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[10804] MUV-LUV ALTERNATIVE 未来と過去の鎮魂曲 プロローグ
Name: Days◆7197ba8e ID:0ab165e6
Date: 2009/12/22 16:12
「ん・・・。」

俺は窓から差し込む陽の光に起こされた。

少しだけ体がだるい

昨日はとても、小さいとはいえない大きな事件に巻き込まれた。

人質にとられ、危なく殺されかけたりもしたが、それほど大事には至らなかった。

大変だったのはその後だ。

俺、白銀武を救出するため、ある人物は俺のクラスメイトやその他諸々を救出作戦に参加させ、見事活躍したものに姫初めの権利を俺に無許可で渡すというものだった。

「・・・はぁ・・・」

そして今日はその姫初めを企てた本人に呼び出されていた。

「さすがに姫初め継続中ってことはないだろうけど・・・。」

姫初めの一件は全員お引取り願うことで解決することはできた。

「・・・一人で来いってのは怪しいよな・・・」

・・・まぁ、その人物が教師だから行かないことはできないわけで―――

―コンコン―

「武、入るぞ。」

「あぁ。」

「もう起きていたのか。あれほどのことがあれば体も疲れておろう。」

「そんなこと言ったら俺よりも冥夜や他のみんなも疲れているだろ?」

―冥夜―

御剣冥夜は白稜大付属柊学園の三年生で俺のクラスメイトだ。

ある日突然海外留学から帰ってきたとか何とかで転校してきた帰国子女なのだが、わけもわからないうちに一緒に住むことになってしまっている。

冥夜には双子の姉に悠陽というやつもいるが、冥夜同じように一緒にすんでいる。

「確かにそうかもしれんな」

「あれ?悠陽はどうしたんだ?」

「そうであった。朝食ができたので呼びに来たのだ。姉上は一足先に居間で待っている。」

「そうか。じゃあ俺も着替えたらすぐ行く冥夜は先に行っててくれ。」

「わかった。」

そう言って冥夜は部屋を出て行った。

――俺、白銀武は白稜大付属柊学園三年の普通の高校生だ・・・と思うのだが・・・とある科学者(?)によれば俺は『恋愛原子核』なのだそうだ。

まぁ、実感がないから気にしてはいないのだが・・・

「おはようございます。武様」

居間の戸を開けると冥夜と悠陽の御剣姉妹とその従者である月詠真那が待っていた。

「あれ?純夏は?」

―純夏―

鑑純夏はお隣さんで小さいころからの幼馴染だ。

冥夜たちがきてからは一緒に食卓を囲んでいるのだが今日は見当たらない。

「純夏ならば御剣で発見しこちらに移動中だそうだ。もう少しでつくであろう。」

昨夜の事件のとき俺を助けるために放った一撃で吹き飛びそのまま行方不明になってしまっていた。

一応見つかったみたいなので無事だろう。

「じゃあ先に食べてるか。」

報告を受けてから10分後、玄関の戸が開く音がした。

「ただいま~・・・」と気の抜けた声がすると居間の戸が開けられ、赤い髪と黄色いリボンが目に付く少女が入ってきた。こいつが鑑純夏だ。

疲労のせいか、この世のものとは思えないだった。

「す、純夏?大丈夫か?」

「うぅ~、ふぁんとむなんてもうつかわない~・・・」

純夏はテーブルに倒れこむようにイスに座った。

・・・相当疲れているのでこれ以上は聞かないことにしよう。

「じゃあ、純夏。一応朝飯だけは食っておけ。お前の分も準備してあるから。少しは元気になるぞ。」

「う~ん・・・ってあれ?今何時?」

「8時すぎ。どうせ休みだ。ゆっくり食べても大丈夫だぞ。」

見たところ純夏は相当疲れているようだが・・・まぁ、飯でも食えば元気は出るだろう。

「武様、今日は何か用事がありますか?」

と、悠陽が口を開いた。

「用事・・・という用事ではないと思うけど9時までに物理準備室にこいって夕呼先生に言われてるな。」

夕呼先生こと香月夕呼は柊学園3年A組の担任兼、物理教師である。

前日の武救出作戦と姫初めの計画を考えたのも夕呼先生だ。

はちゃめちゃでマイペースな人だが『因果律量子論』という理論を研究している科学者でもある。

内容はわからないがノーベル賞を取れるほどのすごいものらしい。

「・・・。」

なぜかはわからないが純夏は何かを言いたそうなしぐさをしている。

「どうした?純夏」

「・・・今日、香月先生のところに行かなきゃ駄目?なんかね嫌な感じがする・・・」

確かにあの夕呼先生に呼ばれたのだから嫌な予感がしないわけではないのだが、それほど大袈裟なことではないだろう。

「大丈夫、大丈夫。夕呼先生のいつものたちの悪いいたずらだって。」

「でも・・・。」

―ヒュン―――スパン!―

「あいた~!なにすんのさ!」

「お前がシリアスになっても似合わないっつーの。大体一晩中どっか飛んでいってたんだ。人のことよりまずは自分のことを心配しろってのバカ純夏」

「ムキ~~~!!!!もういいもん!武ちゃんなんて知らない!」

