い構成体がこちらに来ているとは……ッ」
「おい、解説はもういい、はやく、速く逃げろ!」
「ブネ卿は私の天馬並に早く飛べます。しかも三人も乗せたままではまず追いつかれるでしょう…………」

 苦々しげなセエレの言葉に、テリーは真顔で光太郎に向き直った。

「よし、お前、降りろ」
「ハァ!? ここはお前が降りるのが常識だろッ。つうかテメェ、乗ってすらいないだろうが! 速く落ちろよ、あちらさんもお前がご所望だろうが!」
「うっせ死ね速く降りろ死ねふざけんな死ねうおあおあぉぉぉぉぉぉ、連れてけぇぇ!」

 ギャアギャアと見にくく争う人間たちを眺めながら、双頭竜の公爵は大きく息を吸い込んだ。

「あ」
「え?」
「ヒギィ!」

 緑深い山中に、三人と一匹の悲鳴と爆裂音が木霊すのだった……。










――――――――――――――――
堕天使ブネ[Bune]
30の悪魔軍団を指揮する地獄の公爵。召喚されると3つの頭を持つ竜として現れる。頭の組合せは、人間とグリフォンと犬もしくは2つの竜頭に人の顔であるとされる。鋭い鉤爪は銀で、緑の鱗は翡翠で出来ていると言われる。その最大の能力は強大なNecromancy (死霊術) であると言われ、死者を蘇らせ知識を得たり、召喚者が墓場を領地として持っているならば軍団を瞬時に墓場に集めることが出来るという。また、人に富や知恵、雄弁さや巧みな会話術を伝授するとも言われる。

[儀典・デビルチルドレンの両作品にのみ登場]
*本作での姿形はオリジナルです ゲームとは違います*



[20278] *お知らせ*
Name: モヒカンの人◆46a88152 ID:b0f769ea
Date: 2010/07/27 22:27
ネタが尽きたのでしばらく休眠して、チラ裏で少し放置していた長編の続きを書きます。
こっちの更新は息抜きでするつもりです



[20278]
Name: モヒカンの人◆bf80796e ID:fa006547
Date: 2010/09/22 16:20
「おーい、照井。今日はもう上がっていいぞ」
「あ? マジっすか、俺まだ頑張れるけど」
「頑張れる?」
「うっす、ちょーいける。マジデ、ヤバイくらい頑張れる」
「前から気になってたけど、変なクスリ、キメてるんじゃないよね?」
「あ? いや、別にコレといって」

 そう返事をしたのは、日も暮れ始めた10月の肌寒い季節だというのに、薄いシャツ一枚でゴシゴシと顔をタオルで拭う20前半ほどの若い男である。耳、鼻、顔面至る所にピアスの穴が開き、メットを被らないその頭部は一体何処の世紀末から飛び出てきたのかと言いたくなるようなモヒカンヘアーであった。ただし、今は固めていないので漫画でよく見るような鶏の鶏冠のような形ではない。
 彼の名前は照井賢治。ちょっと頭のネジが緩んだ肉体労働系パンクと、工事現場を横切る学生たちの間で「ドカタモヒカン」のあだ名で慕われる男である。

「まだいけるって……お前マジでどういう体してんだよ」現場監督は呆れた顔付きで照井に苦言を呈した。「さすがに一週間も帰らずにプレハブ泊まりはマズイって。お前のお陰で捗るのはいいけどよ、一応工期切ってるわけで、それよりあんまり早く終わっても給料の支払とか不味いべ?」
「あー」

 照井は納得顔で頷くと、タオルを首にひっかけてから削岩機にもたれかかった。

「んー、じゃあ、俺帰ります」
「おう、よく頑張ってくれたな。四日くらい休んでいいぞ。ちょっとペースダウンしねえとな」現場監督は苦笑いで作業日程の書かれたボードに照井の休みをペンで書いた「お前が泊まりこみとかするから他のが帰れない日とかあったし。ちょっと頑張りすぎたな」
「あー、そりゃどうもすんません。じゃあ、久しぶりに帰って風呂はいって寝ます」
「そうしろそうしろ。つうかオメェくせぇよ。銭湯くらい行けって、これじゃあ俺が給料払ってねえみたいじゃねぇか」呆れ顔で現場監督は溜息をつく。「濡れタオルで体を拭くだけじゃ、綺麗にならないからな。ちゃんと風呂入れよ」
「フヒヒ、さーせん」全く悪びれない様子で照井はタオルでゴシゴシと体を拭いた。
「サーセンじゃねぇ、馬鹿」

 呆れ顔でまたしても溜息一つ。現場監督はさっきから持っていた給料袋を照井に差し出した。
 予想よりも分厚いので、照井は中身を確認してから探るよう視線を送る。

「残業手当出しといたぞ。……まあ、正直泊まられたらどこから何処が仕事かわからんが、出せる範囲で出した」
「あざーッス」
「ん、おつかれ」
「おつかれっしたー」

 厳格な人間ならば拳骨もののヤル気のない返事をすると、彼は着替えや荷物を取りにこの一週間泊まり込んでいたプレハブの中に戻る。するとその中でだるまストーブをいじっていた中年の男性が彼に気がついて顔を上げた。

