季節は春。
とある武士の切腹の話。
あまりに穏やかで、腰に差した刀は漬物しか切ったことがなく、鞘の中で錆び付いていると笑われるような男がいた。
その男は上役の罪を被り、自分が切腹することとなった。
友にはお前が切腹する必要などないのに泣かれ、母や妹達にも、どうしてそんなにお人好しなのか、本当に仕方のない人だと泣かれ。
それでも切腹するのだと男は笑う。
そして満開の桜が舞う中、自邸の縁側でただ一人男は自刃した。
ひとつ、花見をしようという家族との約束を破って。
時は遥か過ぎ現代。
とある少女が兄たちにからかわれている。
お前は本当にぼんやりしているな、早く来ないと置いていくぞ、と。
少女はむくれながらもふと呟く。
今度はちゃんと、約束を守るから。
作者はおそらく「ひとえひと」と読む「一衛人」?さんだったように思います。
タイトルは何ひとつ覚えておらず、十年は前の小説です。
アーカイブなどに残っているかなど、何か情報があれば教えていただきたく……。