といいながら口に詰めるように飯を食う純夏。

正面では俺たちのやり取りを見ていた冥夜と悠陽も何か深刻なそうな顔をしていた。

「二人ともどうした?」

武の問いに冥夜が口を開く。

「純夏の言っている事、嘘ではないかもしれん。」

「私もそんな気がします・・・今ここにいる武様が明日にはいなくなってしまっているのではないのかと感じるのです。」

冥夜に続いて悠陽が口を開いた。

「大丈夫だって、予感は予感。そんなに気にすることじゃないよ。それに夕呼先生の呼び出しだ。行かなかったら行かなかったでその後に抹消されかねない。」

二人はうなるように俯いていた。恐らく夕子先生のことだから否定ができないのだろう。

「っと、そろそろ行かないとな。時間がなくなる。夕呼先生に何言われるかわかったもんじゃないからな。」

すばやく学校に向かう準備をする。

あまりもたもたしていると今にも引き止められそうだからだ。

かばんを持って玄関に向かう。

「恐らく12時前には帰ってくると思うからそれまで留守番頼むな。じゃあ、いってきます。」

勢いよく玄関の扉を開けて学校に向かった。






 周りを見回しながら歩いている。まるで今見ている景色を目に焼き付けるように。

武は意識していた。

純夏、冥夜、悠陽の言葉を。

『嫌な感じがする・・・』『武が明日にはいなくなってしまいます』『嘘ではないかもしれん』・・・。

駄目だ駄目だ!意識していると本当にそんな気がしてくる。うぅ~~忘れろ忘れろ考えていても何にもならないだろうが。

そう自分に言い聞かせながら学校に向かう。と―

「武さ~ん!」「武~!」

道の角を曲がったところで呼び止められた。

クラスメイトの珠瀬壬姫と鎧美琴だ。

こっちに走って近づいてき―――

「ギャフン!」

だいたい、1メートルくらい手前で珠瀬が転んだ。

「痛っ!痛っ!」

少しスライディングするように転んだため、おでこが赤くなっている。

「大丈夫か?たま」

「はぅ~なんとか・・・」

珠瀬、通称たまの手をとり起き上がらせる。

「ありがとうございますぅ~・・・」

たまを立ち上がらせると同時に美琴が質問をしてきた。

「ねぇねぇ何してたの武?」

「ん?あぁ、今から学校に行くところだ。ちょっと夕呼先生に呼ばれててな。そういう美琴たちはどこ行くんだ?」

埃をはらい終えたたまが答えてくれた。

「武さんの家だよ。純夏ちゃんから電話をもらってね『今すぐ来てほしい』ってことだったから今向かうとこ。それにしてもすごく落ち込んでいるようだったけど・・・武さんなんかやらかしちゃいまいた?」

「本当に何やらかしたんだよ~」と美琴が迫ってくる。

「いや、俺は何もしてないぞ。したとするならいつもみたく純夏の頭をひっぱたいたくらいだ。」

二人は「そっか」と返事をした。

「武さん、武さん。なんかね純夏ちゃん、千鶴ちゃんに慧ちゃん呼んだみたいだよ。よほど深刻なんだろうね~」

と、噂をすればなんとやら。向こうから榊千鶴と彩峰慧が来た。

彩峰が「よ」と言ったので俺も「よっ」と返した。

「珍しいな委員長と彩峰が一緒なんて。」

委員長とは千鶴のことだ。クラスの委員長なのでこれで通している。

「そこの角でばったり会っただけよ。そういう白銀君は何してるの?」

「学校に行く途中にたまと美琴に会って話していたところ・・・ってやば!もうこんな時間か!」

時計を見ると走って間に合うかどうかの時間だった。

「俺、香月先生に呼ばれてるんだ。時間がないから先に行く。またな。」

学校に向かう武の耳にたまの「気をつけてね~」という声が聞こえた。





「気をつけてね~」

「なんで『気をつけて』なの?」

「なんかね今日の武さんは危ないというか変な感じがするんだよね~わかんないけど。」

「・・・確かに今日の白銀は危険な匂いがする・・・」

彩峰の言葉をきいて自分たちにもそのような気がするのか他の三人も軽く頷いた。

「それなら早く行かなきゃね。もしかしたら純夏ちゃんが知ってるかもしれないし。」

美琴の言葉にたまがいち早く行動した。

「早くいこ~!純夏ちゃんまってるよ~!」

その声に三人とも足を進めた。






鑑家の一室でうずくまる小さな影があった。

その少女の名は社霞。

彼女はみんなが感じる『嫌な感じ』に自分も気づいていた。

そしてどうしてそのような事が起こっているのかも知っていた。

「また・・・あっちに行ってしまうんですね・・・」

彼女は膝に顔をうずめた。






そのころ白銀武は学校の正門前の坂を駆け上がっていた。

いつもの武なら駆け上がるときに体力を一気に使ってしまい、正門に到着するころにはバテているのだがそのように疲れるような感じはなく、むしろ余裕なくらいだ。

まるで長年鍛えてきた体のような感覚を武は感じていた。

坂でまったく疲れなかったため大幅な時間の短縮はできた。

(少し早いけど物理準備室に向かうか)