「お、テリー君、なあ、このストーブおかしくないか? さっきからつかないんだけど」
「あーそれ、石油切れてます」
「は? いつから」
「あー確か結構前から」しれっと答える。「結構寒かったっすね」
「寒かったっすねって……」中年男性は絶句する「君、今年の寒さでまさかストーブなしでこの糞寒いプレハブに泊まりこんでたの? 馬鹿? 死ぬ気?」

 今年は寒波の到来が例年よりも早く、すでにこの季節で夜は一桁台の気温である。
 プレハブは当然ながら断熱作用など欠片もなく、ストーブなしでは夜は軽く死ねる寒さである。

「ヒヒ、鍛え方が違うんで」
「……いいねぇ、若いって」
「何言ってんすか、相葉さんも熊みてぇな体格してるじゃん。何でも歳のせいにするのはダメっすよ  」

 そう言ってシャツを脱いだ照井の身体は激しい肉体労働で鍛えられた皮下脂肪の少ない引き締まった体である。
 相葉は照井が言ったようにヒグマのように巨大な身体を小さくして近年稀に見る大寒波の早期到来に震えながら、パイプ椅子に座って寒そうに彼の方を見た。

「でもやっぱり、最近寒さに弱くなったような気がするよ。20代と30代じゃ明らかに違うなぁ」
「へえ、そんなもんすか」
「まあ、君にもいずれ分かるよ」
「ふーん」

 清潔なシャツと下着を着たあとにレザージャケットと革パンツを履いて、ロッカーからゴーグルとフリッツヘルメットを取り出すと、それを見ていた相葉は「あっ」と声を上げる。

「ああ、あのバイク、君のか。随分古いの乗ってるね、あれ、外車でしょ?」
「へへ、もう60年前の奴です」
「うひゃあ、クラシックバイクの領域だ、そりゃ。整備が大変そうだ」
「手間がかかるほど愛着が湧くってもんです。じゃあ、おつかれっしたー」
「おーう、おつかれさん」

 くそ、灯油買ってこねぇとな、そんな言葉をぶつぶつと呟く相葉を背にして照井は外に出た。
 駐車場に停めてあるサイドカー付きの特徴的なバイクは、旧ドイツでドイツ国防軍が制式採用していたBMW-R75という古い機種である。先程も言ったように、クラシックバイクの領域に両足を突っ込んでいるようなバイクだが、彼はこのバイクを自分でレストアしてからずっと乗り続けていた。
 被るヘルメットとはわざわざドイツのミリタリーショップから取り寄せた当時のフリッツヘルメットで、ライフル弾が貫通した跡が生々しい代物である。これを当時かぶっていた人間がどうなったかは、推して知るべし。
 エンジンを始動して重々しい振動音にニヤつきながら、照井は今のところの職場であるマンション建設予定地の駐車場から発進した。
 暗くなり始めた道路をライトで照らしながら進むと、下校途中の学生たちが目につき始めた。
 その背中の一つに見知った物を見つけた彼は、速度を落としながら下校途中の女子高生の一団に車道側から横付した。

「いよぉう、乗せてってやろうか?」

 突然ヤバげな男から声をかけられた女子高生達は明らかに警戒の視線を彼に送ったが、その中の一人、エルゴグリフクラッチタイプの杖を突きながら歩いていたショートボブカットの小柄な少女だけは、呆れの溜息と視線を返した。

「おーい、無視すんなってぇ、悲しくなっちまうだろうが」
「最近家を開けてましたね。何処にいってたんですか?」
「あ? 何処ってお前、仕事に決まってんだろ」
「……泊り込みで?」
「へっへっへ、帰るのメンド臭くなっちまった。ガス代浮いたぜ」

 にやにや笑う照井に、杖を付いた少女は「だめだこりゃ」とばかりに溜息を付いて肩を竦める。
 そんな二人の様子に、周りの友人らしき少女たちは驚きの視線を向けている。そんな視線に居心地悪そうな顔を一瞬見せたあと、少女はガードレールをまたいで車道側に出た。

「お、水色か」
「何見てるんですッ」瞬時に振り下ろされた杖が照井の頭を強打する。
「いってぇ! やめろ! 早く乗れって。ほら、メット」差し出したヘルメットを少女はひったくる。
「馬鹿なこと言わないでください。まったく」

 照井がぐいと押し付けられた杖を本来はライフルなどを懸架する場所に引っ掛けると、その間に少女はサイドカーにまたがってヘルメットを装着しながら友人たちの方に向き直っていた。

「ごめんなさい、今日は先に帰りますね。さようなら」
「う、うん……」
「え、由真ちゃん、その人知り合い?」
「はい、私の従兄弟なんです」

 そう言って笑った彼女に、友人たちはなんともいえない顔を見合わせた。
 そんな会話をよそに、再度始動したエンジン音を響かせながら二人は道路を軽快に滑りだす。
 久々の運転ににやける照井をよそに、サイドカーに乗り込んだ由真の顔付きは険しかった。

