目が覚めると見たことのない場所にいた。
いつも寝起きしている安アパートの一室じゃない。
見覚えの無い部屋の中だ。
あぁ、夢をみているのだろうと思った。
とりあえず体を起こしてみる。
自分を見るとやはりこちらも見覚えのない服を着ていた。
例えるならSFCのRPGゲームにいるそこらの村人Aの服?
体自体にも違いがあり、腕の長さや身長が違う。
元の自分はそろそろ30代に乗りそうなお兄さん(断じておじさんではない)のはずなのに対して、この体は少々筋肉が付いており腹筋が割れている。
TVでいう細マッチョというやつだろうか。
なにより自分は毛深くちとむさい髭面だったはずなのに、まるで女性のように毛が薄い。
確認した下に『男の象徴』はあったので男であることに間違いはないらしい。
夢は潜在的な願望だというが、なるほど俺は毛深いことがコンプレックスだったのか。
部屋の内装に目を向けると自分の寝ている寝台とテーブル。それに椅子が二つあった。
机の上にランタンがひとつとナイフがひとつ。
部屋の明かりはこのランタンだろうな。
他の家具はおろか、替えの服すらない。時計もない。
まぁ、夢だからな…そんな深いところまで想像しなかったんだろう。
現状の確認が済んだところでもう一眠りだ……。
どうせ夢だ。目が覚めたらいつものアパートに戻っている。
起きた。
まだ見覚えのない部屋の中だった。
「あ、あれ?」
しゅじんこうはこんらんしている。