物理準備室に向けて歩きだす。

物理準備室に向かう途中で武は違和感を感じていた。

いつもと違うような雰囲気が違うような気がしたが向かわないわけにもいかないので武は足を進めるしかなかった。

準備室と同じ階につき、準備室に向かい歩き始めた。

準備室に着く少し前に異変が起こった。

準備室のドアの窓からものすごい光が飛び出していたのだ。

武は走った。

準備室で何が起こっているかわからないが、まず夕呼先生の状態を確認しなければと思ったからだ。

急いで扉を開けた。

「夕呼先生!」

「!?白銀―――」

武はかすかに夕呼先生の声を聞いた後、光に包まれていった――








「・・・また・・ね・・・」

「ああ・・またな・・・」

光に包まれる武を社霞と香月夕呼は見送った。

「行っちゃったわね・・・」

「はい・・・」

「ほら、元気出しなさい私たちにはまだ残されたことがたくさんあるのよ。そんなんじゃあのガキ臭い救世主に笑われちゃうわよ?」

「・・・はい。」

霞は涙を拭い返事をする。

「それじゃ、戻りましょうか――」

と、夕呼が言い終えたとき

――ザザッ――

視界が揺らぐ

「・・・何!?今の・・・」

頭に何かが流れるような、または繋がるような感覚が夕呼を一瞬襲った。

霞も同じだったらしく頭を抱えていた。

「社、大丈夫?」

と聞いた瞬間だった。

「っ!!社!!」

霞がいきなり走り出したのだ。

続いて夕呼も後を追う。

急ぐ霞はB19フロアまで来た。

ここには夕呼の書斎があるが、霞が向かうのはそこではなく隣の元ODL浄化装置設置室だ。

(いったい何があるっていうの・・・まさか・・・)

霞の後を追う夕呼の頭にありえないことが横切った。

(そんなことはありえないわ・・・絶対にそんなこと・・・)

部屋に入る。入って見たのは床にぴくりとも動かずに倒れている人とそれを呆然と見つめている霞たっだ。

(!!まさかそんなはずは・・・)

倒れている人を見て夕呼は絶句した。今まで思っていたありえないことが現実になったからだ。

(これで確実に間違いじゃなくなった。だけど・・・どうしてあんたがここにいるのよ)

「・・・白銀・・・」



[10804] MUV-LUV ALTERNATIVE 未来と過去の鎮魂曲 エピソード1
Name: Days◆7197ba8e ID:0ab165e6
Date: 2009/12/22 16:15
(ここは・・・どこだ?)

光り輝く世界で彼は問うた。

(今は・・・いつだ?)

光り輝く世界で彼はまた問うた。そして・・・

(私は・・・誰だ?)

そこで光り輝く世界は終わりを告げた・・・





『・・・・・が・・・・ん・・・・』

(誰かの声が聞こえる・・・)

『・・・ろ・・ねさ・・・・・・・』

(誰だ?何を言っている?)

『・・し・・・・がさん・・・・』

(言葉がさっきより鮮明に・・・)

『・・・しろがねさん・・・』

(さっきよりもはっきりと聞こえる・・・『しろがね』とは・・・誰だ?)

「・・・白銀さん!・・・白銀さん!・・・」

―ガバッ―

自分は体を起こす。

やっと、意識が覚醒したようだ。

「ここは・・・どこだ・・・?」

周りを見回す。

とにかく散らかっている部屋だ。

目に付くのは大きな机だが、その上には紙が何重にも積み重なっている。

はっきりとはわからないがここは誰かの仕事場なのだろう。

「!!っと・・・」

横から何かが抱きついてきた。

それは黒い衣服を身に着けた少女だった。

白い髪と肌と、ウサギの耳のような飾りをつけた特徴的な少女だ。

「・・・・ッ・・・・ヒク・・・・・」

少女は泣いているみたく、一向に顔を上げない。

私は少女が泣き止むまで待つことにした。




「・・・・・・・・。」

しばらくすると少女は泣き止んだ。

「大丈夫か?」

私が聞くと体を離して頷いた。

「大丈夫・・・です・・・。」

「そうか、よかった。」

おそらくこれで普通に会話ができる状態になっただろう。

(これなら質問しても大丈夫かな?)

「えっと、君に少し質問があるんだけど・・・大丈夫?」

そう聞くと少し驚いたようだがすぐに頷いた。

「そうか。じゃあ聞くけど、ここがどこだかわかるかな?」

少女は驚き戸惑うような素振りを見せたがすぐに答えてくれた。

「ここは・・・香月博士の・・・書斎です・・・」

(つまり、私は知らないうちに『香月』という人の仕事場で寝ていたということになるのだろう。)

「だが、どうして私はここで寝ていたんだ?」

その独り言にも聞こえる質問に、少女は返事を返す。

「いえ・・・別の部屋で倒れていたのでここまで運びました。」

私はなぜ『倒れていたのか』少しだけ疑問に思ったが、今はそれよりも大事なことがある。

「そうか、君が運んでくれたのか。ありがとう。聞き忘れていたが君の名前を教えてくれないか?」

相手の名前を聞いていなかった事に気づき、少女の名前を聞こうとした。

すると少女は顔が見えなくなるくらいうつむいてしまった。

「・・・社・・・霞・・・です・・・」

少し声が震えて聞こえるのは泣き出してしまったからだろう。

「えっ!えぇっと・・・大丈夫?変なこといっ――」

―ズキン―

言い終える前に強烈な頭痛に襲われた。

「ぐうぅぅぅ・・・!!」

(何なんだ!?この痛みは!!頭に・・・頭に何かが入ってくる・・・食堂?屋上?研究室?まだ入ってくる!?ここはどこかの高台か?っ!次は学校?の坂か?枯れた木がたくさんある・・・!!この子は・・・)

『またね。』

(知って・・・いる・・・のか?わた・・・し・・・いや・・・お・・・れ?はこの子・・・を・・・)

頭に流れ込んでくる絵には必ず、今話していた少女が写っていた。

(この映像は・・・なんなんだ?)