「もう、明日友達に質問攻めされるじゃないですか。どうしてくれるんです」
「ああ? だったらさっき無視すればいいんじゃね」
「そんなことしたら、あの場で私の名前呼んでたでしょう」
「まあ、そうなるな」
「ハァ……だったらあれ以外選択肢がなかったじゃないの……第一、無視とかそんな……」モゴモゴと口の中で何かを呟くが、エンジン音と風の音でかき消された。
「ああ?」片眉を上げて照井が首を傾ける。「なにって?」
「な、何でもない。これからどうするの? うちよってく?」ちらりと期待を込めた視線を傍らに投げかける。「ご飯一人分多くするように電話入れようか?」
「あー、いや、今日は遠慮しとく。一週間も開けちまったから、冷蔵庫の中身処分しねぇと。あー、そういやこないだもらったチゲ鍋セット、使おうと思ってそのまんまだった」
「ええ?」由真は思わずといった様子で顔を顰めた。「だいぶん前のじゃないの。もう期限近いんじゃない? 危険っぽい」

 その言葉に馬鹿笑いで返しながら、照井は「その程度でこの俺の腹が壊れるか」と嘯いたのであった。
 そうしてたわいない話をしながら由真の家に到着すると、ヘルメットを脱ぎながら彼女は照井の方に向いた。

「ねぇ、ホントにいいの? 食べていかない?」眉をハの字にしながらヘルメットを差し出す。「別に迷惑じゃないけど」
「いや、悪いな。せっかく誘ってもらったけど、今日はやめとく」ヘルメットを受け取りながら肩を竦める。「それに、俺が迷惑だの何だの考えるたまかよ? 今度にするぜ」
「ふふふ……そう言えば、そうね。お腹が減ったらいきなり深夜にやって来る人だもんね。遠慮とは無縁か」

 そう言ってクスクスと笑う由真に、照井は笑みを返してバイクを発進させた。



――――――――――――――――



「微笑忘れた顔など~♪」

 鼻歌を口ずさみながら、由真の家からバイクで五分ほど走らせた先にある自分のマンションに帰ってきた照井は、一週間ぶりに自分の家に帰ってきた。
 取り出した鍵で扉を開けると、ぷんと彼の鼻を唐辛子の臭いがくすぐった。
 ブーツを脱いでドシドシと居間に続く扉を開けると、コタツの上でコンロに乗ったチゲ鍋がグツグツと美味しそうな匂いを漂わせている。

「お? 何だよもう始めてんのか、気が利くじゃねぇか」
「お酒飲む?」台所から声が届く。「魔王しか無いけど」
「ロックで頼む。へっへっへ、こりゃウマそうだな」

 両手を擦り合わせながらジャケットを脱いで、照井がコタツに入るのと同時に、台所からやってきた声の主が盆の上にグラスとデカンタを持ってやって来た。声の主は美貌の女性であった……胴体だけを見るならば。
 その四肢は鋭い爪と滑らかで強固な鱗の目立つ爬虫類のもので、どう控え目に見ても人間には見えなかった。
 彼女はコタツの上に盆を置くと、自分もコタツに入ろうとして、鼻をひくつかせた。

「ちょっと、臭いよ。お風呂入った?」
「ああ? バカ言え、風呂より先に飯だろうが」
「ダメだよ、食卓にそんな臭いプンプンさせて、ご飯がまずくなる」
「うるせぇな、それくらい我慢しろ」
「嫌だよ、だって洗ってない犬の匂いがするよ」
「……」黙って自分の襟元を嗅ぐ。「ちょっとシャワー浴びてくる」
「先に食べ始めてるから」

 全部食うなよ、そんな言葉を残して照井がシャワーを浴びに行くと、一人残された彼女はテキパキと晩餐の用意をしながらふと首を傾げる。そうして手を止めて数秒ほど考えてから、肩をすくめて準備を再開した。

「オッスオッス」パンツ一枚でゴシゴシと身体を吹きながら照井が現れる。「出来たか?」
「ちょっと、ちゃんと拭いてから出てきなよ。あーあー、水滴がポタポタ……」
「うっせ、お前うっせ! おれんちだ、ほっとけ」
「はいはい、ほら、乾杯しようか」

 差し出された焼酎ロックを受け取ると、座布団にどっかり座り込んでコタツに足を突っ込んだ。

「うーし、カンパーイ!」
「はい、お疲れさん」

 かちゃんとグラスが触れ合うと、半分ほどを一気に喉の奥に流し込んだ。

「カー! いいね! よし、鍋だ鍋」
「はい、どうぞ」お玉を差し出す。「野菜も肉も一杯あるから」
「あ? そんなに買い溜めしてたっけか」首を傾げながら鍋の中身をごっそりと取り皿に移す。「腐らさないようにちょっとしかかってなかった気がする、あ、あちち、はふほふ」
「ちょっと買い足しといたよ」
「ああ? 金は」
「ちょっと借りた」そういって人差し指をクイッと曲げる。
「誰からかしらねぇけど、運の悪いやつもいたな」

