注意事項:このSSは八割方ノリで出来ています。
作者は身の程知らずにも笑いあり、涙ありなSSを目指しています。
そのため、一部某デモン○ベイン並にご都合主義でストーリーが進みます。
このSSに不快感、嫌悪感を抱いた方がいましたら申し訳ありません。
Let's Last Party!!
………Side Godzila 〔さぁて、いきますか?〕
『むきだしの力、暴力こそが歴史上、ほかの何にもましてより多くの問題を解決してきた……。
それを否定する事は弱者の希望的観測であり現実逃避でしかない……。
この自明の理を忘れた種族は、人命と自由という高価な代償を支払わされてきた……』
―――ロバート・A・ハインライン 「宇宙の戦士」―――
「”空(くう)に善有りて 悪無し……
智は有也(うなり) 理は有也 道は有也……
心(しん)は 空 なり”」
寒々しい荒野に佇む巨体。真紅に燃え上がる山の如き血潮。それが思い浮かべるは”さぶらふ”者達の教え。
『――”志道”とは、また旧いモノ知っているね?』
「昔、ちょっと剣道をかじってな。師範のおっさんにサムライの語源を聞いた事があったんや。まあ、三日坊主で終わってしもうたがな」
くっくっくっと頬を歪めてゴジラは笑う。
”さぶらふ”とは「貴人に仕える」と言う意味を持つ「侍」の語源である。古来の侍達はたった一人のために命を掛けた。いや、人だけではない。多くの夢、野望と言う”たった一つ”の事に仕えてきたのだ。
侍を意味する「士」と言う漢字には彼らの生き様が乗り移っている。
「十」の経験をもって「一」に帰結させる。それが侍であり、「士」に「心」の全てを傾ける生き方。それが「”志”道」である。
『君が志道を謳うのであれば、”彼ら”は何を謳うかな? 個人的予想としては「わが名はレギオン。我々は、大勢であるがゆえに」にかな?』
「新約聖書やな。”悪霊共”にピッタリや(笑)」
そう、ここは悪霊の領域。人外魔境の聖都にして糞虫共の本丸。
忌まわしき喀什(カシュガル)オリジナルハイヴより約100kmの地点である。
ここより一歩でも進めば、そこは魔窟の戦場が広がる。
「X星人、あと何時間もつ?」
『………40時間ってところかな?」
「上等じゃ。粗チン野郎ぶっ殺して全速で海に向かえば、なんとかなるやろ」
『…………敵は今までの20倍以上だ、今回は僕も手を貸そう。直接は無理だが、管制官の真似事ぐらい出来るし」
「おおっ頼もしいのぉ!バッチこいや!!」
再び視線をオリジナルハイヴのモニュメント(上層部構造体)へと向ける。
フゥゥーと浅い息吹で呼吸を整え、瞼を閉じる。
「状況」
『現在地、北緯39° 32' 34'' 西経76° 1' 12'' 、喀什自治区 旧フェルガナ空港付近。オリジナルハイヴより113kmの地点にて待機中』
「戦力」
『ゴジラ級怪獣バーニング・ゴジラ一体。炉心融解(メルトダウン)まで残り40時間23分。武装:赤色放射熱線及び体内放射』
「作戦概要」
『第一段階、ハイヴ内BETAを可能な限り地上に誘引し、敵総戦力の半数、小型種を除き中型種・大型種を最低100万体を撃滅。
第二段階、ハイヴ上層部に突入孔を開けメインシャフト(主縦穴)を降下。誘導に従い放射熱線で『あ号標的』までの最短ルートを造れ。
第三段階、『あ号標的』を殲滅。立ちふさがる全てを薙ぎ払え!!』
「了解!」
GWAAAAAAああああああああああおおおおおおおおお■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!