「!!っ・・・」

意識が覚醒した。

「大丈夫・・・ですか?」

頭痛の余韻が残っているが気になるほどではない。

少女は先ほどとは違い、少し驚いていたがすぐに微笑を浮かべ、泣いていたような素振りは無い。

「あぁ、大丈夫だ。か・・・社さん」

霞といいそうになったが、普通に考えればさっきの映像が本当のことなのか確信は無いのだ。

ましてや、これが初対面でないという事もない。

ところが社さんは、

「霞・・・でいいです・・・。霞と呼んでください・・・。それに・・・初対面ではないですから・・・」

俺は驚いた。霞が積極的に自らの名を呼んでほしいといったことに。

何故かはわからないが少しうれしかった。

「えっと・・・じゃあ、霞?」

ウサギの耳のような髪飾り(?)がピコピコ動いて反応する。

俺は最後の質問をすることにした。

「もう一つ聞きたいことがあるんだ。さっき言っていた『白銀さん』って――」

聞こうとしたときだった。

―パシュウ―

「あら、お目覚めのようね。救世主さん。」

白衣を着た女性が部屋に入ってきた。

「何よ?『あなたは誰?』みたいな顔して。初対面じゃあるまいし。」

「初対面・・・じゃないんですか?」

女性は唖然として「まさか。」と言い霞を呼ぶと、何か話を聞いているようだった。

少しすると霞から話を聞き終わったのか、「なるほどね。」と言うとイスに座り話しかけてきた。

「あなたに何個か質問するからできるだけ答えてちょうだい。」

俺はいきなりだったので少し戸惑ったが、すぐに「わかりました」と返事をした。

「じゃあ、まず一つ目。自分のことはどのくらい覚えてる?」

(自分のこと・・・・・・あれ?まったく思い出せない・・・そもそも自分が『誰』かもわからないのに覚えてるわけが無いじゃないか。)

「・・・すいません。わからないです・・・。自分の名前も思い出せないので・・・。恐らく自分よりあなた方のほうがよく知っているんじゃないかと思います。」

もう一度「わかることは一つも無いの?」と聞かれたが「はい・・・」としか答えることができなかった。

「そう・・・じゃあ、あたしが誰だかもわからないわけなのね?」

やはり「はい・・・」としか答えようが無かった。

「・・・はぁ、わからないんじゃしょうがないけど名前とかここはどことか知っておかないと大変ね。」

と言うと少しこちらに体を向きなおし口を開いた。

「まず、ここが何処かというところから。ここは国連太平洋方面第十一軍、横浜基地。そしてあたしはここの実質的責任者、香月夕呼。」

香月夕呼の話を聞くと引っかかるものがあった。

(横浜基地・・・香月夕呼・・・夕呼・・・先・・・生?あ・・・れ?俺はどこかで会って――)

「うぐっ!!」

俺をさっきと同じような頭痛が襲う。またしても『記憶』が流れ込んでくる。

何故自分で『記憶』だとわかるのかがわからないが、確かにこれは自分の『記憶』だと実感がある。

(そうだ、俺は夕呼先生を知っている。あぁ。霞のこともよく知っている。まだ完全ではないが横浜基地のことも知っている。まだ、もやがかかったところがたくさんあるが今はこの分思い出していれば十分だろう。)

そうして、考えることをやめると静かに頭の痛みは引いていった。

「大丈夫?落ち着いた?」

「はい、もう大丈夫です。」

「そ、じゃあ思い出したことを言ってみて。」

恐らく一回目の記憶流入を霞が特殊能力のリーディングで読んだものを聞いたのだろう。

少しせかすような口調で話してきた。

「はい。俺が思い出したのは夕呼先生と霞のことと、横浜基地のことを少しです。あと自分が『白銀武』だということくらいですね。」

記憶の中で夕呼先生によく『白銀』と呼ばれていた気がする。

何の記憶、いつの記憶かまだわからないが『しっかりやんなさいよ!!白銀武!!』という言葉が聞こえて自分が白銀武だということを確信した。

「戦術機のことは思い出した?」

―戦術機―

戦術機は戦術歩行戦闘機の略で地球外生命体『BETA』と戦うために作り出されたロボットだ。

記憶が曖昧ではっきりとはしないが俺も乗って戦っていたような気がする。

「完全には思い出していませんが一応基礎だけは覚えています。」

「そう、じゃあ明日はシュミレーティングしてみるから今日はもう部屋に戻って寝なさい。」

時間を見るともうすでに深夜だった。

「部屋はそのままだから気にしなくていいわよ。」

それを聞いて安心した。

「ありがとうございます」と一礼して部屋を出ようとしたとき、

「あ、そうそう今のあんたは精神的に非常に不安定な状態だから、隣の部屋に霞を待機させておくからね。」

「え?あ、はい。」

夕呼先生は不敵な笑みを浮かべ・・・

「なぁに~?隣の部屋じゃ不満~?じゃあ、同じ部屋で添い寝でもさせてあげましょうか?」

なんだか、夕呼先生の冗談を聞くと安心した気分になる。

「勘弁してください。」

だが、さすがに添い寝は厳しいので受け流す。

そうして、俺は自分の部屋に戻っていった。





香月夕呼は閉まった扉を見つめていた。

「はぁ・・・また問題が増えたわね。」

今は白銀のことも気がかりだが――

「ん・・・」

(また、きてるわね・・・)