 お酒も入って上機嫌のまま、ガハハと笑いながら次々鍋の中身を口の中に放り込んでいく。
 さすがに肉体労働のあとのせいか、とんでもない健啖ぶりである。

「あーうめぇー、由真にお礼言わねぇと」
「ヱビス冷えてるけど?」
「あ? 魔王しかねぇっていってたじゃん」
「さっきまでは、冷えてなかったんだよ」
「なるほど、じゃあ飲もう」
「アイアイキャプテン」

 飲んで食って笑って、更に食って呑んでから、ふと時計を見た照井はすでに時刻が新しい日付に変わっていることに気がついた。
 楽しい時には時間が素早く過ぎ去っていく、アインシュタイン曰く「美人と過ごす一時間」だ。
 確かに、この例えはこの状況では一面では真実を突いているとも言えよう。
 鍋の出汁で雑炊を作り、全部食べ終わって腹がくちくなり、アルコールも充分以上に入って来た。そうすると人間の当然な生理現象として、眠気が襲ってくるのは自明の理である。
 照井は突然降りてきた瞼をゴシゴシと擦ると、ぐっと背伸びをして欠伸を噛み殺した。

「ヴォーアー、ねみぃ、おい、俺もうねるけど、どうする」
「ん、じゃあお開きにする?」がぶりとグラスの中の魔王をストレートで飲み干す。「片付けはしておくよ」
「お? わりぃな、なんか疲れ出てきた。マジねみぃ」
「はいはい、お疲れ様。おやすみ」
「おー」

 手早く晩餐の後片付けをする彼女を横目に、もぞもぞとパイプベッドに潜り込む照井。
 半覚醒状態のまま綺麗になっていくコタツの上を見ながら、とうとう彼の意識は微睡みに落ちていった。
 そうして寝入ってから数時間後、次々と脳裏に現れては消えていく奇妙な夢に揺られながら、まるで高層ビルから突き落とされたかのような衝撃と共に照井は跳ね起きた。

「って、オィィィィィ!! 誰だよテメェはよおぉぉ!?」
「んー?」
「んー?じゃねえよ! いや、誰だよ! マジ誰だよお前! 普通に俺んちのコタツで飯食って寝てんじゃねぇ!」部屋の電気をつけながら仁王立ちする。「え? なんなの? マジなんなんだよ、どういう事だよ! あまりに登場が不自然に自然すぎてツッコミ不在だったっての!」
「いやーこのまま明日の朝までスルーされたらどうしようかと持ったよ。はいはい、もう深夜だから静かにね」
「分けわかんねぇ……分けわかんねぇよ! いや、マジで誰」隣の部屋からドンドンと壁を叩かれる。「うっっるせぇぇぇ! 黙って糞して寝てろ! ボケが! 俺は今忙しいだよ!」逆にドスドスと壁を叩いてそう怒鳴ると、それ以降隣人はは沈黙した。
「はいはい、説明するから、とりあえず静かにしなって」
「は? いやいや、て言うか何、ドッキリ? ハリウッドの特殊メイクか」そう言って彼女の両手を手に取って握ったり擦ったり矯めつ眇めつする。「よく出来てんな、本物みてぇだ」
「いや、本物だから」
「は?」
「本物です。おめでとう、新米デビルサモナー照井賢治さん。私の名前は……」そこで彼女は一瞬だけ間を置いた。「――ビューネ。ヴィーブルのビューネだよ。コンゴトモヨロシク」
「………………」

 初っぱなから突っ込みどころ満載の、これが二人の出会いであった。













――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ごめんねごめんね、こっち更新しちゃってごめんね。
ネタって奴は頭の中に一度湧いたら吐き出すまでうろつくんだよ。



[20278] ダークサモナー
Name: モヒカンの人◆bf80796e ID:09effdfa
Date: 2011/01/04 13:58
 草木も眠る丑三つ時、というのはやや使い古されすぎて陳腐すぎるだろうか? いやしかし、古くから廃れないものにはただ新しいだけの表現には持ち得ない「重み」のようなものがある。
 そう一人納得して、朝狗羅由真は一つ頷いてから手元のPDAを操作して文章を打ち込む。街頭の明かりも入り込まない、再開発地区の薄汚い路地裏であるが、省電力モードのバックライトでも十分画面は見れた。
 由真はビルの合間から空を見上げ、その明るさの要因に目を凝らした。計らずも今晩は煌々と月明かりの照らす満月である。
 満月の光りに照らされた由真の服装は、昼日中に見せた制服姿とはかけ離れていた。頑丈なアラミド繊維のアーミーパンツとジャケット、飾り気の欠片もないオリーブドラブのコートは耐熱耐破片仕様の特注品、足元には薄い金属板で補強されたブーツ、そして武器にも使えそうな頑丈そのものの杖を右手に、刃渡り40センチはありそうな細身で取り回しのよいロングナイフは鞘に入ったまま太腿にベルトで固定されている。
 およそ、尋常な現役女子高生が真夜中にするような格好ではなく、果たして彼女は全く尋常な存在ではなかった。
 昼間の尋常な世界から深夜の異常な世界に踏み込む少女は、その両目でじっと頭上の満月を見つめる。
 月の満ち欠けは古来から神秘的なものと大きく関連付けられてきた。
 それらは近年になって月の引力と人間の体積の殆どが水分であることに何らかの関連付けをする科学者もいるが、彼女たちが今立ち向かっている事象は科学者たちが永遠に光を当てられない暗闇の論理と法則が支配する世界である。
 いや……当てられなかった、言うべきだろう。
 悪魔召喚プログラム……。
 その存在こそ、魔法の分野に科学の力を持って切り込んだ天才がこの世の何処かにいるという事実にほかならない。