宣戦布告の咆哮が鳴り響く。
星の血潮を身に纏い、憤怒と暴力の化身がゆく。
それは輝ける真紅の命。命とは血液。真紅の血は生命の象徴。
その名はバーニング・ゴジラ。
ここから始まるは一世一代の大立ち回り。馬鹿で単純でおめでたい、だけれども誰もが羨む華々しき散り様。
それは桜の花の如く。
1998年 10月30日 グリニッジ標準時07:00:00
『桜花作戦』 開始。
「死して屍拾う者なし!!」
『咲かせてみせよう!死に華を!!!』
「『俺達の夢は、野垂れ死にじゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!』」
ゴジラ、炉心融解(メルトダウン)まであと 40 時間。
………Side Human's of the Earth
<とあるCP士官>
私は今、震えている。
地球低軌道上に布陣する装甲駆逐艦艦隊から送られてくるその映像に。
灼熱色のゴジラが放つ紅の放射熱線。体内の融解が進行しているせいか初めて観測された時とは比べ物にならないほどの熱量と放射線を含んでいる。
破壊の濁流は例え外れたとしても、その太陽風を遥かに超える悪魔的な濃度の放射線でBETAを死に至らしめるだろう。
ゴジラは北方領土を経由しユーラシアに再上陸、敦煌 (ドゥンファン)ハイヴを陥落後、致死量の放射線で大地を汚染しながらオリジナルハイヴへと進撃した。
今、私達人類は敦煌ハイヴを除くゴジラが陥落させたハイヴ跡に前線基地を築きつつ、オリジナルハイヴ攻略のためにユーラシア大陸に上陸した。まさか、失われた祖国にこのような形で帰国できるとは思ってもいなかった。
ゴジラがオリジナルハイヴに攻撃を開始して既に3時間が経過している。地上には10万を軽く超えるBETAが出現しているが、次々と蒸発している。
この『桜花作戦』はゴジラがBETAの注意を引いている隙に『あ号標的』を撃滅するのが狙いだが、司令部からはまだ出撃命令が出ない。ゴジラによってハイヴ内のBETAが十分におびき出されてくるのを待っているのだろう。
それが自然。人類の勝利を考えれば当然の判断だ。
………それでいいのか?
闘争に代理者などいない。このBETA戦争でさえ、我々人類にとっては戦争なのだ。
戦いたい。あの戦場に立ちたい。
…違うな。共に戦いたいのだ。地球の「同胞」と。
………Side 地球最大の戦場
炎、焔、ほのお、ホノオ………
大地が炎に踊る。風が爆発に悲鳴を上げる。名状し難い光景に光が歪む。
ココはカシュガル。人類の怨嗟の頂点にして怨念の始まり。忌まわしく憎き敵の天守閣。
その名はオリジナルハイヴ。
数という概念がわからなくなるほどのBETAがひしめくこの大地は衝撃に揺れていた。
『『『GAAWAAAOOOおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』』』
王の咆哮が鳴り響き、断罪の光が放たれる。何者にも抗うことの出来ぬ圧倒的な暴力が世界を嘗め尽くし、全てを無へと還していく。
ゴジラは一切の容赦をしなかった。次々に放たれる赤色放射熱線は無慈悲に冷酷にしかし確実にBETAを消滅させていく。
地獄の山脈の如き背びれが輝き、地上に紅の雷撃を放ちながら再び赤色放射熱線が放たれる。もはや太陽紅炎にも等しき熱を持つそれを薙ぎ払うように振り回す様はエジプトの太陽神・ラーの如くである。
カシュガルというキャンパスいっぱいに乗せられたBETAという黒はゴジラという絶対的な白によって今この瞬間、塗り潰されているのだ。
BETAも当然反撃を行っている。ユーラシアに散らばった後に頭脳(ブレイン)級と呼ばれる反応炉が検討し重頭脳級(あ号標的)によってシェイプアップされ、対人類用戦術として誕生した光線属種によるレーザー攻撃は、この地球上で最も制圧力に長けるはずであった。
しかし、小型の恒星のエネルギー量に比肩しえるほどの存在であるバーニング・ゴジラの前では、空気中の静電気とさして変わらぬ位でしかない。
事実、2000体以上からのレーザー照射を受けているにもかかわらず、そのレーザーはゴジラを融かすどころか黒岩の如き皮膚の表面温度をほんの僅かに上昇させたに過ぎないのだ。
さらにゴジラに到達できたレーザーはわずかしかなかった。理由はゴジラの放つ赤色放射熱線である。繰り返すようだが今のゴジラは小型の恒星に比肩しえる程のエネルギーを内包している。それが燃え盛り、このままでは大地を穿ち惑星の崩壊さえ引き起こす程の超高エネルギー体へとなろうとしているのだ。
そんな存在が放つ指向性攻的放射熱線がたかがレーザーに劣るはずもなく、光線属種のレーザーは刹那の時間さえ赤色放射熱線に拮抗することなくその紅い暴力に飲み込まれていったのだ。