夕呼にも記憶の流入が起こっていた。

武ほど激しいわけではないが少しずつ、けれども確実に流れてきていることがわかった。

夕呼の記憶の流入はこれで二回目だが一回目の少し違っていた。

一回目はなにやらいろんな映像だったが、二回目は『声』が聞こえたのだ。

そして、確かに自分の声で『まりも』と何回も叫んでいた。

(まさか・・・ね・・・)

不安と疑問を抱えながら夕呼は自分の仕事に戻った。





武の消えた元の世界でも変化が起きていた。





香月夕呼は学校の物理準備室で実験を行っていた。

今研究中の因果律量子論である。

実験は八時半から続けていたが、九時になる少し前に実験をしていた機械が暴走し出した。

夕呼は焦った。

自分の理論は正しかった。

機械も間違いなく正常に作動していた。

何故、突然暴走したのか夕呼にはわからなかった。

そもそも、暴走するほどの電力は無かったはずなのに。

今はそんなことを考えている暇は無い。

夕呼はすぐに強制停止させようとしたが、激しい閃光で近づくこともできない。

準備室は光に包まれようとしていた。

・・・と、そのとき扉が開かれた。

光は一瞬のうちに、引き寄せられるように扉の方に集まる。

夕呼は光の中心にいる人物に叫んだ。

その瞬間、光はさらに強くなり目を覆った。

光が引くとそこには何も無かったかのように静まり返っていた。

・・・まずい・・・夕呼は思った。

たとえ事故であっても、人一人確率時空の世界へ送ってしまったのだ。

しかも、扉の前には何も無い。

ということは、あいつがもうすでに死んでいるか、そもそも産まれていない世界に飛んだかのどちらかだ。

少なくともこの世界への干渉が無い状態では、この世界に戻すことも対策を考えることもできない。

一人考えていたところへ誰かが物理準備室に来たようだ。

夕呼は確認するために扉の方を向いた。

そこには親友の神宮寺まりもがいた。

――のだが頭を抑えうずくまり、何か恐怖を感じているようだった。

夕呼はすぐに駆け寄りまりもの名前を叫んだが、声が届いていないようだ。

夕呼は何度も叫んでいたが自分も次第に様子がおかしくなり、視界が暗くなり、ついに意識が途切れた。



[10804] MUV-LUV ALTERNATIVE 未来と過去の鎮魂曲 エピソード2 (前編)
Name: Days◆7197ba8e ID:0ab165e6
Date: 2009/12/28 01:13
『タケル~』  『白銀』 『白銀くん』

       ―誰だ?―

『タケルさ~ん』 『タケル』

   ―お前たちは誰だ?―

武はまた光の世界にいた。

武は『誰か』と会っている。

『誰か』は一人一人武の名前を呼んでいる。

しかし、あまりにも眩しくその『誰か』の顔はわからない。

およそ10人くらいいるのはわかるのだが・・・

     『タケルちゃん』

最後の一人が名前を呼ぶと皆で微笑み武から遠ざかっていく。

――っ!!待ってくれ!!何故お前たちは俺の名前を知っている。!!お前たちは誰なんだ!!教えてくれ!!――

武は焦った。走ろうと体を動かすが、追いつく気配が無い。

――くそっ!!待ってくれ!待ってくれ!!――





「待ってくれー!!!!」

――はぁ・・・はぁ・・・――

(・・・夢・・・か・・・)

目を覚ますといつもの天井が目に入る。

武は体を起こす。

時間を見たが夕呼先生の呼び出しまでは時間があるようだ。

――コンコン――

「白銀さん・・・起きてますか・・・?」

丁寧に戸をたたき、霞が部屋に入ってくる。

「あぁ、起きてるよ。おはよう霞。」

「おはよう・・・ございます・・・」

そこで白銀は自分の記憶が完全ではないことを思い出す。

(夕呼先生に言われた呼び出しの時間はまだだからな・・・霞に自分のことを聞いてみるのもいいかもしれない・・・)

「夕呼先生からの呼び出しまで時間があるんだけど、時間とらせてもらってもいいか?霞」

少し首を傾げたが、察したのかすぐに頷く

「一応昨日の段階で、ある程度思い出だしたが忘れてることもたくさんある。そこで思い出した記憶が本当のことかどうかの確認と、忘れていることを少しでも教えて欲しいんだ。」