「ふぅ……残留MAGが酷い……エネミーソナーの反応が強烈ね。そろそろ出番よ、お願い、侯爵」

 ポツリと呟いて、由真は手元のPDAを操作した。
 生体マグネタイトが吸いだされる感覚。軽い貧血にも似た症状に、彼女は右手の杖に寄りかかって息を整えると、目の前に開いた蒼白の召喚陣から悪魔が実体化する。
 彼女の生命力を糧にして顕界した悪魔は、ソロモン72柱の第43位。
 豊かなたてがみを風に流し、金色をした獅子の頭部と死体の色にも似た蒼白の鎧を身に纏い、50の悪霊軍団を指揮する勇壮なる将軍にして強烈無非なる戦士。
 堕天使サブナク、或いはサブノックと呼ばれる悪魔であった。
 将軍は完全に実体化すると彼女の前に跪き、恭しい仕草で頭を垂れた。

「堕天使サブナク、お呼びに従い参上した。我を呼び出すということは、戦か、主よ」
「ええ、食い意地の張った臭い奴が動き回っているの」青白い顔に怒りと軽蔑を浮かべ、由真は続けた。「……若者特有の恥ずかしい全能感に支配されて好き勝手やってるわ。お灸を据えないと」
「ほう、我が主はどうやら珍しくお冠のようだ」
「ええ、私怒ってるの、それも凄く。こんな厄介なものを世界中にばら蒔いたスティーブンにも腹が立つし、それを手に入れて好き勝手やって厄介ごとを更に増やす奴らも頭に来るわ。それに極めつけは、誰ひとりとして事件の根本的解決に手を出さないってこと、そして……」

 そう言って由真は麻痺のない方の足で、路地裏に倒れ伏してピクピクと断末魔の痙攣をしていたオークの局部を踏みつぶした。瀕死の重傷を負っていたオークはその一撃で悲鳴を上げて生き絶える。
 自分の倍近い体格を有する化け物を蹴り殺してMAGの霧に変えながら、《蹇(アシナエ)》と組織の中で呼ばれる少女は嫌悪感と焦燥に顔を歪めた。

「私も含めて、何一つ建設的なことなんて出来ていやしないってこと……。ホント、イライラする。私一人だけで出来ることなんて、殆ど無いに等しい。無力で、幼くて……」
「……」

 右手の杖を指先の血の気がなくなるまで握り締め、唇を噛みながら血を吐くような独白を、獅子頭の将軍はただじっと見つめながら沈黙した。
 やがて力を抜いて一つ息を吐くと、彼女はぎこちない微笑を浮かべて杖でアスファルトの地面を突いた。

「……ごめんね、こんな愚痴聞かせて。行こうか」
「主、あなたは一人ではないはずだ」

 唐突にかけられたその言葉に、由真は立ち止まって肩をすくめる。

「ファントムソサエティ? ダメよ、あの人達はどうやってお金を稼ぐかしか考えてないもの。スティーブンの警告も、最初から信じちゃいないわ。もしそうなったらそうなったで、それでどう上手く立ち回れるか、なんて事しか考えてない」
「……フッ」
「……? 何?」
「徹底頭尾自己中心な組織を相手に、それを手玉にとって良いように使う主も人のことは余り言えぬな」
「私はいいの」
「ほう? 何故?」
「ケン兄ちゃんが行ってたもの、クズとバカは放っておくと碌な事がないから、早いうちに潰しておけって」

 サブナクは爆笑した。

「仮にも自分の所属する組織の連中を屑馬鹿呼ばわりとはな! 全く恐れ入る! 其れでこそ我が主よ」
「褒めてもMAGは出ないわよ」

 さ、行きましょう。なんのてらいもなくそう言って、デビルサマナー朝狗羅由真はカツカツと杖を突きながら汚らしい路地裏を進む。
 いつの間にかその右手には抜き放ったロングナイフが握られている。
 少女が何かを小さく呟いてナイフを握りしめると、青白い光が刀身を覆う。月の光が集まったような様子のそれを二三度振ってから、慄然とした眼差しで彼女は暗く狭い路地の向こうを睨みつけた。

「さあ、害虫駆除の時間よ」



――――――――――――――――



「ッ!」

 短い裂帛の呼気と共に横一文字に振り抜かれた霊波刀から射出された横薙ぎの一閃は、触れるものを容易く切り裂く霊気の刃となって道を塞ぐコボルドの群れを切り裂いた。
 四肢を切り落とし、胴体を裂き、首を落とす霊波の刃。
 たった一呼吸の間に、廃ビルの狭い一室は血風と気化したMAGでむせ返った。
 悲鳴を上げて逃げる悪魔の群れに、長剣を振りかぶった獅子の将軍が追い打ちをかける。