『次、2.30.on Clock 敵中型集団、数3万。小型種無数。同時に6.45.on Clock 要塞級集団。数多数』
「了解(((GAOOおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお■■■■■■■■■■■△△△△△△△△△)))!!」
いつものおチャラけた様子と打って変わって、X星人はひどく落ち着いていた。いや落ち着いているなんてレベルではない。まるでメッキが剥がれたように”本来の姿”に戻ったかのような様子だ。
周囲を小型種を除く数万クラスの集団に囲まれているにもかかわらず、その言葉には一切のブレがなかった。ただ冷静に冷徹に淡々と自らの務めを果たしている。
『ゴジラ、20秒後に敵前衛集団が途切れる。間隙を突いて後方の要塞級集団へ攻撃。稜線に出ている奴らを叩き落せ。麓の小型種集団への足止めになる』
「了解(((GAaaaaaaああああああああWAOOおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ■■■■■■■■■■■■■■■)))!!!」
狙い済ました一撃が突撃級と要撃級の集団を素通りし、後方に控える数百体の要塞級集団に直撃する。大半が蒸発し消滅するが残ったもう半分の燃え上がった残骸が土と血肉の特大散弾となって、更に後方に控えていた小型中型の混成集団に襲い掛かった。
ゴジラほどでないにしてもその圧倒的な質量と物量が地形を変えながら地表のBETAを圧殺していく。十や百ではない。千から万の単位で死骸が誕生し、それが新たな武器となって雪だるま式に転がり、更に多くのBETAを殺していく。
本来であれば、その攻撃本能に従いただ愚直に攻撃するだけであっただろうゴジラ。今まではその身に宿る暴虐の力があったからこそ勝利を手にしてきた。
だが今、確立分岐世界有数の暴力を誇る存在に変化が訪れた。他でもないX星人と名乗る頭脳面での戦力だ。ただ嵐の如く振り回されるだけであった暴力は明確な方向性と的確な戦術性を手に入れ、空も大地も自由自在のキャンパスへと変えていったのだ。
『地下からBETAの掘削と思われる振動を確認。二個軍団規模だ。15秒後、地上へ出現すると思われる。体内放射準備』
「了解ィィィィ(((GYAおおおおおおおおおおおおおおooooooooooooooooooooAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaa●●●●●●●●●●△△△△△)))!!」
紅く輝く灼熱の尾で背後の要塞級集団を薙ぎ払いながら腰を据え、体内を巡る原子の力を肺へと収束する。一時的に攻撃の手を緩めたゴジラに対し、10万規模の中型種の群体が襲い掛かる。小型種はもはや数の測定は不可能であった。
洪水の如く大地を覆うように突撃級の群体が赤紫色に染まったカシュガルの大地を己が甲殻の色に幾重にも染め直しながらゴジラへと迫る。時速170Kmオーバーの冗談にも出来ないような馬鹿げた質量と物量をもってゴジラを圧し潰さんと肉薄する。
同時に兵士、闘士、戦車、要撃級の群体が巨大な間欠泉の湯水のように持ち上がり、胸糞の悪い絶極太の黒い触手となってゴジラへと襲い掛かる。その数7つ。もはやフェイズ2クラスのハイヴのBETA収容限界を超えている。
]
そして待ちに待った時が来た。地下から岩盤が穿つ音が鳴り響き、都市が崩壊する程の震動がゴジラの背後に発生。直径50mにも渡る大空洞が口を開け、火山の噴火もかくやといった勢いでBETAが現れた。
核爆弾の爆発によって発生するキノコ雲のように地上に打ち上がった十個軍団規模のBETA群は一度膨れ上がり、巨大な入道雲の如き様相となってゴジラに雪崩込んだ。
前と後ろ。二方向から20万をはるかに超えるBETA群がほぼ同時にゴジラに殺到する。蟻にホースで水を掛けるかのようにゴジラはBETAに覆われた。湯水の如くとは言ったものである。
時間にして数秒。瞬く間にゴジラの姿を目にすることは不可能となった。圧倒的質量と20万を超える物量を武器としてBETAはゴジラを喰らい尽くそうとする。
要撃級が砕き、突撃級が押しつぶし、戦車級以下が噛み砕いて飲み込まんとするがゴジラの体温は摂氏1000度を超えているのだ。筋肉が赤熱化し、体表面からでも紅く輝く炉心が見て取れる。
こんなデタラメな存在を喰い切ろうするならばそれ相応の被害を覚悟しなければならないだろう。だがBETAの物量がそれを可能とした。ゴジラを包む20万体以上のBETAは一切の躊躇ばくゴジラに喰らい着いたのだ。
都市すら、国家すら飲み込むBETAを前にゴジラは対抗できるのか?このまま骨すら残さずヤツラの腹に収まってしまうのだろうか?