霞は少し戸惑いを見せたが、すぐに頷く。

「・・・わかりました。」

「それじゃあ、まず俺がここで何をしていたか教えてくれ。」

顔に疑問の色が見えたが、「確認のためだ。」と言ったらわかってもらったようだ。

「白銀さんは、ここ『横浜基地』の戦術機のパイロット・・・つまり衛士です。香月博士の直轄の部隊で行動してました・・・階級は少尉です・・・」

(思い出した記憶と間違いは無いようだな・・・)

今聞いた話と自分の記憶を照らし合わせて確認した。

「うん、大丈夫そうだ。じゃあ、人間関係のことを教えてくれないか?」

「・・・・・・。」

「・・・無理・・・なのか?」

「・・・はい・・・すみません・・・これ以上は教えることはできないです・・・」

「何故・・・?」と聞く前に霞は答えてくれた。

「香月博士にこれ以上教えることは止められています・・・変に教えてしまうことで記憶の流入が起こるとどうなるかわからないからだそうです・・・もし、記憶の流入が止まらなければ脳のキャパシティーを超えてしまい・・・あとはどうなるかわかりません・・・」

今聞いてある程度は納得した。

霞や夕呼先生の時の記憶だけで激しい記憶の流入が起きたのだ。

今はほとんど白紙の状態の自分にすべての記憶が流れれば記憶の整理もできずに気が狂う可能性もある。

恐らくそのことも考えて夕呼先生は制限をかけたのだろう。

「そうか・・・。まぁ、仕方が無いか。今は右も左もわからない状態だからな。下手なことして死んでしまうよかゆっくり思い出してしっかり記憶を補充した方がよさそうだ。」

「時間はたくさんあります・・・私も手伝いますから一緒に頑張りましょう・・・」

霞は微笑みながらそう言ってくれた。

俺は霞が親身になってくれることが素直にうれしかった。

「ありがとうな、霞」

「いえ・・・お互い様ですから・・・」

少し照れながら霞は微笑んだ。

時間を見ると夕呼先生に呼ばれた時間まで後もう少しだった。

「いい時間だな。そろそろ夕呼先生のところに行くか?」

「はい・・・!」





「来たわね。」

夕呼先生はあきれたようにして待っていた。

「早速、戦術機のシュミレーションをしてもらうけど、先に言っておかなきゃいけないことが何個かあるわ。」

夕呼先生はこちらに向き直り話を始める。

「まず昨日、『あなたは不安定な状態』と言ったのは憶えてるわね?」

「はい」と相槌を返す。

「もう社には聞いたかもしれないけど、今のあなたはほとんど空っぽの状態。たとえ空っぽでも容器はあるからね。そこに大量の記憶が入り込めばパンクしてしまう。簡単に言えば白銀という箱に整理もせずにぶち込めば決壊してしまうってこと。」

箱が決壊・・・つまり精神の崩壊ということだ。

確かにそうなると廃人同然の状態になるだろう。

再度今の状態を聞いてゾッとした。

「そこであなたは社と一緒に行動することになるわ。」

「え!?どうしてですか?」

「どうしてって・・・そりゃあんたの激しい流入を抑えるために決まってるでしょ。一応あんたと親しかった人たちには今の状態を言っておいたけどそれだけでどうなるってことでもないのよ。だってあなたが考え込むと記憶の流入が始まっちゃうもの。そこで必要なのは社の能力。憶えてる?社の能力は。」

「確かリーディングとプロジェクションですよね?」

リーディングは相手の思考を読み取る能力で、プロジェクションは相手の脳に直接自分の伝えたいことを映し出す能力だったはずだ。

「そ。その社の能力であなたの状態をリーディングして、もしも無理に考えこんでしまいそうだったり、激しい記憶の流入が起こりそうだったらプロジェクションの能力を使ってリミットをかけるわ。」

「わかりました。」

夕呼先生の配慮に感謝し答えた。

「やけに素直ね~。まぁいいわ。」

夕呼先生は軽く座り直すと話をシュミレーションの話題に変えた。

「それじゃあ、シュミレーションのことを軽く説明するわ。白銀には午前中いっぱい戦術機のシュミレーションをしてもらうわ。その時はさっき言ったとおり社をついて行かせるからそのつもりで。その後だけど、昼食を取ったらここに来てもらうわ。大事な話があるからね。それと。」

夕呼先生は社をみつめる。

「社。白銀のことは頼んだわよ。」

霞は軽く頷き部屋の入り口に向かう。

「白銀」

夕呼先生に呼び止められ夕呼先生に振り返る。

「社のこと。頼んだわよ。」

軽く返事を返し部屋を出る。





「さてと」

白銀たちを見送るとパソコンに目を向ける。

「あいつが今までの戦術機を扱えたとして・・・」

夕呼はパソコンを操作すると1枚のウィンドウを出した。

「これを扱えるかどうか・・・」

画面には『02式換装型高速機動システム』と書かれていた。





『白銀さん準備はいいですか?』

俺は強化装備を身につけ操縦席についていた。

「いつでもいいぞ」

網膜に直接映し出された霞に返事をする。

オペレートは霞がしてくれるらしい。

『それでは始めます』





「ふぅ・・・」

午前のシュミレーションはほとんど終わった。

今は最後のプログラムの前に休息をとるところだ。

「白銀さん・・・お疲れ様です。」

シュミレーターから出ると霞がタオルを持って待っていた。

「・・・大丈夫・・・ですか?」

霞はタオルを渡すと心配そうな表情をしながらそう聞いてきた。

それもそのはず。

シュミレーションを行っていた時にも記憶の流入は起こっていたのだ。

だが激しい流入は無く、それどころか記憶を喪失しつしてしまう前に俺が行っていた戦術機の特殊な機動も思い出すことができたのだ。

「あぁ、大丈夫。心配することはないぞ。それより、最後のプログラムってなんなんだ?」

今までは訓練兵がやるような練習過程プログラムを順々にやっていたからある程度予想はついていたが練習過程プログラムを終えた今、次に何をやるか見当もつかなかった。

「最後は・・・ハイヴ・・・です・・・」

(・・・ハイヴ・・・)