「カァッ! ぬるいわ、雑魚どもが!」

 本能だけで戦う低級悪魔のグールやガキの群れを撫で斬りすると、まるで冗談のようにバタバタと悪魔が死んでいく。それも無理からぬ事で、例えるならば空手を習ったばかりの小学生に黒帯の師範代と戦えと言っているようなもので、そもそも最初からまともな戦いになるはずもない。
 しかし悪魔達は召喚主から命令されているのか、ただひたすら愚直なまでに突撃してくる。
 どうやらこの悪魔達を召喚したサモナーは、足りないオツムと技術をその有り余る保有MAGで補うタイプのようだ。
 由真の最も嫌うタイプである。

「……遅い」

 天井に張り付いて様子を伺っていた妖鬼イヒカが飛び掛ってくるが、素早い切り返しで霊波刀を振るうと、真っ二つになった悪魔が上半身と下半身を別々にして床に飛び散った。
 工事途中で放棄されたコンクリートの壁に大穴をあけて、一つしかない目を血走らせたサイクロップスが唸り声を上げて迫る。
 すぐさま霊気刃を飛ばして斬りかかるが、敵は両腕で急所を庇いながら突っ込んでくる。全身を霊波の刃で切り裂かれながら、一つ目の巨人は人血の染み付いた鉄の棍棒を振りかぶって由真に迫る。
 流血を飛び散らせながら巨人が必勝の間合いに着いたとき、少女は唯一言「アギラオ」と力ある言葉を口にした。
 その瞬間、虚空に突如出現した業火の塊は暗い室内にオレンジ色の曳光を残し、巨人の胴体、心臓の脈打つ体幹中心に直撃した。
 がくん、とその突進を滞らせ、驚愕の視線で自らの身体にぶち込まれた燃え盛る火球を見た瞬間に、悪鬼の体の中心で火球は爆発した。
 口から絶叫の代わりに炎を吹き出しながら、一つ目巨人の身体は爆散する。
 四方に飛び散った肉片が彼女の方にも飛び掛ってくるが、煩そうにしながら焼け焦げた肉片を打ち払った彼女は小さく鼻を鳴らして室内の惨状を落ち着いて眺めた。
 死屍累々といった有様の室内は、彼女の眺めているそばから悪魔の死体が現実世界の頚木を離れてMAGの霧となる。
 室内にゆらゆらと漂うMAGの霧を深呼吸と共に吸い込んで、朝狗羅由真は顔を顰めた。

「三流の味がするわ」
「片付けよう」
「ええ」

 満月の輝く深夜の廃ビルに、かつりかつりと金属の杖がコンクリートを突く音が響く。
 最近頻繁に誰かが使用した形跡のある扉の前に来て、由真はそのドアノブに無造作に手をかけ、その手を横からサブなくに掴まれて眉を顰めた。

「何?」
「……ここは、我が」
「……余計な気遣いよ、あなたは外を見張っていて」
「……」
「返事はどうしたの、悪魔」
「御意」

 勇壮な獅子頭に苦悩をのぞかせながら、堕天使サブナクは小さく頷いて扉に背を向けた。
 そうして彼女がゆっくりと扉を開け放つと、そこには彼女の予想通りの光景が広がっていた。
 胃の腑が裏返りそうな悪臭。
 獣舎の中のような臭気の中に、血と汚物と情交の臭いが渾然一体となって漂っている。
 怒りと嫌悪で真っ白になった少女は、COMPを取り出しながら小さく悪態を付いた。

「暗き森に住まう妖樹の王よ、我が呼び声に応えよ」

 召喚陣の発する燐光に浮かび上がる室内の凄惨な有様に、しかし彼女は能面のような無表情を崩さない。
 新たに現れた悪魔は、古代から中世にかけてドイツのシュヴァルツシルト全土を恐怖と魔力で支配した「榛の木の王」と呼ばれる妖樹の王。アールキングである。
 濃緑色のローブに包まれた四肢は捻くれた黒い木の枝で構成され、その頭部には茨で編まれた王冠をかぶった彫りの深い欧風の顔が両目を怪しく光らせながら睥睨している。
 右手に握られた王笏を一振りし、悪魔は彼女を覗き込んだ。

「さて、要件は何だ」
「彼女たちを癒して、それと、記憶も消して」
「ははははっはっは、このわしに癒しの奇跡を求めるか! これだから人間は面白い」
「できるの、出来ないの」

 イライラと詰問され、アールキングはニヤリと笑って王笏で床を打った。

「出来るとも。ああ、やってやろう」
「なら、早くとりかかって」
「よかろう……ああ、対象は、この、中の人間だな」

 そう言って、悪魔は入り口から数歩入った所から部屋の中に向かって杖を振って「この」と強調した。
 悪魔がこういう言い方をする時には注意するべきであると経験から知っていたが、由真は特に何の疑いも持たずに「ええ」と頷いた。

