<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[1691] 夏の桜
Name: 名無し
Date: 2005/07/09 23:13
夏も終わりに近づき、最後の力を振り絞るように太陽じりじりと地上を照らしている。
そんな中、三原修二は車を飛ばしていた。
「はあ、今日も暑いなあ・・・」
実際はクーラーが効いていて修二の体を冷やしているのだが、一度外に出れば同じ台詞を吐き出すのは間違いないだろう。
それでも、今日だけは家で茹だっている分けにはいかなかった。
正確に言えば、毎年の今日は、だ。
「おっと、危ない。」
十字路で、直進しかけて慌てて右に曲がる。
自分が勤めている養護施設「創才児童園」に行くのであれば直進で良かったが、今日は別用なのだ。
街路樹が並ぶ車道を抜けて、修二は車を止めた。
「流星霊園」
そう書かれた看板も、今ではもう見慣れた物であった。後部座席から来る途中で買った花束を取り出し、並んだ墓石で出来た道を歩き出す。

しばらくして、目印となっている桜の木を見つけた。春はもうとっくに過ぎているので、今は花びらの代わりに緑の葉を生い茂らしている。

「乾巧之墓」
乾巧。この石の下に、四年前、ファイズと呼ばれていた青年が眠りについている。

周りはよく掃除されていて、本来なら散らばっているはずの桜の葉も集められ、焚き火となり地に帰っている。
「あれ?」
修二は、墓の前に添えられているアイスクリームのカップに気付いた。中身はすっかり溶けて液体と化している。
「(ああ、園田さん達も来たんだな)」
そういえば、あの人は猫舌で、甘い物が好きだった。
線香にはまだ火が残っていて、自分よりも早く来た事が分かった。
「もう四年になるのか・・・」
思えば、本当にいろんな事があった。
あの凄惨極まる戦いの最中、臆病な自分がよく生き残れたと思う。
ファイズ、カイザ、デルタ。
結局、父の遺産を受け継いだ三人の戦士の中で、生きているのは自分だけだった。
カイザ―草加雅人は、死体も見つからなかった。
そして、ファイズ―乾巧は、自分の目の前で死んでいった。
四年前の今日、突然修二の前に現れた巧は、ファイズギアを自分に渡して、言った。
「三原・・・悪いが、俺はもう、駄目らし、い。俺と、あいつの夢・・・頼む」
そして、灰になってこの世から消滅した。
オルフェノクの寿命は短い。
人間の急激な進化に、その細胞が耐えられないらしい。
咲いた花は、枯れるだけなのだ。
乾巧の夢。オルフェノクと、人間の共存。
それは、決して彼だけの夢では無い。
戦いの中、同じ理想を掲げ倒れていった者たちの魂も込められている。
木場勇治。
長田結花。
彼らも、この墓地に眠っている。
「おお、お前も来てたんか」
振り向けば、バンダナに、整えるのに時間を掛けたであろう髭を生やした青年が立っていた。
海棠直也。
彼も、戦いの中で知り合い、共に戦った仲間だった。



[1691] Re:夏の桜2
Name: 名無し
Date: 2005/07/10 16:08
「木場達の墓参りに来てたんだよ。へへっ、化けて出られちゃ困るからな」
そうやっておどけるのは、彼の照れ隠しだと知っている。
「真理ちゃん達来たのか」
アイスクリームのカップを一瞥して海棠は言った。
「ああ、会ってないけどな」
園田真理。
菊池啓太郎。
園田真理は、修二が「流星塾」にいた頃の友達であり、クリーニング屋の菊池啓太郎も彼女を通じて知り合った。
真理は今、消えた父に代わり新たに「流星塾」を作り、孤児たちの世話をしている。
その傍らで、オルフェノクの存在を世の中に知らせようとしているらしい。
元々オルフェノクは、都市伝説として有名だ。
人間の敵、という形で。
ある点ではそうかも知れない。人間の力を遥かに超えた異形の体を持ち、武器を自在に操り、人間を灰にする力を持つ彼らは、脅威以外の何者でもないだろう。
自分もそう思っていた。自分達を執拗に狙ったスパイダーオルフェノク・・・澤田は残忍な殺し屋にしか見えなかった。
しかしそれも、灰と消えていく自分の運命の悲しさに耐え切れず犯した罪だった。
彼らは、人間なのだ。
「それにしてもよ、あいつがこんな簡単に死んじまうとはよ」
海棠は墓石の前にしゃがんだ。
こんどは俺の番かな、と少し自虐的に笑って。
忘れかけていたが、この男もオルフェノクだった。
「海棠は今何をしてるんだ?」
ふと思った疑問だった。
「んん?俺か?俺は、あれだ。風来坊ってやつよ」
つまりは、無職という事だ。
「たまーにピザ屋でバイトしてるけどよ」
そういえば、そのピザ屋の店長もオルフェノクだと聞いたことがある。
だが、スマートブレインに脅され、巧を襲ったらしい。
あの会社が無くなった今、オルフェノク達は誰も殺さずに済むのだろうか。
いや、彼らの中には、自分の力に溺れ、人々を狩り立てる者もいるのだ。
現に修二もそうした者達と戦い、倒した。

もしかしたら、話し合えるかも知れなかったのに。
乾巧の夢を継いだはずだった。
しかし、自分がやっている事は、それと真逆なのだ。

「・・・オルフェノクと人間の共存って、出来るのかな。」
修二は誰に言うとも無しに、ぽつりと呟いた。
「ん・・・難しいな」
海棠も、いつもの陽気さが嘘のように弱気な声を出した。
沈黙が空間を支配する。
その時だった。
修二の鼻先に、何かが落ちてくる。
手に取ると、それは桜の花びらだった。
「何で・・・」
修二と海棠は桜の木を見た。依然として緑色の葉で覆われている。
突然、海棠が笑い出した。
「あーはっはっは!あいつはやっぱ、死んでもうるせえ奴だな。」
手の平の桜の花びらを見つめる。

―元気だせよ、三原。

そう、聞こえた気がした。
【後書き】
書いといてなんですが、自分でも意味が分かりません。
こんな駄文読んでくれた人ありがとう。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.050166845321655