武は一瞬唖然とした。

頭がうまく回らなかったのだ。

(ハイヴ・・・それってつまり・・・)

武が次のシュミレーションのことを聞こうと口を開く前に霞が先に説明する。

「次はハイヴ内でのBETAとの交戦シュミレーションです・・・」

       ――BETA――

その単語を聞いた時、自分の中に変な違和感を感じた。

恐怖とは違った感覚だったが良い違和感ではないのは確かだった。

「記憶の流入は起こると思います・・・」

まだ頭がぼんやりとしているが、無理やりにでも霞の話に耳を傾ける。

「私も白銀さんを手伝います・・・けど・・・記憶の流入を抑えることが私にできるかわかりません・・・」

激しい記憶の流入が起きたとき霞のプロジェクションががうまくいかなければ廃人になる可能性だってありうる。

だが・・・。

「霞、弱気にはならないでくれ。俺も怖いが・・・霞とならなんとかやってやる!それに俺も戦場に出るなら絶対に回避できないことなんだ。だから・・・力を貸してくれ霞!お前じゃないとできないんだ!」

確かにこれは霞にとってもつらいことだと思う。

だけど、俺には使命がある。

こんなところで躓いているわけにはいかないんだ。

霞は一度深呼吸をして

「・・・わかりました・・・私も白銀さんの力になるために頑張ります・・・!」
俺はその言葉を聞いてすぐにシュミレーターに向かった。





『・・・用意ができました・・・。』

俺は自分の高鳴る鼓動を感じながら霞の声を聞いた。

「あぁ、始めてくれ。」

網膜に起動画面が映し出される。

次の瞬間、目の前にはハイヴの内部が広がっていた。

(今のところは異常なし・・・)

一呼吸おいて自分の状態を確認する。

『600m先にいる中隊規模のBETAを殲滅してください』

「了解」

ジャンプユニットを吹かせ進攻を開始する。

『接敵まで後300mです』

敵を目視で確認できる位置まで来た。

「BETAを目視で確認これより戦闘を・・・」

武はそれ以上言葉が続かなかった。

理由は頭痛ではなかった。

しかし記憶の流入は確実に起きていた。

今、武の頭の中に流れ込んでいるのはただひたすらに蹂躙するBETAの群れ、群れ、群れ。

「う・・・・・ぁ・・・・・」

そこから生み出される感情は恐怖以外にはなにもなかった。

「うあああぁぁあぁあああ!!!!来るなぁああああ!!!!来るんじゃねぇええ!!!!」

突撃銃の弾をただ撒き散らしながら後ずさる。

迫り来るBETAの波から距離をとろうとして後ずさる。

次第に流れる記憶の量も増えていき、ついに武の意識は記憶によって押しつぶされてしまった。





武が錯乱状態に陥った時、霞も混乱していた。

記憶の流入が霞に起こっていたわけではない。

武の状態が予想していたものより比較にならないほどひどかったからだ。

霞は夕呼先生に言われた通り、武に『自分が何をやっている途中なのか』をプロジェクションしたがまったく効果はなかった。

「白銀さん・・・」

霞は少し俯くと・・・

「・・・白銀さん・・・待っててください・・・」

そうつぶやくと霞は胸の前で手を組んだ。

「私の思い出が・・・届きますように・・・」





武は暗闇の中にいた。

――ここは・・・――

――俺は・・・どうなったんだっけ・・・?――

自分に起こったことを整理してみる。

(確かBETAを見て・・・記憶が流入して・・・そして・・・怖くなって・・・)

――そこで記憶を失ったんだっけ・・・――

ある程度整理したところで今どのような状態なのか確認してみる。

(自分がどこにいるかわからない・・・どうなっているかもわからない・・・一つだけわかるのは・・・)

――すごく・・・楽だ・・・――

何の苦痛も恐怖もなく何の負担も感じない。

――このまま・・・寝てしまいたい・・・――

武は体から力を抜いてまぶたを閉じようとした。

すると・・・

――なんだ・・・あれは・・・?――

少し離れたところに光が現れた。

光は少しずつ近づいてきて武を包みこむ。

包みこむと同時に目の前にはたくさんの絵が映し出される。

――これは・・・――

それは自分の記憶にも刻まれているであろう霞との記憶だった。

たくさんの絵は交差するように流れている。

まるで武に語りかけるように。

武は流れる絵に1つ1つ注意してみてみる。

――あぁ・・・そうだ・・・こんなこともあったな・・・――

屋上でのあやとり・・・

毎朝起こしに来てくれた記憶など・・・

所々伏せられていたような場面もあったが霞との思い出を思い出すには十分な数だった。

そして・・・



『前に――――――――海を見たことないって言ってたよな。』

 ――――――――

 ―――――

『本当はあそこまで連れてってやりたいんだけど・・・』

 ―――――――

 ――――――――――――――

『いつか平和になったら・・・・・・行こうな』

『・・・・・・はい』



それはあの丘での出来事だった。

――そうだ・・・俺は・・・!!――

武は体に力を入れる。

無理に力を入れると体に痛みが走ったが武はその痛みをこらえ体に鞭をうつ。

(そうだ・・・俺はここでへばるわけにはいかない・・・!!!)