否、否である。
ゴジラを包む巨大なBETAのドームの内側から光が漏れる。卵が孵るようにドームの表層に皹が入り、何本もの光のラインが奔る。
一瞬の静寂の後、ガシュガルに小さな太陽が出現した。秒速10Kmにも及ぶ衝撃波とコンクリートが瞬時に蒸発するほどの熱量を放ちながらそれが放たれた。
『炉心臨界状態』におけるゴジラの熱線体内放射である。彼の最終決戦で己の最大の脅威に放たれたそれは、文字通り万物を破壊し、その形を失わせたのだ。ビルは固体から気体に昇華し、空気中の塵さえ白熱化するほどに燃え上がった。
おそらく、この世で「対消滅」に最も近い現象だったのではなかっただろうか?
とかく、ゴジラを覆っていた20万のBETAは一瞬にして吹き飛ばされた。最も外側にいたBETAを除いて、そのほとんどが蒸発し、頭上で雲となっていく。やがて気体と化したBETAであったものは空気によって冷却され、凝結し雨となって大地に降りそそぐ。
そして、地表近くにいた者たちは瞬間的な超高温、超高圧力にさらされ、大地に押しつけられる。やがては土が触媒となり上澄みの部分が急速に固体となる。
…………そうガラス化するのだ。
今ゴジラの周囲300mには隕石が落下したようなクレーターが広がり、その内側はBETA原材料のガラスで覆われ、同じく雨となったBETAの残骸で満たされている。
巨大な屍の杯と腐肉の湖の中心に泰然と存在するのは、正に屍山血河の主、怪獣王の名にふさわしき様相である。
圧倒的な破壊者。万物を塵へと帰す最後の審判。BETAにとってそれは死者の頭を噛み砕いたとされる冥界の犬神アヌビスに等しきモノだった。
全身に紅蓮の血潮を纏い、憤怒の蒸気を噴出しながらゴジラは吼える。それは世界の壁を飛び越え、数多の確立分岐世界へと響く無敵のWarCryであった。
『――――――――――因果改変確率 49.99999999999999954%。”運命相転移”まであと少し……。まもなく、まもなくあなたの悲願が叶います。夕呼先生』
………Side BETA 〔あ号標的〕
・・・・・・・・脅威。被害 甚大。莫大。極大。
ゆにっと ノ 損失 重大 ナリ 。
要・対処。 けんさく・・・・・・・・・情報なし。現行手段で た イ応・・・・・。・・・・・・。。
098723.094568.015476.59865.34565465.63456.1451420.547475465..185279554821830056.uy8tt9589495984509.7455674556485415.121.1111.2548/*/-**9+54.461.000.qer36ff.75r1f344554t4.760c048u0h..sd347yt0fwe.t578h.0g5h0df51gg.1u445g1.48515.//////////////5y7yg45dlgkblmiyhj,h.ptoyplry45667/*7466+
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検討終了。
かいせnn 接 続。
]7y9054 作業中断。
70-@:;@: 作業中断。
1/85-856 作業中断。
移動開始。
破壊せヨ。
………Side 地球最大の戦場 グリニッジ標準時12:32:12
ゴジラがオリジナルハイヴに侵攻し、既に五時間半が経過していた。
地上のBETAは当初出現した20万の勢力を失い、現在は第三陣が増援として現れていた。その数、累計50万を超えている。
だが、それを以ってしてもBETAはゴジラを打倒する事は不可能であった。
あちらこちらに死骸の山脈ができ、濛々とBETAの血煙が舞うこの空間は、もはやこの世のものとは思えない領域であり、このままではBETAはただただ屍を晒すだけである。それをどれ程者達が望んでいるか………。それをどれ程の世界が求めたか………。
だが、忘れてはいけない。
ヤツラは時に予想だにしない手段で戦況をかえてしまうのだ。
光線属種の登場に始まり、ハイヴ内での掘削同時侵攻。他なる世界で行われた人類戦術の模倣と常に磐石を覆してくるのだ。
だからこそ、その予兆は誰の眼からも捉える事はできなかった。あまりにも速い変化にゴジラはほんの一瞬攻撃の手を緩めてしまう。