「ただし、この後も被害者を見つけたら頼むわよ」
「ああ、承知した」

 ギシギシと木々の軋み鳴る音を立てながらアールキングが部屋のなかに入っていくのを見送って、少女はその毅然とした顔を焦燥に歪めて入口近くのパイプ椅子に腰をおろす。
 フィンガーグローブに包まれた右手で両目を覆って項垂れるその姿は、先程まで強大な悪魔に命令を下していた腕利きサモナーの面影は、ない。
 そこにはただ、世界の不条理と理不尽な暴力に怒り、そしてそれに対して余りにもちっぽけで無力な自分に憤る、一人の少女がいるだけ。
 意味不明な呻きと狂笑、そして恐怖に引き攣った叫び声。
 悪趣味なアールキングはその反応を楽しんでいるようだが、背後から睨みつける主の圧力に感づいたのか、悪乗りして被害者たちを驚かすようなことを控えているようだった。
 溜息を一つ付き安物の壊れかけたパイプ椅子に背中を預け、何処か倦んだような目でナイフの手入れをする少女は、入口近くのボロ布の山の中から驚愕と恐怖の視線で自分を見つめる一対の両目に気付くことはなかった。
 そのボロ布の山は、アールキングの言うところの「この」中には含まれていない……。



――――――――――――――――



「主よ、終わったぞ」
「ええ、有難う。一応、このまま付いてきて」
「承知した」

 アールキングを伴って部屋の外に出ると、黙然と佇むサブナクが二人を迎えた。
 彼女が頷きかけると、獅子頭の将軍もやはり頷きかけ、二人を先導するように先陣を切って歩き出す。
 三人が向かう先はこの廃ビルの最上階。
 当然、強硬な抵抗を予想していた由真は、予想に反して全く悪魔が現れないことに首をかしげた。もしや最上階にすべての悪魔を集めているのか、或いは悪魔はさっきので打ち止めなのか。
 その疑問は、最上階への階段を上がり、敵召喚士が篭っているはずの中央ホールの扉の前まで来た時に解消した。
 物理的、魔術的なバリケードが築かれていたであろうその鉄製の扉は、外部から力任せの一撃で木っ端微塵に粉砕されている。
 そして、扉の中からは聞くに耐えない人間の悲鳴がフロア中に響きわたっていた。

「これは……」

 思わず息を詰めるサブナクをよそに、由真はその悲鳴を挙げさせている人物の正体に思い至ったのか、溜息を付いて扉の跡をくぐった。

「オラァ! 痛いか! このクソカスがぁ! どうだ! どうだ! おい!」
「ヒギィィィィイイイイイィィイイl!! ガ、アァッ! イダイ! や、やめ、が、アアアァァアアア!」

 まず目の前に飛び込んできたのは、コンクリートの壁に鉄杭で磔にされた男。
 そしてその男を挟むように左右に立つ人影。
 右側には金属製の小手、胴鎧、臑当を身につけて、両手でよく使い込まれたポールアックスを握りしめた男。焦げ茶色のざんばら髪はろくに手入れもされていないのか、水気を失ってバサバサで、猛禽類を思わせる痩せぎすで彫りの深い、鷲鼻の特徴的な鋭い顔貌は一見して堅気の仕事をしている人間とは思えぬ気迫に満ちている。
 そして、その反対側には筋骨隆々とした身長190センチはある大男が身構えている。簡略化したロリカ・セグメンタタを身につけ、腰にはローマ軍団兵が身につけていた標準的な刺突剣のグラディウスと、獅子の顔を象嵌した円形盾、両手には自らの身長を追い越すような長槍、そしてその頭部は完全に首元までを覆う鉄兜によって防御されていた。

「ハハハハハハ、は? あ、おお、蹇。チィース」
「チィースじゃ、ないですよ、こ……ゴホン」

 近藤さん、と言いかけ、由真は思わず空咳をしてごまかす。

「……ここで何をしているのです? レガトゥス」
「なにって……。」

 そう言って、レガトゥスと呼ばれた男は磔にされた男をちらりと見て肩を竦めた。

「歴史再現ごっこ。よし、ロンギヌス、やれ」
「ハッ! 司令官(レガトゥス・レギオニス)!」

 止めるまもなく、猛将ロンギヌスはその槍を男の脇腹に突き刺した。
 ズブリと穂先が身体の中に沈むと、聞くに耐えない金切り声がまたしてもフロア中に響き渡る。
 サブナクはその悪趣味な見世物に顔をしかめているが、アールキングはその悲鳴にゾクゾクと身を震わせて、あの癇に障るニヤニヤ笑いを浮かべている。
 努めて無表情にして由真がレガトゥスの前までやって来ると、ちょうどロンギヌスはその穂先を男の脇腹から抜き去っているところであった。

「おいおい、そこは泣き叫ぶんじゃなくて、腹から葡萄酒を溢れさすシーンだろうが! ああ? オラァ!」
「司令官、それはお伽話であります。実際にはその時すでにアレは死んでおりましたゆえ、葡萄酒どころか流血すら殆どありませんでした」
「へぇ。今度歴史学者の前で言ってみたらどうだ。それか神父か」
「学者は悪魔など信じませぬし、神父はなおさらです。いや、逆説的に言えば、彼らはどうしようもなく「悪魔を信じている」と言ってもいいかも知れませぬが」
「神の奇跡には悪魔の悪行が必要ってか? 皮肉だねぇ」