「うおおおぉぉぉぉ!!!!」





霞は今までの思い出を武に伝えようとしていた。

(白銀さん・・・)

霞は必死にプロジェクションをする。

記憶の中余すところがないくらいに。

(・・・!?)

一瞬武に変化が現れた。

(っ!!・・・)

一瞬の変化に気を取られそうになったがすぐに意識を集中してプロジェクションを再開する。

(・・・白銀さん!・・・白銀さん!!)

自分にできるありったけの力をつかって武に呼びかける。

(お願い・・・白銀さん・・・)

霞はこれで最後だというように力を振り絞った。

「私に・・・こたえてください!!!」





「うおおぉぉぉぉ!!!!!」

抜刀縦斬り、そしてすぐに横に薙ぎ払う。

接近してきた、遊撃級は武の放った長刀によって切り伏せられた。

『白銀・・・さん・・・?』

霞の声が聞こえる。

「霞、もう大丈夫だ」

感覚がしっかり戻ったことを確認しながら応答する。

「しっかり霞の思い出は伝わったよ。・・・俺にはまだやることがある。そのすべてがはっきりとわかっているわけじゃないけど、霞との約束は思い出すことができた。その約束のためにも俺は今倒れているわけにはいかない。」

残弾数を確認する。

錯乱時に相当の弾を使ってしまったが多少残っている。

「よし!01白銀!これより作戦を続行する!!!」

武はジャンプユニットを左右に展開する。

右手に長刀、左手に突撃銃を装備し戦場を縦横無尽に駆け巡る。

「お前らには負けない!!俺には・・・俺には・・・!!!!負けられない理由があるんだぁぁぁぁ!!!!!」

遊撃級に突撃し、長刀で切り抜けた後すぐさま振り向いて突撃銃で止めを刺す。

直後接敵アラートが鳴り響く。背後だ。

すぐさまジャンプユニットのバーナーを吹かし後方に飛びながら宙返りを行う。

宙返り中、突撃銃を打ちながら着地と同時に遊撃級に突撃し、切り抜け止めを刺す。

不知火は戦場を駆け巡りすぐに周囲のBETAを掃討した。

「はぁ・・・はぁ・・・ふぅ・・・」

武は息を整えて状況報告をする。

「こちら01。周囲のBETAの掃討を完了。これより残存BETAの掃討を開始する。」

周囲の遊撃級を中心としたBETAは掃討したが、遠方にはまだBETAが残っている。

『CP・・・了解・・・あの・・・白銀さん・・・大丈夫ですか・・・?』

武からの状況報告を受けると同時に霞は武に心配の声をかける。

「ん?あぁ、大丈夫だ。霞に礼を言っておかなきゃな。おかげでしっかりしてる。開始前より調子がいいくらいだ。」

そう言うと霞は安心したような表情を浮かべた。

「残りは後もう少しだ。ほんの少しだけ待っててくれ。」

『・・・はい!』

 ―――

 ――――――

 ―――――――――

 ――パシュウ――

任務を終えてシュミレーターの中から出ると霞が待っていた。

「お疲れ様です・・・」

「あ、あぁ、そっちもおつかれ。それにありがとうな。」

俺は霞に感謝する。

「あのまま記憶の流入がおき続けてたら本当にヤバかったなぁ。マジで廃人になるかと思ったぜ・・・霞は命の恩人だ!ありがとう!」

ほんの少し大げさかと思ったが感謝の気持ちを表すには十分だろう。

「そ・・・そんな・・・私は・・・。」

顔を赤くして俯いてしまった。

フフフ・・・可愛いやつめ。

「・・・ですけど・・・」

落ち着いたのか霞は顔をあげる。

・・・まだ少し照れているようだ。

「・・・ですけど・・・助けることができたのも・・・白銀さんの・・・おかげです・・・。白銀さんが私に・・・思い出をくれたから・・・」

照れながらだがしっかりと気持ちは伝わった。

「そうか?だけどまだ海に連れて行ってやるっていう約束はまだ守ってないぞ?」

「それでもいいんです・・・その約束が私にとって大事な思い出ですから・・・」

・・・そんなこと面と向かって話されれば恥ずかしくないわけがなかった。

「そ、そうか・・・そ、それよりもう昼だ飯食いにPX行こうぜ。」

「・・・そうですね。」

雰囲気を察したのか霞は微笑みながら答えてくれた。








※修正:12月27日:霞の最初の方の台詞の「夕呼先生」→「香月博士」に修正
  :12月28日:「ハイブ」→「ハイヴ」に修正


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