それが決定的な隙を造りだす結果になってしまった。
時間にして二、三秒しかなかったが、濁流のようなBETAの攻勢が止んだ。それどころかゴジラに向かって、まるでモーセの十戒の如く”道”が開けたのだ。
この光景は何度も見たことがある。後方に布陣する光線属種の射線を得るために、数万のBETAが一斉に動き、一直線に陣形が割れる様を何度もその眼にしてきた。
しかし、放たれたのはレーザーではなく、直径170メートル。全長1800メートル。総重量測定不能を誇る真の最大級BETA。
二体の”母艦(キャリアー)級”の突撃であった。
………Side X星人(仮称)
やはり、一筋縄ではいかない。
”何度も”繰り返してきたが、この世界には本来無い因果情報を無理やり割り込ませたのだから、必ず何処かで別の因果情報が漏れ、ズレが生まれる。
このズレから全てが壊れてしまう。
このタイミングで母艦級が現れるのは初めてだ。しかも複数。想定の範囲ではあるが、怖いのはこれが今後にどんな風に影響するかだ。
クソッ!喰い付かれた。
耐えてくれ。ただの因果情報体である私には、観測する事しか出来ない。それがどれだけ無力な事だとしても。
ああ、歯痒い。”何度”やっても、この体が煩わしい。どれだけ因果を集めても。どれだけ世界を繋げても。私には見ている事しか出来ない。
今になって解る。こんな気持ちを”彼女”は抱き続けてきたのか………………………………………
神よ。生まれて初めて、あなたに祈ります。
「彼」の願いを、「彼女」の想いを、「あの人」の執念を叶えてください。
三千世界の烏を、己の尾を噛む蛇を捧げても叶わなかった「彼ら」の夢を御救いください。
チクショウ! 因果が傾きだした!!!
また、またダメなのか?
私は”そのため”に生まれたのに。
今度も人類は、生命は負けるのか?
あと一歩なんだ。
起きて、起きてくれ!ゴジラ!!
ヒト為らざるモノの願いは、決して神の座にいる存在には届かない。
何故なら神とは、ヒトがヒトのために創り出した存在であるからだ。
ならばヒト為らざるモノの願いは誰が叶えるのだろう?
………Side 地球最大の戦場 グリニッジ標準時13:42:54
突如として出現した母艦級。その数二体。
その圧倒的な質量の前にゴジラは膝をついた。
地中からの突撃を辛うじてかわす事には成功したものの、伏兵として襲い掛かってきた二体目の母艦級の巨大な顎に掴まり、己の腕ほどもある牙を突き立てられたのだ。
そしてそのまま大地に何度も叩きつけられ、膝を屈してしまった。
母艦級は己の顎が焼けるのに構う事なく、ゴジラ捕獲し噛み砕こうとする。
それに対し、ゴジラは零距離放射熱線を何発も浴びせ、最後には最大出力の体内放射で顎ごと吹き飛ばしてやった。
当然、母艦級は体の四分の一を失い、絶命する。
しかし、その時点でゴジラには多大なダメージが蓄積していた。
そして、あろう事か絶命した母艦級の死体がゴジラの下半身を埋没させてしまったのだ。
『『『GGGEAああああああああEEEえええええええええええええええええええェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■△△△AAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaa●●●●●●●●●●△△△△△)))!!』』』
あまりの痛みに絶叫を上げるゴジラ。体勢を立て直そうと必死にもがくが、自分の何倍もあるかも解らない重量によって完全に拘束されてしまった。
もがけばもがくほど体力が失われ、意識が遠のいていく。
ココに来て形勢は逆転。
一気に勝負を決めんばかりに母艦級が鎌首をもたげ、要塞級が触手を振るい、要撃級が前腕を持ち上げ、突撃級が押し寄せ、光線属種が睨み、小型種が群がる。
泡を吹きつつ、薄れいく意識の中でゴジラは悪霊の津波を睨む。
このまま終わってしまうのか?
やはり『おとぎばなし』はハッピーエンドにはならないのか?
ヒト為らざるモノの願いは誰が叶えるのだろうか?
『願いは自分で叶えるのよぉぉ!!!!!!』
一閃、爆音。
幾つもの爆発が数珠玉のように繋がり、悪霊の津波を圧し留める。
『『『こちら地球軍!全力でゴジラを援護せよ!!!!!!!』』』
………続く
あとがき:全然ギャグ入れられなかった。次で終わります。