 近づいた彼女をほとんど無視して、悲鳴をバックにどうでもいい四方山話をする二人。
 由真は頭痛を堪えながらゆっくりと噛んで含めるように話しかけた。

「レガトゥス。この任務は、私の管轄だったはずですが」
「ああ? 固いこと言うなよ。最近なんでか仕事が少なくてよぉ、暇で暇で仕方ねぇんだわ。それに俺だってなけなしの勤労精神が疼くことだってある。ああ、ロンギヌス、次は脾臓をグラディウスでいけ」
「ハッ! 司令官!」
「ちょっと! 待ちなさいロンギヌス、その男は生かしたまま連行するように言われているのよ。その短剣をしまいなさい。あと、レガトゥス、あなたが干されているのはこう行ったことを何度もするからでしょうが!」

 今にも取り出した短剣で男の脇腹を突こうとしていたロンギヌスの腕を、由真は慌てて抑えた。
 抑えられたロンギヌスは、無理やりそれを振りほどくことも出来たが、止められるままに刃を戻してその顔を彼女の方に向け直した。

「しかし、プリミピルス(筆頭百人隊長)殿、このような唾棄すべき悪党は後腐れなく殺すが世のためであります。それに、敵を殺さず背後に残すのは戦略上非常に不味い対応であると言わざるを得ません」

 困ったような、それでいて引き下がるつもりのない口調でロンギヌスが答える。

「我が主よ、今度ばかりは我もそやつの言葉に賛意を示させて頂く。上には抵抗の末やむなく殺したと報告すればよかろう。……大帝国の英霊よ、とっとと殺してしまえ、そやつの吐く息は獣臭くて叶わぬ。反吐が出そうだ」

 厳しい顔付きのサブナクがそう進言する。

「クククク……召喚師よ、この男の、腐った汚泥のような魂はわしに取って非常に心地よい……うむ、そうさな、最近人間たちの間では「エコ」とか言うものが流行っているではないか? わしがこの男の魂と体を有効に「リユース」してしんぜようではないか」

 そう言って、アールキングは由真の傍らに身を屈めて彼女の肩や首や腰をなでさすった。といっても、性的な意味があるわけではなく、撫でられたところから凝りや疲れが引いていくのが分かる。
 顔と地位に似合わず、この榛の木の王は人を宥め賺して懐柔する手腕に長けていた。
 人を誑かして欺いては黒い森の奥深くに拐かしたという伝説があるくらいで、それくらいは朝飯前なのかも知れない。
 自分以外の全員がじっとこちらを見つめる中、この日一番の溜息を付いて由真は肩を竦めた。

「もう、好きにして」



――――――――――――――――



「召喚士は死亡……か」
「はい、申し訳ありません」
「いや……たまにはこう言うこともあるだろう。ご苦労だった」

 そう言って、由真の目の前でフィネガンは葉巻に火をつけた。
 天海市での仕事が一段落して暫くのあいだ手のあいたフィネガンは、こうして地方支部での外回りという名の休暇を消化しているところだった。
 当然、名目上は仕事中であるので、時々こう行った連絡員紛いの簡単な仕事を回されるが、それについて特に彼自身不満はなかった。むしろ、今まで殆ど交流のなかったほかの機関員との繋ぎが持てるということで、逆に重宝している点もある。
 今回はじめて顔合わせをした、蹇こと朝狗羅由真もその一人だ。
 組織の処理班が慌ただしく駆けまわる中、小型指揮車の暖房が効いた車内でホットココアをすするこの少女が、サモナーとしての腕前ではフィネガンと並ぶほどのものだという噂は彼自身度々耳にしていた。
 そのたびに眉唾ものだと思っていたが、こうして実際に顔を合わせてみればその噂も事実無根というわけではないようだ。
 引き連れていた悪魔も強大で、忠誠心も高い。
 しかしそうなると、彼には当然の疑問も沸き上がってくるのだった。

「蹇、なぜこんな地方都市の支部でくすぶっている? しかも一介の現地サモナーとして? お前ほどの腕なら幹部にもなれるはずだ」
「……私は」

 じっと両手の中で熱を失いつつあるマグカップを覗き込み、そして彼女は彼の両目を真正面から見返した。

「私は、この街が好きだからです。故郷の為に働きたいと思うのは、それほどおかしなものですか」
「……」

 フィネガンは黙ってサングラスをかけると、ゆっくり首を横に振った。

「若いな」

 そう呟いて、彼は一人指揮車から降りた、葉巻の紫煙を冷え込んできた夜空に漂わせながら、男は一人、誰にも聞かれぬ呟きを漏らした。

「だが……それは俺は失ってしまったものだ」

 ふと腕時計に目をやる。
 時刻はすでに日を跨いでいた……。















――――――――――――――――
明けましておめでとう
仕事やめちまおうかな……


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.059780120849609